第10話 疲労

俺たちはそれぞれ、使い魔に名前をつけた。




―――に名付けをしました。以降―――はアスラと表記します。


―――に名付けをしました。以降―――はアルラと表記します。




例のアナウンスのような声が脳内に直接響くように聞こえた。


「お?」


「またあの声が聞こえましたね。」


「な。表記ってことは…使い魔の欄がハテナじゃなくなるってことか?」


「見てみましょうか。」




――――――――――――――――――――――




ネーム 双葉成美





スキル 一心同体 召喚(使用不可) 契約 鑑定眼 翻訳 魔素操作 再生 猛毒 隠密 擬態 水中呼吸 気配察知 熱感知 威圧



魔法 生活魔法 水魔法 火魔法



耐性 魔素耐性 水魔法耐性 毒耐性 火魔法耐性



使い魔 アスラ




――――――――――――――――――――――




ネーム 白雪花音




スキル 一心同体 召喚(使用不可) 契約 鑑定眼 翻訳 魔素操作 再生 猛毒 隠密 擬態 水中呼吸 気配察知 熱感知 威圧



魔法 生活魔法 水魔法 火魔法



耐性 魔素耐性 水魔法耐性 毒耐性 火魔法耐性



使い魔 アルラ





――――――――――――――――――――――





「おー。名前が表記されてる。」


「…てことはあれですかね。この子達は名前がない状態だったってことですかね?」


「…そうかもしれないな。」








「ふぅ……」


「はぁ……」


俺たちはさっきまでの緊張からか、どっと疲れが押し寄せ、地面にへたり込んだ。


「はは、もうなんか。一気に疲れたわ。」


「ですねぇ。まだ目が覚めて時間立ってないですけど。もうすでに眠くて眠くて。」


そういうと俺たちはウトウトとし始めた。


「…あの、ところで私の肩のところがすっごい濡れてるんですけど……これなんですかね……」


「…すまん、俺の手汗。」


「…あ~、なるほど~……」


もう二人は会話をする気力さえもあまり残ってはいなかった。


「さっきはありがとうございました。双葉さんが大丈夫と鼓舞してくれなかったら私、漏らしてたかもしれません……」


「…いいってことよ。俺もちびりそうだったし、お互い様よ。」


「あはは、いい年こいておもらしなんてシャレにならないですもんねぇ……」


「だなぁ………」


そこで限界がきた。俺たちは地面に仰向けに倒れ、気絶するかのように眠った。













――――


「…ふぅ。なんとかみんなあっちの世界に送り込めたね。」


「あの二人は……無事みたいだね。よかった。本当にごめん。なにもできない僕を許してほしい。」


「…しかしなぜ転移させる座標がずれた……?それがわからない。」


「それにあの二体の魔物……あれは…なんだ?あんなのは見たことがない。」


「なんらかの原因で生まれた特異個体か…?」


「僕の眼でも名付け前の名前を見ることができたかった。そもそも表記がおかしい。なんだ『???』って。種族も………」


「…極めつけは二人の持つスキル。召喚と契約。あんなもの、一個人が行使できる力じゃないはず……」


「でもあの子達は何事もないように使った……あの魔法陣のデカさも気になる……それに対して出てきたのがタコと蛇……」


「一心同体なんてスキルに関しては聞いたこともない……あれにも『???』と表記されるスキルがあった……それに魂が繋がっているものの能力を使用可能だって…?デタラメじゃないか……」




「…わからない。まったくもってわからないことだらけ。」



……



「これはちょっとエスト老に聞いたほうがいいかもしれないね…」


そういい、アトラはあの真っ白な空間から姿を消した。








封魔の森、古来より禁足地とされてきた場所。なぜ禁足地なのか、それは悪鬼羅刹が徘徊しているから。龍帝が居るから。一度迷い込めば帰ってこられるという保証がないから。






様々な理由があるが、禁足地とされる一番の理由。














それは――――

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