第5話

「ムカつく...!私とイチャつくよりゲームの

レベル上げに興じていたいってこと?」


「いや、今回は無理だから諦めて、

他の条件の時に頑張るってゆーか...」


「待ってよ...!私が他の男と付き合っても良いって言うの!?」


「え?」


「それは一体どういう状況で...?」


「実は私、しつこく迫られているの...!」


「誰に?」


「サッカー部のエースストライカーの

藤島くん...!」


「あー、あの、超絶イケメンにして運動神経抜群の男...。陽キャのなかの陽キャか...」


「マラソン大会で、藤島くんが一位とったら

私と付き合うことになってんの...」


「え」


「阻止してよ。シンジ...!!」


「そんな約束したの...??」


「あまりにもしつこいから、つい...!

まぁ、でも、私が負けることはないと思うんだけどね...。今、シンジに提示した、私に勝ったら、の条件はさ、保険でシンジが一位取ってくれたらそれで、私の初めては守られるってゆーか!」



「え」


「おまえ、何懸けたの?

私の初めて?はぁ?」


「あまりにも、藤島くんが、私の幼馴染のシンジのことをバカにするから、彼は本気出したら凄いのよって

言っちゃったの...」


「遡ること、二日前...」


「おまえさ、好きなやついんのか?」

って聞かれて告白されたから、正直に言ったの。幼馴染のシンジのことが大好きだって。

そしたら、藤島くん、大笑いしちゃってさ!

凄い頭にきたの!」


「は?シンジってあの、山吹シンジ?

吹部の?あんなやつのどこがいいんだか、

わからねぇな。頭はいいけど、っつても、

俺よか悪いけど、運動神経悪すぎだぞ。

サッカーの授業もバスケの授業もずっと見学だし、、、陸上でも基本的に見学だ」


「そう言われて、なにも言い返さなかったけもね、、本当はシンジは凄いんだって言いたかったけど...」


「ねぇ、シンジ、サッカーで昔、怪我した

左足はもう完治してるんでしょ??」


「本気を出せば藤島くんなんかに

負けたりしないよね?」


痛いところをつかれたぞ。


思い出したくもない。

あれは確か。


俺が中三の春だった。

県選抜チームに選ばれて

全国大会での優勝試合でのことだった。


結果的には試合には勝ったが、

途中、凄く嫌な想いをした。


後半35分を過ぎた頃だったか。


俺は敵のディフェンスと派手にぶつかり合い、

それは向こうの反則プレーだったんだけど、

派手に流血して左脚を何針も縫う大怪我した。


そんな経緯があって、

俺は激しく敵とぶつかるサッカーやバスケ、

バレーとかてか、もう身体を動かす運動は嫌になり、体育はずっと見学していた。


吹部でいいんだ、俺は。


俺は自分が燻っているのを感じだが、

吹部は、部員が少ないからレギュラー争いもないし。


この、ほのぼのーとした

文化部の雰囲気がえらく気に入っていたんだ。


たまに。


サッカーボールが恋しくなることもあるが。


あんなに好きだったサッカーだが。


大怪我が俺をサッカーから遠ざけた。


それだけのこと。









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