総集篇 The Battle of Erica

ここはサヤ刃術ジンジュツが誕生したと言われる

伝説の霊峰レイホウ 天空山テンクウザン

その上空に浮かぶは

天空寺テンクウジ総本山 原初の都ランサデーヴァ

そこには巨大な白い壁に沿うように

聖水が流れ落ち煉獄レンゴク 冥府大監獄ゲヘナプリズンの映像が

鮮明に映し出されている部屋"カエデの間"があった。

そして、カエデの間には

神に最も近い男と言われている菩提ボダイ

頬杖ホオヅエをつきながら映像を眺めていた。



菩提ボダイ

「鮮血の鞘花ショウカと空間の鞘花ショウカの戦いか。

深緋兎コキアケウサギ嵯峨鼠鼠サガネズネズミ

確か仲悪かった気がしたが...

まぁ、真面目でプライドの高い嵯峨鼠鼠サガネズネズミ

ワガママで狡猾コウカツ深緋兎コキアケウサギ

意気投合する訳ねぇか。」



菩提ボダイ

「面白ぇカードだな。

どちらもチート級の能力チカラ

即死を狙える同士だが

両者とも刃汽ジンキの消費が著しく激しい。

全くよく出来てるぜ。

能力チカラが強ければ強いほど

発動範囲は限定的で扱いも難しく

刃汽ジンキも消費しやすい。

クックックック

やっぱり、神と言えども万能じゃねぇな。

さぁ、見せてみろ。

文字通り血みどろの戦いをな。」



作者 REN’sJackson

千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

総集篇  The Battle ofバトル オブ Ericaエリカ



煉獄レンゴク 冥府大監獄ゲヘナプリズン 右処刑場ゴラムにて



ツバキ

「見た目に惑わされるな。

あの少女の刃汽ジンキ、、只者ではない、、

まるで、、」


エリカ

「まるで何?」



ツバキ

鞘花ショウカだ」


エリカ

「ふーん。やっぱり分かるんだぁ」



するとエリカは手のひらをツバキ達に向けた。


ツバキ

「これは...身体が動かぬ」



アキレイがツバキの首に手を伸ばし

ツバキはそれを無抵抗でじっと見ていた。


エリカ

「ねぇねぇ!!殺し合ってよ!!」


ツバキ

「なるほど」



しかし、ツバキは

何ごとも無かったかの様に

アキレイの手を払った。


エリカ

「へぇ...面白い。」


ツバキ

「貴公の花纏捧君カテンホウクンか。

奇妙なサヤだ。

しかし私には通じぬ。」


エリカ

「本当にそう...かな!!!!!」



更にエリカは両手を向けたが

ツバキ達には効かなかった。


エリカ

「どうして...どうしてぇええ!!!」



アキレイとサラセニアが戦うのを横目に

ツバキは狼狽ウロタエるエリカを

ジッと眺めていた。

すると、エリカはすぐに機嫌を取り戻して

サラセニアとアキレイを見ながら

恍惚コウコツとした表情をしていた。



エリカ

「サリーお兄ちゃん楽しそう!!!

ねぇねぇ!!ツバキお兄ちゃん!!

エリカと遊ぼう殺し合おうよ!!!」


ツバキ

「殺し合うだと?

まるで、対等かの様な口ぶりだ。

早々に死ぬがいい。」


エリカ

「んもう!!減らず口なんだから...」



エリカとツバキは互いに睨みあっているように

見えていたが花纏捧君カテンホウクンの撃ち合いを

高速で展開していた。


エリカ

「へぇ。ツバキお兄ちゃん強いんだねぇ!!

エリカ楽しめそう!!!」


ツバキ

「貴公は一体何者だ。」


エリカ

第零監獄スィフィルプリズン看守長

エリカ•ヒースだよ!!

よろしくね!!お兄ちゃん!!」



そう言うとエリカはニタッと笑った。


  ツバキ心の声

((まずい...))



エリカの異変に気付いたサラセニアは

アキレイの拳をパシンッと掴むと指を鳴らし

目の前から突然消えてしまった。


エリカ

「あれぇ...サリーお兄ちゃん達

消えちゃったね!!!!なんでかな?」


ツバキ

目障メザワりだ。

これで貴公を邪魔もなく殺せる。」


エリカ

「ぇえ!!三人とも殺せたのにぃ!!!

まっいっか!!ツバキお兄ちゃん殺したら

追いかければいいしねぇー。」


ツバキ

「貴公は何か勘違いしている。

貴公が追いかけるのはあの者達ではない。

生への執着だ。

しかし、アラガう事なく命を差し出せば

手間が省けるというもの。

後悔するがいい。

私はアキレイほど甘くはない。」

滅刃メツハ 三十九サンジュウキュウ 狭間手美鬼ハザマテビキ



どこからともなく現れた扉から

無数の手が伸びエリカの身体をガッツリと掴んだ。


エリカ

「えっ...何これ!!何これ!!!

やめて!!やめてぇ!!!ツバキお兄ちゃん!!」


ツバキ

「幕引きか。」


エリカ

「あっ」



グシャッと音をたてて

辺りに血が飛び散った。





ツバキ

「なんだと!?」


エリカ

「へぇ!!!面白いね!!」



狭間手美鬼ハザマテビキの腕が

グシャッと潰れて消えてしまった。



エリカ

「ねぇねぇ!!!刃術ジンジュツなのに

血が飛び散ったよ!?

ねぇ!ねぇ!!どういう事!?

もしかして生き物!?あの手って生き物!?」


ツバキ

狭間手美鬼ハザマテビキが破壊された...

どういう事だ...」


エリカ

「もしかして驚いてるのぉ?

ツバキお兄ちゃんって

もっとクールなイメージだったけど意外だね!

あっ!チョコ食べる?」


ツバキ

「いらぬ。」


エリカ

「ちぇえ...

じゃぁ...喉渇いたから頂戴!!!」


ツバキ

「何をだ。」


エリカ

「え?ツバキお兄ちゃんの血だよ?

お願い!!!喉渇いたのぉーー!!!

お願い!!お願い!!お願い!!!」


ツバキ

「子供の真似事マネゴトなどやめておけ

ユウに100歳は超えているだろう。

浅ましい老婆だ。」


エリカ

「今なんて言った?」


ツバキ

「浅ましい老婆と言ったのだ。」


エリカ

「ツバキお兄ちゃんさぁ...

さっきからエリカに手加減されてるって

気づかないんだね。

殺しちゃいけないから我慢してるのにさ

なんで、エリカの事そうやって悪くいうの?

エリカ...悲しい...。

ウグッ...ウグッ...エーーーーン!!

ひどいよぉお!!!!ひどいよぉ!!!!」



するとエリカが唐突に泣き始めた。


ツバキ

「泣き真似など滑稽コッケイだ。

貴公は真実の涙を知らぬ。

そして、永劫エイゴウ分かり得ぬだろう。」


エリカ

「もう!!エリカ知らない!!

来ちゃって!!!!!!!!!」



エリカがそう叫ぶと

右処刑場ゴラム中央にある床の扉が開いた。


ツバキ

「...これは」



床下から出てきたのはガリガリに痩せコケた

ナーベルク帝国兵の隊服を着た

大勢の兵士達だった。


ツバキ

「まさか...」


エリカ

「せいかーい。

ここはね!!右処刑場ゴラムって言って

処刑場だよ??私が起きたらまずは運動するの!

ナーベルク帝国兵はよく鍛えられてるから

いい運動になるんだよねぇ!!!

ザッと100人!!!!

在庫確保するの大変なんだからぁ!!」



ツバキに気付いた隊士達は

ツバキの名を呼び歓喜していた。


ツバキ

「我が国の兵をこんなにも...」


エリカ

「我が国?

アハハッ!!おっかしいー!!

まるで自分の国みたいに言うんだね!!

養子に出されたくせに。」



エリカはあざ笑うかのように

吐き捨てるもツバキの顔色は変わらなかった。


エリカ

「あれれ?

いつもなら震えてるのに

今日の隊士さん達はイキイキしてるぅ!!

エリカも嬉しい!!!」



そしてエリカは隊士達に

手のひらをむけた。


ツバキ

「手出しなどさせぬ」



ツバキも素早く反応し

隊士達の前に空間を展開していた。


エリカ

「また花纏捧君カテンホウクン

隊士を守るなんて隊長さんのカガミだね!!

でも、この人数は一気に空間転移できないのかな?

解放すればできるのかな??

うーーん。

便利なようで不便な能力チカラ!!

エリカが運べるように

減らすの手伝ってあげるね!」



すると半数の隊士達が

悲鳴を上げ始めた。


ツバキ

「どう言う事だ。」


エリカ

「単純な話しだよー。

お兄ちゃんの花纏捧君カテンホウクン

オソマル梵天だったってこと♪

当ててあげよっかぁ!!

お兄ちゃんって継承でしょ?」


ツバキ

「だからなんだと言うのだ。

貴公には関係ないこと。」


エリカ

「やっぱりそうだよね!!!!」


ツバキ

「この問答すら無意味。」



ツバキは更に空間の壁を展開させると

隊士達の動きが止まった。


エリカ

「もう!!

せっかくお手伝いしようと思ったのに!!

お兄ちゃん嫌い!!!」



エリカはプイッと顔を背けると

隊士達を睨んだ。


ツバキ

「エリカ•ヒース...我が国の者の誇りを踏みにじり

命をモテアソんた罪は万死バンシアタイする。」



そしてツバキは自身の胸に手を当てると

口上コウジョウを唱えた。

すると、辺りに空間の渦ができ

熔岩と大地を飲み込んでいく。


ツバキ

『『天輪•眩静ゲンジョウ螺旋ラセンサカズキ

無冠ムカン玉座ギョクザに並べしアヤカシ

ツイりけり夢夢離別ユメユメフタツ

穿ウガち斬り裂け双散ニヂリヤイバ

べてを両手

我が、サビれ』

『『灰裂斬刃カイレツ•ザンジン 嵯峨鼠鼠サガネズネズミ』』



ツバキは嵯峨鼠サガネズミ色の2つのヤイバ

それぞれエリカと隊士達に向けると

隊士達のまわりの空間が渦を巻きはじめた。


エリカ

「えぇ!!二刀流なの!?!?

かっこいいね!!!お兄ちゃん!!!!

あっ!!

もしかして、転移させるつもり?

それを黙って見ててね!っこと?

でもさぁ!!!

エリカも鞘花ショウカってこと

忘れてない??」


ツバキ

逆狭戻露雨サカシマレイロウーーー』


エリカ喰い気味に

『『天輪•血霞チガスミカシズ脳頭ノウトウ

指突ユビツキ指折ユビオリヒシャげた子壺コツボ

苦悶ノタマえ• 苦痛ノタマえ• 苦笑ノタマえ• 苦行ノタマえ!!

我が血をカテとし 傀儡クグツマワれ!!

『『流流血刃リュウリュウケツジン深緋兎コキアケウサギ!!!』』



透き通った緋色の刀身が

怪しげに光ると突然、辺りが血で染まった。


エリカ

「間に合わなかったね。」



ツバキ

「...なんだと」



ツバキのホホに血がベットリ付くと

ツバキはソデで、ソレをヌグった。


エリカ

「へぇ...あんまり動じないんだねぇ」



すると、突然

隊士達の悲鳴が右処刑場ゴラムに響いた。

ツバキが顔を上げると

次々と隊士達は破裂し

辺り一面が緋色の海に染まっていく。


エリカ

「みんな死んじゃったねぇ

ツバキお兄ちゃーん」



ツバキはエリカをキッと睨みつけたまま

その場を動かなかった。


エリカ

「ウフフ!!ツーバーキお兄ちゃーん!!

驚いた!?驚いた!?

助けられたって思わせて

踏みにじる希望って

どんな感じなのかなぁ?

残念だったねぇ!!"我が国"の隊士達

死んじゃったよ?

エリカの深緋兎コキアケウサギの余波で!」



破裂した部下達の血を無表情で拭いながら

ツバキは嵯峨鼠鼠サガネズネズミを構えた。


エリカ

「ふーん。流石は千刃花の隊長さんだね!!

全く動じてる様に見えない!!

でも...それって本当かなぁ?

ねぇ、ツバキお兄ちゃん。」


ツバキ

「問答は無用だ。

我がサビれ」

神立鬼洗カンダチオニアライ



エリカの背後に空間が生まれると渦を巻き始めた。


エリカ

「あっぶなーい!!!」



エリカはとっさに真横にジャンプし距離を取った。


ツバキ

ノガさぬ」



渦巻いた空間は更に速度を上げた。


エリカ

「え!?まだ大きくなるの!?

ここが全部なくなっちゃうよ!?」


ツバキ

「構わぬ」


エリカ

「困るよぉ!!エリカのおうちだよ!?」


ツバキ

「地獄に行くがいい」


エリカ

「もう!!ツバキお兄ちゃんのバカ!!!」



神立鬼洗カンダチオニアライは更に大きくなった。


エリカ

「本当に飲み込まれちゃーーーー」



グニュンッと音を立てて

エリカは吸い込まれてしまった。



ツバキ

「...他愛もない。」





  エリカ囁く様に

血霞ノドッペリィブラッドリィ



ツバキ

「なん...だと...」


エリカ

「騙されたぁ!?驚いたぁ!?

やっぱり阿保アホのツバキって本当なんだね!!」



エリカは池のような血溜まりからノプッと突然現れた。


ツバキ

「私が刃汽ジンキを読み間違える事などない」


エリカ

「鮮血の鞘花ショウカ刃汽ジンキ

読み間違えさせないわけないでしょ?

見てよお!!!!」



エリカは両手を広げて

血の池地獄と化した右処刑場ゴラムを見渡した。


エリカ

「こんなに血が溢れてれば

血液に含まれる刃汽ジンキをエリカの血と混ぜて

エリカの可愛い分身を作るなんて

おままごとより簡単なんだよ?」


ツバキ

「ならばーー」


エリカ食い気味に

「エリカのターンだよ」

血戦ノ聖母ブラッディマリア!!』

血塊杭ブラッドバラン!!』


ツバキ

「ガッ」



ツバキは一瞬で赤い聖母に包まれ

動きを封じられると両肩にクイを打たれた。


エリカ

「へぇ...叫ばないんだ。すごく痛いのに。

しかもしっかりサヤを握り締めてるんだね!

ほら、放しなよ。」

血壊ブラッド ディ 奇術師トーレス



深緋兎コキアケウサギの剣先をクルクル回すと

ツバキの両手が徐々に開いていく。


エリカ

花纏捧君カテンホウクンの比じゃないでしょ?

ほらぁ!!抵抗しないで!!!ねぇ!!

放しなよ!!!ツバキお兄ちゃん!!!」


ツバキ

「命よりも...重い...サヤを...

離すことなど...有り得ぬ」


エリカ

「ふーん。流石に鞘花ショウカを操るには

時間がかかりそう!!」


ツバキ

断絶月時雨ダンゼツツキシグレ


エリカ

「ぁあ!!!!」



ツバキの足元から空間のユガみが

円錐エンスイ状に勢いよく立ち昇ると

血戦ノ聖母ブラッディマリア血塊杭ブラッドバラン

次々と壊れていった。


エリカ

「この!!この!!この!!!」



エリカは血壊ブラッド ディ 奇術師トーレス

何度も放つが全て弾かれてしまった。


ツバキ

断絶月時雨ダンゼツツキシグレは空間を隔離する。

故に血壊ブラッド ディ 奇術師トーレスも通用し得ぬ。」


エリカ

「へぇ。ってことはツバキお兄ちゃんも

そこから動けないって事でしょ?」


ツバキ

「なんだと」


エリカ

「ウフフッ見せてあげるね!!

エリカのとっておき!!!」


ツバキ

「何をする気だ。」



エリカは深緋兎コキアケウサギ

地面に刺すとオドロオドロしく呟いた。


エリカ

「我が血をカテとし、傀儡クグツマワれ...」


ツバキ

「これは...」



血液が形をしナーベルク帝国兵の姿形へと

変貌していった。


エリカ

「髪も、皮膚も、骨も全ては血

深緋兎コキアケウサギで殺した全ての人は

こうやって一緒に遊べるんだよー?」



すると、エリカは自身の手首をシュッと切った。

シタタる血は勢いを増し

ナーベルク帝国兵に降り注ぐ


エリカ

血塗ノ亡霊ブラッディレイス!!!』


ツバキ

「なん...だと...」



エリカの血塗ノ亡霊ブラッディレイスにより

姿形をカタドった赤黒いナーベルク兵士達に

囲まれたツバキ

それを見て笑うエリカの声が反響していた。


エリカ

「どう!?どう!?どう!?

自国の兵士さんに襲われる感覚は!!」


ツバキ

「魂の無い見かけだけの傀儡クグツ...

外道とは貴公のような事を言うのだな。」



断絶月時雨ダンゼツツキシグレによる結界で

触れられる事はなかったが

ツバキは冷静を保っていた。


エリカ

「痛みってさぁ...身体だけじゃないよねぇ!

身体の痛みならさぁ!!治るもんね!!

エリカも、ほら見て!さっきの切り口なんて

一瞬で治ったよぉ!!

でもさぁ...恐怖に切り刻まれた傷って

いつ治るか分からないよね!!!

エリカはその傷を

グチョグチョするのが好きなの!!

ねぇ...今...怖い?」


ツバキ

「怖さなど無い。

戦線をくぐり、恐怖を跳ね除けたからこそ

私はここに立っている。」


エリカ

「見てよお兄ちゃん。

ナーベルク帝国兵のナゲきをさ!!」



低い声で唸るナーベルク帝国兵は

ツバキの断絶月時雨ダンゼツツキシグレ

弾かれて腕が飛んでも次々と向かって来ていた。


ツバキ

「これはナゲきではない。ただの音だ。

そこには気高い兵士の魂など無い。」


エリカ

「違うよ?後悔と自責の念にられた

哀れなナゲきだよ?

それに...恐怖なんて無いとか言いながらさ

その結界の中にいるんじゃ

全然、説得力ないよねぇ!」


ツバキ

「挑発に乗せて

解除させようとしても無駄だ。」


エリカ

「ちぇ...この状況でそんなに

冷静でいられる人、初めてだよ。

でも正解!!!この子達に触れたら

ツバキお兄ちゃんでも

お仲間入りしちゃうからね!

堂々としたその態度!!

皇帝の息子って感じだね!」



エリカのその言葉にツバキの眉がピクっと動いた。


エリカ

「ぁあれぇ???

養子に出された事...まだ根に持ってるんだぁ!!

気高い兵士の魂はあっても

やっぱり幼い頃のトラウマには勝てないねぇ!

エリカ知ってるよ?というかラミオラス帝国民

全員が知ってるよ!?

皇帝にもなれない不出来な息子が

鞘花ショウカになったって!!ツバキお兄ちゃん♪」


ツバキ

「私の前で皇帝を侮辱するとは」


エリカ

「ねぇ?気付いてないと思うけど

トラウマって恐怖だよ?

親に捨てられるってどんな気分?

エリカ殺しちゃったから

捨てられ損ねちゃったんだぁー

ねぇ!!教えてよ。」



すると大地が大きく揺れ始めた。


ツバキ

「なんだ」


エリカ

血染ノ串刺蝙蝠ヴァンパイアキス


ツバキ

「何!?」


エリカ

「良い声で鳴いてよねぇ!!

ツバキお兄ちゃん!」



円錐エンスイ状に広がる断絶月時雨ダンゼツツキシグレの中を

緋色のコウモリが地面から無数に羽ばたくと

ツバキの身体に噛み付いていった。


ツバキ

「グッ!!!」


エリカ

カゴの中の鳥??

ううん!!カゴの中のコウモリだね!!」


ツバキ次のセリフまで

「グッグァァアァアァア!!!!!!!」


エリカ

「アハハ!!!!

ツバキお兄ちゃん!!もうギブアップかな?

チョコレート食べるぅ?」



ツバキは空間をヘダてる断絶月時雨ダンゼツツキシグレを展開し

エリカによる亡者の群れ血塗ノ亡霊ブラッディレイスから

身を守っていたが

地面から湧き出る血染ノ串刺蝙蝠ヴァンパイアキス

身体中をムサボられていた。


ツバキ

「グッ!!グアッ!!グッ!!」


エリカ

血染ノ串刺蝙蝠ヴァンパイアキスの味はどう?

ツバキお兄ちゃん!!

もしかして...はじめてのキスなのかな?」


ツバキ

「グッ!!!!」


エリカ

「え!?結界解いちゃっていいの?

あっ。空間移動するのかー。

ズルいね!!!!

でも!!!ほら!!!!

まだ蝙蝠キスは終わらないよ!!!」



エリカは空中を次々と移動するツバキに対し

追撃するように血染ノ串刺蝙蝠ヴァンパイアキスを向けた。


ツバキ

「グッ...

空中には吸血コウモリ...下は亡霊か...

下劣なヤカラとは...貴公の事を言うのであろう」


エリカ

「下劣なんてお下品な言葉を使うんだね!

レディに対して失礼だよ!?」


ツバキ

「グッ...笑わせる」


エリカ

「んもう!!やっちゃって!!!!」

血染ノ串刺蝙蝠ヴァンパイアキス!!』

血塗ノ亡霊ブラッディレイス!!』


ツバキ

「二度も同じ手は喰わぬ。

消えて無くなるがいい。」

天消天涯テンショウテンガイ 花時雨ハナシグレ



ツバキは空間を移動しながら

天井へ嵯峨鼠鼠サガネズネズミを向けると

半透明の花びらが右処刑場ゴラム全体に降り注いだ。


エリカ

「ん?何これ...雨?...綺麗な花びら...」



パチン、パチンと音を立てながら

次々と血染ノ串刺蝙蝠ヴァンパイアキス

血塗ノ亡霊ブラッディレイスが消えていった。


ツバキ

「冷たき雨は夢をも醒ます。」


エリカ

「へぇ...」



エリカは冷めた目つきで

身を守る為に深緋兎コキアケウサギ

傘の様な緋色の盾に変化させると

消えていく自身の技を眺めていた。


エリカ

血塗少女ノ深緋傘クリムゾンブレラ

「ぁーあ。みんな無くなっちゃったよ。

あれ、結構疲れるのになー。

崩れるならまだしも消えちゃうから

再利用もできないじゃーん。

小さな空間を丸ごと消すなんて

流石だね。ツバキお兄ちゃーーーー」



ガンッと血塗少女ノ深緋傘クリムゾンブレラ

強い振動が走った。

エリカの足元は深く沈むも

エリカ自身は顔色さえも変えていなかった。


ツバキ

「なんだと」



ツバキは強く振り下ろした嵯峨鼠鼠サガネズネズミを引き

またもや空間を移動すると体勢を整えた。


エリカ

「雨が降ったら傘を差すなんて当たり前じゃーん。

ん?どうしたの?不思議なの?

なんでエリカの傘が花びらの雨に触れても

消えないかって?

ねー!ねー!気になるんでしょー?」


ツバキ

嵯峨鼠鼠サガネズネズミに削れぬものなどない。」



そして、またもや空間移動し

エリカの背後をとった。


ツバキ

「もらっーー」



しかし、エリカはターンをすると

血塗少女ノ深緋傘クリムゾンブレラ

斬撃を弾いた。


エリカ

血塊杭ブラッドバラン


ツバキ

「ガッハッ」


エリカ

「両肩に穴が空いて噛み付かれて

今度はお腹までツラヌかれて

まだ生きてるの?...はぁ。鞘花ショウカってさ

なまじ強いから中々 死ねないんだよねぇ。」


ツバキ

「グッ...ガハッ」



ツバキは血をドバッと吐くと手で拭った。


エリカ

「アハハ!!!痛そう!!苦しそう!!

不思議でしょー?空間ごと削れる能力チカラなのに

なんでエリカのは削れないか!!あっ。

可哀想なツバキお兄ちゃんは知らないのかな?」


ツバキ

「...何をだ。」


エリカ

「そもそも鞘花ショウカ同士で争う事なんて

した事ないんでしょ?

想定もしてなかったんでしょ?

まさか、冥府大監獄ゲヘナプリズンに来て

鞘花ショウカと相対するなんて

思っても見なかったんでしょ?」


ツバキ

「...だから何だと...言うのだ。

鞘花ショウカだろうと...何だろうと

我が...覇道の前に...立ちはだかれば 斬る。

それだけだ。」


エリカ

「本当に阿保アホなんだね!!ツバキお兄ちゃん」


ツバキ

「何だと...」


エリカ

「たぶん鞘花ショウカ同士が戦う事なんて

神様達も想定してなかったんだよー。

鞘花ショウカの力に上位も下位もない。

ただ、練度によって実力が変わるけどねー!

だから最初に聞いたでしょ?継承かってね。」


ツバキ

「練度は...高め積み上げるもの。

継承だろうが...発現だろうが...関係ない」


エリカ

「ツバキお兄ちゃんは鞘花ショウカになって

どれくらいなのかなー?」


ツバキ

「貴公には...関係の無いこと。」


エリカ

「エリカより長いわけないのは

まぁ、間違いないけどね!!」


ツバキ

「下らぬ。」


エリカ

「分かったでしょ?

エリカの方がずーーーっと鞘花ショウカとして長いんだよ?

必然的にエリカの方が練度が上なの!!

だからエリカに勝てるわけないじゃん!!

練度の低い攻撃がエリカに効くわけないでしょ?

アハハ!!アハハ!!!!」


ツバキ

「何を...言っている。

貴公の血塗少女ノ深緋傘クリムゾンブレラ

何層も...血塗られている。

その表皮を...削っているだけだ。」


エリカ

「本当にそうかな?」

血染ノ串刺蝙蝠ヴァンパイアキス!!』



エリカはまたもや血液で作られたコウモリの大群を

ツバキに向けて放った。


ツバキ

天元八卦テンゲンハッケ 白驟雨ハクシュウウ



ツバキはすぐさま嵯峨鼠鼠サガネズネズミ

エリカに向けて

8個の空間を生み出すと

血染ノ串刺蝙蝠ヴァンパイアキスを吸い取り

それぞれの空間からエリカを囲む様に跳ね返した。


エリカ

「グッ!!跳ね返すなんて!!

自分の技が効くわけないっ!!でしょ!!!

んもう!!邪魔!!!」


ツバキ

照刃ショウハ  二十九ニジュウキュウ遣照廻回ゲンショウガイカイ



次々とエリカは自分の技である

血染ノ串刺蝙蝠ヴァンパイアキスに飲まれていくと

グチャっという音と共に

血染ノ串刺蝙蝠ヴァンパイアキスは血に還っていった。

そのスキを見逃さなかったツバキは

照刃ショウハで傷を癒していた。


エリカ

「ぁあ!!!せっかく付けた傷なのに!!」


ツバキ

「練度で実力に差が出ると言ったな。

まさか、時の長さにより練度が変化する。

などと言うつもりか。

貴公は何か勘違いしている。

鞘花ショウカの強さは覚悟の強さ。

サヤは相応の覚悟に呼応する。

覚悟の無い貴公は永劫エイゴウ 私には勝てぬ。」


エリカ

「実力差を見れば分かるじゃーん。

さっきまで死にそうだったのに!!」


ツバキ

「ならば、問おう。

貴公は何の為に戦っている。」


エリカ

「何の為に?

何それ面白い!!!!

考えた事もないからエリカ分かんないなぁ。

んーーー。

みんな死んじゃえ!!って

思ったら深緋兎コキアケウサギ

選んでくれたんだよねー!!!」


ツバキ

「神は理由もなく鞘花ショウカを選ばぬ。

ましてや発現ならば なおのこと。」


エリカ

「知らないよぉーー!!!

深緋兎コキアケウサギだって

何も言ってくれないもん!!!」


ツバキ

サヤが口さえもきかぬとは

まさか、姿さえも見たことが無いのではあるまい」


エリカ

「え?一回だけあるよ?

無きゃ鞘花ショウカになれないじゃん!!

ツバキお兄ちゃんって阿保アホだね!!」


ツバキ

「そうか。」


エリカ

「グヌヌッ...サヤの力なんて

ただの殺しの道具だし!!」


ツバキ

「殺しの道具...

それは見方によっては間違いない。

戦乱の世ではそれも正義となり得る。

だが、今の問答ではっきりと分かった。」


エリカ

「何が?」


ツバキ

「貴公は弱い」


エリカ

「今、なんつった?」


ツバキ

「貴公は弱い。遥かに弱い。

私の足元にも及ばぬ弱さ。」


エリカ

「ハハッ...もういっぺん言ってよ!!

エリカが...弱い?アハハッアハハッ!!!!

さっきまでボロボロだったくせに!!

エリカに攻撃も通らなかったくせに!!!!

ツバキお兄ちゃんが言う覚悟が足りないから?

アハハッ!!アハハッ!!!

...お兄ちゃんの尺度シャクドでエリカを測るな!!」


ツバキ

「測るまでもなし。消え失せるがいい」


エリカ

「じゃあ!!お兄ちゃんの覚悟ってのは

なんなんだよ!!教えてみろーーーーー」


ツバキ遮る様に

「私は皇帝になる」


エリカ

「はぁ!?

皇帝になれないから養子に出されたんだろうが!!

頭腐った事言ってんじゃねぇよ!!!!」


ツバキ

嘲笑アザワラうがいい。エリカ=ヒース

そして、我が覇道の前にれ」


エリカ

「ふざけんな!!!!!」

血壊ブラッド ディ 奇術師トーレス!!』


  ツバキ遮る様に

偃套月時雨エントウツキシグレ



互いの刃汽ジンキホトバシ

空間が次々と歪んでいく。

ツバキは煌めく空間のマントを素早く羽織り

血壊ブラッド ディ 奇術師トーレスを弾いた。


ツバキ

「何度も同じ手にかかるほど私は甘くない。

これより先は貴公の血壊ブラッド ディ 奇術師トーレスは通じぬ。

血塗ノ亡霊ブラッディレイス

血塊杭ブラッドバラン

血戦ノ聖母ブラッディマリア

血染ノ串刺蝙蝠ヴァンパイアキスも通じぬ今の貴公に

一体、何が出来るというのだエリカ=ヒース」


エリカ声を震わせながら

「ツバキお兄ちゃん...

こんなにエリカを怒らせた人は初めてだよ。

千刃花センジンカの隊長達なんて

ただのバカの集まり!!!!!

自分に酔った殺したがり!!!!!

みんな死んじゃえ!!!死んじゃえ!!!」


ツバキ

「私の前であれらを

侮辱ブジョクすることなど許さぬ。

それ相応の誇りと覚悟を持って戦っているのだ。」


エリカ

「何が誇りだ!!!何が千刃花センジンカだ!!!

ただの馴れ合いでしょ!?!?

エリカ独りでそんな奴ら殺せるもん!!!」


ツバキ

「馴れ合いなどではない。

千刃花隊士はナーベルクの誇り

そしてそれが...私の誇りだ。」


エリカ

「その誇りも目の前で殺されて

守れなかったくせに!!!!!」


ツバキ

愚弄グロウするな。」


エリカ

「きっしょ。ウザマル梵天過ぎる!!!!

分かった!!!!

そんなにエリカより強いっていうなら

エリカを殺してみなよ!!!!!!」



するとエリカは自身の喉元に

深緋兎コキアケウサギを突き立てた。


ツバキ

「何の真似だ。」


エリカ

「もう知らないからね。

怒らせたのはツバキお兄ちゃんだよ!!!」



そして一気に喉元をツラヌいた。


エリカ

「ウグッ」


ツバキ

「自らの喉元をツラヌくとは...」


エリカ  不気味に

「殺し合おうよ...ツバキお兄ちゃん」



血が逆巻サカマき、渦を作り出すと

津波の様に一気に右処刑場ゴラムを包み込んだ。


ツバキ

「この刃汽ジンキ...

"千年万花センネンバンカ"を発動するつもりか。」


エリカ狂気的に

「アハハ!!アハハ!!!そうだよ!?

あまりにも生意気だからエリカ怒っちゃった!!

チョコレートも食べてくれないし!!!

エリカの事バカにするし!!!!!

エリカが弱いとか言うし!!!!!!!

グチャに!!グチャに!!

グチャグチャにしてやる!!!!」


ツバキ

「下らぬ。」


エリカ冷めたように

はぁ...ため息ふざけてんじゃねぇよ。クソネズミが。」


エリカ可愛く

「お遊びは終わりにしよ?ツバキお兄ちゃん♪」


ツバキ

「終わりだと?

貴公は何か勘違いしている。」


エリカ

「はぁ?」


ツバキ

千年万花センネンバンカ

鞘花ショウカの技にして最強の奥義

故に、この私にも

千年万花センネンバンカがあるという事を

失念しているわけではあるまい。」



そしてツバキは嵯峨鼠鼠サガネズネズミ

グッと構えて言った。


ツバキ

「貴公こそ、終わりだ。」


エリカ

「ふーん。

じゃぁ比べっこしようよ!!!!

どっちの千年万花センネンバンカが強いかさぁ!!!」



すると、エリカは更に自身の喉元を深くツラヌいた。


エリカ

「アガッッ」

千年センネン吸血処女•メイデン!!』


ツバキ

千年鬮鼠•センネンキュウソ無間廻廊•ムケンカイロウ



エリカの周囲が千刃花センジンカ隊士達の血で

サカ巻いていく

深緋兎コキアケウサギの刀身が輝き出すと

エリカ自身の血液と混ざり合い

血生臭いニオイが立ち込めた。

そして、次々と3メートルはあろう

深緋色コキアケイロの拷問器具の様な形をした武具が

錬成されていった。


エリカ

千年センネン吸血処女•メイデン!!』



一方、ツバキも同じタイミングで千年万花センネンバンカを発動した。

五つの空間が生まれ渦を巻くと

その中心にシキショウコウソクの文字が浮かび上がり

ザワザワとネズミの形をした幾千イクセンもの影が

右処刑場ゴラム全体に徐々に広がっていく。


ツバキ

千年鬮鼠•センネンキュウソ無間廻廊•ムケンカイロウ



エリカ

「え!?何!?

ネズミ!?気持ち悪ーい!!

どんどん広がっていくじゃーん!!ガハッ」



エリカは喉元に刺した深緋兎コキアケウサギを引き抜いた。

すると、みるみると血が止まっていく。


エリカ

「エリカさぁー。

自傷行為ってキモいから理解出来ないんだけど

鞘花ショウカになってから

エリカのキズってすぐ血が止まるんだよねー!

でも、深緋兎コキアケウサギって

結構、血を使うから

あんまりやりたくなかったんだけど

ツバキお兄ちゃんがエリカを怒らせたのが

悪いんだよ?

それに...

エリカの家をネズミのテーマパークみたいにするし。

絶対許さないんだから!!!

本当!!ネズミってキモい!!」


ツバキ

「案ずるな。

嵯峨鼠鼠サガネズネズミが天地を覆えば

無明ムミョウの闇が貴公を包む」


エリカ

「真っ暗になるから何?

ネズミが見えなくなったって

いるのは変わんないし!!!!!

それにもうお終いだよ。

一度発動したら

吸血処女メイデンちゃんには

ネズミだろうが闇だろうが

全然、関係ないもんねぇ!!」


ツバキ

「なんだと?」


エリカ

「だってほら。」


ツバキ

「なんだ...ガハッ!!!」


エリカ

「アハハ!!まだだよ?ツバキお兄ちゃん」


ツバキ

「ウグッ!!」



次々とエリカが錬成した吸血処女メイデン

ツバキの足元から噛み付いていく。

ツバキは空間をヘダてる外套マント

偃套 月時雨エントウ ツキシグレで身を包んだが

次々と沸き出て襲い掛かる吸血処女メイデン

挟まれる中

嵯峨鼠鼠サガネズネズミの二刀で抑えていた。


エリカ

「その薄っぺらい外套マント

エリカの千年万花センネンバンカが止められるのかなー?

アハハアハハ!!アハハアハハ!!」


ツバキ

「グッッ!!」



ツバキはグニュンと空間を生み出し上空へ移動した。


エリカ

「ツバキお兄ちゃんダメだよー」


ツバキ

「空中であれば...

貴公の吸血処女メイデンとやらも届か...何!?」



地面から吸血処女メイデンが射出され

ツバキに向かって飛んで来るも

次々と嵯峨鼠鼠サガネズネズミで叩き落としていった。


  ツバキ次の台詞まで

「グッ!!!

ハァァァァ!!!!!!

グッ!!ハァ!!ヴッ!!ォォ!!」


エリカ

「へぇー。頑張るねー!!

おっ!!速い速い!!

サバき、すっごい速いんだね!!

でも、終わりが見えないんだよねー!!

吸血処女メイデンちゃん無限に沸き出るよ?

エリカ以外の新鮮な血に反応するからね!!

しかも聞いてよ!!ツバキお兄ちゃん!!

自動なんだよ!!すっごい楽!!!

でもね...残念な所もあるの...

ねぇ聞いてる??

ちょっと!!ツバキお兄ちゃん!!!

エリカの話しちゃんと聞けてる??

もう無駄だから挟まれちゃった方が楽だよ?

あっ!!それでね!!

一度、吸血処女メイデンちゃん発動するとね

効果が冥府大監獄ゲヘナプリズン全域に広がっちゃうの...

怪我してる人達...みんな食べられちゃうの...グスン

食い尽くすまで止まらないんだよね...

でも、エリカ泣かない!!!!

だって!!みんな死ねばいいし!!

ね?ツバキお兄ちゃんもそう思うでしょう?」


ツバキ

天消天涯テンショウテンガイ 花時雨ハナシグレ

「なん...だと...消えぬ...だと?」



半透明の雨が吸血処女メイデンに降り注ぐも

吸血処女メイデン一欠片ヒトカケラも消えなかった。


エリカ

「また雨??嫌になっちゃう!!」



エリカは花時雨ハナシグレ

届かぬ様に素早く後ろへと下がった。


ツバキ

「何層にも血塗られているのか...ならば...」

断絶 月時雨ダンゼツ ツキシグレ



空間が円錐状エンスイジョウにツバキを包み

外側と内側の空間を隔離した。


エリカ

「それさっきもやったじゃーん!!

足元ガラ空きだってばぁ!!」


ツバキ

「だから何だというのだ。

四方八方から襲い来るのと

来る方向が一つと分かっているのとでは

全く意味が違ってくる。

そう、こんな風にな。」

神立鬼洗カンダチオニアライ



ツバキは足元に巨大な空間の渦を展開すると

次々と吸血処女メイデンを吸い取って行った。

その間にも四方八方から吸血処女メイデン

飛んでくるが

断絶 月時雨ダンゼツ ツキシグレの壁にハバまれ

ガンッガンッガンッと音を立てながら

噛み付いていた。


ツバキ

「グッ...まだか...嵯峨鼠鼠サガネズネズミ...」


エリカ

「ふーん。それってさぁ

ツバキお兄ちゃんの刃汽ジンキ持たなさそうだよねー

何も出来ない代わりに

何も受け付けないって事でしょ?

見たらわかるよ?エリカ。

さっきからどんどん刃汽ジンキ量が

減っていってるの。」


ツバキ

「要らぬ世話だ。

貴公こそ何もしていないではないか。

まさか...その千年万花センネンバンカは広大な範囲の分

術者は何も技を発動出来ないのではあるまい。」


エリカ

「そ、そんな事ないもん!!」


ツバキ

「ほぅ...ならば何故、先ほどの花時雨ハナシグレけた?」


エリカ

「と、遠かったから出すまでもなかったし!」


ツバキ

「そうか。

ではこれはどーー」



すると、エリカが走り出した。


ツバキ

「まさか...逃げるのではあるまい」


  エリカ息を切らしながら

「はぁ!!はぁ!!はぁ!!

深緋兎コキアケウサギ!!深緋兎コキアケウサギ!!

返事ぐらいしてよ!!

深緋兎コキアケウサギ!!」


ツバキ

千年万花センネンバンカ鞘花ショウカの技にして最強の奥義。

故に、十余年ジュウヨネンの鍛錬を必要とする。」


エリカ

「何それ!?知らないし!!」


ツバキ

「練度の差に発現も継承も関係のない事。

それに...」


エリカ

「うるさい!!!

エリカの方がずっとずーーっと強いもん!!!

ツバキお兄ちゃんだって全然身動きとれッッ

何これ...」



右処刑場ゴラム全体が無明ムミョウの闇に包まれた瞬間

エリカは立ち止まった。


エリカ

「何したの!?何これ!!!!!

抜け出してやる!!!

抜け出してッッ  え?」


ツバキ

「無駄だ。」


エリカ

「追い...つかれ...た!?」



そして、またもやエリカは走り出した。


ツバキ

「無駄だと言っている。

ここは無間廻廊ムケンカイロウ

出口など無い永久トコシエの闇...」


エリカ

深緋兎コキアケウサギ!!!

深緋兎コキアケウサギ!!!」

血塊杭ブラッドバラン

血塊杭ブラッドバラン

血塊杭ブラッドバラン

血塊杭ブラッドバラン!!!』

「ねぇ!!!何これ!!!

何なのこれ!!!!!!!!!!!」



エリカは深緋兎コキアケウサギを振るったが

何も起こらなかった。


ツバキ

「やはり何も出来ぬか。

教えてやろう。

全ての技には練度がある。

それはどの鞘花ショウカも変わらぬ。

鍛錬をオコタった貴公など

発現したばかりの鞘花ショウカと何ら変わらぬ。」


エリカ

「...エリカの千年万花センネンバンカが未熟だって

未完成だって言いたいの?」


ツバキ

「技はサズけてもらったものの

それをサヤと共に磨かなかったのは

貴公自身。」


エリカ

「何それ... サヤなんて

ただの殺しの道具でしょ!?

まるで人みたいに言わないで!!!!」


ツバキ

「人ではない。神だ。」


エリカ

「エリカは...エリカは選ばれた!!

だから鞘花ショウカになったんだもん!!」


ツバキ

「ぁあ。確かに選ばれたのであろう。

だが、選ばれただけ。という事。見せてやる。

研鑽ケンサンされた本物の千年万花センネンバンカを」


エリカ

「...え」


ツバキ

「堕ちるがいい。」



すると突然、エリカの周りの景色が変わり

自分が育った家のリビングにいた。


エリカ

「ここは...エリカの...家...」



そこには幼いエリカと父が

豪華な食事を待ちわびていた。

コウばしい香りが辺りをタダヨ

エリカは幸せそうに笑っていた。


エリカ

「あれは...エリカが好きなお料理だ...

エリカの...誕生祝い...」



すると、ツバキの声が頭に響く


ツバキ

「裕福な家庭... 仲睦ナカムツまじい両親...

コウばしい料理の数々...」


エリカ

「もうどれくらい食べてないんだろう...」


ツバキ

「懐かしいか?」


エリカ

「...別に。」


ツバキ

「ならば、その記憶は無用だ。」



一閃イッセン、ツバキの姿が現れ

その思い出を斬り裂いた。



エリカ

「やめっーーーガハッ

ゴホッゴホッゴホッ!!

何...を...した...」



ツーーーッとエリカの鼻から血が流れ落ちた。


エリカ

「グッ!!こんな血...すぐに!!」


ツバキ

「止めてみるがいい。」


エリカ

「言われなくーーーえ?どうして!!

どうして止まらないの!!

それに...ニオイ...ニオイがない...

何もニオイがしないよぉおお!!!!」


ツバキ

「貴公の嗅覚を奪ったまで。

さぁ、次はどこへいく?パチン指を鳴らす音


エリカ

「今度は何...」



そこはグラシズ警部補を監禁していた部屋だった。

弱っていく身体を鎖で縛り上げ

エリカは笑いながら喉元を掻っ切っていた。


エリカ

「...グラシズさんの血って美味しかったなー

濃厚だけど少し脂っぽくてさー。

だから少しずつ飲んでたんだけど...

飽きちゃってさ!!!

また飲みたいなぁーー」


ツバキ

「見るに耐えぬ。」



そしてツバキは思い出を斬り裂いた。


エリカ

「アガッ!!!!ゴハッッ!!!」



エリカは大量の血を吐き出していた。


エリカ

「ゴホッ!!ゴホッ!!ゴホッ!!

また...血!!!!!エリカの血!!!」


ツバキ

「味覚を破壊した。

永劫エイゴウ、血など味わえぬ」


エリカ

「そ、そんな!!!!嫌だよぉ!!!!」


ツバキ

「さて、次だ。パチン指を鳴らす音



ツバキが指を鳴らすと

エリカは第零監獄スィフィルプリズンの中にいた。

中途半端に終わらせた拷問のせいで

拷問器具で横たわる半殺しにした囚人のウメき声が

反響していた。


エリカ

「素敵なメロディでしょ?

エリカ死にかけの囚人を並べるのが

大好きなんだー!!!

死ぬ間際の人間って目が死んでるんだけど

ウメいて訴えてくるんだよ?

殺してくれって!!

だけどエリカはあえて殺さないの!!

なんでか分かッッ グハッッッ」



ツバキは問答無用にその思い出を斬り裂いた。


ツバキ

虫酸ムシズが走るパチン指を鳴らす音


エリカ

「あれ...何も聞こえない...何も...!!!

何で!?何でよぉ!!!!!!」



エリカは両耳から血を吹き出し

うずくまると今度はマンサクの家にいた。

そこでは逃げ惑うマンサクの妻の腹を

エリカがエグっていた。


エリカ

「エリカ不思議だったんだよね...

お母さんの子宮ナカって

どんな感じになってるかさ。

気になってみたから開いて見たんだけど

あの熱くて優しいぬくもりの秘密は

分からなかったなー。

でも、仕組みはなんとなーく分かったから

良い勉強になった!!

すっごいピンク色してたのぉ!!!

今でも大切な思い出♪」


ツバキ

「狂気とは貴公の事を言うのだな」


エリカ

「え?どう言う事?やめッッ」



ツバキは問答無用で思い出を斬り裂いた。


エリカ

「アガッッツ!!!!

目が!!!目が!!!!!

目が!!!見えない!!!!

見えない!!!見えない!!!!」


ツバキ

「のたうち回り痛みを知るがいい。

味覚も聴覚も視覚も嗅覚も奪った。

痛みしか感じぬだろう。

だが、それもすぐに楽になる。パチン指を鳴らす音


エリカ

「こ...ここは...真っ暗...

どこ...どこ...あったかい...ここって...まさか...」


ツバキ

「なるほど...。

先ほど貴公が言っていた意味が分かった。

唯一、心の底から感じたぬくもり

ぬくもりから伝わる愛情

ここは母の胎内タイナイか...

まさか生前の記憶があるとはな...」


エリカ

「懐かしい...ママ...のぬくもり...

ママだけが...エリカを愛してくれた...

ママだけが...パパから...守ってくれた。

だけど...ママが眠ったらパパは...パパ...は...

エリカを...無理矢理...無理矢理...」



突然、光が差しエリカは育った家のベッドに

横たわっていた。

そこには息を荒げエリカに覆いかぶさる

父の姿があった。


エリカ

「痛い!!痛い!!!やめてよぉ!!!

パパ!!パパ!!!」



しかし、口をパクパクさせるだけで

声は出ていなかった。


エリカ

「やめっ!!嫌だぁあぁあ!!!!」



毎晩繰り返される痛みに

快感さえ覚えて来た頃

エリカの母がその行為を目撃した翌日

エリカの父は激昂ゲキコウする妻を

屋根から突き飛ばした。

それからの二ヶ月間はエリカにとって

地獄の様な日々だった。


エリカ

「ママも...パパも...

みんな...みんな死ねばいい。

みんな...死ねば...」


ツバキ

「貴公にどんな過去があろうと

私には関係のない事」



そして、ツバキはその思い出を斬り裂いていった。

すると、グニュンと景色が変わり

エリカは母の胎内タイナイに戻っていた。


ツバキ

シキショウコウソク

全てを斬り裂いた。

残るは... ココロのみ...」


エリカ

「ママ...何も感じ...ないけど...

なんだろう...あった...かい」


ツバキ

「それは潜在意識に眠る感情だ。

と言っても...何も聞こえまいか。

だがえて教えてやろう。エリカ=ヒース。

貴公は弱い。私よりも遥かに弱い。

サヤに過信し自身に自惚ウヌボ

血を求め彷徨う哀れな女だ。」


エリカ

「あった...か...い」


ツバキ

千年万花センネンバンカとは

血の滲む鍛錬のノチ

手に入れる事が出来る強大な能力チカラ

身をもって知るがいい。

これが本物の千年万花センネンバンカだ。」


エリカ

「も...もう...やめ...やめてよ...

やめてよぉぉおおおおお!!!!!!

ママ!!ママ!!!助けてぇ!!!

ママ!!!ママ!!ママァ!!」



ツバキ  遮る様に

トザせ」

遺雨ノコラズノアメ



ツバキはそう言って

思い出ごとエリカの胸を斬り裂いたが

傷一つ付いていなかった。

すると半透明の雨がエリカを包み込み

景色が渦を巻くとエリカの身体は

底のない水の中へ深く、ただ深く堕ちていった。


エリカ 心の声

((何ここ...何も...感じない...

何も...見えない...

何も...聞こえない...

何も...何も...何...も...))



エリカの精神世界から抜け出したツバキは

膝から崩れ落ちるエリカに見向きもせず

ゆっくりと無間廻廊ムケンカイロウを解除した。


ツバキ

千年鬮鼠•センネンキュウソ無間廻廊•ムケンカイロウ

過去を斬り裂き、未来をトザす。

未来永劫ミライエイゴウ無間ムケンを彷徨うがいい。

エリカ=ヒース」



千年万花センネンバンカを解いたツバキは

刃汽ジンキが切れかかっていた。

千年センネン吸血処女メイデンを抑えていた空間の結界も

後、数秒で崩壊してしまうほどに

ツバキは疲弊ヒヘイしていた。



ツバキ  息を切らしながら

「術者が...倒れても...解けぬ...のか...

私は...先へ...行かねば...なら...ぬ...この...さ...きへ」





しかし、ツバキはその場に倒れてしまった。





するとそこにコツンコツンコツンと



誰かの足音が聞こえてくる。



倒れたツバキを見下ろしたその瞬間






グシャっと





ツバキの血が辺りに飛び散った。






そして場面戻り

天空寺テンクウジ総本山 原初の都ランサデーヴァ

カエデの間にて


菩提ボダイ

「相手が悪かったな。いや、良かったのか。

エリカの奴もこれで変わればいいんだが。パチン指を鳴らす音



すると菩提ボダイは指を鳴らし映像を巻き戻した。


菩提ボダイ

「にしても...

嵯峨鼠鼠サガネズネズミ千年万花センネンバンカ

強制的に自陣に引き込み精神を破壊する奥義とはな...

歴代の空間の鞘花ショウカでさえも

扱い切れなかったあの技を使いこなしてやがる。

発現した鞘花ショウカに対して

継承した鞘花ショウカが練度を遥かに上回ってたしな。

敵になればやっかいな男だ。パチン指を鳴らす音



そう言うと菩提ボダイは座っていた椅子から

立ち上がり指を鳴らすと

映像が二つに割れた。


菩提ボダイ

「相変わらず千刃花センジンカには

粒揃いばかりじゃねぇか。

クックックック...

お前ら二人の目論モクロみが

どう出るか楽しみになってきたぜ。」



そしてそこに映し出されていたのは






菩提ボダイ

「なぁ?お二人さんよぉ。」





作者 REN’sJackson

千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

総集篇  The Battle ofバトル オブ Ericaエリカ (完)






おまけ






ツバキの視界が

微睡マドロむ様な暗闇に包まれた後

枯れ葉の擦れる音が微かに聞こえてきた。


ツバキ

「グッ...」



横たわるツバキはゆっくり目を開けると

そこには螺旋を描く様にいくつもの鳥居が

無数にツラなる巨大なヤシロが広がっていた。

すると、淡く色づいたもみじが

ツバキの頬にスッと落ちた。


ツバキ

「もみじ...まさか...」



ネズ

「立て」


サガ

義忠ヨシタダ


ツバキ

「グッ...嵯峨鼠鼠サガネズネズミ


サガ

「いつまで這いつくばってんだよ。」


ネズ

「我らに選ばれしサヤ

何ともみっともない姿になったものだ。」


サガ

「手を貸してやろうか?あん?」


ツバキ

「グッ...無用だ。」



ツバキはゆっくりと立ち上がり

周りを見渡した。


ツバキ

「私に何の用だ。」


ネズ

「何の用だとは...フッ。相変わらず

傲岸不遜ゴウガンフソンな物言いだな。」


サガ

「言葉に気をつけねぇとなぁ義忠ヨシタダ

俺らは神だぜ?」


ツバキ

「フンッ。神だろうが何だろうが

私に用があって呼び出したのであろう。」


サガ

「...フハハハッ。

相変わらずおもしれぇ男だな!!!

助けがいのねぇ男だ!!...殺すぞ。」


ネズ

「やめろサガ。

時間を無駄にするな。」


サガ

「チッ。死に損ないが」


ツバキ

「死に損ない...何を言っている。」


サガ

「おめぇは千年吸血処女メイデン

やられたんだよ。」


ツバキ

「逆だ。私がエリカ=ヒースを倒した」


ネズ

「確かに倒した。

だが、刃汽ジンキが切れた瞬間

義忠ヨシタダも喰われた。」


ツバキ

「何?」


サガ

深緋兎コキアケウサギ

俺らに一矢報おうとしたんだろーよ。

あのイカレクソウサギがッ」


ネズ

「お前ほどの男が

未熟な鞘花ショウカに遅れを取るとはな。」


サガ

「足元すくわれてんじゃねーよ。」


ツバキ

「私の勝利だ。

過程など くだらぬ。

結果が全て。それ以上もそれ以下もない。」


サガ

「その結果、引き分けてんじゃねーか。」


ツバキ

「何?...私は...」


ネズ

「よい。一命は取り留めた。」


サガ

「感謝しろよ?」


ネズ

「あまり時間がない。

手負いの義忠ヨシタダの身に

負担をかける事になる。」


サガ

「そうだな。

こっちに呼ぶのにも

刃汽ジンキを消費するからな。」


ネズ

「逆を言えば手負いじゃなければ

呼び出す事も出来なかったのも事実。」


サガ

「俺たちが呼び出したところで

興味無いの一点張りだからな。

クソ生意気な人間だぜ」


ツバキ

「もう一度聞く。なんの用だ。」



すると嵯峨鼠鼠サガネズネズミ

あきれた顔で互いを見合わせると

口を開いた。


ネズ

義忠ヨシタダ天空山テンクウザンへ来い。」


ツバキ

「なん...だと?」


ネズ

「我らは座して待つ」


サガ

「長髪も連れてこいよ。」


ツバキ

「何?

何故マンディを連れて行くのだ。」


サガ

「ちげーよ!!

さっき俺達で殺したろうが!!」


ツバキ

「まさか...

ジジの事を言っているのではあるまいな。」


サガ

「そうだよ!!!

ソイツしかいねぇだろ!!」


ネズ

「必ず連れてくるのだ。

辿り着ければ...の話しだが。」


ツバキ

「貴公らも分かっていると思うが

ナーベルクとラミオラスは戦争中。

未だ行き方も分からぬ天空山テンクウザンなど

探すだけ時間の無駄だ。」


サガ

「ただ探すだけじゃ行けねぇーんだよ。」


ツバキ

「...どういう事だ。」


ネズ

「案ずるな。スデに資格は得た。」


サガ

「そうだな。」



そう言うと嵯峨鼠鼠サガネズネズミ

背を向けて歩き出した。


ツバキ

「なんだと?一体それはどういうーー」



嵯峨鼠鼠サガネズネズミは一度足を止めると

ゆっくりと振り返った。


ネズ

「立ち止まることは許されぬ」


サガ

「まだやる事が山ほどあんだろ?」


ネズ

「案ずるな。お前が死ぬのはまだ先だ。」


サガ

運命の終末ディステルニドンは止まらねぇ」


ネズ

「その運命を我らがヤイバで切り開け。」


サガ

「過去も」


ネズ

「未来も」


サガ

べてを両手に」


ネズ

「我が、サビれ」


ツバキ食い気味に

「待て!!!」





嵯峨鼠鼠サガネズネズミ

そう言い残すと

もみじが竜巻の様に巻き上がり

グニュンと空間がユガんだ瞬間

ツバキの視界が真っ暗になった。





ツバキ

「ウグッ」





ピーッピーッピーッピーッと

心電図の音が鳴り響く。

ツバキはゆっくりと目を開けると

白い天井が見えた。





ツバキ

「ここは...何処だ」



(完)

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