35話 I send you a bouquet of flowers
前回までの
数年前
当時、海王軍の団長であったジギタリアスに
副隊長でもあり恋人でもあったアイビーを
目の前で殺された。
復讐を誓ったラナンキュラスは
現在
宿敵ジギタリアスと再び対決することになり
互いに命を削る激闘を繰り広げていた。
ジギタリアス
「クックックッ...
久しぶりじゃねぇか。ラナンキュラス。
元気そうじゃねぇかよ。」
ラナンキュラス
「突入直後は分からなかった。だけど...
やっと見つけた...。
やっと見つけたよ...。」
ジギタリアス
「ガッハッハッハ!!!!
お前に向けて
見つけられるだろうよ!!!」
ラナンキュラス
「
僕はあの日から誓ったんだ。」
ジギタリアス
「誓った?」
ラナンキュラス
「そうだ。。あの日アイビーに誓った。
命を賭けて!!!!!!!
お前を殺すと!!!!!!!!!」
作者 REN’sJackson
ー
ここは
煌びやかな装飾と沢山の花で
ほのかに紅茶の香りで部屋は満たされていた。
ラナンキュラス
「
相変わらず...君の淹れる紅茶は美味しいね。
アイビー副隊長」
白い
ニッコリと女に微笑んだ。
アイビー
「毎回そう言ってくれるなんて
淹れがいがあるわね。ラナン」
ラナンキュラス
「君が淹れるから美味しいのかもしれない。」
アイビー
「フフッ。そうかもね。
でも、今日は特別よ?」
ラナンキュラス
「どうしてだい?」
アイビー
「忘れたのぉ??」
ラナンキュラス
「...思い出せないな」
アイビー
「分かった。楽しみにしててね!」
「アイビーとの記念日でもなければ
任務完了の打ち上げでもない...
アキレイのとこの会社の祭典...いや違うな...」
すると、アイビーはラナンキュラスの後ろから
腕を絡ませて耳元で囁いた。
「帰ってからのお楽しみよ」
そしてラナンキュラスはアイビーを見つめて
優しく微笑んだ。
ラナンキュラス
「そうか...帰ってからが楽しみだな。
今夜の為に早く帰ろう。」
アイビー
「そうね。」
するとノックがトントンと聞こえ
勢いよく扉が開いた。
アイビー
「ん?誰かしら?どうぞーー」
「いくぞ。」
ゲイジュ
「アナスタシア!!
入って良いなんて言われてないだろ?」
アナスタシア
「入るなとも言われていないわ。」
扉が開くとそこには
副隊長であるゲイジュが立っていた。
ゲイジュ
「ったくそういう問題じゃないだろう!!
すみませんラナンキュラス隊長...アイビー副隊長」
ラナンキュラス
「い...いや、突然来るのは慣れたけど
今日はノックをしたことに驚いたよ。」
アナスタシア
「私がノックをしないとでも?」
ゲイジュ
「ノックは俺がしたんですけど
アナスタシアが急に開けるんで
驚きましたよね。すみません」
アイビー
「い、いいのよ!!
わざわざ迎えに来てもらってすみません。
アナスタシアさん。」
アナスタシア
「隣の
それで、いつまで腕を絡めてるのかしら?」
その言葉にビクッとしたアイビーは
顔を真っ赤にしながら離した。
アイビー
「あっ」
ラナンキュラス
「それで、用件は
任務の打ち合わせかな?アナスタシア」
アナスタシア
「そうよ。数年前からナーベルク帝国の子供達が
次々と
今回は私達
国境近くにある町に行くわ。
ゲイジュ 資料を読み上げて。」
そう言うとゲイジュは資料を取り出した。
ゲイジュ
「今回、行くのはナーベルク帝国最北端にある
魚と船の町イリスです。
漁師町としても造船業としても有名な町で
周辺の漁業を支える重要な拠点です。」
アイビー
「何年か前に小規模の侵略があった町よ。
あれからナーベルク帝国兵が常駐してたはずだけど
それが今朝、襲撃されたみたい。」
ゲイジュ
「そうです。
とりあえず俺らが行く前に帝国兵を
送り込んだみたいですけど連絡が途絶えました。
オルケイディア大隊長が緊急厳令を引き上げて
アナスタシア
「そうよ。オルケイディアが引き受けたということは
特務任務に
ラナンキュラス
「あぁ。
一気に
アイビー
「そうね。
だから4人だけで行くことになってるの。」
ラナンキュラス
「すぐ終わるだろうね。」
アナスタシア
「こんな任務に時間をかけるまでもないわ。」
アイビー
「着陸後はナーベルク帝国兵と合流し
避難させた後、私達で片付けます。」
アナスタシア
「連絡が途絶えてから
まだ数時間しか経ってない。
戦況は読めないけど一気に叩き潰すわ。」
ゲイジュ
「では、これから
ラナンキュラス
「分かった。」
そして、4人は
アイビー
「いいの?ラナンが
アナスタシア
「国内よ?それに必要最低限の
すでにかけてあるわ。」
アイビー
「え!?そうなんですか?」
ゲイジュ
「俺が
大丈夫だ。」
ラナンキュラス
「また、腕を上げたね。ゲイジュ君」
ゲイジュ
「ラナンキュラス隊長ほどじゃないですよ。」
ラナンキュラス
「相変わらず、
僕の出る幕なんてどこにもなかったね。」
アイビー
「え?気づかなかった...もうかけてあるなんて」
ラナンキュラス
「
機体の表面上にかけた
見えなくした後に
その上から更に
隠したって事だね。」
ゲイジュ
「その通りですね。」
アイビー
「さすがはゲイジュ君。
副隊長で一番
うなずけるわね!」
ゲイジュ
「いや、俺がいくら
アナスタシア
「...飛ぶわよ。」
アナスタシアは一瞬、ゲイジュの顔を見た後
自動操縦モードへ
そして、機体はエンジンをフル回転させ
一気に飛び立った。
すると、アナスタシアとラナンキュラスは
コックピットへと向かい二手に分かれた。
ーーアイビーサイドーー
アイビー
「私はゲイジュ君の
思うけどなぁー。」
ゲイジュ
「急になんだよ。」
アイビー
「副隊長ってみんなさぁ
形状変化させて戦うのが基本でしょ?
なのに形状変化も無しに
戦うからすごいよね!!」
ゲイジュ
「別に俺だけじゃないだろ?
アイビー
「あぁ...キキョウって子だよね?
この前任務で一緒に行ったけど
指示を出してまとめるのが上手いって感じかな?
集団戦になれば力を発揮できると思うよ。
独自の戦略とかも考えてるみたいだし。」
ゲイジュ
「そうなのか。今度聞いてみよう。」
アイビー
「え?本人に!?」
ゲイジュ
「いきなり副隊長から話しかけられても驚くだろうから
キスツス隊長に聞いてみるさ。」
アイビー
「キスツス隊長に話しかけられる事じたい
驚くけどねー。」
ゲイジュ
「そうか?別に任務で一緒にいる時とかに
言えばよくないか?」
アイビー
「あまり
戦闘用特殊
ブーンって行って別れちゃうから
あまり話せないよねー。」
ゲイジュ
「確かに言われてみればそうだな...」
アイビー
「かと言って、副隊長のダイモンジさんって
全く話さないのか、話せないのか分からないけど
終始無言だしね。」
ゲイジュ
「ダイモンジさんはそうだな。
話しかけても無駄だな。」
アイビー
「戦闘になると流石はキスツス隊長の副隊長!!
って感じで凄いけどね。」
ゲイジュ
「片時も離れないなんて副隊長の
ゲイジュはニッコリと笑って
アイビーの顔を見た。
アイビー
「フフッ。少しは元気でた?」
ゲイジュ
「なんだよ。いきなり」
アイビー
「だって。おまけ って言った時の顔
少し怒ってるような気がしたんだもん。」
ゲイジュ
「怒ってないよ。事実だから。」
アイビー
「そんな事ないよ。
副隊長っていうのは隊長のおまけなんかじゃない。
副隊長は隊長の後ろを守る。
隊士達の前を守る。立派な役目なのよ。
だから、あんな悲しい事 言わないで。
ゲイジュ君はみんなを守るヒーローなんだから」
ゲイジュ
「ヒーローか。
でも
比べたら大した事ないだろ?」
アイビー
「
それぞれ役目を背負ってるから
比べるベクトルが違うでしょ?
だから人類の中なら
副隊長が一番強いしカッコイイと思う!
例外とする!!!」
ゲイジュ
「アハハ!!なんだよそれ!!」
アイビー
「ウフフッ!!
あっ!!見て!!海が見えるよ!!」
ゲイジュ
「そりゃぁ港町だからな」
アイビー
「私、海好きなんだぁ」
ーーラナンキュラスサイドーー
ラナンキュラス
「アナスタシア。大丈夫かい?」
アナスタシア
「心配ないわ。」
ラナンキュラス
「僕は誤魔化せないよ。
さっきほんの一瞬、
ゲイジュ君と何かあったのかい?」
アナスタシア
「何もないわ。
ラナンキュラスはしばらく見つめた後
優しく微笑んだ。
ラナンキュラス
「フフッ。そうか。ゲイジュ君とアナスタシアは
付き合いが長いからね。
色々とあるのも仕方がないさ。
深く考えることはないよ。」
アナスタシア
「そうね。
ラナンキュラスこそ家は大丈夫なの?」
ラナンキュラス
「バンジャマン家は相変わらずさ。
僕が隊長になってから
少しはマシになったけど
家を継げって言われちゃってさ。
でも兄貴がいるからね。
このまま兄貴が継げばいいさ。
僕は興味ないなー。」
アナスタシア
「そうなの。
でもツバキもジジも家を継ぐみたいよ。」
ラナンキュラス
「あの2人と君は継げばいいさ。
アキレイはもう継いだみたいだけど
僕は六大貴族とか興味ないし
アイビーと出来るだけ長くいられれば
それで構わない。」
アナスタシア
「そんな単純なものじゃないわよ。」
ラナンキュラス
「そうだよね。
グレイ家はラッキーだった。
キスツスがいたから
まだ幼いガーベラちゃんが継ぐ事は無くなったし」
アナスタシア
「あそこはもっと複雑よ。」
ラナンキュラス
「そうだね。心中をお察しするよ。
レンゲイも大変だよね。
色々巻き込まれちゃってさ。」
アナスタシア
「ガーベラとの婚儀なんてバカげてるわ。
ラナンキュラス
「キスツスは笑い飛ばしてたけど
レンゲイは本当に困ってたんだよ?」
アナスタシア
「くだらないわ。
貴族が没落するなんて
余程の事がなければ有り得ないわ。」
ラナンキュラス
「力を
人の
息苦しいよね。今は戦争中なのに。」
アナスタシア
「戦争中だから余計なのよ。
より力がある者が生き残る。」
ラナンキュラス
「やっぱり...僕は興味ないな。」
すると、扉がウィンと開いた。
ゲイジュ
「そろそろだろ?アナスタシア」
アイビー
「まだ遠いから見えないけど
こんな
アナスタシア
「そうよ。先の侵攻で焼き払われたのよ。
そろそろステルスモードに変えるわ。」
アナスタシアはそういうと
コックピット付近にあるボタンを押した。
みるみる透明化していく
完全に外の景色と同化した。
ラナンキュラス
「どこに着陸するんだい?」
アナスタシア
「あそこよ」
ラナンキュラス
「なるほど」
ーー10分後ーー
上空にいた。
すぐ下ではラミオラス帝国兵と
ナーベルク帝国兵が争い
銃声と兵器の怒号が響いていた。
戦況は
イリスの住民を守りながら戦うナーベルク帝国兵が
やや押されていた。
アイビー
「良かった...戦況は悪くない!!」
ゲイジュ
「何を考えてるんだアナスタシア!!
一斉に狙われるぞ!!」
アナスタシア
「何を言ってるの?ゲイジュ」
ラナンキュラス
「僕達が来たんだ。
それだけで
アイビー
「ハッチを開いてゲイジュ君!!」
ゲイジュ
「ったく!!!!!」
ゲイジュはハッチ付近のボタンをガンッと殴ると
するとゲイジュが大声で叫んだ。
ゲイジュ
「滞空モード!!オン!!
遠隔操作にシフトチェンジ!!」
機械音
((オンセイニュウリョクカンリョウ
タイクウモードオン...
エンカクソウサ 二 シフトチェンジ シマス))
ラナンキュラス
「準備はいいかい?」
ゲイジュ
「減速は任せろ!!!設定は15秒だ!!」
アイビー
「分かったわ!!」
ラナンキュラス
「ありがとう」
アナスタシア
「いくわよ!!」
そして、ゲイジュを先頭に
次々と飛び降りていった。
ゲイジュは空中で後ろを振り返ると
ゲイジュ
『
『
するとゲイジュを中心に空間が
徐々に広がっていった。
ラナンキュラス
「へぇ、時限式空間
時限式空間
空間系に属する
指定した時間内まで
氷雪系、波動系、空間系の
難易度が高いとされ
扱える者が非常に少ないとされている。
さらに、
大幅に削られる為 好んで使われる事もない。
しかし、ゲイジュに関しては
同じぐらいあり
空間系の
空間系を操る
扱う事ができる唯一の
ゲイジュ
「今だ!!解放しろ!!!」
アイビー
「ぇえ!!」
『
『
「形状変化!!解放!!!」
『
アナスタシア
『『天輪•
一手•二手と神の
天地を仰ぎ 地に堕ち逆巻け!!!!』』
『『
ラナンキュラス
『『
そして
『『
深緑色の粉を撒き散らしながら
2つの
そして、重力を
グングンと落下していった。
空は曇り稲妻が走り抜けると
雨が降り始めた。
ゲイジュ
「3.2.1!!
イリスの町のど真ん中に
アナスタシア達はフワッと着地した。
すると、ナーベルク帝国兵達の歓声が上がる。
アナスタシア
「ナーベルク帝国に土足で踏み入れた事を
後悔させるわ。」
ラナンキュラス
「
僕らの国をこれ以上、襲わせやしない。」
アイビー
「ナーベルク帝国兵!!下がりなさい!!」
ゲイジュ
「後は俺たちに任せろ!!!」
するとナーベルク帝国兵達は逃げるように
去っていった。
ゲイジュ
「そんな勢いよく逃げなくてもいーのにな。」
アイビー
「仕方ないわよ。
アナスタシア
「ゲイジュ!!私達は北へいく!!」
ラナンキュラス
「じゃぁ僕らは南に行くよ。」
アイビー
「いいの?私と一緒で。毒に侵されるわよ?」
ラナンキュラス
「フフッ。
君の毒なら侵されても構わないさ。」
アイビー
「でも。少しだけ離れてね。ラナン」
ラナンキュラス
「ぁあ。すぐ迎えにいくよ。」
アナスタシア
「行くわよ。ゲイジュ。」
そう言うとアナスタシアとゲイジュは
北へと向かっていった。
アイビー
「ラミオラス帝国兵さん達も
逃げなくて良いのかしら?」
しかし、ラミオラス帝国兵は
アイビー
「...遠慮はいらなそうね...」
アイビーはバッと
ラミオラス帝国兵はフラフラと揺れ始めた。
アイビー
「フフッこの甘い香りに気づいた?
だけどもう遅いよ。」
『
「甘美な世界を見せてあげる」
『
アイビーは2枚の
左右に振りながら華麗に舞うと
降り注ぐ雨と深緑色の毒の風が混ざり合い
次々とラミオラス帝国兵に向かって吹きつけた。
そして叫び声を上げる間も無く
バタバタと倒れていくラミオラス帝国兵達。
その身体には赤い
浮かび上がっていた。
アイビー
「綺麗な花には毒があるのよ。知ってた?」
ラミオラス帝国兵は恐ろしさのあまり
次々と逃げていった。
すると突然、バチッとラナンキュラスが真横に現れた。
ラナンキュラス
「相変わらず容赦ないね。アイビー。
毒を好んで使う人は
君だけだよ。」
アイビー
「あら?そうなの。」
ラナンキュラス
「だからこそ君は唯一無二だ。」
アイビー
「フフッ。いつだって優しいのね。」
ラナンキュラス
「当たり前だろ?
さぁ。今度は僕の番だ。
アイビーが時間稼ぎしてくれてる間に
周辺のラミオラス帝国兵を
雷速状態で斬って来た。
残りは目の前の兵士達だけだね。
終わらせよう。」
ラナンキュラスは
天に向けると
ラナンキュラス
『
すると、ドドドドドドドドと上空の雷雲から
ラミオラス帝国兵一人一人に向かって
ラナンキュラス
「こっちは終わった。
後はアナスタシア達だけだね。」
ーーアナスタシアサイドーー
アナスタシア
「ゲイジュ!!ナーベルク帝国兵に
ゲイジュ
「もうやってる!!
住民の避難とナーベルク帝国兵は
東に逃げられたそうだ!!
全て身につけている鉄は外させた!!」
アナスタシア
「分かったわ!!
では、一気にカタをつける!!」
『
アナスタシアが
貴金属だけが次々と集まっていく。
それに釣られてラミオラス帝国兵も
次々と集まっていった。
ゲイジュ
「磁力だけを重力で引き寄せる
いつ見ても
アナスタシア
「行くわよ。」
ゲイジュ
「もういいのか?」
アナスタシア
「後は勝手に集まって潰されていくだけよ。
北の土地には申し訳ないけど
跡形もなくなるわね。
必要とあれば帝国が再建するでしょう。」
ゲイジュ
「おそらくここはラミオラス帝国に最も近い。
新たに
サラ地だと再建も早いだろうな。」
アナスタシア
「そう言うことよ。
私達
戦闘を許可されると言う事は
そういうことも判断しろって事なのよ。」
ゲイジュ
「相変わらず嫌な国だな。」
アナスタシア
「自国の事をそう言う風に言うのは良くないわよ。
副隊長としての自覚を持ちなさい」
するとゲイジュは
うつむいていた。
ゲイジュ
「...そうだな。」
アナスタシア
「...ラナンキュラスと合流して帰るわよ。」
ーー5分後ーー
4人は
帰路についていた。
ラナンキュラス
「アナスタシア...あれは思い切ったね...」
アナスタシア
「安心して。
ナーベルク帝国兵と住民は東に向かったわ。」
アイビー
「東?どこですか?」
アナスタシア
「いくつか町はあるけど
どこに向かわせたの?」
ゲイジュ
「
ナーギィクントージャだ。
他の子供も沢山向こうで
アイビー
「あらかじめ決めてたの?」
ゲイジュ
「俺が指示した。
少し距離はあるがここよりは安全だろ?」
アイビー
「まぁそうだけど
国境付近には変わりないから大丈夫かしら」
ゲイジュ
「そのうち何処かに移るさ」
アナスタシア
「随分と段取りがいいのね。
それに今は安全とは呼べないわよ。
国境付近は危険だわ。
とりあえず一時的に避難するという事で
近々、子供達だけでもルシファンブルクに
呼んだ方がいいわね。」
ゲイジュ
「それは
俺たちが決める事じゃない。」
ラナンキュラス
「まぁ、突然の事だったから今はよそう。」
アイビー
「そうね。でも、あっけなかったわね。」
ゲイジュ
「
そんなもんだろ。」
ーー15分後ーー
ナーベルク帝国
ラナンキュラス
「じゃぁ僕らは戻るよ。
おそらく次の任務の通達が来るまで
時間があるから、しばらくは羽を伸ばすさ。」
アナスタシア
「分かったわ。
私はこれからオルケイディアに報告してくる。
ついでにナーギィクントージャの件も伝える。」
ラナンキュラス
「分かった。
オルケイディア大隊長に
よろしく伝えといてくれ。」
アナスタシア
「ぁあ。」
ゲイジュ
「では、また。」
アイビー
「またねゲイジュ君」
アイビーが手を振ると
アナスタシアとゲイジュは去っていった。
ーー
ラナンキュラス
「で。早く戻って来れたけど
少し気がかりだね。」
アイビー
「うん。あまりにも簡単な任務だったから。」
ラナンキュラス
「最近は小競り合いが多い。」
アイビー
「ラミオラス帝国の軍団長が
来ないだけいいじゃない。
それともジニア隊長にラミオラス帝国について
聞いてみよっか?」
ラナンキュラス
「いや、それよりもナーベルク帝国内だよ。」
アイビー
「どういう事?」
ラナンキュラス
「...いや、何でもない。帰ろうか。」
アイビー
「そうね。
じゃぁ私はここで!」
ラナンキュラス
「え?」
アイビー
「夜になったら、迎えに来てね!!」
ラナンキュラス
「いいけど、どこ行くんだい?」
アイビー
「内緒!!」
ラナンキュラス
「フフッ。分かったよ。」
アイビー
「じゃあね!」
ラナンキュラス
「ぁあ。夜になったら迎えに行くよ。」
アイビーは手を振って自宅へと帰っていった。
ラナンキュラス
「ふぅ。
報告書の事、忘れてないかなー。アイビー。
あれ、なんだ?扉が開かない...
また、壊れたのかな?」
ラナンキュラスは格闘する事10分
ようやく
ラナンキュラス
「いい加減アキレイに修理してもらわないとな。
やぁ、みんな!!ただいま。」
いつもの様に隊士達の黄色い声援を受け
ねぎらいの言葉を一つ一つ述べると
ラナンキュラスはエレベーターで
最上階の
ラナンキュラス
「...もう夕方か。
最近は時間の流れを速く感じるよ。」
ふと、窓の外を見たラナンキュラスは
赤い夕日を見てそっと呟いた。
ラナンキュラス
「なんて綺麗なんだ。」
ラナンキュラスは隊長室前に到着すると
扉を開けた。
アイビー
「お帰り。」
ラナンキュラス
「あれ?帰ったんじゃ...」
アイビー
「忘れてないかなぁ??」
ラナンキュラス
「報告書かい?」
アイビー
「違うよ。」
ラナンキュラス
「え...なんだろう」
アイビー
「大切な月でしょ?」
ラナンキュラス
「大切な月??」
アイビー
「そうよ。
あなたにとって大切な月。
私にとって特別な月。」
ラナンキュラス
「君といられる全ての月が
僕にとって大切な月だよ。」
アイビー
「私も同じ気持ちよ。
だけど今月はもっと大切でしょ?」
ラナンキュラス
「あっ」
アイビー
「フフッ。ラナンは可愛いね。」
ラナンキュラス
「君には敵わないさ。」
するとアイビーは後ろに組んでいた手を
前にバッと出した。
アイビー
「ラナンキュラス。
生まれて来てくれてありがとう。
永遠に愛してる。」
そう言ってアイビーは小さな花束を
ラナンキュラスに手渡した。
ラナンキュラス
「...ありがとうアイビー
僕も永遠に愛してる」
アイビー
「それと、これも」
さらにアイビーは小さな箱をパカっと開けると
そこにはピアスが二つ入っていた。
ラナンキュラス
「これは......僕が欲しかったピアス」
アイビー
「いつも言ってたから買っちゃった。」
ラナンキュラス
「でも、これ高いでしょ??」
アイビー
「気にしないで。
この前の私の誕生月には
海を貸し切ってくれたじゃない。
それに...あなたと出会えて私は
とっても幸せなの。
私のかけがえのない宝物。
あなたの笑ってる顔が私は好きなの。」
ラナンキュラス
「アハハ...改めて言われると照れるなぁ。」
アイビー
「ほら!!付けてあげる。かがんで。」
アイビー
「…はい!!凄く似合ってる!!
何でも似合うけど一段とかっこよくなったね!」
ラナンキュラス
「ありがとうアイビー。
一生付けることにするよ!!」
アイビー
「たまには外して洗ってよね!!」
ラナンキュラス
「フフッそうだね」
アイビー
「もうっラナンったら
任務で飛び回って忙しかったのは分かるけど
月の最後の3日間を祝うの忘れてなかった?
ナーベルクのしきたりなんでしょ?」
ラナンキュラス
「大人になると忘れちゃうもんだね。」
アイビー
「ラナンが忘れても私は忘れないからね。
例え、私が死んだとしても
私はあなたを忘れない。」
そう言うとアイビーはグッと胸を抑えた。
ラナンキュラス
「ん?どうしたんだい?」
アイビー
「ううん。なんでもなーい!!」
そう言うとアイビーは
ラナンキュラスにそっとキスをした。
アイビー
「…愛してる。ラナンキュラス」
ラナンキュラス
「アイビー...僕も愛してる」
アイビー
「フフッ...なんで泣いてるの?」
ラナンキュラス
「あれ...なんだろう...涙...
なんだこれ...記憶と違う...
この後、君は僕に...僕に」
アイビー
「記憶?どうしたの?」
ラナンキュラス
「僕は...僕は...
君が死んで...
死んで...いや、死んでしまった!!!!」
アイビー
「ラナン?大丈夫!?ラナン!?」
ラナンキュラス
「僕は!!!!!!!!!!!
僕は!!!!!!!
ァアァアァア"ア"
ァアァアァア"ア"ァア
ァアァァアァアァア"ア"ア"ア"
ァアァアァア"ア"
ァアァアァア"ア"ァア
ァアァァアァアァア"ア"ア"ア"!!!!!!!!!」
ーーそして現在ーー
ラナンキュラスはジギタリアスの
ジギタリアスはラナンキュラスの雷撃に
ジギタリアス
「アガガガガガガガ
アガガガガガガガ
アガガガガガガガ
アガガガガガガガ
アガガガガガガガ
アガガガガガガガ!!!!!!!!!」
ラナンキュラス
「ァアァアァア"ア"
ァアァアァア"ア"ァア
ァアァァアァアァア"ア"ア"ア"
ァアァアァア"ア"
ァアァアァア"ア"ァア
ァアァァアァアァア"ア"ア"ア"!!!!!!!!!」
ラナンキュラスの
次々と鎖が溶けていくと
ジギタリアスはそれを目の
ジギタリアス
「こんなッ!!!
『
ラナンキュラス
「アガッ!!!」
ジギタリアスは
全て消すと改めて鎖を背中から出した。
ラナンキュラス
「自動...再生...いや、再召喚か!!」
ジギタリアス
「ォォォォオオオ!!!!」
『
ラナンキュラスの
ジギタリアスは
雷速で距離を取った。
ラナンキュラス
「はぁっ...はぁ...ウグッッ...」
身体中に穴が開き血がドバドバと流れる。
ラナンキュラスはゆっくりと膝をついた。
ジギタリアス
「まさか...それで死なねぇのかよ...」
ジギタリアスも雷速を解き膝をついた。
ラナンキュラス
「ア...イ...ビーを殺したお前...を...許さない...」
『
ラナンキュラスは弱々しく呟くと
傷を癒していった。
ジギタリアス
「嘘...だろ...その傷でも...治せるのかよ...」
ラナンキュラス
「
過度の傷は...命を削って...癒す...
そして...削る命...が無くなった時...初めて死ぬんだ。」
ジギタリアス
「元々、傷を...与えるのも...
苦労する
命を...削って癒すってかよ。
何でも...ありじゃねぇか...
奇遇だな......
そりやぁあ同じだ!!!!!!!!」
ラナンキュラス
「
ジギタリアス
「
二種類有るんだよ!!
だがオリジナルの
戦闘用に改良した
ォォォォオオオ!!!!!!!!!!」
『
ラナンキュラス
「なんだ...と?傷が...」
ジギタリアスは
自身の胸を
傷がみるみる癒えていった。
ジギタリアス
「そして!!
普段は抑制してるが
それを操る事が出来る!!!」
ラナンキュラス
「まさか!!!!!!」
ジギタリアス
「ぁあ。そうだ。
これから本当の力を解放してやるよ。
ラナンキュラス。
これで
ラナンキュラス
「本当の力...だと!?させるか!!!!!」
『
『『
ー
おまけ
ここはオルケイディアがナーベルク帝国内に
いくつも作ってある隠しアジトの1つ
そこには
ナーベルク帝国が誇る4人の偉人の内2人と
そして、
クリシャンテが連れ去られた理由の手がかりとされる
デイジー=デイ=アパパパーヤンの姿があった。
レンゲイ
「デイジーさんには申し訳ないと思いますが
帝国の
大人しくしてください。
何度もいいますけど
出来れば手荒な真似をさせないでください。」
オルケイディア
「手荒な真似をしても構わん。やれ。」
デイジー
「ちょ!!ちょちょちょちょちょ
待ってくれYO!!!!
何も知らないZE!?俺は知らないんだっTE!!」
プラム
「お願いします。アパパパーヤン。」
デイジー
「え!?そっちで呼ぶのKAI!?」
オルケイディア
「なんだ。ツッコめる元気はあるみたいだな。
意外と余裕じゃあないか。
しかし、ウダウダするなら手足を切り落とすぞ」
デイジー
「イヤァーー!!!!
大隊長!!それはやりすぎだZE!?
アキレイを!!アキレイを呼んでくれYO!!
プラム様は神の世代だLOW!?
同期の頼みなら来てくれるSA!!」
プラム
「残念ですがアキレイは
ナーベルク帝国にはいませんよ。
それに他の同期の
ジジもラナンも全員
今は帝国内に隊長、副隊長は半分しかいませんし」
レンゲイ
「神の世代ですか...今もなお
ナーベルク士官学校で伝説になっています。
ですが、アナスタシアさんの世代は
アナスタシアさんの
恐怖政治のようだったと聞いています。」
プラム
「詳しいわね。」
レンゲイ
「ガーベラくんから
話だけはよく聞いてましたから」
デイジー
「はぁ...ダメみたいだNE...
分かったYO
俺の頭ん中を覗けばいいYO!!
これで俺の頭もアパパパーSA!!」
デイジーは観念したかの様に
大人しくなった。
オルケイディア
「貴様も
覚悟を決めろ。」
プラム
「これはあなたの為でもあるんですよ。」
レンゲイ
「では、始めたいと思いますが
壊れてしまうので
ここで解放するわけにはいきません。
かと言って未解放で
なのでオルケイディアさん。今回はーー」
「少しでも分かればいい」
レンゲイ
「分かりました。
ほんの少しだけ離れて下さいね。」
プラム
「お願いします。」
レンゲイ
『
レンゲイ
『
デイジー
「アパパパパパパー!!!!
眩しいYO!!!!見えないYO!!!」
レンゲイがそう叫ぶと身体が光だし
桜の花びらがフワりと舞った。
そして、レンゲイの身体には桜色の
薄っすらと
プラム
「これが...
"
本来、
その力を数倍に引き出す事ができる
解放の余波で周りの建物などを巻き込んでしまうが
その心配も恐れもない。
いわゆる擬似解放に近い状態である。
ただし、その擬似解放時間は約三分間
そして、一日一度が限度である。
レンゲイ
「時間がありません。」
オルケイディア
「ぁあ。」
デイジーは目を閉じて下を向いた。
レンゲイ
『
レンゲイはデイジーに手をかざすと
枝が次々と伸びデイジーの身体に絡み付いた。
レンゲイ
「
クリシャンテとの最後の記憶まで
我を導きたまえ」
すると、
デイジーの視点から見える映像が浮かび上がり
オルケイディア達は無音の映像を眺めた。
プラム
「ここは...
映像の中のデイジーは司令部の扉をノックすると
そこには背中を向けたクリシャンテが映っていた。
司令部の大きな窓は遮光カーテンで塞がれ
様々な機器の真横に大きな花瓶が置いてあった。
オルケイディア
「あやつめ...司令部で何をしている。」
プラム
「でも、寄るのは変じゃないですよ。
情報を統べるのがお仕事ですし
そもそもクリシャンテ様ですからね。
それを
オルケイディア様ですから。」
オルケイディア
「確かにそうだが...何故、司令部に...」
レンゲイ
「誰かがいる様子もありませんね。」
プラム
「でも何か話していますわ。」
オルケイディア
「ん?
プラム
「声は聞こえないのですか?」
レンゲイ
「やめた方がいいです。
脳が耐えられません。
死んでも構わないというのなら
試すことも出来ますが
オススメは出来ないです。
視界を再生するだけにした方がいいですよ。」
プラム
「そうなのですね...」
オルケイディア
「一瞬、音をだしてみろ。一瞬でいい。」
レンゲイ
「最長でも5秒です。
それ以上はご協力できません。」
オルケイディア
「構わん。それで充分だ。」
レンゲイはうなだれるように
首を横に振りながらデイジーにかざす手を
グイッとひねった。
レンゲイ
「音を出します。」
ドンチャン♪ドンチャン♪
ドンチャン♪ドンチャン♪ と
音楽が流れていた。
オルケイディア
「もういい。止めろ。」
プラム
「はぁ。ヘッドホンから
音楽聴いていたのですね。」
オルケイディア
「これが終わったら殺してやる」
レンゲイ
「アハハ...結局無駄でしたね。」
オルケイディア
「そうだな。
おいみろ、やっとクリシャンテが気づいたぞ。
手に何か持ってるな...
いや、待て...クリシャンテほどの男が
背後の気配に気づかない訳がない...
プラム
「確かに変ですね。」
オルケイディア
「
プラム
「気づかないほど重大な事だったかもしれませんよ。
オルケイディア様
もう少し様子を見てみましょう。」
するとデイジーに気付いたクリシャンテは
手に持った紙を近くの花瓶の中にスッと入れて
ゆっくりと近づいて来た。
オルケイディア
「今、紙を入れたな...
それに血相を変えて怒っているように見える。
一体何があったのだ。」
プラム
「報告では
花瓶の事は記されてありませんでした」
オルケイディア
「後で調べるか...ん!?何!?」
突然クリシャンテの姿が消え
それと同時に映像も途切れてしまった。
プラム
「消えた...」
オルケイディア
「レンゲイ!!少し巻き戻せ!!!」
レンゲイ
「分かりました!」
オルケイディア
「そうだ!!そこだ!!止めろ!!」
レンゲイは消える瞬間の映像で止めた。
クリシャンテの真後ろに映っていた人物を見て
オルケイディア、レンゲイ、プラムは言葉を失った。
プラム
「待ってください...なんで...ここに
なんでここにいるの!!!」
レンゲイ
「...なんでここに」
オルケイディア
「天王軍 団長 及び 天王空軍"ウラノース"
ルビウス=ドレーク」
プラム
「なんで...ルビウスが...」
レンゲイ
「プラムさん...顔色が悪いですが大丈夫ですか?」
オルケイディア
「ルビウスはプラムと同じ神の世代の1人だ。
もちろんアキレイ達もよく知っている。」
プラム
「オルケイディア様...まずいです。」
オルケイディア
「ぁあ。トギリ、ソープワイトと続く
ラミオラス帝国軍の三軍が一人
その団長が帝国に足を踏み入れている!!
レンゲイ!!今すぐ
各隊の隊長格を集めろ。
他隊士はルビウスとクリシャンテの捜索にあてろ!!
まだ近くにいるかもしれない!!
プラム!!ダリア城を封鎖する
今すぐ整えろ!!」
プラム
「分かりました!!」
レンゲイ
「デイジーさんは僕の
厳重に保護します。」
オルケイディア
「分かった。」
プラム
「オルケイディア様はどうしますか?」
オルケイディア
「私はあの花瓶の中身を調べにいく。」
プラム
「分かりました。では武運を」
レンゲイ
「武運を」
レンゲイは
デイジーを立ち上がらせ
プラムと部屋を出て行った。
オルケイディア
「絶対に...させん。
先のルシファンブルクの強襲の二の舞など
させてたまるか!!!!!!!!!!!」
(完)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます