第2話 x軸上のあなた

「分かってるさ、祐介君は気になっただけだよね」

「要は想像するんだ、何が起きるか、何を起こすか」

「分からなかったらいつでも聞きにおいで」


「祐介君は何がしたいのかな?」

「先生!?」

僕が小学校の時の先生だ、だとするとここは教室、僕は小学生になっていた

口が勝手に動く

「白崎中学に受かりたいです」

「そうかそうか、じゃあ、白崎中に入って何がしたいのかな?」

「良い高校に行って」

「そしたら?」

「良い大学に入って」

「それでそれで?」

「それで?」

「うん、それで?」

「いや…」

・・・

「もう一度聞くよ、君は何がしたいのかな?」

「それは…」

「それは?」

「いや」

「まぁいいさ!いずれ見つかる!そのために学校があるんだ!」

「はい」

「でもね、やりたいことは探しておきなよ、やらなくちゃいけないことを全部やったら、やりたいことをやるんだ、そしたらまた別のことがやりたくなる!やればやるほど、やりたいことも見つかる!」

「はい」

「じゃ、君のやりたいことは?」

「えっ」

「君じゃない、今の君だよ、高校生になった君に聞いてるんだ」

僕は中学生だった、僕は高校生だ、僕は大学生になる。

「僕のやりたいことは…」

頰の痛みは引いていた。代わりに、目に花が咲いた

「基準を見つけたい」

口が勝手に動いた

「よろしい」

「えっ」

質問に質問を重ねる先生から、一発で「よろしい」が出たのは初めてだった。

「基準か、原点だね、君の原点を見つけなさい、原点があれば座標がある。」

「座標があれば、君が出来る。」

座標があれば…

「僕が?」

「そう、君が出来る」

「正確に言うならば、『一意に定まる』。君が収束するんだ」

「はぁ…」

「まあいいさ、君の欲や行動の元、理由を探すんだ、難しくないだろう?」

「はぁ…」

「覚えといてね」

「はい。」


「振動している、発散している。」




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