6人目

 くるみさんの右腕を切り落としてからもう半年経つ。今、目の前で寝ている女子高生の左脚を切断したらこれでもう六人目だ。


 切断した部位が一人でに動くという奇妙な現象はくるみさんの時だけに終わらなかった。二人目のターゲットは大学時代に通っていた喫茶店の女の子。僕が好きだった彼女の下腹部、ヘソから股下にかけての間を切断した。鉈では切れなかったためにノコギリと併用しての作業だった。切断後、切断面から飛び出た腸をズルズルと引きずりながら下腹部はコロコロと転がり始めた。右腕の時と比べれば害もなく、動きも鈍かったがそれでも気味が悪いことには変わりなかった。鉈の柄の部分で顔面を強打し完全に彼女を殺害することで、下腹部は動きを止めた。


 おそらく今日の女子高生も同様に、切断した左脚が一人でに動くのだろう。多分この現象に理屈は存在しないのだと思う。だからこそ動く部位への完全な対処法というものは存在しない。四人目のターゲットの左腕は本体を完全に殺したところで、動きが止まることはなかった。五人目の上腹部もそうだ。あれにいたっては今でもまだピクリと痙攣を起こすことがある。


「さてと」


 準備は整った。左脚程度なら鉈一本で十分だろう。あの時、僕が高校生だった時の彼女はまだ幼く、私立小学校に通っていたのか、電車通学だった。肩に背負ったランドセルも学校指定の物で校章が刺繍されていた。そんな彼女も今ではもう高校生だ。私立の小学校に通っていたにも関わらず、彼女はどうやら近所の県立高校に通っているらしかった。調べたところバカばかりが集まりそうな、腐った底辺高校。進学率も就職率も悪く、不良を社会に出さずに収容しておくだけのゴミ箱に、彼女は通っていた。


 しかしながら左脚の愛おしさは相変わらずだった。


 手慣れたものだ、と彼女の寝ている姿を見るとそう実感する。手足を縛っているのも、口にタオルを突っ込んでいるのも、彼女が痛みで目覚めてしまった時のことを鑑みての予防策だ。


 僕は鉈を握りしめる。設計図通りならこれで最後だ。この作業が終わったら次は……。


 僕は鉈を振り下ろした。

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