21話 There are wheels within wheels
作者 REN’sJackson
ー
広大な国土を誇るナーベルク帝国
その首都は樹海の要塞に囲まれた
帝都ルシファンブルク
そして、大きな滝が流れるその中央には
巨城ダリアと各隊舎と繋がる8本の橋がかかっており
外部から巨城ダリアに行くには
各隊舎のいずれかの門を通る必要があった。
一見、古風な城に見えるが
城内は最新鋭の機器が揃っており
ナーベルク帝国の科学と
更に地下を合わせるとその高さは
ナーベルクで一番高い建物となる。
そして城の最深部には
ナーベルク帝国軍 軍司令部
常に敵国の情報や自軍の
作戦、編成、軍備、管理を
正にナーベルク帝国の
集結していると言っても過言では無かった。
その軍司令部
帝国軍の最高指揮官 皇帝ヨシムネが鎮座していた。
ヨシムネの前には大理石で出来た
"
ナーベル帝国軍トップの四人と皇帝である
ヨシムネが座る場所があった。
帝国軍の作戦、編成を統べる
ヴァンビ
「おい、急に呼び出すたぁ
遂にボケたかジジィ」
敵国と自国の情報を統べる
クリシャンテ
「黙れ小僧が。
個人情報ばら撒くぞ。」
軍備、兵器の管理、教育を統べる
プラム
「おじ様達、皇帝の
お静かに」
オルケイディア
「早く扉を開けろ。
そして口喧嘩するくらいなら殺し合え」
"
年齢、身分問わず
各分野のエキスパートが
集められ構成されている。
"
偉人として歴史に名を残すことができ
ナーベルク帝国民にとって
そして、ナーベルク帝国軍においては
皇帝に継ぐ最高位であり
有事の際には指揮も
ナーベルク帝国の紋章を左胸につけることを
皇帝以外に許された四人の偉人達の称号である。
ヴァンビ
「失礼致します。」
ヴァンビは重い扉を開けた。
ヴァンビ
「皇帝」
クリシャンテ
「皇帝」
プラム
「皇帝」
オルケイディア
「皇帝」
四人はひざまずくと下を向いた。
ヨシムネ
「
クリシャンテ
「ハッ」
ヴァンビ
「ハッ」
オルケイディア
「ハッ」
プラム
「ハッ」
ヨシムネ
「お主達の顔を四人勢揃いで見るのは
変わりはないか。クリシャンテ、プラム」
クリシャンテ
「勿体なきお言葉で御座います。」
プラム
「最近は騒がしさのあまり
顔を出せず申し訳ありません。」
ヨシムネ
「国の為、
分かっておる。」
クリシャンテ
「悩みの種は
ラミオラス帝国との
悩みが尽きぬ部隊です。
失礼な事はありませんでしたかな」
ヴァンビ
「あやつらは生意気な上に
平然と皇帝の
あーだのこーだのと言う。」
ヨシムネ
「何度も国を救われておるのだ。
ナーベルク帝国の
クリシャンテ
「確かにそうですが
クリシャンテはオルケイディアを横目に
あきれた声で言った。
オルケイディア
「要件はなんだ。クリシャンテ
まさか私の部下の愚痴を聞かされるのか?」
ヨシムネ
「とりあえずかけろ。」
四人は
ヨシムネも腰をかけた。
ヨシムネ
「して、今日は何用だ。」
クリシャンテ
「私から報告がございます。」
ヨシムネ
「何だ。申せ。」
クリシャンテ
「ハッ。
おそらく、オルケイディアの耳には
すでに入っている情報ですが、
墜落したとの一報が入りました。」
プラム
「墜落?」
ヴァンビ
「なんだと!?
なぜ、
クリシャンテ
「私も分からぬ。
予定では
聞いていたのだが。」
プラム
「確かなのですか?」
クリシャンテ
「確かだ。」
プラム
「そもそも何故、墜落をしたのですか?」
クリシャンテ
「報告によると
ラミオラス帝国の攻撃によるものだ。」
プラム
「しかし、我が国の空域圏内で
そんな事があるのですか?」
クリシャンテ
「ラミオラス帝国の空域圏内だ。」
ヴァンビ
「なんだと!?
国境付近で着陸する予定だったはずだ。」
クリシャンテ
「結果的にそうではなかった。」
ヴァンビ
「一体何が起こってんだ、、」
オルケイディア
「くだらん。
そんな事でいちいち集めたのか。」
ヴァンビ
「おいおい、お前の部隊だよな?」
オルケイディア
「だから何だ」
ヴァンビ
「相変わらずだな。オルケイディア。
問題を起こしてばかり
その度に"だから何だ"とお前は言う」
オルケイディア
「現場を知らぬ物言いだ。
歴戦の
どうやら髪と一緒に牙も抜かれたようだ。」
ヴァンビ
「貴様、、俺を
オルケイディア
「事実。任務とは流動的だ。
隊長達も細かい事など
いちいち私に報告しない。」
ヴァンビ
「遊ばせ過ぎなんだよ。
もっと軍人らしーーー」
「そんな事どうでもいいです。」
ヴァンビ
「ったく、、胸糞ワリィ女だ。」
ヴァンビは大きなため息を吐くと
プラムの方を向いた。
ヴァンビ
「それはそうとプラム、お前んとこの弟も
乗ってるのは知ってたか?」
プラム
「いいえ、知りません。
ジジからは何も聞いておりません。」
オルケイディア
「当たり前だ。
直前、ヨシタダから連絡が入ったからな。」
クリシャンテ
「報告義務を
オルケイディア」
オルケイディア
「まだ60分も経っていないのに
報告義務もクソもあるか。
何か不都合なことでもあるのか?
クリシャンテ」
クリシャンテ
「不都合?報告義務は速やかに。
決定したその場で迅速に。
新人隊士にいう言葉を
まさか
ヨシムネ
「よせ。くだらぬ問答などいらぬ。
結果が全てだ。
過去の話などいらぬ。
未来の話をしろ。
それに案ずる事はない。
あやつらは我が国が誇る最高戦力。
死ぬなどということはまず無い。」
オルケイディア
「皇帝の仰るとおりだ。」
クリシャンテ
「それと、、
ラナンキュラスとアキレイも
一緒にいるそうだ。」
ヴァンビ
「おい。オルケイディア。
貴様知っていたな?」
オルケイディア
「何をだ。」
ヴァンビ
「一緒に乗ることをだ。」
オルケイディア
「一緒に乗ってなどいない。
やつらは休暇をとりバカンスへ行くと
私に言っていた。
急に決まったのであろう。
可愛い部下が休みが欲しいと言ったのだ。
断ることなど私には出来ぬ。
それにアキレイがいるのであれば
ごく自然な事だと思うが?」
プラム
「バカンス、、フフっ
アキレイとラナンキュラスらしいわね!!」
ヴァンビ
「何を笑うか!!」
クリシャンテ
「この時期にバカンスなど、、
一体、誰の許可を得て、、」
オルケイディア
「私が許可しないで誰が許可するのだ。」
ヴァンビ
「ラナンキュラスと、アキレイめ!!
バカンスなどと嘘をつきおって!!!
オルケイディア!!
すぐに報告しろ!!
今回はジニア捜索キキョウ救出という
オルケイディア
「ならば、何故ヨシタダの提案を破棄した。
今回の任務はヨシタダを主軸に
その隊長であるヨシタダが
負傷していない隊長格以外全員と言ったであろう?」
プラム
「破棄?破棄したのですか?
ヨシタダ様の意見は今回の任務の重要性を
考えれば妥当な作戦です、、」
クリシャンテ
「他隊との連携を嫌うヨシタダ様が
そうまで言ったのか?」
ヴァンビ
「仕方がない!!国防に関わる話だ!
残った隊長には
帝国の守護についてもらわねばならない。
先月の様に強襲されたりすれば
最小限に抑える為に
任務失敗した事がないヨシタダ率いる
プラム
「そもそも
独立した特務部隊。
全権はオルケイディア様にあるはずです。
形式だけの許可を却下するなんて。」
ヴァンビ
「
しかしナーベルク帝国軍の兵士でもある。
国力、国防の面を考えた上での判断だ。
戦える
話にならん。」
オルケイディア
「クーワもアナスタシアもレンゲイもいる。
重症だろうがなんだろうが知ったことか。」
プラム
「相変わらず鬼ですね、、」
オルケイディア
「
クリシャンテ
「しかし、ルシファンブルクが強襲された際は
プラム
「確かにそうですね、、
報告にあった
もし襲ってきたら、、」
ヨシムネ
「もう良い。オルケイディア。
報告しなかったのは
何か理由があるのか?」
オルケイディアはしばらく間を空けると
ゆっくりと口を開いた。
オルケイディア
「皇帝。まだ調査段階なのですが
どうやら色々なところで
情報が漏れているようです。」
プラム
「、、、どういうこと?」
クリシャンテ
「オルケイディア
言葉に気をつけろ。」
ヴァンビ
「引っ込んでろジジィ。」
プラム
「お二人ともお静かに。」
ヨシムネ
「申せ。」
オルケイディア
「どうやら軍内部にスパイがいるようです。」
ヨシムネ
「まことか?
オルケイディア。
その言葉の意味を分かっているのか?」
オルケイディア
「これは憶測ではなく確信です。
私と
調べた結果、恐らくゲイジュが
この国の情報を
していたのを はじめ
何人か紛れ込んでいると思われます。」
ヴァンビ
「なんだと!?」
クリシャンテ
「いや、オルケイディアは間違っていない。
ここ最近は全ての動きが読まれている。
ジニアとキキョウの今回の一件
マーベラスやルシファンブルク強襲
ポセドニア のダンジョン攻略、
数年前のスゴウ平野の戦いから全てだ。」
重々しい空気が流れ
皆、しばらく口を開かなかった。
ヨシムネ
「オルケイディア、誰がとまでは
分からぬのか?」
オルケイディア
「分かりません。
あえて乗らず
乗ったとしても攻撃を受けました。
恐らく待ち伏せされていた。」
プラム
「でも、逆を言えば好機です。
悟られなければ泳がせられます。」
クリシャンテ
「では。偽情報を流し
炙り出せば良いのだな。」
ヴァンビ
「そう簡単に尻尾掴めるかよ。
ヨシタダじゃなくて
お前んとこの秘蔵っ子に任せたらどうだ?
全てを伝授したんだろ?ジジィ」
クリシャンテ
「あやつが生きていれば
とっくにそうしてる。」
プラム
「ジニアなら上手くやってくれそうですが。」
オルケイディア
「ぁあ。やってくれた。
だから恐らく待ち伏せされた。」
クリシャンテ
「やはり、、そうか。」
ヴァンビ
「やっぱり一筋縄ではいかんな、、」
プラム
「何か掴んでいたのですね。」
オルケイディア
「今回はしてやられた。
しかし、見つけ出せば分かる。
ジニアを早急に見つけ出さなければ」
プラム
「ヨシタダ様がいれば
何も心配はいりません。」
クリシャンテ
「とても優秀な
成長してくれた。」
ヴァンビ
「そうだな。
奴は情に流される事はない。」
ヨシムネ
「、、、そうか。」
オルケイディア
「墜落など物ともしない。
いらぬ世話だクリシャンテ」
プラム
「心配性は昔から直ってませんね。
ヨシタダ様の事となるといつもそうです。」
ヴァンビ
「作戦を練り直せねばならなくなった。」
プラム
「無駄ですよ。
一度、動けば止まらないのが
ね?オルケイディア様」
オルケイディア
「ぁあ。止まらんな。」
ヨシムネ
「分かっておる。
あやつらに全てを任せるとしよう。
もう下がれ。」
ヴァンビ
「ハッ」
クリシャンテ
「ハッ」
プラム
「ハッ」
オルケイディア
「ハッ」
ヨシムネがそう言うと
四人とも立ち上がり部屋から出て行った。
するとヨシムネは玉座へと再度腰をかけると
ヴォンッという音と共にヨシムネの姿が消えた。
ーー最上階 神の
ヨシムネ
「仰っていた通りでした。
いかがなさいましょうか。」
ヨシムネはそこで何かに
話していた。
ヨシムネ
「皇帝陛下」
ー
おまけ
その正室である
長らく子がいなかった。
そして
側室である
ようやく男の子を授かることができ
国を上げて誕生を祝った。
クリシャンテ
「皇帝。おめでとうございます。
皇子誕生を心より祝福申し上げます。」
クリシャンテはヨシムネに言った。
サクラ
「
ヨシムネ
「やめろサクラ。」
サクラ
「フン。
サクラはそう吐き捨てると
部屋を出て行ってしまった。
ヨシムネ
「椿家もこれで
帝国民には長らく待たせてしまった。」
クリシャンテ
「念願の皇子誕生です。
今日は忘れられぬ日となりましょうぞ。」
ヨシムネ
「ぁあ。アヤメにもお礼を言わねばな。」
クリシャンテ
「国民も
それはそうと
ルシファンブルク家をはじめとする
六大貴族から更なる
祝いの品が届いております。
そして、我ら
送らせていただきました。」
ヨシムネ
「城に運ばせておいてくれ。」
クリシャンテ
「もう、その様に
では皇帝閣下、時間でございます。」
ヨシムネ
「分かっておる。」
クリシャンテがそう言うと
大きな
その瞬間、ヨシムネの目の前には
ダリア城の広間に集まった国民達の姿が見えた。
そして盛大な拍手喝采で迎えられた。
ヨシムネはマイクを持ち国民の歓声に
手を上げて答えた。
ヨシムネ
「「ナーベルク帝国の者たちよ
今日は祝いの日だ。
皇子の誕生を心より嬉しく思う。
我が息子には
椿家の
この国に
我等ナーベルク帝国は
この勢いに乗り
国土を拡大しつつ
そして世界にナーベルク帝国有りと
共に知らしめようではないか!!」」
ヨシムネがそういうと
帝国民は更に更に歓声で応えた。
ーー5年後ーー
ヨシタダの母であり
ヨシムネの側室であるアヤメが
突然の病で
少年ヨシタダ
「お母様、、」
サクラ
「
その名で私を呼ぶな!!汚らわしい!!!!」
少年ヨシタダ
「申し訳、、ありません、、サクラ様」
サクラ
「母が死んでも泣かぬのか?
気味の悪い子だよ。
二度とその名で呼ぶんじゃないよ!!」
少年ヨシタダ
「はい、、、」
しかしヨシタダは
毎晩、毎晩泣いていた。
少年ヨシタダ
「ウグッ、、お母様に、、
会いとうございます、、」
クリシャンテ
「ヨシタダ様、、
皇子たるもの人前で泣いてはなりませぬ。」
少年ヨシタダ
「分かって、、います、、
でも、、会いとうございます!!」
クリシャンテ
「会えませぬ。会えませぬが
このクリシャンテが
おそばに居ますゆえ安心して下さい。
ヨシタダ様」
アヤメが
ヨシムネはヨシタダを
たいそう可愛がっていた。
瓜二つの二人の顔は誰が見ても
ヨシムネの息子だということが
ハッキリ分かるほどよく似ており
自分に似ているヨシタダを
ヨシムネは溺愛していた。
少年ヨシタダ
「お父様!!
ヨシタダはこの国の皇帝となるのですか?」
ヨシムネ
「ぁあ。そうだ。
この国を導き、この国の顔となるのだ。」
少年ヨシタダ
「はい!!
お父様の様な偉大な皇帝になりたいです!!
どうすればなれるのですか?」
ヨシムネ
「そうか。そうか。良い子だ。
まず皇帝となるには
皆の見本とならなければならない。
誰よりも正しいことをするのだ。」
少年ヨシタダ
「少し、、難しいです、、」
ヨシムネ
「そうだな、、じゃあ、、
神様の話をしてあげよう。」
少年ヨシタダ
「神様ですか?神様とは誰ですか?
ヨシムネ
「
神様の力を持つ強い人の事を言うのだ」
少年ヨシタダ
「神様の力を持つ強い人、、
カッコ良いです!!!
ヨシタダも
強くなってお父様のお近くでお父様を
守りとうございます!!」
ヨシムネ
「強くはなれる。
だがヨシタダは
少年ヨシタダ
「何故ですか?」
ヨシムネ
「この国の
私やヨシタダを守る役目があり
人にはそれぞれ役割りがある。
皇帝は国を導く。
ヨシタダは国を導かなければいけない。
だから
少年ヨシタダ
「そうなのですね、、ではお父様
強い人と神様はどう違うのですか?」
ヨシムネ
「人は死んでしまうが
神様は姿形を変えて生き続ける。
死ぬことなど有りはせぬ。
そして何より神様は一番偉い。」
少年ヨシタダ
「一番偉いのは皇帝である
お父様ではないのですか?」
ヨシムネ
「少しだけ違っている。
さぁ。その話はまた今度にしよう
もう寝なさい。ヨシタダ。」
少年ヨシタダ
「はい!!わかりました!!
おやすみなさいお父様!!」
ヨシムネ
「ぁあ。おやすみ。」
ヨシタダはそう言ってお辞儀をすると
最後にヨシムネの顔を見て言った。
少年ヨシタダ
「ヨシタダは
なれませぬが
強い人になりお父様の様な皇帝に
なりとうございます!!」
ヨシムネ
「頼もしい限りだ。
強くなれ。ヨシタダ」
少年ヨシタダ
「はい!!」
そしてヨシムネの部屋を後にした。
ーー3年後ーー
帝国が沸き立つほどの大ニュースが舞い込む。
サクラ
「どうかしたのか?クリシャンテ」
クリシャンテ
「皇帝、、、本当ですか?」
ヨシムネ
「それが法というもの。
この先何があるか分からぬ
子同士に皇帝位を巡り
殺し合いをさせるわけには行かぬ。」
クリシャンテはしばらく間を開けると
ようやく口を開いた。
クリシャンテ
「おめでとう、、ございます。
サクラ様のご
心より祝福申し上げます。」
サクラ
「フフッフハッハッハッ
いらぬ!あの
正室であるサクラとの間に
男子が生まれると
側室の子であるヨシタダは皇帝を継ぐ事が
出来なくなってしまった。
優先されるのはあくまでも正室の子
ヨシタダは本家である椿家から
分家の
大好きだった父と離れることとなり
もう椿を名乗れなくなってしまった。
少年ヨシタダ
「お父上!!お父上!!
ヨシタダはお父上と
離れとうないです!!!
このヨシタダが何かいたしましたか!?
お父上!!お父上!!」
サクラ
「黙れ!!皇帝に向かって
お父上とは何事じゃ!!!!
少年ヨシタダ
「グッ、、、」
クリシャンテ
「
サクラ
「なんじゃ、、その生意気な目つきは!!」
ヨシタダはサクラを
キッと睨んでいた。
ヨシムネ
「やめろサクラ。まだ子供である。」
サクラ
「貴様の顔など見たくもないわ!!」
そう言うとサクラは
ヨシタダを突き飛ばし
部屋から出ていった。
ヨシムネ
「ヨシタダ。お前は今日から分家である
後継は二人といらぬ。」
少年ヨシタダ
「そんな、、、」
クリシャンテ
「さぁ、参りましょうヨシタダ様」
少年ヨシタダ
「行きとう有りませぬ!!」
クリシャンテ
「本家の椿家、分家の
そしてルシファンブルク家は
このナーベルク帝国を作った一族でございます。
ルシファンブルクは盾となる。
ヨシタダ様はきっと皇帝に似て
素晴らしい戦士となりましょうぞ。
さぁ、、
そしてヨシムネはクルッと背を向けて
歩き出すとヨシタダは泣きながら叫んだ。
少年ヨシタダ
「お父上!!!!!!!!」
ヨシムネはその声に反応し一度足を止めた。
そして振り向きもせずヨシタダに向かって言った。
ヨシムネ
「強くなれ。
しかし、ヨシタダが
出されてから半年後
ヨシタダはいち早く
陰謀に気付いた
ルシファンブルク家へ
命は助かった。
ーー3年後ーー
立派な
先を見据えていた。
青年ヨシタダ
「クリシャンテ。
屋敷も焼き払われ
残された者は避難した女、子供ばかり。
母は幼い頃に病死し
もはや顔すらも覚えておらぬ。
しかし、クリシャンテ
病ではなかった事だけは鮮明に覚えている。」
クリシャンテ
「ヨシタダ様、、
一体何を、、申すのですか?
どこでそんな事を、、、」
青年ヨシタダ
「お前だけが私をずっと支えてくれていた。」
クリシャンテ
「そんなことはございませぬ。
ジジ様やプラム様も
おそばにいてくれたでは有りませぬか」
青年ヨシタダ
「ぁあ。同い年だが
あの双子の事を弟や妹の様に思っている。
だが、私にとってお前は特別だクリシャンテ。
これからもよろしく頼みたい。
この先大きく時代が動くであろう。
有望で才能豊かな戦士が沢山出てくる。
その時、まだ未熟な私を支えてほしい。」
クリシャンテ
「もちろんです。ヨシタダ様。
そう言えば優秀な者が
すでに同世代で沢山いるそうですな。
バンジャマン家の次男様は
すでに
いくつか使えると聞いておりますし
マーティン家の長男様は
めっぽうケンカが強いとか
プラム様もジジ様も
言われているほど
お持ちである。
ヨシタダ様の剣技も素晴らしいと
耳に聞いておりますぞ。」
青年ヨシタダ
「バンジャマンとマーティン、、、
二人とも話した事はないが
噂には聞いている。」
クリシャンテ
「才能豊かな世代でございます。
次代を
頼もしい限りです。」
青年ヨシタダ
「そうだな。
しかし私はその中でも頂点を目指す。
そして、いつか
この国の全てを正す。
そして、、」
クリシャンテ
「、、、どうかなさいましたか?」
すると、ヨシタダは深く沈んだ瞳で
クリシャンテをまっすぐ見て呟いた。
青年ヨシタダ
「
(完)
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