43話 Jusqu’à ce que la nous sépare
前回までの千刃花
降り注ぐ雨の中
ラナンキュラスは遂に
"
それに
ジギタリアスは
"
雨が更に強さを増し
両者による攻撃の余波により水門が壊れると
海水が一気になだれ込んだ。
そして、因縁の対決が幕を開ける。
ラナンキュラス
「男として...アイビーの仇を取る
だが、
ジギタリアスを倒す。
どちらも...僕である事には...変わらない。
だが...今は...例え、憎き仇が目の前に居たとしても
僕は......
仲間を守る!!!!!!
それが!!!僕の誇りだ!!!!!!!」
ジギタリアス
「何!?急に
ラナンキュラス
「力を貸してくれ!!!
ジギタリアス
「何!?!?グッッ!!空気中に電撃が
グッ!!近づけねぇ!!!!!グッッ
おいおい...周りの武具が溶けてんじゃねぇか...
それに...この
まさか!!!
その賭け!!乗ってやるよ!!!!」
作者 REN’sJackson
ー
ラナンキュラス
『
ジギタリアス
『
一気に
バリバリバリッとラナンキュラスの足元から
逆さ
ラナンキュラス
「こんなところに呼び出してすまない
さぁ、共に逝こう。」
ラナンキュラスは
キッとジギタリアスを
一方、ジギタリアスは
水門全体を不気味な霧が包んでいった。
ラナンキュラス
「なんだ...これは...一体何処だ...
どこに消えた...ジギタリアス!!」
すると何処からともなく声が反響して聞こえる。
ジギタリアス
「ガッハッハッハ!!!
良かったなぁ!!!そのキリンちゃんがいてよぉ!!
じゃなかったら今頃沈んでたぜ!?」
ラナンキュラス
「なんだと!?姿を見せろ!!!ジギタリアス!!」
ジギタリアス
「そうカッカすんな坊主。
よーく見ろ」
ラナンキュラス
「何!?」
少し霧が晴れるとラナンキュラスの視界に
無数の
波に
ジギタリアスはその船首に立ち
ラナンキュラスを見下ろしていた。
ラナンキュラス
「フフッ...空間転移に巨大戦艦...死者の兵か...
何てめちゃくちゃな
ジギタリアス
「有利な戦場で有利に戦況を運ぶのは
当たりめぇの話しだ。
タイミングが良かったみてぇだな。
どうやらエリカの
空間の外で暴れ回ってやがる。
まぁ...見たところお前さんの
場所を選ぶ必要はねぇみてぇだがな。
ちなみに...まさかとは思うが
雷雲を
ガッハッハッハッハッ!!面白れぇ!!!!
さぁ!!!!見せてみな!!ナーベルクの
おめぇの
ラナンキュラス
「フフッ。
言われなくてもそのつもりさ。
全力の貴様を全力を
ラナンキュラスは
((消えた!!雷速か!?))
ラナンキュラス
「ハァァァア!!!!!」
雷速で距離を詰めるとジギタリアスに斬り掛かった。
ジギタリアス
「あめぇんだよ!!!」
ラナンキュラスの動きに合わせて
ジギタリアスは拳の武具で
タイミングよくカウンターを繰り出した。
ジギタリアス
「ウォオオオオ!!!」
ラナンキュラス
「
「な!?ガガガガガガガガガガガッッツ!!」
ラナンキュラスは
ジギタリアスをすり抜け海の上を駆け抜けていった。
ジギタリアス
「グッ...どういう...こと...だ。」
シューっと煙をあげるジギタリアスは
口から煙を吐きながらラナンキュラスを見た。
ラナンキュラス
「
まだ、人の形を保っているのか...」
ジギタリアス
「グハッッ...お前さんが通るたび
海面が蒸発しやがる...。」
ラナンキュラス
「海面だけじゃないさ。」
そう言うとジギタリアスの武具を指さした。
ジギタリアス
「どんなに溶けようが...また!!
付ければいいこった。」
ジギタリアスは
射出された拳の武具を再び装着した。
ジギタリアス
「それよりも...その
どうなってやがる。坊主ごと俺を
ラナンキュラス
「教える訳無いだろう?」
ジギタリアス
「クックックック...そうだろうよ...。」
そして、ゆらっとジギタリアスは船ごと消えてしまった。
ラナンキュラス
「何!?
ラナンキュラスは
空中を駆け上がり辺りを見渡した。
そしてまたもや
反響した声が空間に響く
ジギタリアス
「なんだぁ?消えた事に驚いてんのか!?
ガッハッハ!!」
ラナンキュラス
「
だが!!!
何処までもお前を追う!!!!!」
『
ラナンキュラスは
ラナンキュラス
「そこかぁぁあ!!!!!」
するとザバーンッッと波が割れ
突如、ラナンキュラスの足元から
雷速で様々な武具が発射された。
ジギタリアス
「もらったぁあ!!!!」
ラナンキュラス
「グッ!!雷速!?!?」
激しい爆発が巻き起こった。
ジギタリアス
「グッ」
ラナンキュラス
「逃すかぁあ!!!!!!ハッ!!」
ジギタリアスへ向けて突進した。
ジギタリアス
「バカが!!!自ら突っ込んでくるなんてよぉ!!」
ラナンキュラス
「ウォオオオオ!!!!!」
「ゾォリャリャリャリャリャリャ!!!!!!」
猛烈な武具が発射されるが
ラナンキュラスと
全てすり抜けていく。
そして
ラナンキュラス
「これで終わりだぁ!!!ジギタリーーーー」
「バカが!!!!」
ガキンッと音がしジギタリアスの武具が
ラナンキュラスの
ラナンキュラス
「フッ。何度も言ってるだろう?
そして、
その武具さえも溶かす。
それに、忘れた訳じゃないだろ?
僕に触れてタダでーーー
ッッガハッッ!!」
突然、背後から腹部を
ゆっくりと後ろをラナンキュラスが見たのは
広大な海に広がった
ラナンキュラス
「グハッッ...あれだけの技を放つ船が...
もう
ジギタリアス
「そんじょそこいらの
一緒にしてくれんなよ?
俺は!!海王水軍
ジギタリアスだぁぁあ!!
ゾォリャァア!!!!!!!!!」
ラナンキュラス
「何!!??グァァア!!!!!」
ジギタリアスはラナンキュラスと
鋭く尖った武具の上に叩きつけた。
無数の武具に
すぐさま雷速で駆け抜け上空へと距離をとった。
ラナンキュラス
「はぁ...はぁ...ゥグッ」
ジギタリアス
「その態勢から逃げ出す...か。
それに、致命傷にも達してねぇ。」
ラナンキュラス
「はぁ...はぁ...」
更にジギタリアスはラナンキュラスを
ジッと見つめると不思議そうな顔で
口を開いた。
ジギタリアス
「おい、戦闘
ラナンキュラス
「使う...までも...ないからさ...」
ジギタリアス
「ガッハッハッハ!!
なんだそりゃあ!!
ぁあ...そういう事か...
使わないんじゃねぇ。
ラナンキュラス
「それは...どうかな?」
((
それにあれほどの数...
そして、未だに動く気配を見せない
いつまで僕の身体が持つか...時間との勝負!!))
ジギタリアス
「それによぉ。
その
移動してる時は物理攻撃が効かねえ。
何故なら...お前さん自身が移動するその瞬間だけ
だから
全ての
焼き焦げるからな。
移動以外でも相当な電圧を
だから、使いたくても使えねぇ。
そうだろ?坊主?」
ラナンキュラス
「はぁ...はぁ...はぁ...どう...かな?」
ジギタリアス
「
そんな技にリスクがねぇ訳がねぇ。
長くは持たねぇのは明白だ。
クックックック。
あと、どんくらい持つんだろうな?
ラナンキュラス!!」
ラナンキュラス
「貴様...に...は...関係ない!!!!!!!」
ジギタリアス
「見えるぜ?お前さんが
消えて無くなるのがなぁ!!!!!!
一斉にラナンキュラスに照準を合わせた。
ジギタリアス
『
ラナンキュラス
「グッッッ!!!!」
ジギタリアス
「
逃げたっていいんだぜ!?
俺の武具は尽きる事を知らねぇんだからよぉ!!!!!」
ラナンキュラスは
雷速で大きな弧を描き空中を駆け抜けると
ジギタリアスに向かって突撃していった。
ジギタリアス
「さっきからそう来るしか脳がねぇ野郎だ!!坊主!!」
ラナンキュラス
「そう思ってくれてるなら!!正解さ!!!」
『
ジギタリアス
「ガッ!!何!!?」
「ゥオオオオオオオオオオオオオオオ」
「アガッアガッガガガガガガガガガガガ」
ラナンキュラスは
ジギタリアスの身体を何度も何度も
次第に紫色の球体が出来上がっていった。
ラナンキュラス
「終わりだぁああぁああ!!!!!」
『
『
ラナンキュラスはその球体を
上からバリバリと
ラナンキュラス
「ハァァァァァア!!!!!」
((アイビー...これで
君の仇を...討つことができる...))
ラナンキュラス
「ジギタリアス!!!!!!!!」
ラナンキュラスの
到達したその瞬間
ラナンキュラス
「アイ...ビー?」
ラナンキュラスは
すると、それを見逃さなかったジギタリアスは
鎖の武具でラナンキュラスを一瞬で縛り
猛烈な
「ゾォリャリャリャリャリャリャリャリャ」
「オゴゴゴゴゴゴゴッッツ」
ジギタリアス
「ゾォリャァア!!!!!!」
ラナンキュラス
「ガハッッッッツ」
ジギタリアスの連撃は鎖をも砕き
ラナンキュラスと
渾身の拳で吹き飛ばした。
ジギタリアス
『
「
最も嫌う場所をこの空間に投影し
この
人によって見える景色も逢いたいもんも違うが...
まさか...気付かなかったのか?坊主。
ここは...ジオザ海峡だ!!!スゴウ平野の大戦の場だ!!
数年ぶりの感想はどうだ!!!!???なぁ!!
アイビーは斬れなかったみてぇだな!!!
ガッハッハッハッハッ!!!!」
ジオザ海峡とは
ラミオラス帝国の北に位置する海峡。
そして数年前のスゴウ平野の大戦で
ラナンキュラス率いる
当時、海王軍の団長だったジギタリアスが対峙した場所であり
更に副隊長であったラナンキュラスの恋人アイビーが
ジギタリアスに殺された場でもあった。
ラナンキュラス
「そ...んな...」
ラナンキュラスは走馬灯の様に当時を思い出していた。
アイビー
「ラナンキュラス!!!!」
ジギタリアス
「仲良く死にな。」
アイビー
「ガッッ」
アイビーの腹部を
その先端は真っ直ぐラナンキュラスが
落ちていった所までグングンと伸びた。
同時に鎖が、ジャラジャラと
アイビーの腹部を通過していく。
アイビーは
叫び声を上げると
そのままラナンキュラスのいる海中まで
吹っ飛んだ。
アイビー
「アガゴゴゴガゴガゴゴゴカ」
鎖が通過するたびに内臓はかき回され
痛みで頭が白くなっていく。
そして海水が体内に一気に流れ込んでいった。
すると海中で光が微かに見える。
ラナンキュラス
「アイビー!!!!!!!」
アイビーは目を開けると
そこにはラナンキュラスがいた。
アイビー
「ラナン、、いいの、、」
ラナンキュラス
「しっかりするんだ!!」
ラナンキュラスの鎖は消えていたが
アイビーの腹部には
まだ巨大な鎖が貫通していた。
アイビー
「ラナーーー」
「楽にしてやる」
ジャラジャラジャラジャラと音がすると
鎖がジギタリアスに帰っていく。
その反動でアイビーも引き寄せられていった。
しかし、アイビーは声などあげなかった。
もはや痛みさえも感じていなかった。
ラナンキュラス
「やめろぉぉぉお!!
これ以上、、彼女を傷つけないでくれ!!」
ジギタリアス
「ガッハッハ!!
勝つことを諦め女を選ぶとは!!」
ジギタリアスは引き寄せたアイビーを
海に投げ捨てるとラナンキュラスは
傷だらけの身体で海へと飛び込んだ。
ラナンキュラス
「アイビー!!!!!」
ジギタリアス
「死体が欲しいのかボウズ
そんなにその部下が大事か?
っと、、、ロージアから
ジギタリアスはめんどくさそうに応答すると
何やら話していた。
そしてしばらくすると口を開いた。
ジギタリアス
「おい。ボウズ。
ちゃんと
野郎共!!!出港だ!!!」
ラナンキュラスは海中で
アイビーの
海から顔を出すと
ジギタリアスに向かって
喉から血が滲むほどに叫んだ。
ラナンキュラス
「僕が!!必ず!!!お前を!!!!
殺しに行く!!!
必ず!!殺しに行く!!!!
ジギタリアスゥゥウ!!!!!」
そして、現在
ラナンキュラスは胸を押さえ
息を荒げていた。
「はぁ...はぁ...はぁ...」
ジギタリアス
「ん?顔色が、えらくワリィじゃねぇか!!」
ラナンキュラス
「貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...
貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...
貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...
貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...貴様...
貴様ァァァァァアア!!!!!!!!!!
これ以上!!!!アイビーを!!!!!!
ジギタリアス
「ガッハッハッハッハッ!!!
来い!!!!!」
『
ジギタリアスは指を鳴らすと
ゆらりと姿を消した。
海中からゾロゾロと骨を
髑髏の大群がラナンキュラスの元へと向かっていく。
そして、近づくにつれ
冷めた声で
覇気のない声で
心のない声で
ラナンキュラスの名を呼んでいた。
「ラナン...ラナン...ラナン」
ラナンキュラス
「やめろ...やめろ...やめてくれぇえええ!!!!」
「ラナン...ラナン...ラナン」
ラナンキュラスは
両耳を塞ぎ顔を沈めた。
ラナンキュラス
「アイビー...すまなかった...僕は...君を...」
「ラナン...ラナン...ラナン」
ラナンキュラス
「助けられ...なかった...」
「ラナン...ラナン...ラナン」
ラナンキュラス
「すまない...すまない...すまない...すまない」
するとドーーンッと
ラナンキュラス
「グッ...そうだね...
これは君が僕に見せた
ジギタリアスが生み出した薄汚れた
よくも...僕にこんな手を...こんな手を!!
ラナンキュラスは
「ラナン...ラナン...ラナンキュラス」
ラナンキュラス
「これ以上!!!!アイビーを
ジギタリアス!!!!!!!!!!
ハァァァア!!!!!!!!!!!!!」
ラナンキュラスは
「愛し...てる」
ラナンキュラスは振り下ろした
止めてしまった。
ラナンキュラス
「アイ...ビー」
「馬鹿が!!!!
『
「ぶっ放せ!!!!!!!!!!!」
一斉射撃と
ラナンキュラスに襲い掛かった。
ラナンキュラス
「僕...僕は...グッグァァァアァアアァアァアア!!」
波のように
ラナンキュラスに襲いかかる。
ジギタリアス
「隊長として俺を斬るとか言ってたよな?
それがどうだ??ガッハッハッハッハッ
女1人にこんな戸惑いやがって!!!
『
そう言ってジギタリアスは指を鳴らすと
突如、
ラナンキュラスの真横に現れ突進した。
ラナンキュラス
「真横!?グハッッ」
ジギタリアス
「それで終わると思うな。
悪夢はこれからだぜ!!!!」
入れ替わり立ち替わり様々な方向から
ラナンキュラスに突撃しては消えていった。
「アガッ!!ゥグッ!!!ガハッ
グッッッツ!!ゴハッ!!!オグッ
カッハッ!!グウゥッ!!オガッ!!」
「ラナン...ラナンキュラス」
崩れていく
血反吐を吐き続けるラナンキュラス
それを真剣な眼差しで見ているジギタリアス
限界を超える痛みの中で
ラナンキュラスは
((ジギタリアスは...強い...
おそらく...ラミオラスの中でも...屈指の強さだろう。
僕は...
僕はこのまま死んでいくのか...
ダメだ...ここはみんなが安全に...帰れる退路...
だから...まだ死ぬわけには...))
すると攻撃が止まった。
ラナンキュラス
「ガハッ」
ラナンキュラスは最後の一撃で
ジギタリアスのいる
ジギタリアスを威嚇していた。
ジギタリアス
「ほぉ。この連撃の中でも
離さず、
だが、
もはや
わざとセーブしてんのか?坊主。
いや、それとも...
まぁ、今更だけどよ。んなもん。」
黒焦げた身体に血まみれのジギタリアスは
ヨロヨロとラナンキュラスに近づいていくと
それにならって
甲板に次々と上がっていった。
ジギタリアス
「もう
...つまんねぇ幕引きだぜ。
海王軍副団長としてせめてもの慈悲だ。
この手で
ジギタリアスが腕を伸ばすと
巨大な斧が射出され片手に収まった。
ジギタリアス
『
ジギタリアス
「この
最も愛した人間を俺自身に投影出来る慈悲の
高密度のオリハルコンであしらわれてるこの世で最も硬い武器。
無論、
1億ボルトもの
溶けねぇって事は
お前さんの
ラナンキュラス
「なん...だ...と!?」
すると、ジギタリアスの身体が
ユラッと霧に包まれて行く。
ジギタリアス
「ほぅら、段々変わって来たろ?
なぁ?誰が見えてんだ?母か?父か?
兄か?それとも...」
ラナンキュラス
「フフッ...相変わらず...君は美しい...ね...アイビー。
それに...ゥグッ...なんでココに...君が...」
ジギタリアス
「クックックック。またアイビーかよ。
あっちもこっちもどこいっても
俺の
坊主...お前はそれほどまでにその女を...フンッ
見てみなぁ。この
アイビーが笑ってやがる。クックックック」
するとラナンキュラスは
ラナンキュラス
「なんだ...と?
もう一度...言ってみろ...」
ジギタリアス
「だから言ってんだろ坊主。
人によって見えるもんは違うってよ。
お前さんの場合は初めから
アイビーにしか見えてねぇんだろ?
今もそうだろうが!!!ガッハッハッハッハッ!!」
ラナンキュラス
「フフッ。...そうか...」
ジギタリアス
「何?」
ラナンキュラス
「...ジギタリアス」
そう言うとラナンキュラスは
グイッと引っ張った。
ラナンキュラス
「アイビーが...見えてるんだね?」
ジギタリアス
「......何?」
ラナンキュラス
「フフッ。
初めからそうさ。
人によって...見えるものが違うなら...
お前には何が...見えてる?
ゴホッゴホッ...
ジオザ海峡とアイビーが見えるんだろう?
最初にお前は僕に言っていた。
ジオザ海峡だ...とね。
グッ...まさか...
お前にとって"最も嫌う場所がジオザ海峡"で
"最も逢いたい者"が"アイビー"...なの...かい?
笑わせるな!!!!!」
「俺の
お前さんの景色を見てるだけだ!!
別に不思議な事なんてねぇんだよ!!!」
ジギタリアスは目を見開き
ラナンキュラスをガッと睨んだ。
ジギタリアス
「くだらねぇ!!!!
どうでもいいんだよ!!!
そんな事はよぉ!!!
的外れもいいこった!!!!
今は殺し合いだろうよ!!!坊主!!
仮に見えてたとしても
お前さんには関係ねぇ!!
俺はラミオラスの将軍で!!
お前はナーベルクの将軍!!!!
敵にゃぁ変わりゃしねぇんだからよ!!」
ジギタリアスがそう叫ぶと
ラナンキュラスと
ワラワラと押さえつけた。
ラナンキュラス
「グッ...そうさ...関係ない...どんな事があっても...
お前が...アイビーを殺した事には変わりない。
それを許す事は出来ない!!
ジギタリアス...確かにお前は強い。
だが...僕はお前に負けて
ここで倒れる訳にもいかない!!!
僕は!!
ミシェール=ラナンキュラス=バンジャマン!!
例え僕の命と引き換えても!!!
お前を殺して!!!
僕は!!仲間の退路を守る!!!!!」
アキレイ、ジジ、ツバキ、プラム、リナリア、アナスタシア
ジニア、キキョウ、クーワ、レンゲイ、チョウラン
オルケイディアといった
ジギタリアス
「グッ!!!!何をする気だ!!!!!!
この
グッ!!ガッハッッ!!!!」
ラナンキュラスは尋常では考えられないほどの
そして、
自身の胸を
ラナンキュラスを
ラナンキュラス
「ガハッ!!
我が命を
冥府の世界へ
ジギタリアス
「グッ!!!」
『
((
みんな...後は頼んだよ。))
ジギタリアス
「おいおいおいおい...なんて
なんて電圧...
自分から
お前さんが死んだら元も子もねぇだろうに!!
クックックック...少し
本気で死ぬ気でいたのかよ...
坊主!!!!!!」
凄まじい轟音と
ラナンキュラスの身体は徐々に
そしてジギタリアスは
ラナンキュラス
「ォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
ジギタリアス
「ォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
((強くなったじゃねぇか。
ラナンキュラス))
ドーーーーンッと轟音が鳴り響き
水が干上がり、辺り一帯が光に包まれた。
アイビー
「ラナン?
ねぇ、起きて!!ラナン!!」
ラナンキュラス
「ん?...朝...かい?」
アイビー
「ううん。違うけど...」
ラナンキュラス
「じゃぁ...もう少し寝かせてくれ...
なんかずっと悪夢を見てた気がして
よく眠れなかったんだ。」
アイビー
「悪夢?」
ラナンキュラス
「そう。君が死んでしまう悪夢さ。
取り残された僕は永遠に君の面影を追い続けてたんだ。」
アイビー
「ウフフ!子供みたいね。相変わらず。」
ラナンキュラス
「フフッ。君のいない世界に僕は興味ないからね。」
アイビー
「もう。ラナンったら。
私が死んだってラナンには沢山の仲間がいるじゃない。」
ラナンキュラス
「寝言はベットの上でしか聞かない事にしている。
フフッ。さぁアイビー。隣においで。」
ラナンキュラスは
自身のベッドにアイビーを引き寄せた。
アイビー
「どうしたの?」
ラナンキュラス
「いや、なんだろう...懐かしいなって。」
アイビー
「うん。あたしも懐かしいなって思う。」
ラナンキュラス
「え?」
そう言うとアイビーはラナンキュラスを抱きしめた。
アイビー
「紅茶の香り...。」
ラナンキュラス
「そうだね。」
アイビー
「花の香り...。」
ラナンキュラス
「そうだね。」
アイビー
「ラナンキュラスの香り。」
ラナンキュラス
「...毎晩君を抱き締める度に
思い出すんだ。
この戦争が終わったら
僕は君と旅に出て...」
アイビー
「世界中を周る。」
ラナンキュラス
「小さな家を建てて
そこで紅茶を育てて売るんだ。
そして家に帰れば」
アイビー
「私が夕飯の準備をして待ってる。
大きなパイ生地に白いシチュー。」
ラナンキュラス
「君によく似た男の子と」
アイビー
「ラナンによく似た女の子」
ラナンキュラス
「それが、僕達の夢...」
アイビー
「...そうだね。」
ラナンキュラス
「アイビー...覚えているかい?」
アイビー
「何?」
ラナンキュラス
「君の誕生月、2人で行った海をさ。」
アイビー
「うん。覚えてる。」
ラナンキュラスは天井を見つめながら
思い出していた。
潮風が香る夜の海岸線を。
紫色のオープン
アイビー
「ねぇ!見て!!ラナン!!
とっても綺麗!!」
アイビーは月明かりで
照らされた青白い海を指差して
ラナンキュラスに微笑んだ。
ラナンキュラス
「フフッ。
それでも君の美しさには
アイビー
「ウフフッ。ラナンったら」
ラナンキュラス
「ちょっ!!アイビー!!」
助手席にいるアイビーは
ラナンキュラスに抱きついた。
ラナンキュラス
「あ、危ないだろ?
君に怪我をさせるわけにはいかないからね。」
アイビー
「フフッ。
怪我なんてしないわ。
だって、何があっても
ラナンキュラス
「フフッ。そうだね。
そうだアイビー。
今日はここの海岸線一帯は
君だけのものだ。
望みとあれば何でも出来る。
君の望みはなんだい?」
アイビー
「ラナンと砂浜を歩きたい。」
ラナンキュラス
「それだけでいいのかい?」
アイビー
「うん。」
ラナンキュラス
「分かった。」
ラナンキュラスはハンドルを切ると
砂浜に車を停めた。
アイビー
「わーーー!!すごーい!!」
そこに待っていたのは砂浜一面を埋め尽くす
数千のキャンドルライトと
ラナンキュラス
「少し、歩こうか。」
ラナンキュラスはアイビーの手を引き
しばらく砂浜を歩いた。
さざ波が優雅な音色に乗って
潮風が吹き抜ける。
ラナンキュラスは遠くを見つめると
口を開いた。
ラナンキュラス
「風が気持ちいいね。」
アイビー
「そうね。とっても心地いい」
ラナンキュラス
「時折、思うんだ。
風になりたい。ってね。」
アイビー
「どうして?」
ラナンキュラス
「風になって、君とどこまでも
遠くへ行きたい。」
アイビー
「ウフフッ
面白い事を言うのね。」
ラナンキュラス
「フフッ。そうだね。
でも、
君が
アイビー
「そんな事言ったら、
出逢った日から私はずっと
ラナンに
ラナンキュラス
「フフッ。
それをなんて言うか知ってるかい?」
アイビー
「なんて言うの?」
「恋。って言うのさ」
アイビー
「ウフフッ。ラナンったら。」
すると、ラナンキュラスは
アイビーの手を取り
白いテントの中へとエスコートした。
中に入ると中央には白いテーブルと椅子
冷えたシャンパンが用意されていた。
ラナンキュラスはアイビーの椅子を引くと
シャンパンに手をかけ栓を抜き
グラスに注いだ。
ラナンキュラス
「君とこうして過ごせる事に感謝する。
また、来年も一緒に過ごそう。
おめでとうアイビー。」
アイビー
「ありがとう...ラナン。」
ラナンキュラス
「乾杯。」
アイビー
「乾杯。」
2人はグラスを合わせると
シャンパンを口に運んだ。
しばらく談笑したあと
ラナンキュラスは
アイビーの手を引き
砂浜へと連れ出した。
ラナンキュラス
「せっかくだから
もう少し歩こうか。」
アイビー
「うん。」
ラナンキュラスは
アイビーが転ばぬように
腰に手をかけてゆっくりと歩いた。
アイビー
「...凄い綺麗。
青白く光る海に、沢山の花とキャンドル...
なんか、天国みたいだね!」
ラナンキュラス
「フフッ。
天国?相変わらず君は面白いねアイビー。
僕らが一緒に入る墓標の周りには
沢山の花を咲かせよう。」
アイビー
「...うん。」
ラナンキュラス
「海の近くだと花が枯れちゃうだろうから
アイビー
「そうだね。...ん?ちょっと待って
それってーーー」
「アイビー=へデラ=ポーチス」
アイビー
「え?」
ラナンキュラスは
アイビーの左手を取った。
ラナンキュラス
「死が2人を
共に過ごそう。
結婚してくれアイビー。」
アイビー
「...ラナン。私...ラナンにーー」
「YESと言ってくれないのかい?」
アイビー
「もちろんYES...」
ラナンキュラス
「分かってるさ。
心配しないでアイビー。
この戦争が終わったら
ハネムーンついでに旅にでよう。
その先で式をあげよう。」
アイビー
「...うん。」
ラナンキュラス
「よし。今日から君は僕の婚約者だ。
結婚式には
バンジャマン家も他の貴族達も呼んで
盛大に祝おう!!」
アイビー
「うん!!みんな呼ぼ!!」
ラナンキュラス
「ありがとうアイビー。愛してる。」
アイビー
「いつもありがとうね。ラナン。
私も愛してる。」
アイビーはうなじをさすりながら
ラナンキュラスを見た。
ラナンキュラス
「うん?どうしたんだい?」
アイビー
「ううん。何でもない。」
そして、ラナンキュラスは
ポケットから指輪を取り出して
アイビーの指に
大きなダイヤモンドの指輪をはめた。
それは、月明かりと海に照らされて
青く、青く輝いていた。
アイビー
「マリンブルー...すごく...綺麗...。」
ラナンキュラス
「君にこそ
アイビー
「ありがとう...ラナン」
そして現在
アイビーとラナンキュラスは
天井を見上げていた。
ラナンキュラス
「つい最近の出来事なのに
遠い昔のように感じるのは何故だろう...」
アイビー
「遠い昔の事だからよ。」
ラナンキュラス
「フフッ。何を言ってるんだい?」
「ラナン。あなたは戦わないといけない。」
ラナンキュラス
「え?何を言ってッッ」
景色がグルンッと変わり
光あふれる世界に2人は立っていた。
ラナンキュラス
「ん?どう言う事だ...ここは...」
アイビーはラナンキュラスを見ていた。
アイビー
「ラナン。思い出して。」
ラナンキュラス
「思い出す?一体何を?」
アイビー
「あなたはジギタリアスと...」
ラナンキュラス
「ジギタリ...アス?
グッ...ジギタリアス?
やめろ!!やめろ!!やめろやめろやめろやめろぉお!!」
アイビー
「ラナン!!!!!!」
ラナンキュラス
「僕は...僕は...」
アイビー
「聞いて。」
ラナンキュラス
「...アイビー...アイビー!!!!!!」
アイビー
「あなたに伝えたい事があるの。」
ラナンキュラス
「はぁ...はぁ...伝えた...い...事?」
アイビー
「私は...アイビー=へデラ=ポーチス」
ラナンキュラス
「どう...したんだい?」
アイビー
「...じゃない。
私はアイビー=へデラ=フォックス」
ラナンキュラス
「なん...だ...と?」
アイビー
「そう。ジギタリアスの娘よ」
ラナンキュラス
「嘘だ!!!!!!嘘だ!!!!
これはジギタリアスの
グッ!!これほどまでに僕を!!!
アイビーを!!!!」
アイビー
「最後まで聞いて!!!!ラナン!!
あなたは
魂が冥府の世界へ来てる。
まだ分からないの!?!?
なのに!!!!あなたは死にたがってるの!!!
しっかりして!!!ラナンキュラス!!!!!
あなたは神に選ばれた
ラナンキュラス
「アイビー...僕は...」
アイビー
「生きて!!!生きるのラナン!!!!
お願い...だから...。」
ラナンキュラス
「アイビー...」
ラナンキュラスは周りを見渡すと目を細めた。
ラナンキュラス
「冥府の世界...
じゃぁ、本当に君は...もう...いな...い...
でも待ってくれ!!!本当にジギタリアスが父なら
何故君を殺したんだ!!!!!!
何故、娘を...」
アイビー
「あの日の全てを話すわ。
お願い。
そう言うと景色がまたもやグルンッと変わり
ラナンキュラスの前に映像が浮かび上がった。
数年前、ジオザ海峡
ラミオラス帝国 海王水軍"トリトン"の
巨大戦艦"
「はぁ、はぁ、はぁ...」
アイビーは奥の通路を曲がると
奥の扉をノックした。
アイビー
「
ジギタリアス
「誰だ。」
アイビー
「
ジギタリアス
「ん?」
「
ジギタリアス
「この...リズムパターン..馬鹿やろうが!!」
ジギタリアスは周囲を確認すると
急いで扉を開けた。
すると、光彩刃術を解いたアイビーの姿があった。
ジギタリアス
「アイビー!!!」
アイビー
「シッ!!」
ジギタリアス
「ここは大丈夫だ。早く入れ!!」
アイビー
「そう。なら良かった。」
ジギタリアス
「おい!なんでここに来た!!
お前は潜入任務だろうが!!!
ソープワイトとロージアにバレたら
どうする気だ!!!」
アイビー
「分かってる...だけど...」
ジギタリアス
「お前の任務はラナンキュラスと
お前がおびき出して俺らが潰す
長年の苦労を無駄にする気じゃねぇだろうな?」
アイビー
「分かってる...分かってる...だけど父さん...」
するとアイビーは自身のうなじを
ジギタリアスに見せた。
ジギタリアス
「...おい。まさか...」
アイビー
「うん。」
ジギタリアス
「こいつぁ...
アイビー
「少し...前から...。」
ジギタリアス
「こんなに...くっきりと...」
ジギタリアスは全身から汗が拭きだし
うろたえていた。
ジギタリアス
「アイ...ビー」
裏切らぬように制約を結び
目的を達成した後
消える
制約違反した場合、内側から氷の種が芽吹き
胸を
その時点で術者に制約違反が瞬時に伝わる。
制約違反まで色の濃さが警告を示しており
アイビーの
くっきりと青白くなっていた。
しかし、この術の恐ろしさは
一度発動すれば術者以外は
解除する事ができない点である。
アイビー
「父さん、私から最初で最期のお願い聞いてくれる?」
ジギタリアス
「最初で最期のお願い...だと?
まさか...俺らを裏切ったのか!!!!!
なんでだ!!!!アイビー!!!!」
アイビー
「だって私...」
ジギタリアス
「だってじゃねぇ!!!!
それに発動まで時間がねぇー!!!!
すぐにでも発動しちまうじゃねぇか!!
待ってろ!!!俺の
アイビー
「いいのよ。もう。」
ジギタリアス
「よくねぇ!!!!」
アイビー
「芽吹けば最期。どうせ殺されるなら
ロージア様じゃなくて父さんがいい。」
ジギタリアス
「やめろ...俺には...出来ねぇよ...」
アイビー
「お願い!!!!
芽吹いたら裏切りがバレる!!!
そうなったら海王軍はどうなるの!?
トギリや他の部下達も処刑されるの!!!!」
ジギタリアス
「だったらなんで!!!!!
俺達を裏切るようなマネをしたんだ!!!!」
アイビーは顔に涙を浮かべて笑顔で答えた。
アイビー
「だって...好きになっちゃったんだもん。」
ジギタリアス
「なに!?
まさか...ラナンキュラスをか!?」
アイビー
「うん。」
そのはっきりとした声に
ジギタリアスは
ジギタリアス
「ふざけん...じゃぁ...ねぇ...
大切な娘を...大切な一人娘を殺してぇ親なんかいねぇ!」
アイビー
「ワガママだって分かってる。
でも、私をロージア様の手で殺させないで!!!
あんな奴に殺されるくらいなら...私は!!!!」
ジギタリアス
「馬鹿野郎が...。
強情なのは...俺譲りかよ。」
アイビー
「父さんは海王軍のみんなが好きでしょ?
私の事を父さんが殺せば
ロージア様だって処罰は下さない。
今まで通りやっていける。
今私に出来るこれが最善の策なの。」
ジギタリアス
「...ロージアはお前が裏切る事を
いつ
実際に会ったのか?」
アイビー
「分からないけど...突然浮かび上がったの。」
ジギタリアス
「時限式
それほどの実力者は...
ゲイジュか...いや、ベロニカ...それとも...」
すると、戦艦が大きく揺れ始めた。
アイビー
「グッ!!父さん!!」
ジギタリアス
「来たか...ラナンキュラス...」
アイビー
「もう時間がない。
外に出れば恐らく観られてる。
だから、容赦なく私を殺して!!!!
出来るだけ残忍に!!!!!!
ロージア様に見せるの!!忠誠を!!!」
ジギタリアス
「...出来ねえ。俺にそんな事...」
「やるしか...ないの...やるしか...」
ジギタリアス
「怖ぇだろうに...震えてんじゃねぇか...」
「怖...く...ないよ。」
アイビーは震える手で
自身の身体をギュッと抱きしめていた。
娘のその様子を見ていたジギタリアスは
胸が張り裂けそうな想いを
必死で抑えながら悲しげな目で見つめていた。
ジギタリアス
「ラナンキュラスには...なんて言うつもりだ。」
アイビー
「何も言わない。
私は
父さんは海王軍の団長としてあくまでも居て。
だけど、あんまりやり過ぎちゃダメだよ?
ラナンも強いけど...
きっと父さんには敵わないからさ。今はね。
それにもし、真実を知ったら...」
ジギタリアス
「ラナンキュラスには黙ってろって事か?
アイビー
「ラナンと父さんは敵同士。
きっと
ラナンはロージア様に挑む。
そしたら絶対にラナンは死んじゃう。
だから!!!
その事は...言わないで。」
ジギタリアス
「...恐らく挑む。そして、死ぬ。
アイビー...それでいいんだな。」
アイビー
「うん。
ラナンキュラスには生きてほしいから」
ジギタリアス
「いずれはぶつかるぞ。」
アイビー
「分かってる。
だけど、今はまだ...」
ジギタリアス
「俺が強く...してやる。」
アイビー
「え...?」
ジギタリアス
「
普段だったらぶん殴ってるが
お前にも時間がねぇ...
俺にも選択の余地なんてねぇ。
心配するなラナンキュラスは...任せておけ」
アイビー
「ありがとう。」
そう言うとジギタリアスは
パイプをくわえると天井を見上げた。
ジギタリアス
「
アイビー。
それと、薬毒系の
二重詠唱は出来るな?麻痺させれば幾分マシだろうよ。
凍りつく事もねぇ。」
アイビー
「分かった。
もう、時間がないから今かけておくね...。」
『
『
アイビーが胸に手を当てると
身体中から泡が吹き出し身体を包み込む。
そして、緑色に光る煙が
スッとアイビーの鼻に入っていった。
アイビー
「私ね、父さんにも助かって欲しい
ラナンキュラスにも助かって欲しいの。
ワガママばかりでごめんなさい。
あともう一つ。」
ジギタリアス
「なんだ」
アイビー
「私の遺体はラナンキュラスに。」
ジギタリアス
「お前...それほどまでに...アイツを...」
アイビー
「うん。すごく大事にしてもらってる。」
ジギタリアス
「そうか。幸せだったのか。」
アイビー
「うん。」
ジギタリアス
「...もう行け。」
アイビーは背を向けて扉に手をかけたその瞬間
ジギタリアスの方を振り向いた。
アイビー
「あなたの娘に生まれて良かった。」
その言葉にジギタリアスは
溢れる涙を抑える事が出来なかった。
ジギタリアス
「馬鹿野郎!!!ゥグッ...ゥグッ!!
俺もだぁ...お前の父さんになれて...良がっだ!!!
こんな世界に...ゥグッ...産んじまって...!!
ごべんなぁあ!!!
ごべんなぁあ!!アイビー!!!!!」
アイビー
「父さんの夢。応援してる。
一足先に、母さんの所に行っーーーー」
次の瞬間、パリンッとアイビーの胸から
ジギタリアス
「アイビー!!!!!!!!!」
アイビー
「ガハッ...」
ジギタリアス
「アイビー!!待ってろ!!その氷を砕いてやらぁ!!
ゾォリャァア!!!!!!」
ジギタリアスは何度も何度も氷を砕いた。
ジギタリアス
「はぁ...はぁ...これで...ラナンキュラスにも
別れの挨拶が...できる...だろうよ...」
アイビー
「ありが...とう」
ジギタリアス
「行くぞ...ゾォリャァ!!!!」
ジギタリアスは血塗れのアイビーを抱えると
戦艦の天井を突き破って看板へと飛び出した。
ラナンキュラス
「何故逃げた先にこんなにも伏兵が、、
まさか、、追い込まれたのか、、
それに、、何故ここにお前がいるんだ!!」
ラナンキュラスは手に汗を握り締めながら
目線の先にいる男を睨んでいた。
ラナンキュラス
「海王水軍
そして映像がバチンと消えてしまった。
ラナンキュラス
「アイビー...君は...」
アイビー
「ラナン...怒らないの?」
ラナンキュラス
「何をだい?
君がラミオラス帝国のスパイだったことかい?
それとも名前すら違った事かい?嘘をついてた事かい?」
アイビー
「...全てよ。」
ラナンキュラス
「フフッ。女の嘘は許してあげるものさ。
それに、僕が気にすると思うかい?
だって、君は...最後まで僕を...僕を...」
アイビー
「ラナン。」
ラナンキュラス
「なんだい?」
アイビー
「もう、私の事はいいから。
私の事はもういいから。」
ラナンキュラス
「何を言ってるんだ...
僕は、君を永遠に愛す。
例えこの身が滅びても。」
アイビー
「ウフフッ。相変わらず...嬉しいなぁ...」
ラナンキュラス
「当たり前さ。」
アイビー
「ラナン...」
ラナンキュラス
「なんだい?」
アイビー
「父さんの事は...恨まないで...」
ラナンキュラス
「...ぁあ。もし恨んだら君が悲しむだろ?
それに...全てはロージアが仕組んだことだ。」
アイビー
「ロージアとは...戦っちゃダメ。」
ラナンキュラス
「何故だ!!!
君を追い詰めたのはロージアじゃないか!!!!
僕はそれを知らずに
何年も君の父さんを恨み続けた!!」
アイビー
「ロージアは次元が違うの!!!
絶対に戦わないで!!!!」
ラナンキュラス
「僕は許せない。
君の人生を苦しめたのはアイツだ!!!!」
アイビー
「
きっといつか分かるわ。」
ラナンキュラス
「君までその事を...」
アイビー
「ウフフ」
アイビーは悲しげに笑っていた。
アイビー
「最期にもう一つ...」
ラナンキュラス
「最期?」
アイビー
「一番、大切なことよ。」
すると、アイビーはゆっくりラナンキュラスに近づいていった。
しかし、伸ばした手はすり抜けた。
ラナンキュラス
「アイビー...」
アイビー
「ラナン...」
アイビー
「…私のことは忘れて下さい。」
ラナンキュラス
「僕には...出来ないよ。」
アイビー
「前に進んで。
だってラナンはみんなの王子様でしょ?
私が愛した人はそういう人よ。」
ラナンキュラス
「僕にはまだ!!!君が!!!」
ラナンキュラスはアイビーの方を振り向いた。その瞬間
アイビー
「ごめんね。ラナンキュラス」
ラナンキュラス
「ァ...ァ...」
今にも消えてしまいそうなアイビーが
ラナンキュラスの頬に手を当て
互いに涙を流しながら
そっと、口付けをした。
アイビー
「さようなら。世界で一番愛し...た...ひ...」
アイビーは光に包まれ
ゆっくりと
消えていった。
ラナンキュラス
「アイビィィィィィイ!!!!!」
作者 REN’sJackson
ー
おまけ
そして、現在
強大な
ジギタリアス
「ガガガガガガガガガガガッ!!!!!
坊主!!俺を!!!殺すんじゃ!!無かったのかよ!!」
ジギタリアスは
ジギタリアス
「お前に!!!死なれたんじゃ!!!ガガッ
俺の!!!!!!!!娘に!!!!!!
顔向け出来ねぇだろうが!!!!!!!!!!
ラナンキュラス!!!!!!!!!
いっぱしの
暴走なんか!!!させねぇで!!!!!
しっかり支配してみろやぁ!!!
戻って来い!!!!」
ジギタリアスのヒフは黒焦がれ肉が焼けただれていた。
そして、
勢いよく
ジギタリアス
「ゾォォォオリヤァァァア!!!!!!!!
はぁ...はぁ...はぁ...助かった...か...」
ラナンキュラスは気を失いバタンと倒れ
ジギタリアスも膝から倒れてしまった。
ジギタリアス
「なかなか死ねねぇもん...なんだ...な...クックックック
強かったぜ...ラナンキュラス...。
流石は俺の娘が惚れた男だ。
だがよぉ...まだまだそんなもんじゃ...」
そう言ってジギタリアスはゆっくりマブタを閉じた。
ジギタリアス
「ロージアには...勝てねぇ...ぞ」
同時に霧が晴れ
みるみると崩れていくと
ジギタリアスとラナンキュラスは水門へと戻っていた。
トギリ
「おい。おっさん。」
水門の中に一隻の潜水艦が浮かんでいた。
そして、そこに現れたのは海王軍団長トギリだった。
ジギタリアス
「グッ...遅せぇぞ...坊主」
トギリ
「仕方ねーだろ?
お陰でこんなクソ暑い所に来るのに
海から水門に出るしか無かったんだよ。
それに...」
トギリは辺り一帯をぐるっと見渡した。
トギリ
「原型留めてねぇぞ。ココ。」
ジギタリアス
「トギリ...
トギリ
「ぁあ。加勢しねぇのがバレるからな。
俺だってポセドニアから帰ってきたばかりなんだぜ?
もう少し休みてぇーよ。」
ジギタリアス
「
トギリ
「ぁあ。
何でも出来ちまうからな。」
ジギタリアス
「そうだろうよ。」
トギリ
「しっかしウサギ野郎もエリカも派手にやってんなぁ。」
ジギタリアス
「やり過ぎだ。特にエリカは...グッ」
トギリ
「ってかよぉ。プフッ!!死に損なったのかよ!!
確か俺におっさんの死体を
取りに来させたんじゃなかったけか?」
ジギタリアス
「クックックック...言ってくれるじゃねぇか...
奴の実力と自分の甘さを測れなかった
俺が悪いって話しだ。」
トギリ
「それで?仇を討たせてやれねぇとなると
この先、どうすんだよ。」
ジギタリアス
「グッ...さぁな。
風と潮の流れに...任せてみようじゃねぇか。」
トギリ
「なんだそれ。
ってかよ。わざわざ自分がここに来るって情報をよ
ラナンキュラスに掴ませたのに
おっさんが生き残るとか笑えんだけど。」
ジギタリアス
「クックックック。
死んでねーよ。よく見てみろ。」
トギリ
「嘘だろ?」
トギリは地面に手を当て波動を流した。
トギリ
「マジかよ...あんな黒焦げて生きてんのかよ。
まぁ、おっさんも変わんねぇけどよ。
そもそも覚醒した
よく戦った方だ。
相変わらず
ジギタリアス
「お互い
するとトギリはジギタリアスの目を見た。
トギリ
「で、どうする??
俺一応さ、ラミオラス帝国の海王軍団長だろ?
ナーベルクの将軍が死にかけてんのは
絶好のチャンスなんだけど?」
ジギタリアス
「手を出すんじゃねぇ!!!」
ジギタリアスの
ドドドドドドドと空気中に
トギリ
「おーおーおー。
死にかけてんのに相変わらずの
でもよぉ。その怪我で俺と
ジギタリアス
「本気か?」
トギリ
「チッ。めんどくせぇ。
そんな事しねぇーよ。
死にかけると冗談も通じねぇのか?
ただ、見逃すってなると貸しがデカいぜ?」
ジギタリアス
「ガッハッハッハッハッハッ
貸しの話しすんなら...
お前を拾って育てた分も貸しか?」
トギリ
「それを引き合いに出すのは卑怯だろ!!」
ジギタリアス
「教えたろ?
タダよりタケェもんはねぇんだよってな!
ガッハッハッハッハッハッ!!!
ゴホッゴホッゴホッ」
トギリ
「おいおい、船に戻ったら治してやっから黙ってろよ。」
ジギタリアス
「言うように...なったじゃねぇかよ。坊主」
トギリ
「完治するまで酒は禁止だからな。」
ジギタリアス
「俺にそんな事言ったって意味ねぇのは
分かってんだろ?」
トギリ
「俺は団長だぜ?させねぇさ。」
ジギタリアス
「点滴から流してもらえばバレやしねぇさ!!
ガッハッハッハッハッハッ!!」
トギリ
「正気かよ!!
ったく。ほら、立つ...ぞ!!!っと」
ジギタリアス
「グッ」
トギリはジギタリアスに肩を貸して歩き始めた。
トギリ
「おっさん。ラナンキュラスはどうだったんだ?」
ジギタリアス
「ガッハッハッハッハッハッ!!
まだまだケツの青いガキだったな!!」
トギリ
「...見栄張ってんじゃねぇよ。
おっさんがここまでボロボロになったのは
はじめて見たぜ?
あまり話さねぇけど
ジオザ海峡の一件以来
おっさんは退団を申し出た事あったろ?」
ジギタリアス
「あの後すぐにロージアにな。
やっぱり奴はアイビーの事を知ってやがった。」
トギリ
「だろうよ。ロージア様だぜ?
何でもありのバケモンだ。」
ジギタリアス
「ガッハッハッハッハッハッ。そうだな!!」
そしてトギリは一度足を止めた。
トギリ
「なぁ、おっさん。もういいだろう。」
ジギタリアス
「何をだ?」
トギリ
「自分を許してやれよ。
いつまでも苦しむ事はねぇさ。
数万人の部下と自分の娘を天秤にかけたんだ。
それに、アイビーちゃんが選んだ道だ。
裏切った事には変わりねぇんだしよ。」
ジギタリアス
「分かってる。
だけどよ坊主。理屈じゃねぇ。
これはな自分の娘を殺した罰だ。
せめてラナンキュラスには
やり場のない怒りを俺にぶつけてもらわねーと
浮かばれねぇだろ?」
トギリ
「だけど失敗して
逆にボロボロじゃねぇかラナンキュラス。
それこそアイビーちゃん可哀想だろうが。」
ジギタリアス
「一本取られた。ガッハッハッハッハッハッ。」
トギリ
「いや、一番可哀想なのは
二人が争う事だ。
けどよ。敵国同士それは仕方がねーのは事実だ。」
ジギタリアス
「だから俺が殺されるのが正解だったんだよ。」
トギリ
「よく言うぜ。
途中でラナンキュラスの本気を引き出しに行ったんだろ?
どこの戦闘民族だっつーの。」
ジギタリアス
「分かってんじゃねぇか!!
ガッハッハッハッハッハッ!!」
トギリ
「ほら、行くぞ。
スイセ達が待ってる。」
潜水艦の方を見ると
スイセがハッチを開けて怒涛の投げキッスを送っていた。
ジギタリアス
「あの野郎...
トギリ
「知らねー。」
ジギタリアス
「馬鹿野郎が...」
トギリ
「それで?どうなんだよ。
アイビーちゃんが最後まで愛した男は。」
トギリが再び歩きだすと
ジギタリアスはニィっと笑って言った。
ジギタリアス
「ぁあ。最高の
(完)
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