35話 I send you a bouquet of flowers

前回までの千刃花センジンカ〜帝国特務テイコクトクム戦闘部隊〜セントウブタイ


数年前

八刃花隊ハチジンカタイ隊長ラナンキュラスは

当時、海王軍の団長であったジギタリアスに

副隊長でもあり恋人でもあったアイビーを

目の前で殺された。

復讐を誓ったラナンキュラスは

現在冥府大監獄ゲヘナプリズンにて

宿敵ジギタリアスと再び対決することになり

互いに命を削る激闘を繰り広げていた。



ジギタリアス

「クックックッ...

久しぶりじゃねぇか。ラナンキュラス。

元気そうじゃねぇかよ。」



ラナンキュラス

「突入直後は分からなかった。だけど...

やっと見つけた...。

やっと見つけたよ...。」


ジギタリアス

「ガッハッハッハ!!!!

お前に向けて刃汽ジンキを放ってりゃあ

見つけられるだろうよ!!!」



ラナンキュラス

幾年イクトシどれだけの歳月サイゲツが流れようと

僕はあの日から誓ったんだ。」


ジギタリアス

「誓った?」


ラナンキュラス

「そうだ。。あの日アイビーに誓った。

命を賭けて!!!!!!!

お前を殺すと!!!!!!!!!」



作者 REN’sJackson

千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

煉獄レンゴク 冥府ゲヘナ大監獄プリズン

Seasonシーズン18 エイティーン

I sendアイ センド you a ユー ア bouquet ブーケ of flowersオブ フラワーズ



ここは八刃花隊ハチジンカタイ隊舎タイシャにある隊長室

煌びやかな装飾と沢山の花でイロドられ

ほのかに紅茶の香りで部屋は満たされていた。


ラナンキュラス

ズズーッすする音 フフッ

相変わらず...君の淹れる紅茶は美味しいね。

アイビー副隊長」



八刃花隊ハチジンカタイ隊長ラナンキュラスは

白い陶器トウキのティーカップをデスクに置き

ニッコリと女に微笑んだ。


アイビー

「毎回そう言ってくれるなんて

淹れがいがあるわね。ラナン」


ラナンキュラス

「君が淹れるから美味しいのかもしれない。」


アイビー

「フフッ。そうかもね。

でも、今日は特別よ?」


ラナンキュラス

「どうしてだい?」


アイビー

「忘れたのぉ??」


ラナンキュラス

「...思い出せないな」


アイビー

「分かった。楽しみにしててね!」


  ラナンキュラスブツブツと小声で

「アイビーとの記念日でもなければ

任務完了の打ち上げでもない...

アキレイのとこの会社の祭典...いや違うな...」



すると、アイビーはラナンキュラスの後ろから

腕を絡ませて耳元で囁いた。


  アイビー囁きながら

「帰ってからのお楽しみよ」



そしてラナンキュラスはアイビーを見つめて

優しく微笑んだ。


ラナンキュラス

「そうか...帰ってからが楽しみだな。

今夜の為に早く帰ろう。」


アイビー

「そうね。」



するとノックがトントンと聞こえ

勢いよく扉が開いた。


アイビー

「ん?誰かしら?どうぞーー」


  アナスタシア食い気味に

「いくぞ。」


ゲイジュ

「アナスタシア!!

入って良いなんて言われてないだろ?」


アナスタシア

「入るなとも言われていないわ。」



扉が開くとそこには

七刃花隊ナナジンカタイ隊長アナスタシアと

副隊長であるゲイジュが立っていた。


ゲイジュ

「ったくそういう問題じゃないだろう!!

すみませんラナンキュラス隊長...アイビー副隊長」


ラナンキュラス

「い...いや、突然来るのは慣れたけど

今日はノックをしたことに驚いたよ。」


アナスタシア

「私がノックをしないとでも?」


ゲイジュ

「ノックは俺がしたんですけど

アナスタシアが急に開けるんで

驚きましたよね。すみません」


アイビー

「い、いいのよ!!

わざわざ迎えに来てもらってすみません。

アナスタシアさん。」


アナスタシア

「隣の隊舎タイシャだから寄っただけよ。

それで、いつまで腕を絡めてるのかしら?」



その言葉にビクッとしたアイビーは

顔を真っ赤にしながら離した。


アイビー

「あっ」


ラナンキュラス

「それで、用件は

任務の打ち合わせかな?アナスタシア」


アナスタシア

「そうよ。数年前からナーベルク帝国の子供達が

次々とサラわれているのは知ってるわよね?

今回は私達七刃花隊ナナジンカタイ八刃花隊ハチジンカタイ

国境近くにある町に行くわ。

ゲイジュ 資料を読み上げて。」



そう言うとゲイジュは資料を取り出した。


ゲイジュ

「今回、行くのはナーベルク帝国最北端にある

魚と船の町イリスです。

漁師町としても造船業としても有名な町で

周辺の漁業を支える重要な拠点です。」


アイビー

「何年か前に小規模の侵略があった町よ。

あれからナーベルク帝国兵が常駐してたはずだけど

それが今朝、襲撃されたみたい。」


ゲイジュ

「そうです。

とりあえず俺らが行く前に帝国兵を

送り込んだみたいですけど連絡が途絶えました。

オルケイディア大隊長が緊急厳令を引き上げて

千刃花センジンカが担当することになったんです。」


アナスタシア

「そうよ。オルケイディアが引き受けたということは

特務任務にアタイするということ。」


ラナンキュラス

「あぁ。鞘花ショウカを派遣して

一気に収束シュウソクしろってことだね。」


アイビー

「そうね。

だから4人だけで行くことになってるの。」


ラナンキュラス

「すぐ終わるだろうね。」


アナスタシア

「こんな任務に時間をかけるまでもないわ。」


アイビー

「着陸後はナーベルク帝国兵と合流し

避難させた後、私達で片付けます。」


アナスタシア

「連絡が途絶えてから

まだ数時間しか経ってない。

戦況は読めないけど一気に叩き潰すわ。」


ゲイジュ

「では、これから六刃花隊ロクジンカタイ飛行場 にある

七刃花隊ナナジンカタイ専用魔進マシン 飛空水5フラミンゴで向かいます。」


ラナンキュラス

「分かった。」



そして、4人は六刃花隊ロクジンカタイ隊舎タイシャ

隣接リンセツされている飛行場へとやってくると

飛空水5フラミンゴへと乗り込んだ。


アイビー

「いいの?ラナンが刃術ジンジュツをかけなくて。」


アナスタシア

「国内よ?それに必要最低限の刃術ジンジュツ

すでにかけてあるわ。」


アイビー

「え!?そうなんですか?」


ゲイジュ

「俺が幾重イクエにもかけてあるから

大丈夫だ。」


ラナンキュラス

「また、腕を上げたね。ゲイジュ君」


ゲイジュ

「ラナンキュラス隊長ほどじゃないですよ。」


ラナンキュラス

「相変わらず、刃術ジンジュツの腕はピカイチだよ。

僕の出る幕なんてどこにもなかったね。」


アイビー

「え?気づかなかった...もうかけてあるなんて」


ラナンキュラス

光彩コウサイ刃術ジンジュツだよ。

機体の表面上にかけた刃術ジンジュツ

見えなくした後に

その上から更に

刃術ジンジュツ痕跡コンセキさえも

隠したって事だね。」


ゲイジュ

「その通りですね。」


アイビー

「さすがはゲイジュ君。

副隊長で一番刃術ジンジュツが得意なのも

うなずけるわね!」


ゲイジュ

「いや、俺がいくら刃術ジンジュツが凄くても

鞘花ショウカの皆さんの足元にも及ばない。

所詮ショセンはおまけだからな。」


アナスタシア

「...飛ぶわよ。」



アナスタシアは一瞬、ゲイジュの顔を見た後

自動操縦モードへ飛空水5フラミンゴを切り替えた。

そして、機体はエンジンをフル回転させ

一気に飛び立った。

すると、アナスタシアとラナンキュラスは

コックピットへと向かい二手に分かれた。


ーーアイビーサイドーー


アイビー

「私はゲイジュ君の刃術ジンジュツ凄いなーって

思うけどなぁー。」


ゲイジュ

「急になんだよ。」


アイビー

「副隊長ってみんなさぁ

形状変化させて戦うのが基本でしょ?

なのに形状変化も無しに刃術ジンジュツだけで

戦うからすごいよね!!」


ゲイジュ

「別に俺だけじゃないだろ?

二刃花隊ニジンカタイの副隊長代理だって

刃術ジンジュツだけらしいぞ。」


アイビー

「あぁ...キキョウって子だよね?

この前任務で一緒に行ったけど

刃術ジンジュツが得意ってより

指示を出してまとめるのが上手いって感じかな?

集団戦になれば力を発揮できると思うよ。

独自の戦略とかも考えてるみたいだし。」


ゲイジュ

「そうなのか。今度聞いてみよう。」


アイビー

「え?本人に!?」


ゲイジュ

「いきなり副隊長から話しかけられても驚くだろうから

キスツス隊長に聞いてみるさ。」


アイビー

「キスツス隊長に話しかけられる事じたい

驚くけどねー。」


ゲイジュ

「そうか?別に任務で一緒にいる時とかに

言えばよくないか?」


アイビー

「あまり二刃花隊ニジンカタイと一緒になっても

戦闘用特殊二輪駆動ニリンクドウ魔進マシン

ブーンって行って別れちゃうから

あまり話せないよねー。」


ゲイジュ

「確かに言われてみればそうだな...」


アイビー

「かと言って、副隊長のダイモンジさんって

全く話さないのか、話せないのか分からないけど

終始無言だしね。」


ゲイジュ

「ダイモンジさんはそうだな。

話しかけても無駄だな。」


アイビー

「戦闘になると流石はキスツス隊長の副隊長!!

って感じで凄いけどね。」


ゲイジュ

「片時も離れないなんて副隊長のカガミだよな!!」



ゲイジュはニッコリと笑って

アイビーの顔を見た。


アイビー

「フフッ。少しは元気でた?」


ゲイジュ

「なんだよ。いきなり」


アイビー

「だって。おまけ って言った時の顔

少し怒ってるような気がしたんだもん。」


ゲイジュ

「怒ってないよ。事実だから。」


アイビー

「そんな事ないよ。

副隊長っていうのは隊長のおまけなんかじゃない。

副隊長は隊長の後ろを守る。

隊士達の前を守る。立派な役目なのよ。

だから、あんな悲しい事 言わないで。

ゲイジュ君はみんなを守るヒーローなんだから」


ゲイジュ

「ヒーローか。

でも鞘花ショウカのカッコよさと

比べたら大した事ないだろ?」


アイビー

鞘花ショウカもあたし達も

それぞれ役目を背負ってるから

比べるベクトルが違うでしょ?

だから人類の中なら

副隊長が一番強いしカッコイイと思う!

鞘花ショウカは神様の力があるから

例外とする!!!」


ゲイジュ

「アハハ!!なんだよそれ!!」


アイビー

「ウフフッ!!

あっ!!見て!!海が見えるよ!!」


ゲイジュ

「そりゃぁ港町だからな」


アイビー

「私、海好きなんだぁ」



ーーラナンキュラスサイドーー


ラナンキュラス

「アナスタシア。大丈夫かい?」


アナスタシア

「心配ないわ。」


ラナンキュラス

「僕は誤魔化せないよ。

さっきほんの一瞬、刃汽ジンキが揺らいだね?

ゲイジュ君と何かあったのかい?」


アナスタシア

「何もないわ。杞憂キユウよ。」



ラナンキュラスはしばらく見つめた後

優しく微笑んだ。


ラナンキュラス

「フフッ。そうか。ゲイジュ君とアナスタシアは

付き合いが長いからね。

色々とあるのも仕方がないさ。

深く考えることはないよ。」


アナスタシア

「そうね。

ラナンキュラスこそ家は大丈夫なの?」


ラナンキュラス

「バンジャマン家は相変わらずさ。

僕が隊長になってから

少しはマシになったけど

家を継げって言われちゃってさ。

でも兄貴がいるからね。

このまま兄貴が継げばいいさ。

僕は興味ないなー。」


アナスタシア

「そうなの。

でもツバキもジジも家を継ぐみたいよ。」


ラナンキュラス

「あの2人と君は継げばいいさ。

アキレイはもう継いだみたいだけど

僕は六大貴族とか興味ないし

アイビーと出来るだけ長くいられれば

それで構わない。」


アナスタシア

「そんな単純なものじゃないわよ。」


ラナンキュラス

「そうだよね。

グレイ家はラッキーだった。

キスツスがいたから

まだ幼いガーベラちゃんが継ぐ事は無くなったし」


アナスタシア

「あそこはもっと複雑よ。」


ラナンキュラス

「そうだね。心中をお察しするよ。

レンゲイも大変だよね。

色々巻き込まれちゃってさ。」


アナスタシア

「ガーベラとの婚儀なんてバカげてるわ。

正家派セイケハの年寄りが騒いでるだけよ。」


ラナンキュラス

「キスツスは笑い飛ばしてたけど

レンゲイは本当に困ってたんだよ?」


アナスタシア

「くだらないわ。

貴族が没落するなんて

余程の事がなければ有り得ないわ。」


ラナンキュラス

「力を誇示コジしたくなるのが

人のサガなのかな。

息苦しいよね。今は戦争中なのに。」


アナスタシア

「戦争中だから余計なのよ。

より力がある者が生き残る。」


ラナンキュラス

「やっぱり...僕は興味ないな。」



すると、扉がウィンと開いた。


ゲイジュ

「そろそろだろ?アナスタシア」


アイビー

「まだ遠いから見えないけど

こんな荒地アレチが続くのね...」


アナスタシア

「そうよ。先の侵攻で焼き払われたのよ。

そろそろステルスモードに変えるわ。」



アナスタシアはそういうと

コックピット付近にあるボタンを押した。

みるみる透明化していく飛空水5フラミンゴ

完全に外の景色と同化した。


ラナンキュラス

「どこに着陸するんだい?」


アナスタシア

「あそこよ」


ラナンキュラス

「なるほど」



ーー10分後ーー

飛空水5フラミンゴはイリスのど真ん中

上空にいた。

すぐ下ではラミオラス帝国兵と

ナーベルク帝国兵が争い

銃声と兵器の怒号が響いていた。

戦況は五分五分ゴブゴブだが

イリスの住民を守りながら戦うナーベルク帝国兵が

やや押されていた。


アイビー

「良かった...戦況は悪くない!!」


ゲイジュ

「何を考えてるんだアナスタシア!!

飛空水5フラミンゴから出れば

一斉に狙われるぞ!!」


アナスタシア

「何を言ってるの?ゲイジュ」


ラナンキュラス

「僕達が来たんだ。

それだけで勝鬨カチドキを上げるさ」


アイビー

「ハッチを開いてゲイジュ君!!」


ゲイジュ

「ったく!!!!!」



ゲイジュはハッチ付近のボタンをガンッと殴ると

飛空水5フラミンゴのハッチが開いた。

するとゲイジュが大声で叫んだ。


ゲイジュ

「滞空モード!!オン!!

遠隔操作にシフトチェンジ!!」



機械音

((オンセイニュウリョクカンリョウ

タイクウモードオン...

エンカクソウサ 二 シフトチェンジ  シマス))


ラナンキュラス

「準備はいいかい?」


ゲイジュ

「減速は任せろ!!!設定は15秒だ!!」


アイビー

「分かったわ!!」


ラナンキュラス

「ありがとう」


アナスタシア

「いくわよ!!」



そして、ゲイジュを先頭に

次々と飛び降りていった。

ゲイジュは空中で後ろを振り返ると

刃術ジンジュツを発動した。


ゲイジュ

剋刃ゴクハ 三十七サンジュウナナ時天限装ジテンゲンソウ!!』

剋刃ゴクハ 十七ジュウナナ 浮天地遊フテンチユウ



するとゲイジュを中心に空間がユガ

徐々に広がっていった。


ラナンキュラス

「へぇ、時限式空間刃術ジンジュツか...」



時限式空間刃術ジンジュツとは

空間系に属する刃術ジンジュツの一種である。

指定した時間内まで

後術コウジュツ詠唱エイショウした刃術ジンジュツの発動を留める事ができる。

氷雪系、波動系、空間系の刃術ジンジュツ

難易度が高いとされ刃術ジンジュツの番号関係無く

扱える者が非常に少ないとされている。

さらに、刃術ジンジュツ容量、処理も

大幅に削られる為 好んで使われる事もない。

しかし、ゲイジュに関しては

刃術ジンジュツ容量が鞘花ショウカ

同じぐらいあり

空間系の刃術ジンジュツの才がある為

空間系を操る鞘花ショウカを除いて

扱う事ができる唯一の千刃花センジンカ隊士であった。


ゲイジュ

「今だ!!解放しろ!!!」


アイビー

「ぇえ!!」

滅刃メツハイチトウ

滅刃メツハ毒霞ドクガスミ!!』

「形状変化!!解放!!!」

揺蕩タユタえ...花魁毒綾女オイランドクアヤメ!!』


アナスタシア

『『天輪•咆哮ホウコウ 鉄の錫杖シャクジョウ

一手•二手と神の御手ミテ 強奪•脈拍 •朽ちる御心ミココロ

天地を仰ぎ 地に堕ち逆巻け!!!!』』

『『黒雨コクウ 烈刃レツジン黒雛クロビナ』』


ラナンキュラス

『『天輪テンリン遠鳴トオナリキラメく閃光

ウレい•黄昏タソガレ一矢イッシに消えよ

ホトバシれ  トドロかせ

そして彼方カナタ御•名オン ナを刻め!!!

『『紫苑シオン雷刃ライジン 葡萄染麒麟エビゾメキリン!!』』



深緑色の粉を撒き散らしながら

2つのオウギを構えたアイビーと

葡萄染エビゾメ色の紫の刀身に

イカヅチホトバシらせるラナンキュラス

そして、重力をマトった

真黒マクロな刀身を構えたアナスタシアは

グングンと落下していった。

空は曇り稲妻が走り抜けると

葡萄染麒麟エビゾメキリンの解放の余波により

雨が降り始めた。


ゲイジュ

「3.2.1!!時限解放ジゲンカイホウ!!パン手を鳴らす音



イリスの町のど真ん中に

アナスタシア達はフワッと着地した。

すると、ナーベルク帝国兵達の歓声が上がる。



アナスタシア

「ナーベルク帝国に土足で踏み入れた事を

後悔させるわ。」


ラナンキュラス

オノノくがいいラミオラス帝国

僕らの国をこれ以上、襲わせやしない。」


アイビー

「ナーベルク帝国兵!!下がりなさい!!」


ゲイジュ

「後は俺たちに任せろ!!!」



するとナーベルク帝国兵達は逃げるように

去っていった。


ゲイジュ

「そんな勢いよく逃げなくてもいーのにな。」


アイビー

「仕方ないわよ。

鞘花ショウカの戦いが始まるから」


アナスタシア

「ゲイジュ!!私達は北へいく!!」


ラナンキュラス

「じゃぁ僕らは南に行くよ。」


アイビー

「いいの?私と一緒で。毒に侵されるわよ?」


ラナンキュラス

「フフッ。

君の毒なら侵されても構わないさ。」


アイビー

「でも。少しだけ離れてね。ラナン」


ラナンキュラス

「ぁあ。すぐ迎えにいくよ。」


アナスタシア

「行くわよ。ゲイジュ。」



そう言うとアナスタシアとゲイジュは

北へと向かっていった。


アイビー

「ラミオラス帝国兵さん達も

逃げなくて良いのかしら?」



しかし、ラミオラス帝国兵は

果敢カカンにも向かってきた。


アイビー

「...遠慮はいらなそうね...」



アイビーはバッと花魁毒綾女オイランドクアヤメを構えると

ラミオラス帝国兵はフラフラと揺れ始めた。


アイビー

「フフッこの甘い香りに気づいた?

だけどもう遅いよ。」

滅刃メツハ 十三ジュウサン風切雨カザキリサメ!!』

「甘美な世界を見せてあげる」


アイビー囁くように

連舞•病牡丹レンブ シニボタン



アイビーは2枚のオウギ

左右に振りながら華麗に舞うと

降り注ぐ雨と深緑色の毒の風が混ざり合い

次々とラミオラス帝国兵に向かって吹きつけた。

そして叫び声を上げる間も無く

バタバタと倒れていくラミオラス帝国兵達。

その身体には赤い発疹ホッシン

浮かび上がっていた。


アイビー

「綺麗な花には毒があるのよ。知ってた?」



ラミオラス帝国兵は恐ろしさのあまり

次々と逃げていった。

すると突然、バチッとラナンキュラスが真横に現れた。


ラナンキュラス

「相変わらず容赦ないね。アイビー。

毒を好んで使う人は千刃花センジンカでも

君だけだよ。」


アイビー

「あら?そうなの。」


ラナンキュラス

「だからこそ君は唯一無二だ。」


アイビー

「フフッ。いつだって優しいのね。」


ラナンキュラス

「当たり前だろ?

さぁ。今度は僕の番だ。

アイビーが時間稼ぎしてくれてる間に

周辺のラミオラス帝国兵を

雷速状態で斬って来た。

残りは目の前の兵士達だけだね。

終わらせよう。」



ラナンキュラスは葡萄染麒麟エビゾメキリン

天に向けると紫電シデンホトバシった。


ラナンキュラス

導雷フルゴーラ



すると、ドドドドドドドドと上空の雷雲から

ラミオラス帝国兵一人一人に向かって

イカヅチが降り注いだ。



ラナンキュラス

「こっちは終わった。

後はアナスタシア達だけだね。」



ーーアナスタシアサイドーー


アナスタシア

「ゲイジュ!!ナーベルク帝国兵に

通信刃術ツウシンジンジュツを!!」


ゲイジュ

「もうやってる!!

住民の避難とナーベルク帝国兵は

東に逃げられたそうだ!!

全て身につけている鉄は外させた!!」


アナスタシア

「分かったわ!!

では、一気にカタをつける!!」

荒磁閉重アレジトドン



アナスタシアが黒雛クロビナを地面に刺すと

貴金属だけが次々と集まっていく。

それに釣られてラミオラス帝国兵も

次々と集まっていった。


ゲイジュ

「磁力だけを重力で引き寄せる荒磁閉重アレジトドン

いつ見ても黒雛クロビナの力は恐ろしいな...」


アナスタシア

「行くわよ。」


ゲイジュ

「もういいのか?」


アナスタシア

「後は勝手に集まって潰されていくだけよ。

北の土地には申し訳ないけど

跡形もなくなるわね。

必要とあれば帝国が再建するでしょう。」


ゲイジュ

「おそらくここはラミオラス帝国に最も近い。

新たにトリデを建造するのに

サラ地だと再建も早いだろうな。」


アナスタシア

「そう言うことよ。

私達鞘花ショウカ町中マチナカ

戦闘を許可されると言う事は

そういうことも判断しろって事なのよ。」


ゲイジュ

「相変わらず嫌な国だな。」


アナスタシア

「自国の事をそう言う風に言うのは良くないわよ。

副隊長としての自覚を持ちなさい」



するとゲイジュは怪訝ケゲンそうな顔つきで

うつむいていた。


ゲイジュ

「...そうだな。」


アナスタシア

「...ラナンキュラスと合流して帰るわよ。」



ーー5分後ーー

4人は飛空水5フラミンゴに乗り込み

帰路についていた。


ラナンキュラス

「アナスタシア...あれは思い切ったね...」


アナスタシア

「安心して。

ナーベルク帝国兵と住民は東に向かったわ。」


アイビー

「東?どこですか?」


アナスタシア

「いくつか町はあるけど

どこに向かわせたの?」


ゲイジュ

蛇神ヘビガミマツる由緒正しい土地

ナーギィクントージャだ。

他の子供も沢山向こうでカクマわれてるはずだ。」


アイビー

「あらかじめ決めてたの?」


ゲイジュ

「俺が指示した。

少し距離はあるがここよりは安全だろ?」


アイビー

「まぁそうだけど

国境付近には変わりないから大丈夫かしら」


ゲイジュ

「そのうち何処かに移るさ」


アナスタシア

「随分と段取りがいいのね。

それに今は安全とは呼べないわよ。

国境付近は危険だわ。

とりあえず一時的に避難するという事で

近々、子供達だけでもルシファンブルクに

呼んだ方がいいわね。」


ゲイジュ

「それは華四百花カシヒャッケが決める事だ。

俺たちが決める事じゃない。」


ラナンキュラス

「まぁ、突然の事だったから今はよそう。」


アイビー

「そうね。でも、あっけなかったわね。」


ゲイジュ

鞘花ショウカが来たんだ。

そんなもんだろ。」



ーー15分後ーー

ナーベルク帝国六刃花隊ロクジンカタイ飛行場にて


ラナンキュラス

「じゃぁ僕らは戻るよ。

おそらく次の任務の通達が来るまで

時間があるから、しばらくは羽を伸ばすさ。」


アナスタシア

「分かったわ。

私はこれからオルケイディアに報告してくる。

ついでにナーギィクントージャの件も伝える。」


ラナンキュラス

「分かった。

オルケイディア大隊長に

よろしく伝えといてくれ。」


アナスタシア

「ぁあ。」


ゲイジュ

「では、また。」


アイビー

「またねゲイジュ君」



アイビーが手を振ると

アナスタシアとゲイジュは去っていった。


ーー八刃花隊ハチジンカタイ隊舎タイシャ前ーー


ラナンキュラス

「で。早く戻って来れたけど

少し気がかりだね。」


アイビー

「うん。あまりにも簡単な任務だったから。」


ラナンキュラス

「最近は小競り合いが多い。」


アイビー

「ラミオラス帝国の軍団長が

来ないだけいいじゃない。

それともジニア隊長にラミオラス帝国について

聞いてみよっか?」


ラナンキュラス

「いや、それよりもナーベルク帝国内だよ。」


アイビー

「どういう事?」


ラナンキュラス

「...いや、何でもない。帰ろうか。」


アイビー

「そうね。

じゃぁ私はここで!」


ラナンキュラス

「え?」


アイビー

「夜になったら、迎えに来てね!!」


ラナンキュラス

「いいけど、どこ行くんだい?」


アイビー

「内緒!!」


ラナンキュラス

「フフッ。分かったよ。」


アイビー

「じゃあね!」


ラナンキュラス

「ぁあ。夜になったら迎えに行くよ。」



アイビーは手を振って自宅へと帰っていった。


ラナンキュラス

「ふぅ。

報告書の事、忘れてないかなー。アイビー。

あれ、なんだ?扉が開かない...

また、壊れたのかな?」



ラナンキュラスは格闘する事10分

ようやく隊舎タイシャの扉が開いた。



ラナンキュラス

「いい加減アキレイに修理してもらわないとな。

やぁ、みんな!!ただいま。」



いつもの様に隊士達の黄色い声援を受け

ねぎらいの言葉を一つ一つ述べると

ラナンキュラスはエレベーターで

最上階の八刃花隊ハチジンカタイの隊長室へと向かった。


ラナンキュラス

「...もう夕方か。

最近は時間の流れを速く感じるよ。」



ふと、窓の外を見たラナンキュラスは

赤い夕日を見てそっと呟いた。


ラナンキュラス

「なんて綺麗なんだ。」



ラナンキュラスは隊長室前に到着すると

扉を開けた。





アイビー

「お帰り。」


ラナンキュラス

「あれ?帰ったんじゃ...」


アイビー

「忘れてないかなぁ??」


ラナンキュラス

「報告書かい?」


アイビー

「違うよ。」


ラナンキュラス

「え...なんだろう」


アイビー

「大切な月でしょ?」


ラナンキュラス

「大切な月??」


アイビー

「そうよ。

あなたにとって大切な月。

私にとって特別な月。」



ラナンキュラス

「君といられる全ての月が

僕にとって大切な月だよ。」


アイビー

「私も同じ気持ちよ。

だけど今月はもっと大切でしょ?」


ラナンキュラス

「あっ」


アイビー

「フフッ。ラナンは可愛いね。」


ラナンキュラス

「君には敵わないさ。」



するとアイビーは後ろに組んでいた手を

前にバッと出した。





アイビー

「ラナンキュラス。

生まれて来てくれてありがとう。

永遠に愛してる。」



そう言ってアイビーは小さな花束を

ラナンキュラスに手渡した。


ラナンキュラス

「...ありがとうアイビー

僕も永遠に愛してる」


アイビー

「それと、これも」



さらにアイビーは小さな箱をパカっと開けると

そこにはピアスが二つ入っていた。



ラナンキュラス

「これは......僕が欲しかったピアス」


アイビー

「いつも言ってたから買っちゃった。」


ラナンキュラス

「でも、これ高いでしょ??」


アイビー

「気にしないで。

この前の私の誕生月には

海を貸し切ってくれたじゃない。

それに...あなたと出会えて私は

とっても幸せなの。

私のかけがえのない宝物。

あなたの笑ってる顔が私は好きなの。」


ラナンキュラス

「アハハ...改めて言われると照れるなぁ。」


アイビー

「ほら!!付けてあげる。かがんで。」



アイビー

「…はい!!凄く似合ってる!!

何でも似合うけど一段とかっこよくなったね!」


ラナンキュラス

「ありがとうアイビー。

一生付けることにするよ!!」


アイビー

「たまには外して洗ってよね!!」


ラナンキュラス

「フフッそうだね」


アイビー

「もうっラナンったら

任務で飛び回って忙しかったのは分かるけど

月の最後の3日間を祝うの忘れてなかった?

ナーベルクのしきたりなんでしょ?」


ラナンキュラス

「大人になると忘れちゃうもんだね。」


アイビー

「ラナンが忘れても私は忘れないからね。

例え、私が死んだとしても

私はあなたを忘れない。」



そう言うとアイビーはグッと胸を抑えた。


ラナンキュラス

「ん?どうしたんだい?」


アイビー

「ううん。なんでもなーい!!」



そう言うとアイビーは

ラナンキュラスにそっとキスをした。



アイビー

「…愛してる。ラナンキュラス」


ラナンキュラス

「アイビー...僕も愛してる」


アイビー

「フフッ...なんで泣いてるの?」





ラナンキュラス

「あれ...なんだろう...涙...

なんだこれ...記憶と違う...

この後、君は僕に...僕に」


アイビー

「記憶?どうしたの?」


ラナンキュラス

「僕は...僕は...

君が死んで...

死んで...いや、死んでしまった!!!!」


アイビー

「ラナン?大丈夫!?ラナン!?」


ラナンキュラス

「僕は!!!!!!!!!!!

僕は!!!!!!!

ァアァアァア"ア"

ァアァアァア"ア"ァア

ァアァァアァアァア"ア"ア"ア"

ァアァアァア"ア"

ァアァアァア"ア"ァア

ァアァァアァアァア"ア"ア"ア"!!!!!!!!!」





ーーそして現在ーー

冥府大監獄ゲヘナプリズン水門前

ラナンキュラスはジギタリアスの傀驕壊操アトランティカ

ジギタリアスはラナンキュラスの雷撃に

ツラヌかれ同時に叫んでいた。


ジギタリアス

「アガガガガガガガ

アガガガガガガガ

アガガガガガガガ

アガガガガガガガ

アガガガガガガガ

アガガガガガガガ!!!!!!!!!」


ラナンキュラス

「ァアァアァア"ア"

ァアァアァア"ア"ァア

ァアァァアァアァア"ア"ア"ア"

ァアァアァア"ア"

ァアァアァア"ア"ァア

ァアァァアァアァア"ア"ア"ア"!!!!!!!!!」



ラナンキュラスのイカヅチによって

次々と鎖が溶けていくと

ジギタリアスはそれを目のハシトラえた。


ジギタリアス

「こんなッ!!!イカヅチなんぞ!!」

虚無喰キョムグライ!!!!』


ラナンキュラス

「アガッ!!!」



ジギタリアスは傀驕壊操アトランティカの鎖を

全て消すと改めて鎖を背中から出した。


ラナンキュラス

「自動...再生...いや、再召喚か!!」


ジギタリアス

「ォォォォオオオ!!!!」

因果喰インガグライ!!!!』



傀驕壊操アトランティカ

ラナンキュラスのイカヅチを全て呑みこむと

ジギタリアスは紫電シデンマト

雷速で距離を取った。


ラナンキュラス

「はぁっ...はぁ...ウグッッ...」



身体中に穴が開き血がドバドバと流れる。

ラナンキュラスはゆっくりと膝をついた。


ジギタリアス

「まさか...それで死なねぇのかよ...」



ジギタリアスも雷速を解き膝をついた。


ラナンキュラス

「ア...イ...ビーを殺したお前...を...許さない...」

癒雷イヤシカズチ



ラナンキュラスは弱々しく呟くと

紫電シデンが身体を覆って

傷を癒していった。


ジギタリアス

「嘘...だろ...その傷でも...治せるのかよ...」


ラナンキュラス

鞘花ショウカに...とって致命に値(アタイ)する

過度の傷は...命を削って...癒す...

そして...削る命...が無くなった時...初めて死ぬんだ。」


ジギタリアス

「元々、傷を...与えるのも...

苦労する鞘花ショウカが傷を負えば

命を...削って癒すってかよ。

何でも...ありじゃねぇか...

奇遇だな......神滅適合者ラグナロク

そりやぁあ同じだ!!!!!!!!」



ラナンキュラス

神滅適合者ラグナロク...だと?」


ジギタリアス

対鞘花タイショウカ特殊魔装トクシュマソウ兵器にも

二種類有るんだよ!!

神滅シヴァ神滅シヴァ以外か!!

神滅シヴァを真似て作ったのが

対鞘花タイショウカ特殊魔装トクシュマソウ兵器だ!!!

だがオリジナルの神滅シヴァ

戦闘用に改良した対鞘花タイショウカ特殊魔装トクシュマソウ兵器神滅シヴァ

鞘花ショウカと同等!!

鞘花ショウカと敵対する異国の神が生み出した神具シングだ!!

ォォォォオオオ!!!!!!!!!!」

魂喰タマグライ!!!!』


ラナンキュラス

「なんだ...と?傷が...」



ジギタリアスは傀驕壊操アトランティカ

自身の胸をツラヌくと

傷がみるみる癒えていった。


ジギタリアス

「そして!!神滅シヴァの強大な力を

普段は抑制してるが神滅適合者ラグナロク

それを操る事が出来る!!!」


ラナンキュラス

「まさか!!!!!!」


ジギタリアス

「ぁあ。そうだ。

これから本当の力を解放してやるよ。

ラナンキュラス。

これでシマいだ。」


ラナンキュラス

「本当の力...だと!?させるか!!!!!」

雷迎招ヴォルテッーー』


ジギタリアス 喰い気味に

『『最大輪マキシマ!!!!!!!!』』





千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

煉獄レンゴク 冥府ゲヘナ大監獄プリズン

Seasonシーズン18 エイティーン

I sendアイ センド you a ユー ア bouquet ブーケ of flowersオブ フラワーズ (完)






おまけ






ここはオルケイディアがナーベルク帝国内に

いくつも作ってある隠しアジトの1つ

一刃花隊イチジンカタイ隊舎裏タイシャウラ"子ノ楽園ネズミギルド"

そこには華四百花カシヒャッケと呼ばれる

ナーベルク帝国が誇る4人の偉人の内2人と

五刃花隊ゴジンカタイ隊長のレンゲイ

そして、華四百花カシヒャッケの1人である

クリシャンテが連れ去られた理由の手がかりとされる

千刃花センジンカ通信刃術ツウシンジンジュツ司令部"九根キュウコン"副司令

デイジー=デイ=アパパパーヤンの姿があった。



レンゲイ

「デイジーさんには申し訳ないと思いますが

帝国の一大事イチダイジなので

大人しくしてください。

何度もいいますけど

出来れば手荒な真似をさせないでください。」


オルケイディア

「手荒な真似をしても構わん。やれ。」


デイジー

「ちょ!!ちょちょちょちょちょ

待ってくれYO!!!!

何も知らないZE!?俺は知らないんだっTE!!」


プラム

「お願いします。アパパパーヤン。」


デイジー

「え!?そっちで呼ぶのKAI!?」


オルケイディア

「なんだ。ツッコめる元気はあるみたいだな。

意外と余裕じゃあないか。

しかし、ウダウダするなら手足を切り落とすぞ」


デイジー

「イヤァーー!!!!

大隊長!!それはやりすぎだZE!?

アキレイを!!アキレイを呼んでくれYO!!

プラム様は神の世代だLOW!?

同期の頼みなら来てくれるSA!!」


プラム

「残念ですがアキレイは

ナーベルク帝国にはいませんよ。

それに他の同期の義忠ヨシタダ様も

ジジもラナンも全員冥府大監獄ゲヘナプリズンへ向かっています。

今は帝国内に隊長、副隊長は半分しかいませんし」


レンゲイ

「神の世代ですか...今もなお

ナーベルク士官学校で伝説になっています。

ですが、アナスタシアさんの世代は

アナスタシアさんの一強イッキョウ

恐怖政治のようだったと聞いています。」


プラム

「詳しいわね。」


レンゲイ

「ガーベラくんから

話だけはよく聞いてましたから」


デイジー

「はぁ...ダメみたいだNE...

分かったYO

俺の頭ん中を覗けばいいYO!!

これで俺の頭もアパパパーSA!!」



デイジーは観念したかの様に

大人しくなった。


オルケイディア

「貴様も千刃花センジンカ隊士だろう。

覚悟を決めろ。」


プラム

「これはあなたの為でもあるんですよ。」


レンゲイ

「では、始めたいと思いますが

壊れてしまうので

ここで解放するわけにはいきません。

かと言って未解放で能力チカラを使う

花纏捧君カテンホウクンでは話しになりません。

なのでオルケイディアさん。今回はーー」


オルケイディア 喰い気味に

「少しでも分かればいい」


レンゲイ

「分かりました。

ほんの少しだけ離れて下さいね。」


プラム

「お願いします。」



レンゲイ

剋刃ゴクハ 四十シジュウ天賦鳳倫テンプホウリン!!』



レンゲイ

雌鹿神憑メロクガミツキ!!!』



デイジー

「アパパパパパパー!!!!

眩しいYO!!!!見えないYO!!!」



レンゲイがそう叫ぶと身体が光だし

桜の花びらがフワりと舞った。

そして、レンゲイの身体には桜色のヨロイ

薄っすらとマトっているかの様に全身を覆った。


プラム

「これが... 天賦鳳倫テンプホウリン


"剋刃ゴクハ 四十シジュウ天賦鳳倫テンプホウリン "とは

鞘花ショウカのみが行える憑依刃術ヒョウイジンジュツである。

本来、鍛錬タンレンによって未解放状態でも

サヤの力の一端イッタンを扱えるが

その力を数倍に引き出す事ができる刃術ジンジュツである。

サヤを解放するとき

解放の余波で周りの建物などを巻き込んでしまうが

その心配も恐れもない。

いわゆる擬似解放に近い状態である。

ただし、その擬似解放時間は約三分間

そして、一日一度が限度である。



レンゲイ

「時間がありません。」


オルケイディア

「ぁあ。」



デイジーは目を閉じて下を向いた。


レンゲイ

視界念樹シカイネンジュ



レンゲイはデイジーに手をかざすと

枝が次々と伸びデイジーの身体に絡み付いた。


レンゲイ

視界念樹シカイネンジュよ。

桜雌鹿サクラメロクの名において命ずる。

クリシャンテとの最後の記憶まで

我を導きたまえ」



すると、視界念樹シカイネンジュが輝きだし

ヒタイに白い花が咲くとその先端センタンから

デイジーの視点から見える映像が浮かび上がり

オルケイディア達は無音の映像を眺めた。



プラム

「ここは...九根キュウコン司令部ですね。」



映像の中のデイジーは司令部の扉をノックすると

そこには背中を向けたクリシャンテが映っていた。

司令部の大きな窓は遮光カーテンで塞がれ

様々な機器の真横に大きな花瓶が置いてあった。


オルケイディア

「あやつめ...司令部で何をしている。」


プラム

「でも、寄るのは変じゃないですよ。

情報を統べるのがお仕事ですし

九根キュウコンを立ち上げたのは

そもそもクリシャンテ様ですからね。

それを千刃花センジンカに組み込んだのは

オルケイディア様ですから。」


オルケイディア

「確かにそうだが...何故、司令部に...」


レンゲイ

「誰かがいる様子もありませんね。」


プラム

「でも何か話していますわ。」


オルケイディア

「ん?通信刃術ツウシンジンジュツか?」


プラム

「声は聞こえないのですか?」


レンゲイ

「やめた方がいいです。

脳が耐えられません。

死んでも構わないというのなら

試すことも出来ますが

オススメは出来ないです。

視界を再生するだけにした方がいいですよ。」


プラム

「そうなのですね...」


オルケイディア

「一瞬、音をだしてみろ。一瞬でいい。」


レンゲイ

「最長でも5秒です。

それ以上はご協力できません。」


オルケイディア

「構わん。それで充分だ。」



レンゲイはうなだれるように

首を横に振りながらデイジーにかざす手を

グイッとひねった。


レンゲイ

「音を出します。」





ドンチャン♪ドンチャン♪

ドンチャン♪ドンチャン♪ と

音楽が流れていた。




オルケイディア

「もういい。止めろ。」


プラム

「はぁ。ヘッドホンから

音楽聴いていたのですね。」



オルケイディア

「これが終わったら殺してやる」


レンゲイ

「アハハ...結局無駄でしたね。」


オルケイディア

「そうだな。

おいみろ、やっとクリシャンテが気づいたぞ。

手に何か持ってるな...

いや、待て...クリシャンテほどの男が

背後の気配に気づかない訳がない...

諜報チョウホウのエキスパートだぞ」


プラム

「確かに変ですね。」


オルケイディア

華四百花カシヒャッケに選ばれるぐらいの男だ。」


プラム

「気づかないほど重大な事だったかもしれませんよ。

オルケイディア様

もう少し様子を見てみましょう。」



するとデイジーに気付いたクリシャンテは

手に持った紙を近くの花瓶の中にスッと入れて

ゆっくりと近づいて来た。



オルケイディア

「今、紙を入れたな...

それに血相を変えて怒っているように見える。

一体何があったのだ。」


プラム

「報告では

花瓶の事は記されてありませんでした」


オルケイディア

「後で調べるか...ん!?何!?」





突然クリシャンテの姿が消え

それと同時に映像も途切れてしまった。


プラム

「消えた...」


オルケイディア

「レンゲイ!!少し巻き戻せ!!!」


レンゲイ

「分かりました!」


オルケイディア

「そうだ!!そこだ!!止めろ!!」



レンゲイは消える瞬間の映像で止めた。

クリシャンテの真後ろに映っていた人物を見て

オルケイディア、レンゲイ、プラムは言葉を失った。


プラム

「待ってください...なんで...ここに

なんでここにいるの!!!」


レンゲイ

「...なんでここに」






オルケイディア

「天王軍 団長 及び 天王空軍"ウラノース" "司令官ハーシェル"

ルビウス=ドレーク」


プラム

「なんで...ルビウスが...」


レンゲイ

「プラムさん...顔色が悪いですが大丈夫ですか?」



オルケイディア

「ルビウスはプラムと同じ神の世代の1人だ。

もちろんアキレイ達もよく知っている。」


プラム

「オルケイディア様...まずいです。」


オルケイディア

「ぁあ。トギリ、ソープワイトと続く

ラミオラス帝国軍の三軍が一人

その団長が帝国に足を踏み入れている!!

レンゲイ!!今すぐ隊舎タイシャに戻り

各隊の隊長格を集めろ。

他隊士はルビウスとクリシャンテの捜索にあてろ!!

まだ近くにいるかもしれない!!

プラム!!ダリア城を封鎖する手筈テハズ

今すぐ整えろ!!」


プラム

「分かりました!!」


レンゲイ

「デイジーさんは僕の隊舎タイシャ

厳重に保護します。」


オルケイディア

「分かった。」


プラム

「オルケイディア様はどうしますか?」


オルケイディア

「私はあの花瓶の中身を調べにいく。」


プラム

「分かりました。では武運を」


レンゲイ

「武運を」



レンゲイは天賦鳳倫テンプホウリンを解除すると

デイジーを立ち上がらせ

プラムと部屋を出て行った。



オルケイディア

「絶対に...させん。

先のルシファンブルクの強襲の二の舞など

させてたまるか!!!!!!!!!!!」


(完)

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