第6話 これからどこに?
「誰だ?」
「はーい!」
女の子が玄関を開ける。
「すみません、こういうものなのですが……」
いや〜な予感。
「この辺で若い、学生くらいの男女二人組を見ませんでしたか?」
「え……?」
これは……まずいな。
「女性の方は、猫の格好の……」
そんなのシャロールしかいないだろ。
またテレポートするか?
「あ〜、その子なら……」
女の子が答えかけたそのとき、男の人が玄関まで走っていて割り込む。
「知りません!」
「今日の昼頃に……」
「今日はまだ家から出ていないので!」
「……そうですか」
ものすごい勢いで告げるので、警察官はしぶしぶ去っていった。
そして、玄関から戻ってきた彼はこう言う。
「……お前ら、追われてるのか?」
もうごまかせないな。
「カードを持ってないからって警察署に連れて行かれたんですけど……」
「まさか……」
「逃げ出しちゃいました……」
ようするに、犯罪者……かな?
「そいつはまた……」
通報されるかな?
でも、さっき追い払ってたよね?
「あれだけ超能力対策がされている建物から逃げ出せるとは、只者じゃないな」
「ちょっと研究してから警察に突き出してもいいかな……」
なにやらぶつぶつ言いながら考え事をしているみたいだ。
というか、結局警察には行くのか……。
「結果次第じゃ、警察の手に負えないか?」
「ま、そんときは俺が面倒見てやるよ」
僕はこの笑顔がすごく怖いと思った。
ろくなこと考えてなさそうだ。
「ふぅ〜、スッキリした〜」
シャロールが穏やかな顔で戻ってくる。
「それじゃあ、行こうか」
「でも、警察に見つかっちゃいますよ」
「お前の能力を使えばいい」
そうだった。
「行き先はどこですか?」
「春日部超能力研究所だ」
聞いたことないな。
でも、まあ。
「わかりました」
なんとかなるでしょ。
「シャロール、手繋いで」
「はーい!」
右手でシャロールと手をつなぐ。
「その……」
名前聞いてなかったな。
「窪崎だ」
彼はそう言って、僕の左手を握った。
「あ、私も行く!」
女の子が慌てて窪崎さんの手を取る。
「春日部能力研究所にテレポートしない!」
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