第4話 脱走
「珍しく暇だったから、引き続き僕が対応するよ」
僕達は、ドラマでよく見る……あの、なんていうだっけ……?
カツ丼出すところ。
取調室?
そこでさっきの警察官と話をする。
「まずは名前を教えてくれるかな」
「佐藤太朗です」
「そっちのお嬢さんは?」
「シャロール!」
「……外国人なのか?」
彼は眉をひそめる。
たぶん面倒くさいとでも思っているのかな。
「ええ……まあ、そんなところです」
「ねぇねぇ、お兄さんの名前は?」
そういえば、それを聞いてなかった。
よく言った、シャロール。
「ああ、申し遅れた。僕は富沢だ」
「それで、本題に入るが……」
「おそらく君達は超能力者だ」
また超能力者か……。
そんなに重要なのか?
というか……。
「どうしてわかるんですか?」
「お店のセンサーが反応しただろう?」
あれだけでわかるのか……。
でも……。
「誤作動だったりしませんか?」
一応言ってみたが、他のお店でも反応していたので、そんなことはないだろう。つまり、僕達はおそらく超能力者だ。
「それもあるだろうな」
「だが、そもそも君達は超能力について知らないようだが……」
「はい、知りません」
「となると、検査も受けていない……そうだろ?」
「検査ってなんですか?」
「わかった」
「それなら君達は超能力者の可能性もある」
「そして、カードを持っていない」
「持っていないと……?」
「罰金だ」
富沢さんは僕達をじっと見据える。
迫力がある……というよりかなり眠そうだ。
「罰金……」
「君達、お金はあるのかね?」
そんなもの……。
「ありません……」
だって、異世界から来たから。
「う〜む、非常に困ったな」
僕達も同じだ。
「……シャロール、話術でなんとかしてくれよ」
小声で伝える。
「……わかった」
「富沢さん、私達を見逃して?」
「ダメだ」
きっぱりと断られる。
あれ?
効いてない?
「佐藤、なんか出てこないよ」
そうか……。
なんでだろ。
「それじゃあ、僕がやるよ」
「君達、コソコソ脱出計画を建てるのは諦めろ」
僕はスキルを選択して、こう宣言する。
「手錠が外れない」
すると、手錠がカシャと音を立てて、床に落ちる。
「な……!」
富沢さんの目が、驚きで今までにないくらい見開かれた。
「手つないどけよ」
僕はシャロールの手を握る。
「うん」
「外に出られない」
気づくと、先ほどの建物の外にいた。
「脱獄成功!」
「いや、脱獄とは言わないか……」
「佐藤、走って!」
こうして僕達は犯罪者になった……と思う。
――――――――――――――――――――
「テレポートか!」
「油断した!」
富沢は勢いよく立ち上がり、部下に応援要請を送る。
「大事にならなきゃいいんだが……」
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