第1話 冒険の始まり


始まりの村と呼ばれていた。

冒険者ギルドに届けられた依頼は全て紙にその内容を書かれ、依頼書として掲示板に張り出される。そして、仕事を求める冒険者達が次々と依頼を受けていく。


「なぁ、店主(マスター)なんか仕事はないのか?かなり出遅れちまってな」


冒険者ギルドのカウンターで食事をとりながら二人組の冒険者仕事を探していた。


「残念ながら今日の依頼は殆ど売り切れちまったさ、、残ってんのは一個だけあるがな」


店主は掲示板を指差す。そこには一枚の依頼書が残っていた。


【緊急依頼】

報酬・歩合制

条件・なし

詳細は対面にて説明

希望者は郊外の丘まで来る事。

依頼人:(記載なし)


男達は残された依頼書の内容を確認してから、肩を落とした。


「おいおい、内容もわからないし依頼者も書かれてねぇじゃねぇか、こんな依頼誰が受けるんだよ。誰かの悪戯なんじゃねぇか?」


「一応、正式な依頼なんだがな…」


店主はバツが悪そうにしながら答えた。冒険者ギルドは正式な依頼しか出さない。これは冒険者ギルドの信頼に関わるからだ。先程の依頼も若干経路が特殊であったとはいえ、正式にギルドに依頼されたものであった。しかし、その内容はあからさまに怪しく、とても受ける冒険者などおらず、掲示板に張り出されたまま、だれにも見向きされていなかった。


そこへ、ギルドの扉を開けて入ってきた少年がいた。少年は真っ直ぐに掲示板に向かっていくと残された依頼書を手に取り、カウンターまで歩いてきた。


「店主様、この依頼受けさせて頂きます。」


「おぉ、エンデ。それ、本当に受けるのか?」


「はい、お願いします。」


エンデと呼ばれた少年はまっすぐ店主の瞳を見つめながら答えた。店主は一度依頼の内容を確認させたが、それでもエンデの回答は変わらなかった。


「はぁ、変わった奴だな。待ち合わせ場所はわかるな?」


「大丈夫です。ありがとうございます。」


エンデは必要な手続きを終わらせると店主とカウンターの二人に礼をし、そのまま店の外へと飛び出していった。


「あいつ、一人で大丈夫か?」


「新入りっぽいが…」


エンデの背中を見送りながら二人組は心配そうに告げる。冒険者は多くの場合、危険な魔物や蛮族、魔神と命をかけて戦う事が多く、背中を預けられるような仲間同士で何人かのチームを組んでいる事が多い。傭兵のように一時的にチームに参加する事や、ギルド側からチームを編成される事もあるが、わざわざ一人でやっている冒険者は訳ありか、…そういう奴である。という認識をされる。


「まぁ、あいつにはあいつの事情があるのさ」


「へっ!どんな事情があろうが、わざわざ危険に飛び込むのは馬鹿のする事だぜ」


---------------------


依頼に指定された場所は街の外であった。

街を囲む城壁から外に出ると、見渡す限りの草原が広がり、心地よく流れる風が草原の草を撫で、波を走らせる。エンデは、ライダーギルドからレンタルしたホースに跨ると馬を歩かせた。

地図によれば指定場所は街からそれほど離れておらず、ホースの足で有れば1時間もしないうちに辿り着くであろう距離だった。

エンデは周囲に魔物がいないか警戒しながら進んでいった。


「(ようやく手がかりを手に入れた…。あいつの手がかりを…!)」


エンデの脳裏に浮かぶのは苦い記憶。

初めて依頼を受けた時の記憶。その依頼はなんて事のない護衛依頼だった。商人であった依頼人の荷物を別の町に移動中に魔物に奪われないようにする為の依頼。

エンデは無事に荷物を魔物達から守り切ったが、町が見えた時にそいつは現れた。黒い体を持ち、細身でしなやかな翼と尻尾を持つ魔物、黒いドラゴンが現れたのだった。

エンデは依頼人と荷物を守る為検討した。しかし、黒いドラゴンは強大な力を持っていた。エンデの武器の刃を弾く鱗、細身でしなやかさを持ちつつも木々をたやすく薙ぎ倒す力強さを兼ね備えた尻尾、竜種に見られる強力な火炎の息、どれをとっても強力かつ危険であり、エンデは苦戦を余儀なくされた。

しかし、エンデと依頼人は荷物の一部に火をつけ、ぶつける事でドラゴンを火だるまにする事に成功し、火を振り払おうと暴れるドラゴンの隙を突き逃走に成功したのだった。

エンデはなんとか依頼人は守る事ができたが、荷物を守れなかった事。そして、自分によくしてくれた依頼人達の落ち込む顔が忘れられず、黒いドラゴンの行方を追っていた。後で知った事だが、かの魔物は文献に記載が少なく、新種である可能性が高い事、そしてアルフレイムの大地にて最近ポツポツと目撃証言が出ている事を調査できた。そして、エンデは始まりの村の近くに目撃証言が届けられている事と、その調査が行われている事、そしてその一部が依頼として届けられている事を知ったのだった。


「ここが集合場所みたいですね」


平原を渡った先にある小高い丘の上が指定された場所であり、エンデは馬を止めた。

周囲には何も目ぼしいものはなく、ただ木々が生えているだけで、人の気配は全くなかった。


「(しばらく待機ですね。)」


エンデは馬に乗ったまま一息つく。荷物の中から水袋を取り出すと口をつける。緊張して強張っていた体に冷たい水が流れ、草原の風が頬を撫で心地よい。このままのんびり横にでもなりたい、そう考えた時、木々の方から何者かが近づく気配を感じた。


---------------------

危険感知判定 難易度10

2d6(3.4)+1+4 達成値12→成功

エンデは近づく気配に気づいた。

---------------------


「(依頼人でしょうか…?それとも…?)」


エンデは背負ったバスタードソードに手をかけ、留め具を外す。エンデが戦闘態勢取った事でホースも身構える。エンデとホースの目線の先の木々が揺れ始め、その奥に影が見える。その影は人のものよりも大きく、魔物であるとエンデは判断した。


「(来る…!)」


エンデが身構えると、木々の間から二つの塊が飛び出して来る。片方は黒い体と鱗を持つ細身でありながら全長4mほどの巨大な黒いドラゴンが現れた。


---------------------

魔物知識判定 難易度10/12

2d6(2.4)+1+4 達成値11→成功(知名度のみ)

エネミー名:黒眷竜(lv.3 エネミー)


種族名:黒眷竜

 分類:幻獣

 穢れ:0

知能:人間並み 知覚:五感 反応:敵対的

言語:なし 生息地:さまざま

□基本能力

 知名度/弱点:10/12 弱点:魔法ダメージ+2点

 先制値:12 移動速度:20

 生命抵抗力:5 (12) 精神抵抗力:5 (12)

攻撃方法| 命中力 | 打撃点 | 回避力 | 防護点 | HP | MP |

本体 |6 (13) |2d6+6 |3 (10) |3 |30 |- |

※剣のかけらの入っていないエネミーは全て出目7として計算します。

---------------------


ドラゴンは同時に現れたもう一人の塊を追いかけていた。その塊は、少女であった。


「えっ、女の子…?」


少女はエンデが武器を持っていることから冒険者であると分かるとエンデの元へ走って来る。


「お願い…!助けて…!」


少女は震えた様子でエンデに懇願する。エンデの脳裏にはあの護衛依頼の日の依頼人達の顔と目の前の少女の顔が重なる。今度こそは出来るはず、エンデの決意した。


「後ろに下がっていてください、ここは私がなんとかします。」


エンデはドラゴンと少女の間に割って入る。ドラゴンは少女よりも、自分に楯突く新たな存在に咆哮する。


---------------------

戦闘開始

戦闘準備→特になし


先制判定 目標値12

2d6(4.4)+1+4 達成値13→成功(PC側先行)


エンデ:宣言→全力攻撃 目標→黒眷竜

2d6(4.4)+1+4 達成値13→成功(PC側先行)


k32+2+4+4 ダメージ

[2,5 1,5]=10,6 → 10,6+10 → 1回転 → 26


黒眷竜:HP30-(26-3)=7


黒眷竜:攻撃 目標→エンデ 達成値13


エンデ:回避

2d6(1.4)+6-2 → 9 回避失敗


黒眷竜:ダメージ

2d6(5.5)+6





---------------------


黒眷竜はエンデの全力の攻撃を受けると咆哮を上げつつ大地に倒れる。

エンデは武器を構えつつ黒眷竜が再び動き出さないか警戒する。しかし、地面に伏した竜は二度と立ち上がる事は無かった。


---------------------


黒眷竜の死骸を処理し、少し時間を挟んだ後、エンデと少女は丘に生えた大きめな岩に腰掛けていた。


「どうぞ、コーヒーです。落ち着きますよ。」


エンデは少女に自分の荷物から引っ張り出したコーヒーセットを使いコーヒーを淹れ、それを少女に渡した。


「あ、ありがとうございます。頂きます。」


少女はコーヒーカップを受け取るとペコリと頭を下げて礼を言った後、カップに口をつける。


「美味しい…です!」


「それは良かったです。まだまだありますので、たくさん飲んで下さい。(この方が依頼人なのでしょうか?)」


少女は夢中になってコーヒーを飲み続ける。エンデは荷物の中からコーヒーセットと共に取り出した依頼書をもう一度眺める。改めて見めても最低限しか書かれていない依頼書と隣に座り美味しそうにコーヒーを飲む少女に交互に目線を送る。

少女はエンデよりも一回り身長が低く、同じく長旅用の衣服を着用し、


「(

























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る