17話 終章2/2 地獄に咲きしは雌鹿の花

作REN'sJackson


千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

海底都市 ポセドニア 最終話

Part Ⅹ 終章エピローグ2/2 地獄ポセドニア に咲きしは雌鹿メロクの花 



ラミオラス帝国軍と

終わりの始まりリリィヴァイアとの激戦を終え

アナスタシア達は崩壊寸前のポセドニアにある

サンゴの森付近にいた。

巨人や終わりの始まりリリィヴァイアの残骸が

辺りに散らばっている。

レンゲイはひび割れていく夕暮れの空を見上げながら

アナスタシアとクーワの元へと向かった。


レンゲイ

「アナスタシアさん!

クーワさん!!

この傷は、、、凄い、、ですね。

また、無茶しましたか。

ねぇ。クーワさん?」


クーワ

「うるさいですー」


レンゲイ

「アナスタシアさんも。

無茶するのはお酒だけにしてくださいよ。」


アナスタシア

「黙れ」


レンゲイ

「でも、、助かりました。

ありがとうございます。

きっとアナスタシアさんがいなかったら

僕らはもっと被害が大きかったと思います。」


アナスタシアはレンゲイを

キッと睨んだ。


アナスタシア

コウベを垂れろ。

任務に失敗した罪は重いわ。」


レンゲイ

「アハハ。

ですね。敵将にも説教喰らっちゃいました。」


クーワ

「本当に逃がすですかー?」


アナスタシア

「今ここで戦えば

みんな死ぬわ。

隊士の命を無駄にする訳にはいかない。」


レンゲイ

「はい、、そのとおりです。」


クーワ

「残念ですー」


レンゲイ

「アナスタシアさん。強かったですか?

あのスイセという大男は。」


アナスタシア

「ぁぁ。今までの誰よりも強かった。

しかし、、、」


レンゲイ

「悪い奴とは思えない。、、ですね。」


アナスタシア

「ぁあ。

何処かで会ったことある様な

親しみさ さえ覚えるぐらいにね。」


レンゲイ

「分かります。

トギリも万を率いる敵将だけあって

やはり器が大きかったです。

揺ら揺らとかわしながら

風になびくナギの様に掴み所のない男でした。」


アナスタシア

「噂とは違うな。」


レンゲイ

「、、ですね。」


アナスタシア

「トギリの戦闘力については未知数だった。

前戦にあまり出ない分

将としての実績以外の情報が少なかった。」


レンゲイ

「そうですね。

異常なほどの統率力で次々と功を上げて

団長まで登り詰めた男という事以外は、、」


アナスタシア

「もちろん十鬼槍ジッキソウのことなど

情報はほぼ皆無。以前からあったのか、

それとも新設されたかも分からない。

マーベラスの一件以来、三刃花隊サンジンカタイ

七刃花隊ナナジンカタイで情報収集に当たって

ようやく隊長と副隊長の名前と

顔が分かったくらいだからな。」


レンゲイ

「え?そうなんですか??

僕、知りませんでした!!」


アナスタシア

「資料に記述したわ」


レンゲイ

「はあ、、ガーベラ君だ、、、」


レンゲイは深くため息をつきながら

先の戦闘に酔いしれているクーワを見た。


クーワ

「また、遊びたいなぁー。

ラミオラス帝国の将はみんな強いですかー?

戦争するですー。そしたら今度は

僕も混ぜてくださーい。」


レンゲイ

「今がまさに戦争中ですよ。

それに独り占めしたがるくせに

よくいいますね。」


クーワ

「はーい。最後は僕のものですー」


アナスタシア

「フン。しかし

よく生き残ったわね。

私もお前達も見事に血まみれとは、、

レンゲイがいれば傷の心配はいらないからって

少しみんな無茶したのかしら?」


レンゲイ

「そうでしょうね。

僕に治せない傷はありませんから。」


クーワ

「あっダンデライ」


ダンデライ

「クーワ隊長!!!!!

よくぞご無事で!!!!!」


ダンデライはクーワに深々と頭を下げた。


ダンデライ

「アナスタシア隊長もレンゲイ隊長も

よくぞご無事で!!!

レンゲイ隊長、先ほどなんですがーー」


遠くから大きな声がする。


レンゲイ

「怪我は治っーー」


ガーベラ被せ気味に

「テイッ!!!!」


レンゲイ

「痛いっ!!」



ガーベラはレンゲイの腰に

飛び蹴りをかました。



ガーベラ

「ほうほう、、、

アチシを連れ去られ、、

はたまたオトリに使い、、、

眠ったまま起こそうともせず

むしろ永遠に眠ってろが如く

フッワフワな綿毛に包んだのは、、、

どこのどいつじゃぁぁあ!!!!」


ダンデライ

「落ち着いて下さい。ガーベラさん。」


ガーベラ

「落ち着けるかーい!!!

好き放題か?おん?アチシは何だ?おぅ?お?」


レンゲイ

「ふ、、副隊ーーー」


ガーベラ被せ気味に

「副隊長じゃあ!!!!!!!」


レンゲイ

「いっ痛いっ」


更に鎖骨めがけてチョップを繰り出した。


アナスタシア

「、、、荒ぶってるわ、、ね。」


ガーベラ

「ネェさん聞いてくだせぇよ!!!

先輩がポセドニアでアチシに対する扱い?

レディに対するノンジェントルメン??

女性隊士の地位向上しようぜ協会の、、

会長としてどう思いやすか!?」


アナスタシア

「え、、私、、そんな会長に、、

いつなった、、かしら?」


ダンデライ

「ガーベラさん!

レンゲイ隊長はあなたを守ろうと、、」


ガーベラ

「はぁん?守るぅ??

守られる為に千刃花センジンカ

アチシは入っとらんのじゃぁ!!!」


レンゲイ

「ガーベラ君、、、」


ガーベラ

「昔から先輩はアチシの事や

お姉ちゃんの事ばかり気にしてるんすよ!!

ウザっテェーのなんの!!!!」


レンゲイ

「えっ、、ちょっ、、」


ガーベラ

「女々しいっすわ!!」


ダンデライ

「ガーベラさん!!」


アナスタシア

「黙ってなさい。ダンデライ」


ダンデライ

「しかし、、」


ガーベラ

「オトリに使うならもっと非情に!!

眠らされたら起こして戦わせてくだせぇ!!

アチシっだって千刃花センジンカ隊士 副隊長!!

アチシの身を案じて中途半端な事やるなら

隊長なんてやめちまえ!!!!!

鞘花ショウカになりたい!

あっ、、じゃなくて桜雌鹿サクラメロクはアチシが貰うっす!」


ダンデライ

「最後に、、野心が、、出てますよ、、」


レンゲイ

「、、すみませんでした。。

僕は、、ガーベラ君を傷つけぬように、、」


ガーベラ

「はぁん?傷つくのが怖くて

特務部隊トクムブタイやれませんぜ!?」


レンゲイ

「はい、、その通りです。」


ガーベラ

「アチシは先輩の後ろではなく前を

先輩が盾になるならアチシがヤイバに!!

アチシの事、信頼出来ないんすか!!??

そんな頼りないんすか!?!?」


レンゲイ

「いえ、、そんな事はないですよ。

頼りにしています!!」


ガーベラ

「この大嘘つきめが!!!」


レンゲイ

「痛いっ」


ガーベラはレンゲイの耳を強く引っ張った。


ガーベラ

「今の先輩を見たら

お姉ちゃんに笑われますぜ!!おい!!

パパから継承した桜雌鹿サクラメロク

持つ資格なんて今の先輩にはないっすよ!!

何も見えてないんすから!!」


レンゲイはトギリからも

見えていないと言われた言葉を思い出した。


ダンデライ

「もう、その辺にしましょう。

ガーベラさん。」


ガーベラ

「うるさい!役立たず!!」


ダンデライ

「役っ、、立たず、、、」


ダンデライはショックのあまり

空を見上げてしまった。


ダンデライ

「空、、夕暮れ、、」


ダンデライ

「私は、、役立たず」


レンゲイ

「トギリからも色々言われましたが

ガーベラ君に言われた方が

グサグサと来ますね、、」


アナスタシア

「ガーベラ。

この傷を治してくれないかしら?」


ガーベラはプンプンとしながら

アナスタシアの元へ歩いて行った。


ガーベラ

照刃ショウハ四十六シジュウロク羽衣天女ハゴロモテンニョ担手ニナイテ


ガーベラはアナスタシアの身体に

触れるか触れないかの距離で

両手をかざすと強烈な光を発現させた。

そして、光の中から飛びだした桃色の羽衣ハゴロモ

アナスタシアの身体を抱きしめるかの様に

優しく巻き付き

気流を描きながら頭から

つま先までマユの様に包んだ。

すると、全快とはいかなかったが

みるみる傷が癒え、服が再生していった。


レンゲイ

「これは、、四十番台シジュウバンダイ後半

空間系記憶領域の照刃ショウハ、、いつの間にこんな、、」


アナスタシアは羽衣ハゴロモのマユを破ると

ガーベラを見て微笑んだ。


アナスタシア

「ありがとう。ガーベラ。

どうだ?レンゲイ。お前が知恵を授け

そして育てた最高の癒者イシャだ。

空間系記憶領域の照刃ショウハを使えるのは

ナーベルク帝国でツバキを除いて

お前とガーベラくらいしかいないだろう。

とても優秀な副隊長だ。

もっと頼ってやれ。

ガーベラならその期待を超える事が出来る。」


ダンデライ

「ガーベラさんは先ほどのスイセとかいう大男も

退シリゾけました。

戦闘に置いても信頼しても良いと思います。

役立た、、私が言えたことではないですが。」


クーワ

「そんなことないですよーダンデライ

僕と立ち稽古出来るのはダンデライくらいですー」


ダンデライ

「立ち稽古、、立ち稽古とは

まさか、、クーワ隊長の解放状態の攻撃を

死ぬ気で受け止めるあの拷問の事ですか?」


クーワ

「立ち稽古ですよーあれ。」


ダンデライ

「、、、稽古、、だったのです、、ね。」


クーワ

「もちろんですよー

殺す気でやってますけどー

楽しいですよねーー」


アナスタシア

「、、ダンデライ。

よく生きてたわね、、」


ダンデライ

「はい、、日常ですから。」


アナスタシア

「とにかく。

副隊長の中でも屈指の戦闘力のあるダンデライが

言うのよ。ガーベラは間違いなく強いわ。」


ダンデライ

「ア、、アナスタシア隊長、、」


レンゲイ

「、、、そうだったんですね。

すみませんでした。ガーベラ君」


ガーベラ

「先輩なんて、、大嫌っす!!」


レンゲイ

「ハハっ、、それ言われるの二回目ですね。

これからは精進します!!!

ガーベラ君!!ごめんなさい!!」


レンゲイはガーベラに向かって

頭を下げた。


ガーベラ

「、、、どうしましょうかネェさん!!」


アナスタシア

「そうね。とりあえず

ここが崩壊する前に脱出するのはどうかしら?」


ガーベラ

「ハッ!!忘れてましたぜ!!

アチシまだ死にたくないっす!!」


アナスタシア

「ガーベラ。

レンゲイもあなたを守りたかったのは事実。

こんなに優秀で将来有望な副隊長ですもの。

守りたくなる気持ちも分からなくはないわ。

だから、許してあげなさい。」


ガーベラ

「ネェさん、、」


ダンデライ

「もう時間がないですね。

崩壊が刻一刻と迫っています。」


レンゲイ

「そうですね。

では脱出へ向けて動きましょう!

ダンデライさん!!

そろそろ他隊士ホカタイシ

千年沙羅双樹センネンサラソウジュに集まって来ます。

みんな沙羅双樹の樹の中へ

連れてって下さい。」


ダンデライ

「分かりました。」


レンゲイ

「ガーベラ君もダンデライさんと

一緒に行ってあげて下さい。」


ガーベラ

「フンッ」


ダンデライ

「さっ。行きましょう」


そういうとダンデライはガーベラの首袖を引っ張り

走って千年沙羅双樹センネンサラソウジュへと向かった。


ガーベラ

「離せー!離せぇー!」


次第にガーベラの声が遠くなっていった。


クーワ

「レンゲイさーん集まってるって

どういうことですーー?」


レンゲイ

千年沙羅双樹センネンサラソウジュの花の香りは

人を惹きつけます。ですから集まってるはずです。

刃術ジンジュツ容量ヨウリョウ処理ショリアタイ

低ければ低い程

香りに惹き寄せられやすいですからね。

花は爆発しますけど

僕の合図がない限り爆発はしませんので

安心してくださいね」


アナスタシア

「レンゲイ。千年沙羅双樹センネンサラソウジュは防御の陣よね?

集めてどうするつもり?」


レンゲイ

「飛ばします。沙羅双樹ごとね。

それに千年沙羅双樹センネンサラソウジュ生命イノチの樹。

本体の中は空洞になっていて

その中に入ってツタに触れると

回復もしてくれます。

ガーベラ君が目覚めたのも、うなずけます。

その回復速度は驚異的ですからね。

まぁ、全快は無理でしょうが

帝国に帰って一週間も休めば

新たな任務にもいけるでしょう。

なので飛ぶ直前までは回復してもらいます。

その後が過酷ですから。」


クーワ

「いやですーー病院いやですー。」


レンゲイ

零華フラワの病室をまた抜け出したら

戦闘任務にしばらく行かせない様に

皇帝に頼んでおきますから」


クーワ

「うーーー」


レンゲイ

「さて。ここには鞘花ショウカが三人。

空気はクーワさんに生み出してもらって

推進力はアナスタシアさんに任せましょう。

僕は他の技も刃術ジンジュツも発動出来ないので

ここはクーワさんに任せますね。

それと、乗ってきた子変求飛コペングウィンは捨てます。

どの道使えないでしょうから。

外で待機してる隊士には桜雌鹿サクラメロク

伝えてあるのでもういません!」


アナスタシア

「手際が良いのね。レンゲイ」


クーワ

「もう、お腹減ったですー」


レンゲイ

「はい。急いで帰りましょう。

中で少しお話がありますので。」


アナスタシア

「ん?なんだ?」



ーー千年沙羅双樹センネンサラソウジュ 本体内部ーー



レンゲイとアナスタシアとクーワは

背中を合わせて真ん中に立ち

その脇にはダンデライとガーベラが立っていた。


レンゲイ

「まずは僕が千年沙羅双樹センネンサラソウジュの隙間を埋めます!

そしたらアナスタシアさんは

重力の膜で千年沙羅双樹センネンサラソウジュを押しつぶして下さい!!

次は千年沙羅双樹センネンサラソウジュを地上に向けて重力反転を!

クーワさんは常に空気を生み出し続けて下さい!

浮力を出していきます!準備は良いですか?」


アナスタシア

「ぁあ。いつでも」


クーワ

「ふぁあい。眠いですー」


ガーベラ

「はぁ、、やっと帰れるっすぅ」


ダンデライ

「そうですね。。

ダンジョン攻略は失敗しましたけど

生きて帰れるなら良かったです。」


アナスタシア

「そうね。」


ガーベラ

「え?失敗したんすか!?

じゃぁサヤは一体どこに!」


ダンデライ

「トギリです、、」


ガーベラ

「あ、、トギリ、、」


ダンデライ

「どうしましたか?」


ガーベラ

「何でもないっす!!



レンゲイ

「行きますよ。」

千年沙羅双樹センネンサラソウジュ 絶対防御陣形 雌鹿世界樹イグドラシェル


光り輝く千年沙羅双樹センネンサラソウジュの樹海が中心に集まり

沙羅双樹と合わさると一つの巨大な樹木となった。

隙間なく完成された雌鹿世界樹イグドラシェル

神々しく光輝いていた。

どんな衝撃も攻撃も受け付けない

完璧と言っていいほどの防御陣形。

その防御力は鞘花ショウカで一番防御力の高いと言われる

ジニアの金色木乃伊コンジキミイラの砂にも

肩を並べるほどだった。

雌鹿世界樹イグドラシェルは何もできない変わりに

何も受け付けない絶対防御である。


ガーベラ

「悔しいっすけど、、スゲーっす」


レンゲイ

「今です。アナスタシアさん。

今回は影響を受けられる様に調整しています!!

遠慮なくやってください!!」


アナスタシア

『黒の審判!!』

雌鹿世界樹イグドラシェルの重力場を天地反転させた。

地上まで落下するぞ!!」


ガーベラ

「地上に落下って、、、

え!?どういことーー!?」


クーワ

我赦蔵ガシャクラ


青藍人魚セイランニンギョに向けて

空気が次々と集まっていく。


ガーベラ

「アギャァァア!!

風が強すぎるっす!!!

アチシ、、吸われ飛ぶっ!!!!」


アナスタシア

「クーワ!!

それは酸素を奪う技ではないのか!!」


レンゲイ

「クーワさん!!」


クーワ

「クフフッ

違いますよー。

酸素を増減、生成、消滅させる技ですー。

密室しか使えませんけどねー」


レンゲイ

「そう、、ですか、、

ありがとうございます。」


レンゲイ達を乗せた雌鹿世界樹イグドラシェル

ものすごい速度で地上へと落ちていった。


アナスタシア

「不思議な感覚だろう。

不安がることはない。

雌鹿世界樹イグドラシェルの範囲だけを

天地反転しただけだ。

上から引っ張られると思って構わない。」


アナスタシアは不安気な隊士達を見て微笑んだ。

しかし、雌鹿世界樹イグドラシェル内部は

怖ろしいほど静かだった。


レンゲイ

「皆さん申し訳ないです。

雌鹿世界樹イグドラシェルの中では

千年沙羅双樹センネンサラソウジュと違って回復は出来ません。

外側の樹皮の回復に全てを使ってしまうからです。

そして、、少し刃汽ジンキも吸われてしまいます。

なので逆に疲れてしまいますが

僕ら隊長格の刃汽ジンキ量は圧倒的です。

死ぬまで吸われることはないと思います。

身体がつらくなったら僕に言って下さいね。」


刃汽ジンキとは

刃術ジンジュツ鞘花ショウカが持つ

汽の力である。

刃汽ジンキ量が多ければ多いほど

刃術ジンジュツの威力は高く

鞘花ショウカとしての力も高い。

基本的に副隊長はヒラ隊員と比べると

圧倒的な刃汽ジンキ量を誇る。

鞘花ショウカである隊長たちは

更に圧倒的な刃汽ジンキ量を誇っていた。

そして、鞘花ショウカサヤを解放する時間の長さは

刃汽ジンキ量に比例するとも言われている。


クーワ

「ね、、眠いですーーー」


アナスタシア

「クーワ!寝るな!」


レンゲイ

「この傷です。

本来ならば回復しなければいけないのですが

今回はその逆を行なっていますから。

僕に触れて下さい。クーワさん。」


レンゲイはそっと手を差し出した。


クーワ

「なんですーそれー」


レンゲイ

「握手。ですよ。」


クーワ

「あく、、しゅ、、?」


レンゲイ

「はい。握手です。

あなたの事、初めは勘違いしてました。

しかし、あなたがいなければ

生きて帰ることも出来なかったでしょう。

ありがとうございます。クーワさん。」


レンゲイはニコッとクーワに微笑んだ。

クーワは戸惑いつつも

ダンデライの目を見た。


ダンデライ

「隊長。良いんですよ。」


クーワは眠い目を擦りつつ握手に応じた。


クーワ

「あくしゅ、、です。」


レンゲイ

「はい。」


クーワがレンゲイの手に触れると

温かな光に包まれた。

青白くなっていた顔に生気セイキが宿る。


レンゲイ

「これで、仲直りです。クーワさん」


ダンデライ

「良かったですね。クーワ隊長。」


クーワは首をカシげながら

不思議そうな目でレンゲイを見ていた。


ガーベラ

「クーワ隊長も、、ネェさんも先輩も、、

ダンデライ副隊長も、、

みんな、ボロボロっすね、、」


アナスタシア

「ぁあ。十鬼槍ジッキソウの力を存分に見せつけられた。

我々、鞘花ショウカと言えど

まだまだ成長しなければならないわね。」


レンゲイ

「そうですね。

僕ら鞘花ショウカも副隊長も

もう一段階、強くならなければいけません。

きっとこの先も立ちはだかるでしょう。」


アナスタシア

「ぁあ。おそらく奴らには

我々の知らない何かがある。

もっと研究を進めなければいけないな。」


レンゲイ

「頼みましたよ。

それがアナスタシアさんの仕事ですから。」


アナスタシア

「ぁあ。天空山テンクウザンにある依代ヨリシロの滝に

足を運んで見ようと思う。」


ダンデライ

「存在するのですか?

海底都市ポセドニアよりも

現実味がありそうにないですが、、、」


ガーベラ

「え?あの伝説の!??

行きたいっす!行きたいっす!

あわよくば鞘花ショウカになりたいっす!」


レンゲイ

「落ち着いてください。ガーベラ君。

アナスタシアさん。

サヤ刃術ジンジュツが誕生したと言われている

天空に浮かぶ霊峰レイホウですね?

見つけられたんですか?」


アナスタシア

「いや、、まだだ。」


ガーベラ

「まだっすか、、」


レンゲイ

「ですよね。それよりも、まずは治療です。

今日から大忙しですよ全く。

ガーベラ君。照刃ショウハの見せ所です。

頼りにしてますよ。」


ガーベラ

「アチシを誰だと思ってるんすか!

副隊長ですぜ!?」


レンゲイ

「知ってますよ。

僕が任命しましたから。

それと、、瞑想の修行もしますからね。

天空山テンクウザンへの旅もその後です。

ちゃんと出来たら考えても良いですよ。

みっちり鍛えあげますからね!!」


ガーベラ

「アチシ、、もう帰りたい、、、」


レンゲイ

「はい。帰って良いですよ。

今回に限り僕と一緒に帰りましょう。」


ガーベラ

「ムムッ」


アナスタシア

「フフッ。愉快な奴だな。

そうだ。レンゲイ

少し話したい事があると言っていたわね?」


レンゲイ

「、、ぁあ。そうですね、、

トギリにも、濁されてしまったんですが

キキョウ副隊長の事に関して

何か知ってる様な素振りだったんです。」


アナスタシア

「何故、、トギリがキキョウの事を知ってるんだ?」


レンゲイ

「分かりません。」


アナスタシア

「そもそも通信刃術ツウシンジンシュツ

ポセドニアでは使えなかったらから

帝国へ帰ったら調べてみるわね。」


ガーベラ

「でも、ネェさん!!まずは治療しましょう!!」


アナスタシア

「ぁあ。そうだな。」


クーワ

「病院いやですー」


ダンデライ

「ダメですよ隊長」


ガーベラ

「病院でアチシの言う事は絶対ですぜ!!」


レンゲイ

「僕の言うことも絶対ですよ?ガーベラ君?

むしろ、普段からですけど。」


するとアナスタシアは周りを見渡しはじめた。


アナスタシア

「もうすぐ地上だぞ。レンゲイ」


レンゲイ

「そうみたいですね!

帰ったら皆さんを零華フラワ病院に

ブチ込むのが楽しみです!!

ガーベラ君にも寝ていたぶん

しっかり働いて貰いますからね!」


ガーベラ

「ブーっブーっ」


ダンデライ

「隊長も入院して下さいね!」


クーワ

「うーーーッ逃げるですー」


ダンデライ

「勘弁してください、、、」


アナスタシア

「凄まじい。闘いだったな。レンゲイ。」


レンゲイ

「そうですね。短い様で長い1日でした。」


アナスタシア

「ようやくおさらばだ。」


レンゲイ

「はい。

ダンデライ副隊長、ガーベラ君、アナスタシアさん

クーワさん。」




レンゲイ

「帰りましょう。

この地獄ポセドニア から地上へ!!」



N

千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

海底都市 ポセドニア 最終話

Part Ⅹ 終章エピローグ2/2 地獄ポセドニアに咲きしは雌鹿メロクの花 (完)


























おまけ













時は少しサカノボること一時間前


ーーラミオラス帝国領土 

ネジと油の街 ボアフレア工業地区ーー


排気ガスと油が立ち込め土煙が舞う。

そこには三人の隊長格が身を潜めていた。



キキョウ

「はぁ、、はぁ、、

隊長、、遂に、、見つけましたね、、」


女は水蒸気が吹くタンクを背に男を見て言った。


ジニア

「せやな、、、おったまげるやろ、、

さっ、、、行くでキキ!!ランチィ!!」


チョウラン

「ちょっと、、僕のことそんな名前で

呼ばないでくださいよぉ〜〜」


ジニア

「何でやねん!!

俺がランチィゆーたらランチィなんやで!!」


チョウラン

「うわっ。引きますそれ。

ゴリゴリの体育会系じゃ無いですか!!」


キキョウ

「ジニア隊長、、

他の隊の子をからかわないで下さいます?」


チョウラン

「うわぁ、、眩しい、、、

なんて素敵な人なんだぁ、、、

キキョウ副隊長っ好きだなぁ、、」


ジニア

「え!?ちょっとランチィ、、、」


ジニア囁く様に

「また心の声漏れてもーとるやん...」


チョウラン

「え!?!!あっ!!え!?

ごめんなさい!!キキョウ副隊長!!

副隊長代理の分際でおこがましいことを!!

あーー!!リナリアさんにまた怒られるぅ!」


キキョウ

「もう、、、。

ほら、いいから行きますわよ!!」


チョウラン

「あっ、、え?は、はい!!」


ジニア囁く様に

「ぁあ見えて照れてるんやで?」


キキョウ

「ジーニーアー隊長!!!!」


ジニア

「へーへーぇ!!」


キキョウ

「さっ、これを着てチョウラン副隊長代理」


チョウラン

「え?これは、、」


キキョウ

「微細な刃汽ジンキの漏れも隠す外套ガイトウ

隠密刃具オンミツジング亀獅子キャメレオンよ。

ジニア隊長が改良を加えてるから

更に能力が向上されたの。

隠密任務には最適ね。」


ジニア

「良い名前やろ?

亀獅子カメレオンやない

亀獅子キャメレオンやで!!」


チョウラン

「いや、全くそれはどうでもいい話だな。

ジニア隊長って面白いけど

ネーミングセンスは絶望的だなぁ。

キキョウ副隊長!!

でも、、来る時はこんなの、、」


ジニア落ち込みながら

「心の声、、漏れとる、、で、、」


チョウラン

「素晴らしいネーミングセンスですね!

僕は好きです!!!」


キキョウ

「無理がありますわ。それ。

ほら、隊長!話をしてください!」


ジニアはチョウランに

ベーっと舌を出していた。


キキョウ

「隊長、、いい加減にして下さい!!」


チョウラン

「ぼ、僕のせいです、、すみません!!

それで、、行くって何処にでしょうか、、」


キキョウ

「隠密と斥候セッコウを兼ねてる三刃花隊サンジンカタイ

偵察にも行くのよ。

ただ、今回は覚悟しておいた方が良いわ。」


ジニア

「せやで!ランチィ。

目星を見っけただけでもオンの字やけど

三刃花隊サンジンカタイ隊長がおる隊やで?

確実な情報取り行くもんやろ?」


キキョウ

「そういうことです。」


チョウラン

「何で、、隠密部隊に僕がいるんだろうか、、

っていうかマーベラスからヤケにキキョウ副隊長と

一緒にいる気がするな、、はぁ。嬉し。」


ジニア

「おーい。また漏れとるで?心の声!!」


チョウラン

「アワワ!!すみません!!すみません!!」


ジニア

「おもろいやっちゃなぁ!!

気に入った!!飯でもおごろか?」


チョウラン

「そんな!!ご飯なんて!!!滅相もない!!

ご飯かよ!!そんだけ給料もらってんだから

コース料理ぐらい食わせろよ!!!

なんて、、言えないよォォオ!!

ありがとうございます!!

ぜひ!ご飯でも!!、、ってあれ?」


鬼の形相になっているジニアは

チョウラン副隊長代理を睨んでいた。


ジニア

「コース料理ぐらいやと??

コース料理なんて食ったことぉ俺でもないんじゃ!!

このハゲ!!!!」


チョウラン

「え?僕言ってませんよぉお!!」


ジニア

「はっきり言ってたやないかい!!」


チョウラン

「え??嘘ですよ。」


ジニア

「え??嘘ですよ。

じゃないわ!!ボケ!!

大嘘をなに真顔でゆーてんねん!!」



キキョウ

「はぁ。

私、先行きますから。

後から来てくだーーーーーー」


ジニア

「なんかゆーたって、、ってキキ!!!」








チョウラン

「あっ、、、キキョウ、、副隊長、、」










そこにはキキョウの身体をツラヌいた男が

立っていた。


キキョウ

「た、、隊長、、」


チョウラン

「キキョウ副隊長!!!!

鞘花ショウカの身体を、、ツラヌくなんて、、」


ジニア

「なん、、やねん、、、お前、、、

なんで、、ここにおんねん!!!」



男は不適に笑っていた。

ヌメヌメとジメジメと

そしてキキョウの身体をツラヌいた刀を

グボっと抜いた。



キキョウ

「グっ」





ジニア

「ソープワイトォォォォオ!!!!」





ソープワイト

「やぁ。ご機嫌よう。

侵入者イントュルーソ 諸君。」







ソープワイト

「さっきからつまらない会話を

ずっと聴いていたが

なんだね?頭にウジでも湧いているのかね?

ここは我が帝国の領土

そして、私の管轄する地区だ。

つまらない者がつまらない話しを

つまらなさそうに聴いていたこのメスを

私がツラヌいてやったまでのこと。

全く、猿がぎゃーぴーぎゃーぴーと

わめき散らしたおかげで

つまらないものを切ってしまったじゃぁないか。

ヌフフッヌフフッ!!」


チョウラン

「、、め、め、、冥王軍、だ、だ、団長、、だ、、」


ジニア

「へたれんなハゲェ!!

最高級の首やないか!!

ここで俺が殺したるわ!!!」


ソープワイト

「ほぅら。やってごぉらぁん」


チョウラン

「え、、、声がゆっくり、、

めまい、、立て、、な、、」


ジニア

「シャキっとせぇ!!ランチィ!!

息止めとけ!!!」


ジニア心の声

((何や、、これ、、無臭、、の、、毒か?

このままじゃあかん!

キキが連れてかれ、、解放せな、、))


ジニア

「って。こんなセッマイとこで

解放したら危ないやんけ。」


チョウラン

「僕、、だめ、、れ、、す」


ジニア

「ランチィ!!!!」


ソープワイト

「君は平気なのかね?え??

流石は隊長というべきか、、

それとも鞘花ショウカには効かないのかね?」


ジニア心の声

((キキの傷は橙猩猩ダイダイショウジョウの湯の力で

治るはずや。そこの心配はせんでもええ。

鞘花ショウカは毒に対してある程度の耐性はある。

せやし、どないすんねや、、

ランチィ守りながら戦うんは

ここは狭すぎる!))


ジニア早口で

滅刃メツハ 二十一ニジュウイチ砂刃大天サジンダイテン!!』


ソープワイト

「ほう。滅刃メツハで来るのかね。

にしても、、この威力は厄介」


砂が細い竜巻になり

ソープワイト目掛けて飛んで行った。


ソープワイト

「フンッ、、目眩メクラマしも

兼ねているのか、、」


ソープワイトは刀で刃術ジンジュツを切り裂いた。


ジニア

滅刃メツハ 三十一サンジュウイチ砂豹狽土サヒョウバイド!!!』


ソープワイト

「まだ煙が晴れない、、

全くバカな奴だ。

自身の攻撃もこれじゃぁ与えられないよ」


しかし砂のヒョウがソープワイト目掛けて

襲いかかった。


ソープワイト

「ほぉ。砂の鞘花ショウカ

砂の滅刃メツハを使うと

生きている様に追尾する事も可能なのか、、

威力を向上しつつ

最小限の形状変化を織り混ぜているんだねぇ。

器用なことをする男だよっ。

砂の鞘花ショウカはもっとアホウだと

ペチュニア から聞いていたんだがね。」


ジニア

「ペチュニアやと!?」


ソープワイト

「ペチュニアは直属の部下だ。

まぁ、、そんなことはどうでも、、いい!!」


ソープワイトは倒れているキキョウを

砂豹狽土サヒョウバイドに向かって蹴り上げた。


ジニア

「キキ!!!」


キキョウ

「ぁあぁあ!!」


砂豹狽土サヒョウバイドの牙が

キキョウの肩をツラヌくと

ソープワイトはそのままキキョウを

地面に叩きつけ足で踏みつけた。


キキョウ

「グアっ!!!!」


ジニア

「キキ!!!!!」


チョウラン

「キキョウ、、副隊長、、」


ソープワイト

「この、、メス!!が!!!

発現したっ!この個体!!に

私がっ!!!名を!!つけて!!

あげ!!ようじゃぁないか!!!」


キキョウ踏みつける度叫ぶ

「グッ、、ァァッ!!!グッ」


ソープワイト

「うーーーん。そうだねぇーーー

確か、、このメスは、、、

灼流シャクリュウの、、鞘花ショウカ、、

そうだ。コレはどうかね?

きっとぴったりだ。

気に入ってくれるはずだよ」





ソープワイト

「メス便器。というのはどうかね?

ヌフフッヌフフッヌフフ!!!

ほら、立つんだよ!!メス便器!!」


キキョウ心の声

((身体にうまく力が、、入らない、、))


ジニア

「ええ加減にせぇよ。。

部下も連れずにノコノコ来てからに、、

舐められたもんやで。

キキッ!!解放せぇ!!」


ソープワイト

「私に直接、ツラヌかれたんだ。

解放など出来るわけ無いだろう?

少しは足りない頭で考えたまえ。

相対アイタイしているのが、、

一体、誰かということを」


ジニア

「そんなん知るかハゲ!!」


男はゆっくりと口上を唱えた。

すると辺りの建物や木々が砂に還っていく


ジニア

『天輪ーー』

「な、、んや、、、解放できひん、、

まさか、、毒が、、、」


ソープワイト

「バカかね。鞘花ショウカだろうが

何だろうが私の毒が効かない訳がぁない。

耐性があるから効かないとでも思ったのかね?

千刃花センジンカの隊長というのは

本当にどいつもこいつもアホウばかりだよっ。

それに、、この私が部下も連れずに

鞘花ショウカの前に来るわけが、、

無いだろう?」


ソープワイトはジニアをキッと睨むと

片腕を空に掲げた。


ソープワイト

「やれ。パチンッ指のなる音小鬼ゴブリエル


ジニア

「何や、、この子ぉら、、」


チョウラン

「子供、、です、、ジニア隊長、、」


ソープワイト

「聞いていたのかね?

私は今、小鬼ゴブリエルと言ったんだ。

子供じゃぁない。元人間、、そして

鬼人にもなれない不出来な失敗作フラカサードだよ。」


ジニア

「元人間、、やと、、」


ソープワイト

「さて、目的は果たした。

身体の髄液ズイエキがしたたり落ちる その日まで

このアバズレと遊んでやろうじゃあないか。」


キキョウ

「ジニーーーー」


するとソープワイトは

キキョウと共にゆらりと

消えてしまった。


ジニア

「キキッッッ!!!!!!!!」




ーーそして現在ーー


DGディージー

((こちら、

千刃花センジンカ通信刃術ジンジュツ司令部 "九根キュウコン"コードネームDGディージー

こちら、

千刃花センジンカ通信刃術ジンジュツ司令部 "九根キュウコン"コードネームDGディージー

三刃花隊サンジンカタイ隊長 

ジニア サラザール ロペス

ジニア サラザール ロペス隊長

応答せよ 応答せよ

こちら、千刃花センジンカ通ーー))



(完)

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