第7話 使い魔召喚
召喚には成功した、はず。だがそこに現れたのは…
「タコ…?」
「タコ…?」
大人の身長ほどのタコだった。
(でかすぎんだろ…)
(でかすぎるでしょ…)
「…油断はしないほうがいいよな。タコだからって。ここは異世界。どんなやつがいても不思議じゃない。」
「…大丈夫でしょうか。襲いかかってきませんか?」
タコはその場から動くことはなかった。じっとこちらを見ている。
「…とりあえず鑑定眼をつかってみよう。」
「は、はい。そうですね。」
俺たちは鑑定眼を使い、タコの能力を覗いた。
ネーム ???
スキル 魔素操作 再生 猛毒 隠密 擬態 水中呼吸
魔法 水魔法
耐性 魔素耐性 水魔法耐性 毒耐性
「…うーん、ぱっと見てもわからん。」
「ですね…ただ猛毒とかは物騒なものだとはなんとなくわかりますね。」
「だなぁ…こいつ名前のところハテナになってるけど、どういうことだろう?」
「私達のスキル、一心同体と同じですね。」
…
…
「詳細も覗いてみよう。」
??? 「深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いている。」
魔素操作 「周辺の魔素濃度を操作することが可能。魔素濃度を高くすることによって魔法の威力が通常よりも高くなる。魔素濃度を低くすれば魔法の威力が下がる。」
再生 「腕が切り落とされようと再生することができる。自身にのみ有効。」
猛毒 「強力な痛みを与える。」
隠密 「他者から見つかりにくくなる。」
擬態 「姿かたちを変えることが可能。」
水中呼吸 「水中でも呼吸が可能。」
水魔法 「水属性の魔法が使える。」
魔素耐性 「魔素に対する耐性がつく。」
水耐性 「水魔法に対する耐性がつく。」
毒耐性 「毒に対する耐性がつく。」
「…えげつなすぎないか?こいつ。」
「…これ完全に暗殺むきのスキルばっかりですね。」
「名前のところはなんだよこれ。深淵がどうのって。表記バグってんだろ。」
俺たちはタコのスキルをみて若干引いていた。
するとタコがこちらに向かって歩みを進めた。
「ちょっ…こっちくるんだけど…」
「どうしましょう。死にましたかね?私達。」
「白雪さん結構冷静だね。」
「もうこんなのは腹くくるしかなくないですか?」
「ごもっともで。」
完全に目からハイライトの消失した白雪さんと俺。
「あのタコがなにかしてきそうになったら一か八か全力疾走してみるかぁ。」
「そうですねぇ。もうそれしかないですよねぇ。」
そんなやり取りをし、目の前まで来たタコ。するとタコはとまり、足を一本こちらに向けてきた。
俺とタコは無言で目と目を合わせた。
(なにこれ。今俺タコと見つめ合っちゃてるんですけど。お見合い?お見合い始まっちゃう?俺とタコの。目と目があう瞬間好きだと気づいた感じ?)
襲ってくる気がないとわかり、すこし心に余裕ができてきた。
「…これは、握手ってことでいいのか?」
「…おそらく?」
…
…
俺はタコの足に手をおいた。ニュルニュルしていた。
「…えっと、これでいい?」
俺はタコに向かって言葉を発した。その直後、俺とタコの身体が光った。
「うおっ!?まぶしっ!?」
俺はとっさに握手してない方の腕で顔を隠した。
「ぎゃっ!?なにこの光っ!?」
隣から乙女らしからぬ声がしたような気がするが気のせいだろう。
光の眩しさは増すばかり。そしてあたり一面が真っ白に光り輝くと。
―――が使い魔になりました。これにより魂のつながりを確認。
魂のつながりの確認により、―――の全能力が使用可能になりました。
(え…?魂のつながり?)
そのアナウンスのような言葉を聞き終えると。あたりの発光が収まり始めた。
そしてあたりの色が光一色から森の景色に戻ると、タコは握っていた足を離した。
「いまのは一体……」
「私も聞こえました…使い魔になったとか、魂のつながりとか。」
「白雪さんも?」
「はい…」
…
…
俺と白雪さんは顔を見合わせ、お互いに心当たりがあったのか、同じ行動をした。
「スキル確認。」
「スキル確認。」
ネーム 双葉成美
スキル 一心同体 召喚 契約 鑑定眼 翻訳 魔素操作 再生 猛毒 隠密 擬態 水中呼吸
魔法 生活魔法 水魔法
耐性 魔素耐性 水魔法耐性 毒耐性
使い魔 ???
「まじか…」
「これは…」
俺たちは言葉が出なかった。
タコの持っていた能力が、全て俺たちにも使うことができるようになっていた。
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