第6話⁂氷の女王の正体!⁂
ある日、氷の世界のいじめっ子退治の為に辺境の地に降り立った天草タケル。
天草タケルのマントは高速で空を自由自在に飛び回れる代物です。
すると目の前に地球の三大美女。クレオパトラ・楊貴妃・小野小町の氷の像が現れたのです。
一体どういう事???
実はこの氷の世界の女王様、地球という星に異常なまでのライバル心を持っていて、氷の世界の職人達に氷の彫刻を掘らせていたのです。
高さ10mは有ろう巨大なものです。
それにしても美女と言っても何か様相が違います。
いえいえもっと言えば只のデブ、只のブス
そこに、そのど真ん中に自分の若かりし頃の絶世の美女{どう見ても全然違うだろう?}かなり修正が施された銅像が鎮座しています。
一見女王様かどうか分かりません。
どう見ても全然違うだろう・・・?その為大きく名前が彫り込まれてあるのです。
{ヒド~イ!}
絶世の美女と《その他大勢のブス達》といった構成です。
実は美女と言っても遥か昔の事、今とは美人の基準が違うのです。
それにしてもこれは酷すぎです。
あからさま過ぎます。
まずクレオパトラ絶世の美女と歌われていますが?実際のところ
金貨に掘られているように鼻は若干鷲っぱな、目は落ち窪み濃いアイシャドウとラインで協調した瞳の決して絶世の美女とまでは行かないのです。
じゃあ何故?絶世の美女と現世にまで語り継がれているのかと申しますと?勿論美しい人では有ったとは思いますが、所作の美しさや知性に秀たところが往々にしてあったらしいのです。
又楊貴妃は非常に美しい女性でしたが、かなりふくよかな女性だったらしいのです。
現在の8頭身美女とは程遠いグラマラスな要はデブ???
そして日本の小野小町ですが、『目細鼻高桜色の昔の美人の代名詞の如く』桜色の肌に、しもぶくれな顔、目は糸のように細くて、唇はおちょぼ口。
氷の世界の女王様、おん年65歳、とうに美しさの盛りは過ぎているのに、今尚自分が一番美しいと思ってはばからないのです。
その為ライバル視する地球の三大美女の彫刻をさもブスに掘らせ、あからさまに自分と対比させほくそ笑んでいるのです。
エジプトのドレスファラオは体型が出易いですが?中国の漢服、日本の十二単、などは大根足だろうが何だろうが関係ない!そんな時代の民族衣装です。
それを良い事にかなり歪曲したブスに加工されて、挙句の果てはとんでもないデブに彫らせてあるのです。
又それだけに留まらず氷の世界の女王様も一緒に並んで彫られてあるのですが、遥か昔の美しかった頃の美貌をかなり偽造加工して【要は整形加工】掘らせてあるのです。
これでは地球の世界の三大美女も只の引き立て役どころか只の笑いもの!
女性とは容姿に異様な執着があるものです。
そしてこんなインチキ氷の銅像を横目にマントでひと山越したタケル。
辺り一面灰色のどんよりとした霧が張りつめ、薄暗い洞窟があちこちに点在して、そこから異様な火の玉が恨めしそうに微かに光を放っています。
また灰色のどんよりとした薄暗い空を、無数の火の玉がゆらゆら揺らめいて、辺り一面を薄っすらと不気味に照らしています。
「何だか物騒なところに降り立ったものだな~?」
暫く進んでいくと氷の世界をゆらゆらと恨めしそうに舞う、何とも美しい1人の美女に遭遇。
{氷の世界では空中を自由に飛ぶことができるのかな~?}
青白い顔の焦点の合わないまるで幽霊のような眼差しのその美女に。
「氷の世界では自由に空を飛ぶことができるのですか?」
「いいえ!私はもう既に死んでいるのです」
「それでもちゃんと姿形が有るじゃないですか?」
「いいえ!ここは幽霊だけが住む世界なのです。火の玉の山を越す時に黒い雲がモクモクと上がって””パシン””と音がしませんでしたか?そこが前世との境界線です。でも普通では境界線を越える事は出来ない筈ですが?」
「ああああ!確かに真っ暗闇の中を火の玉が、山一面にふわふわ不気味に浮いていた、それと大きな””パシン””という音がしたな~!でも死んだら天国に行くんじゃないの?ひょっとしたら前世では悪い行いばっかりしていたのでこんな火の玉の世界に回されたのかな?」
「いいえ違うのです。私達この火の玉の世界の幽霊は女王様に捕まえられて生贄にされ殺された者たちばかりなのです」
「一体どういう事!」
「私達若いそれも美しい女性達ばかりを神様に生贄として捧げるという名目で、実は自分が一番美しくある為に美しい女性をこの氷の世界から跡形も無く消し去りたい、なおかつ自分の若さと美貌を維持する為に、若い美しい女性達の生き血を吸って延々と長きに渡り生き続けている化け物なのです。65歳と公言していますが、本当は1000歳なのです。
「それは何とも酷い話だな、許せん!私が退治してヤル!」
天草タケルはこの氷の世界の恐ろしい現状を回避するべく勇み足で女王退治に氷の女王の城に足を進めるのです。
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