第45話 輝かしき王アーサー
屋敷での出来事を報告をした俺達は屋敷が燃えてしまったこともあり、細かい報告をさせられる。ルフェイの事とデミリッチの事を話すと、冒険者ギルドで今後の対応を話し合うと言われて解放された。
まあ、確かに、証拠はないし、追放された俺の言葉のせいか逆恨みと思われてしまった可能性もある。ただ、冒険者ギルド内でルフェイに探して、事情を聞いてくれるという事にははなった。
俺は教会に絵画を持っていくと行くといったガレスちゃんと別れ、冒険者ギルドで人を待っていた。自己満足かもしれないけれどガレスちゃんの気持ちはわかる。死後の世界があるならばあの人に絵画が届くようにと渡しに行ったのだろう。
「すまない、待ったかな?」
「忙しいのにすいません、どうしても話したいことがあったんです」
「大丈夫だよ、目撃されていたリッチはもうみんな倒したからね。後は騎士たちが残党狩りや、情報を集めているよ。そのおかげで継承の儀式の護衛が減って私まで駆り出されそうだよ……うう……また、ベルに怒られる……」
ベルがよっぽどこわいのか憂鬱な顔をしてながら俺の正面に座ったのはエレインさんだ。簡単そうに言っているが、彼女が遭遇したリッチと俺達が遭遇したリッチの強さはおそらく同じくらいだろう。こっちがガレスちゃんと協力をして紙一重で倒したと言うのに、この人は……つくづく戦闘に関しては規格外である。
エレインさんの言葉で俺は嫌な予感がどんどん固まっていくのがわかった。継承の儀式を前に多発したアンデット系モンスター達の誕生、これは本当に偶然なのだろうか? ルフェイが何をしたいのかを俺は知らないし、彼女が冒険者になる前は何をやっていたかもわからない。素性を聞かないのが冒険者の暗黙の了解だからだ。だけど、ひょっとしたら彼女は……国の関係者だったのかもしれない。
「エレインさん……継承の儀式って貴族以外の人間も入れますよね」
「そりゃあ、入れるよ。むしろ、一般の人にアーサーが王になったよって証明する儀式だからね。だからアーサーも、スリや襲撃者を警戒して私にも護衛をやってくれって頼んでるのさ」
「襲撃者……ですか……」
俺はエレインさんの言葉に首をかしげる。そりゃあ、国のトップになれば絶対的な権力を手に入れる事ができるのだ。権力争いがおきてもおかしくはない。だけど、今回に限っては例外だ。今までこの国は王の証明であるカリバーンを抜けるものがいなかったため、王代理だった。今回はアーサー様が聖剣を抜いたことにより、王はあの人に決まるのではないだろうか。聖剣を抜いたアーサー様を襲撃した奴がいたとしたら、徹底的に調べられて処刑されるだろう。待望の王が殺されるようなことがあったら人々は失意に沈むだろう。
「まあ、色々あるんだよ……」
俺が疑問に思っていることが伝わったのだろう、エレインさんが少しもごもごしながら言う。確かにリッチを筆頭に色々と不安そうな要素がある。幽霊屋敷であったルフェイの動向も気になる。
「エレインさん、アーサー様に会う事は可能でしょうか? 話したいことがあるんです」
「うーん、今は忙しそうだからなぁ……でも、大事な事なんだよね? だったら私が話をつけるよ」
そうして俺達はアーサー王への元へと向かう。新しい王が現れて盛り上がっている中、万が一にも王が死んだら、この国は混乱するだろう。そんな事をさせるわけにはいかないのだ。ベルやガレスちゃんがいるこの国を守るために俺はできる事があるのなら俺は手を尽くしたいと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます