第16話 10代でいたい VS 年相応に大人扱いされたい

「んで、祟り神様の名前を聞いていいかい?」


「あなたのことを名前で呼びたいわ」


 内心怯えながらも聞かれた通りに名乗る。


「み、石橋……ミコト……です……」


「よろしくな、ミコトちゃん」


「よろしくね、ミコトちゃん」


「あ、はは、ども……」


 初対面の人、というのがもはや久しぶり過ぎて辛い。


 なんとか愛想笑いしてみる。


「緊張しなくていいんだぜ」


「お姉さんたちに後は任せてちょうだいね」


「……?」


 お姉さんたち?


「まずは違う部屋で休もう。こんな死体と一緒じゃあ辛いよな」


「わたしが警察に連絡するから、春雨はミコトちゃんと遊んでて」


「いいけど、逆でもいいぞ」


「んもう、春雨は説明ベタじゃん。

 子供と遊ぶほうが得意でしょ」


「確かにな。じゃ、よろしく」


 わたしは、徐々に気づき始めた。


 彼らはわたしのことを……


 ……中学生だと思ってらっしゃる……?


「ミコトちゃんって、小学何年生?」


「ごばはああああああ!!」


「!!?」


 え、わたしってそんなにロリ?


 20歳なんだけど。一応。


「だ、大丈夫か? どうした??」


「春雨が何か変なことした? 大丈夫?」


 わたし、大人だってばよ。


 ……いや、さっきまで10代のままでいたいと思ってたし、今でもその気持がある。


 10代でいたい VS 年相応に大人扱いされたい


 心が2つある。


「……だ、だいじょぶ……わたしはまだ、大丈夫」


「そ、そうか?」


「わたし、ミコトちゃん、小学3年生……よろしくね!」


「……おう、よろしくな」


「そうなんだ! よろしくね!」


 あ、だめだ。


 全く疑われてない。


 完全に小学3年生で通ってしまった。


「……がく」


 そのまま気絶するように眠るのだった。

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