15話 海底神話 受け継がれる意思と少女の独白

千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

海底都市 ポセドニア

Part Ⅸ  海底神話 受け継がれる意思と少女の独白モノローグ



海底都市ポセドニア

1000年前 海に沈められたという伝説の都市

神のヤイバであるサヤ

新たな鞘花ショウカを選ぶ為

この海底都市ポセドニアをダンジョンとして作り変えた。

サヤを手に入れる為に

ナーベルク帝国軍、ラミオラス帝国軍

敵対する両軍が

ダンジョン化されたポセドニアへと進軍し

サヤ争奪戦を繰り広げていたが

サヤが選んだのはなんと

敵国の将軍でありポセドニア王国

その末裔マツエイトギリ ヴェルモール ポセドニアであった。



トギリ

「胸が、、あちぃな、、、

ココは、、どこだ、、、」



トギリは竹林チクリンに囲まれた草原の中にいた。

その中央には大きな岩とその岩の上には水の入った大きなボンがあった。

天から一滴のシズクが落ち

ポチャンっと音が響く。

トギリは辺りを見渡したが

モヤがかっておりよく見えなかった。

トギリは目を細めながら岩へと近づいて

そこで腰を下ろした。


トギリ

「俺は、、確か、、レンゲイと、、はぁ。

にしても、、蒸すな、、、」



ポチャンっと音がする。

すると、少女が遠くから手招テマネきする。


トギリ

「何やってんだ?」



ポチャンっと音がする。

少女が遠くから手招テマネきする。


トギリ

「いや。何で俺が行かなきゃいけねーんだよ。

メンドクセェな」



ポチャンっと音がする。

トギリは岩に背を向け横になって目をツムった。


トギリ

「なんか、、疲れたなぁ、、ってオイ!!」




まぶたを閉じても

その まぶたの裏側で

少女が遠くから手招テマネきをしていた。

トギリは目を開けても少女はまだ手招きをする。

そしてまたもや ポチャンっと音がした。



トギリ

「チッ メンドクセェな、、よっ、、こいしょ

そんなに来て欲しいなら、、お前が来いよ。」

照らコロせ イシュッーーーー』

「何?、、発動、、出来、、ない」



ポチャンっと音がする。

少女が遠くから手招テマネきする。


トギリ

「わーった、わっーた。

行きゃぁいんだろー。」



トギリは面倒そうな顔で

少女のいる竹林チクリンの中へと向かっていった。

しかし少女は未だに遠くから手招テマネきする。

そして、あるはずもないボン

シズクが落ちるような音が未だに聞こえた。


トギリ

「来て欲しいんだろーが。

何で近寄ってこねーんだよ。ったくよぉ」

剋刃ゴクハ三十六サンジュウロク空乗クラノリ波濤ハトウ



トギリが靴をトンと鳴らすと

周りの空気が振動し空中に浮いた。

すると地面を蹴り込み

空気の波に乗るかのように滑りながら

高速で少女を追いかけていった。


トギリ

「逃げるなら逃げてくれた方が

追いかけがいもあるんだがな、、、

俺に用があんだっーーー」



鋭く尖った竹槍が、次々とトギリに襲いかかる。


トギリ

「んだよ!!コレ!!」



トギリは波に乗るよう華麗にかわしながら

前へと進んでいった。

容赦なく、そして隙間なく

次々と竹槍の猛攻は止まることはなかった。


トギリ

「イッ、、テェな、、」

剋刃ゴクハ十一ジュウイチ 天殿洞盾テンデンドウム



ドーム型にトギリを包む光の盾が召喚されると

その盾に包まれたまま空乗クラノリ波濤ハトウ

移動していった。


トギリ

二重詠唱ニジュウエイショウとか、、ガラにもねーわ。

あの女、、覚えておけよ、、」



トギリは猛攻を天殿洞盾テンデンドウム

受けながら更に速度を上げていく


トギリ

「追いついたぜ、、お嬢ちゃーーー」



その肩に触れるや否や

少女は巨大な虎へと変化した。


トギリ

「マジ、、かよ!!!」



驚きのあまりトギリは尻餅シリモチをついた。


トギリ

「信じ...られねぇ」



すると突然、虎が襲い掛かると

いとも簡単に天殿洞盾テンデンドウム

パリンッと音を立てて崩れた。

それと同時にトギリの胸に

深く爪が刺さると地面に

叩きつけられた。



トギリ

「ガハッ」


「ぬるい、、」


トギリ

「グッ、、なーんだ、、

意外に声が可愛いじゃねぇっ、、グハッ」


「私が選んだ、、新たな鞘花ショウカよ」


トギリ

「はぁ?、、鞘花ショウカになんて

誰がなるかよ。」


「選択の余地など、、ない!!」



ビリビリと辺りの空気が振動する。


トギリ

「選択の余地も、、ねぇのかよ。

言っとくけどよ。俺は他の鞘花ショウカ

敵対するぜ?」


「人間同士の小競り合いなど些細ササイなこと」


トギリ

「小競り合いと来たか、、神は違うねぇ。」


「森羅万象 生きとし生けるもの

その歯車の中で巡る生と死のハテ

必然とは絶対 絶対とは運命

お前もその歯車に過ぎぬ」


トギリ

「俺は俺の道を自由に生きるだけだっつーの。

その歯車の中にいても俺は自由に動くぜ」


「フフフッフハハハッ!!!」


トギリ

「なんだ、、いきなり」


「お前は、、一族の中で

最もぬるく怠惰タイダな男だな。

だが、最も優しい男でもある」



トギリ

「気色悪りぃーーガハッッ」


「言葉に気をつけろ人間!!!!!」



更に爪は深く深く食い込んだ。



「だがそんなお前を私は選んだ。

その訳はいずれ分かるだろう。

必然とは絶対 絶対とは運命」


トギリ心の声

((鞘花ショウカに選ばれた訳だと?

まさか、、ロージア様はそれを見越して、、))


「今は無き虚空コクウの玉座に

お前の覇道を見つけてみろ!!

お前がその道を見つけた時!!

その意思は!!その背中は!!

いずれ浸透し伝わっていく!!!

お前は水面ミナモに刻む石となれ!!

その中心となり祖霊ソレイを超える王となれ!!

我が名はーーーーーー」



またもやポチャンっと音がした。



トギリ

「おい、待て!!まだーー」



そして現在

ーーレンゲイサイドーー



レンゲイ

「ウッ、、この衝撃波を間近で喰らったら

立てな、、そんな!!」



トギリ

「グッ、、そういう事かよ、、、ロージア様」



レンゲイ

「まさか、、だめだぁぁあ!!!!」



トギリ

「チッ メンドクセェな、、」



そういうとトギリは自身の胸に手を当てて

ゆっくりと口上を唱えた。

すると辺りの衝撃波はおさまりトギリの周りに

渦を巻いて収束していく。


そして



ここに



新たな鞘花ショウカ



誕生した。





トギリ

『天輪•猛攻•八重ヤジュウの歯車

氷城ヒョウジョウ失墜シッツイ覇道ハドウミチビ

憧憬ドウケイせしめし 無音の虚座カラザ

万里バンリハテにて の身をケガせ!!』

『『黄怨コウエン衝刃ショウジン梔子猛虎クチナシモウコ!!』』





レンゲイ

「そんな、、サヤが、、、

よりによって、、トギリを、、、選んだ、、」



ーーアナスタシアサイドーー

衝撃波で大半は崩れていった巨人だが

終わりの始まりリリィヴァイアが次々と

巨人を産み落としていく。


巨大スイセ

「エイッ!!ヤーッ!トゥーッ!

ちょっと この巨人キリがなーい!!

こわーい!!!ツラーイ!!

噛みつかれるぅ!!噛みつかれるわぁ!!!

あたし、噛みつかれたら、、巨人、、

巨人になっちゃううぅう!!!!

って巨人になってるぅぅう!!!

あなたぁのミミにねらぁいをキィめてぇ

SUISEス イ セチョップ!!!!!!

オンドリャァァア!!!!」


アナスタシア

「本当に、、騒がしい!!!!

グッ、、これは、、共鳴反応!!」



ーークーワサイドーー

周辺の巨人をなぎ倒しながら

クーワとマリガルドは

互いを攻撃し合っていた。


クーワ

「、、へぇ」


マリガルド

「よそ見してんじゃねーよ!!」


クーワ

「クフフッ!!

まだまーーーー」



すると突然

クーワがガクンッとヒザから崩れ落ちた。


マリガルド

「もらったぁぁあ!!!!!」



カキンッと音が鳴る



マリガルド

「邪魔だ。殺すぞ」





そこには1人の男がマリガルドの攻撃を

受け止めていた。



ダンデライ

「させません!!!!!」



マリガルド

「テメェじゃ役不足なんだよぉぉお!!!」



ダンデライ

「全隊!!!!

滅刃メツハ用意!!!放て!!!」



怒涛の滅刃メツハ

マリガルドに降り注ぐ


マリガルド

「しゃらくせぇ!!!!」



マリガルドは滅刃メツハ

いとも簡単に千の拳で叩き落とした。


マリガルド

「そんな低級 刃術ジンジュツ

効くと思ってんのかぁ!!ぁあ"!?」


ダンデライ

「クーワ隊長を守れ!!!」



一分隊の隊士達は

クーワを囲むようにマリガルドに

立ちはだかった。


クーワ

「、、ダンデライ」


ダンデライ

「隊長、、納刀ノウトウの時間ですよ。」



クーワはゆっくりと立ち上がった。


クーワ

「なんの真似ですかー?

僕の闘いの邪魔をするなんて、、」


ダンデライ

「クーワ隊長、、、今ここで休まなければ

あの龍と闘えません。

他の隊長達に先を越されてもいいのですか?」


クーワ

「それは、、嫌ですー」


ダンデライ

「ならばここは、、退きます!!」

滅刃メツハ二十ニジュウ•土竜熔岩(ドリュウヨウガン)!!』

鎧無ヨロイナシイチの型• 剥取臓子ハギトリゾウシ!!!』



ダンデライは鎧無ヨロイナシを地面に刺すと

周囲に次々と爆発が起こった。


マリガルド

「アチっ!!目くらましかよ!!!」



マリガルドの目の前から

クーワ達はいなくなった。


マリガルド

「クーワ、、良い部下 持ってんじゃねぇかよ」



ーーレンゲイサイドーー

レンゲイはトギリの解放姿を見て

冷や汗をかいていた。


レンゲイ

「任務、、失敗ですね、、、」


トギリ

「選んだのは俺じゃねーよ。」

『シン•ゲリーーー』

「チッ、、やっぱ使えねーか」


レンゲイ

鞘花ショウカになったことで

刃術ジンジュツ処理ショリ刃術ジンジュツ容量ヨウリョウ

一杯になってしまった見たいですね、、

それほどまでに、神滅兵器シヴァ

強大だということですね。。

幸か不幸か分かりませんが、、

鞘花ショウカになった以上

あなたを連れ帰るのが任務となりました。」


トギリ

「元々、俺のじゃねーんだよ。

だから別に使えなくても困らねーし

むしろ、使えなくて困ってたぐれーだからな。

ジギタリアスのオッさんに返すわ」



そう言うとトギリは右耳につけたピアスを

外してポケットにしまった。


レンゲイ

「ジギタリアス、、、

前任の海王軍 団長ですか、、

数年前に退役タイエキしたと聞きましたが?」


トギリ

退役タイエキ

あのおっさんがするわけねーだろーが。

好きなように海を彷徨サマヨってんだよ。」


レンゲイ

「では、、ラナンキュラス隊長に

教えてあげなくては」


トギリ

「なんでだよ。」


レンゲイ

「アイビー副隊長のカタキですから」


トギリ

「誰だそれ?」


レンゲイ

「あなたには関係ない事だ」

針葉蹂躙シンヨウジュウリン!!』


トギリ

「じゃぁここで言うんじゃねーよ!」



ーーアナスタシアサイドーー


巨大スイセ

「あんらぁ???

どうやらギリちゃんがやったみたいねぇー!」


アナスタシア

「何!?」


巨大スイセ

「だからぁーん

ギリちゃんが

あっ、ギリちゃんってのは

トギリちゃんのことねぇー!!

そのギリちゃんがサヤ

手に入れたって訳な訳ー!!」


アナスタシア

「何だと??

そんな大物がポセドニアに来ているのか!!

それに、、サヤを手にしただと!?

どうして分かる!!」


巨大スイセ

「SUISE 粘着的眼光ストーキングアイ!!」



巨大スイセは人差し指と親指を合わせて

輪を作りその中を覗いた。


巨大スイセ

「ほらほら!!やっぱそうよー!!

流石はギリちゃん!!!

あたしの甘々

スウィーティーボーイ

マイリトルラバーなんだからぁん!

んーーーバッ❤︎」


アナスタシア

「何だと、、、」


アナスタシア心の声

((サヤを奪われた今、、同時に任務の最優先事項が

切り替わった。

サヤを手にしたという事は

すなわちそれは

ダンジョン攻略を意味する!!

ただちにトギリを捕獲し、、撤退しなければ!!))


巨大スイセ

「ちょっとアナシーちゃーん??

どこ行くのよ!!!」



アナスタシアは身体を空中に浮かせると

猛スピードでレンゲイの方へ向かっていった。


巨大スイセ

「ちょっとぉ!!!」



アナスタシア心の声

((ポセドニアが崩壊する!!))



ーーダンデライサイドーー

ダンデライは一分隊の中にいる五刃花隊ゴジンカタイ隊士5人に

クーワを治療してもらっていた。

しかし、次々と出現する巨人との闘いに疲れていたせいか

想像以上に治療は進まなかった。

それでも鞘花ショウカの肉体のお陰で

傷は少しずつ塞がっていった。


ダンデライ

「周囲の防壁 刃術ジンジュツ、光彩 刃術ジンジュツを更に強めてください!!」



巨人が迫り来る中

ポセドニア王宮跡と思われる建物の近くで

ダンデライは隊士に指示を出していた。


ダンデライ

「クーワ隊長、、もう少しです。」


クーワ

「大丈夫ですー

痛くも何ともないですから」


ダンデライ

「隊長  昔、約束しましたね。

身体に1つでも穴が空いたら戦前離脱すると。

今、何個空いていますか?」


クーワ

「、、、分からないですー」


ダンデライ

「3個ですよ。クーワ隊長。

いくら鞘花ショウカといえども

非常に危険です。」


クーワ

「、、うるさいですー

ダンデライ」


ダンデライ

「うるさくて結構です。

約束は約束ですから。」


クーワ

「うー」



ふてくされるクーワを見て

ダンデライは優しく微笑んだ。


ダンデライ

「隊長 お腹空きましたか?」


クーワ

「減りませんですー」


ダンデライ

「そうですか。

では私が隊長の分までいただきます。」



そう言うとダンデライは

チョコレートバーを4本取り出し

4本一気に口に頬張った。


クーワ

「あっ」


ダンデライ食べながら

「美味しいですね。あげませんけど。」


クーワ

「次からは身体に穴が1つ空いたら離脱するですー」


ダンデライ食べながら

「本当ですか?」


クーワ

「はいですー」


ダンデライ食べながら

「本当ですか?」


クーワ

「約束、、ですー」


ダンデライ

「分かりました。約束です。」


クーワ

「ありがとです!!ダンデライ!!」



クーワはダンデライと他の隊士達から

沢山のお菓子をもらうと勢いよく食べた。

その光景を見た他の隊士達は

クーワの意外な一面を見て微笑んでいた。

すると急速にクーワの傷が塞がっていく。



ダンデライ

「では。行きましょう。

マリガルドは必ず私達を見つけますので

後からでも大丈夫です。

ですから私達はあの龍を倒しましょう。

でなければココが崩壊してしまいますからね。」


クーワ食べながら

「分かったですー」



ーーレンゲイサイドーー

レンゲイとトギリは激しい斬り合いを繰り広げていた。


レンゲイ

「一体!!何の力です、、かね!!」


トギリ

「見てっ!!みりゃぁ!!分かるさ!!」



黄色い刀身が、辺りの空気を震わせると

トギリはその切っ先をレンゲイに向けた。


トギリ

衝哭シャルマ


レンゲイ

「なんだ、、コレは、、ん?

衝、、グゥぁぁあ!!!!!」



スンッ とレンゲイの身体に衝撃波が走る


トギリ

「身体がやけに軽い、、鞘花ショウカってすげーな。」


レンゲイ

「グッ、、、衝撃波、、やっかいな力ですね!!」

桜花扇オウカセン凪ノ揺ナギノユラメキ!!』


トギリ

「またコレかよ!!イシュー!!

ぁあ!使えねーんだった!!

ガハッッ!!」



トギリの足元から無数の桜色の花びらが

立ち昇りトギリを包んで行く



レンゲイ

鞘花ショウカになったばかりのあなたに

僕が負けるはずがない」


トギリ

「グッ、、それは、、どう、、かな!!」

大衝哭シャルマ慟哭波ディカルロッサ



衝撃波が地面を走り50メートルはあろう

波動の津波が襲いかかる。

その波にトギリは乗り、レンゲイへと向かっていった。


レンゲイ

「大きいですね。ですが、まだまだです。」


トギリ

「なんだと?」


レンゲイ

「本物の鞘花ショウカの戦いを

見せてあげますよ。」


トギリ

「何する気だ!!!!」


レンゲイ

千年沙羅双樹センネンサラソウジュ



桜雌鹿サクラメロクから

光り輝く巨大な樹海が召喚されると

その真ん中には天に迫るほどの大樹タイジュ

そびえ立っていた。

そして、ポセドニア一帯を覆うほど

巨大な沙羅双樹サラソウジュ

その樹海をの当たりにしたトギリは

思わず息を呑んだ。


トギリ

「おいおいおいおい...

何ちゅう刃汽ジンキ出してんだよ...

なんだありゃ...反則だろ」


レンゲイ

「あなたには

まだ理解できない能力チカラです。」



トギリ

「グッ...俺も大概タイガイだけどよ...

お前も大概タイガイだな!!レンゲイ!!」



大衝哭シャルマ慟哭波ディカルロッサの大波が

千年沙羅双樹センネンサラソウジュ

飲み込まれて行く


トギリ

「やっぱ鞘花ショウカって

すげぇーわ。レンゲイ」



ドーンッという轟音が鳴り響く。

そして、土煙が晴れると

レンゲイは沙羅双樹サラソウジュのテッペンに

ガーベラを抱え立っていた。


トギリ

「余裕かよ...」


レンゲイ

「この千年沙羅双樹センネンサラソウジュ

桜雌鹿サクラメロク最強の奥義。

そして、最も儚く美しいと言われる技です。

見てください。

甘美な香りをカモシし出すこの白い花を。

美しいと思いませんか?」


トギリ

「俺には地獄に咲いた花にしか見えねぇよ。」


レンゲイ

詩的シテキな事を言うんですね。」


トギリ

「ガラにもねぇだろ?

そのヤバそうな技を

さっさと潰させてもらうぜ!!

不気味なんでな!!!」

衝哭シャルマ!!!』



波動が沙羅双樹サラソウジュに向けて放たれると

白い花がポタッ地面に落ちた。


トギリ

「やっぱ効いてねぇか...」


レンゲイ

千年センネン沙羅双樹サラソウジュ

あなたの攻撃を受けるたび

その花は儚く散っていく。

そう。

まるで人のサガのようにね。」


トギリ

「正に、盛者ジョウシャ必衰ヒッスイコトワリを表すか、、

でも必衰ヒッスイっつーことは

いつかは衰えるってことだろ?

そのいつかは知らねーけどよ。

それにしても、あれだけの攻撃を受けても

レンゲイ自身は無傷かよ。普通にすげーわ。

回復も防御も攻撃もこなす鞘花ショウカ、、、

流石は"天才"とウタわれただけはある。」


レンゲイ

「天才、、です、、か、、、

本当の天才はラナンキュラスさんや

クーワさんの事を言うんですよ。」


トギリ

「そしてこの鞘花ショウカ謙遜ケンソンもしやがる。」


レンゲイ

「本当にそう思うなら

僕に勝つことは諦めて下さい。」


トギリ

「"勝つ"なんて言ってねーよ」


レンゲイ

「闘いをしているのに勝ち負けに

こだわらない、、ですか。

あなたらしいですね。トギリ。」


トギリ

「分かってねーな。

ダンジョン攻略したのは俺らだ。

"勝つ"じゃなくて"勝った"んだよ。

だから諦めんのはお前だ。レンゲイ!!」

波動一文字ハドウイチモンジ初舞ハジメノマイ連降誕レンコウタン



トギリは空中に飛び上がると

一閃、縦に刀を振るった。

衝撃波が細かい波の様に

うねりながら降り注ぐと

沙羅双樹サラソウジュがそびえ立つ大地はグラッと沈んだ。

そしてその衝撃が

沙羅双樹サラソウジュ全体に伝わると

ボタボタと白い花が落ちていく。


レンゲイ

「無駄ですよ!!」


トギリ

「無駄じゃねーよ。」

波動一文字ハドウイチモンジ弐舞フタツノマイ捻仇討ネジレアダウチ



沙羅双樹サラソウジュを囲む様に

波動が円を描き沙羅双樹サラソウジュ

縛り付けると螺旋を描き

轟音と共に沙羅双樹サラソウジュ

激しく揺れ始めた。


トギリ

「その螺旋が壊れねー限り

衝撃は伝わり続けるぜ」


レンゲイ

「グッ、、沙羅双樹サラソウジュ

揺れるだと??マトモに喰らったら

一体どれほどの衝撃なんだ、、」


レンゲイ心の声

((初めてサヤを扱うにしては

使いこなしている。何故だ、、))


トギリ心の声

((なんだ、、この手に馴染むこの感覚は、、

これが俺の一族が代々受け継いできたサヤ、、

梔子猛虎クチナシモウコ

この力なら、、ガラじゃねぇけど))


トギリ

「負ける気がしねぇ」



トギリはゆっくりと

千年沙羅双樹センネンサラソウジュ の陣の中に入っていく。


トギリ

「あ?この陣の中に入ると暗くなるのか、、

千年沙羅双樹センネンサラソウジュの光だけしかねぇー。

一体、どんな能力なんだよ。

空間も支配してんのか?って おっこれか、、」



トギリはふと、沙羅双樹サラソウジュの花を手に持った。


レンゲイ

「愚かなのか、無謀なのか

それとも何かあるのか。

わざわざ敵陣に入るなど

軍を率いる者とは到底思えませんね、、」



トギリ

「これが沙羅双樹サラソウジュ、、

綺麗な花だな。」



レンゲイ小声で

「芽吹け 桜雌鹿サクラメロク



ドーーーッンと

沙羅双樹サラソウジュの花が爆発した。



トギリ

「グッ!!マジか!!!!

爆発すんのかよ!!!!」



トギリは周りを見渡すと

無数の花が辺りに落ちていた。


レンゲイ小声で

盛者必衰ジョウシャヒッスイコトワリを表す。」



トギリは後ずさりすると

さらに沙羅双樹サラソウジュの花を踏んでしまった。

ドーンッドーンッと次々に爆発していく。


トギリ

「ガッ」


レンゲイ小声で

オゴれる人もヒサシからず、ただ春のの夢のごとし。」



ーーアナスタシアサイドーー

空中を移動するアナスタシアは

レンゲイが召喚した千年沙羅双樹センネンサラソウジュを遠くから見ていた。


アナスタシア

「あれは!!

千年沙羅双樹センネンサラソウジュ!!

あの大技を出すほどの相手、、

しかし、あの陣を展開しているのならば

誰も手出し出来ないわね。」



すると遠くから大男の大声が聞こえる。


巨大スイセ

「アナシーちゅわぁん!!!

んもう!巨人が邪魔!

邪魔!!はい!邪魔!!!邪魔!!

はい!!ジャーーマンッ!!!!」



巨大スイセは巨人をなぎ倒し

最後にジャーマンスープレックスを決めながら

アナスタシアを追いかけていた。


巨大スイセ

「早い!早いわよー!まだよ!

まだイカないでぇーー!!」


アナスタシア

五月蝿ウルサい!!!」


巨大スイセ

「フベェッ!!」



アナスタシアが黒雛クロビナを振ると

巨大スイセは片膝カタヒザをついた


アナスタシア心の声

((効いてる、、、))


巨大スイセ

「んもう!!今は共闘でしょ???

冷たいのねー!!氷よ!氷みたいな女ね!!

いや、重力よ!!重力みたいな女ね!!」


アナスタシア

「重力みたいな女とは意味がわからないわ」


巨大スイセ

「ツッコミが、、ヘ•ビ•ィ•級ってことよん!!

ってブヒッ!!」



更にアナスタシアは重力を増した。



巨大スイセ

「ちょ、、っと、、

今、、豚みたい、、な、、声、、

出しちゃったじゃない!!!!!!」


アナスタシア

「貴様にはお似合じゃあないか。豚野郎」


巨大スイセ

「いやんっそれはそれでオケ丸ガール♡」



すると上空から滝の様な水流が降り注ぐ


アナスタシア

「なんだあれは!!」

黒無断壁クロムダンペ!!」



アナスタシアはとっさに

重力の壁を召喚した。


巨大スイセ

「アベベベベベっっ!!」



巨大スイセはまともに

水流を喰らってしまった。


巨大スイセ

「だ、、誰よーー!!!!」



ニュルニュルと身体を這わせながら

地面を高速で移動する龍がいた。


アナスタシア

「アレは、、巫女!!」


巨大スイセ

「あんなに遠かったのに

いつの間に!!!!」



終わりの始まりリリィヴァイア

「私の封印を解いたのは貴様か人間」



終わりの始まりリリィヴァイア

ヌッと身体を起こした。

その巨体はスイセを遥かに上回っていた。


巨大スイセ

「デカイ蛇ちゃん。。

お財布とバック、、沢山作れそうね。」


アナスタシア

「これが、、伝説の、、終わりの始まりリリィヴァイア



マリガルド

「どけぇえ!!スイセ!!!!!」


巨大スイセ

「あら?マリ坊!!久しーー」


マリガルド被せ気味に

千手•鐵化燐センジュ•テッカリン!』


アナスタシア

「あの赤髪は!!

黒四葉クローバー部隊 隊長 マリガルド!!」


マリガルド

「ウラウラウラウラウラ

ウラウラウラウラウラ

ウラウラウラウラウラ

ウラウラウラウラウラァア!!」


青い炎と千の拳が終わりの始まりリリィヴァイア

叩き込まれた。


マリガルド

「ウラァア!!」


終わりの始まりリリィヴァイア

「グッ、、その力、、、

許さない許さない許さない許さない!!!

ロォォオジァァァア!!!!!!」


アナスタシア

「ロージアだと、、」


巨大スイセ

「マリ坊!!!効いてないじゃない!!!」


マリガルド

「バカ野郎、、はぁ、、はぁ、、

この蛇がおかしいんだろうが」


アナスタシア心の声

((この場に十鬼槍ジッキソウの隊長が二人、、

マズイ、、、))


マリガルド

「おい女!!!

テメェ、、千刃花センジンカの隊長だろ??

殺す!!!!!!!!!!!」


巨大スイセ

「はい!タッチ!!」


マリガルド

「ゴハッッ!!!」



巨大なスイセはマリガルドを

ハエを殺す様に叩き落とした。


マリガルド

「っテメェ!!!何しやがる!!!」


巨大スイセ

「今、共闘中だから!!!!」


マリガルド

「は!?敵と共闘だと?

遂に頭までイッちまっーー」


巨大スイセ被せ気味に

「はいタッチッ!!」


マリガルド

「ガハッ!!」


巨大スイセ

「もうこの、バカガルド!!!

よく状況を見なさい!!

この蛇ちゃん 倒さないと

ここ出れないのよ??

っというより早く倒さないと

あたしたち深海に潰されてシヌガルド!!!」


マリガルド

「カマ野郎!!

さっきからバッコバッコ叩きやがって!!!」


アナスタシア

「物分かりが良いのね。

その通りよ。

文献と石碑を読み解くと

あの化け物の力は凄まじいわ。

でも、残念ながらトギリが

サヤを手にし

ダンジョン攻略をした。

そうなると、ダンジョンには何の意味もない。

用が済んだら崩壊するだけよ。

恐らく持ってあと、数十分

かといってあなた達含めた邪魔者ばかりのポセドニアでは

脱出も困難になるわ。

サヤを手に入れて死んだんじゃ

意味ないものね。」


終わりの始まりリリィヴァイア

「憎っくき人間!!!

また、女王ポセイドンオトシイれに来たか!!!

許さん許さん許さん許さん!!」



口から咆哮の様に水が放たれたが

ギリギリみなける事が出来た。


マリガルド

「なんだ!!この水圧!!!

ってグアッ!!!後ろからはなんだ!!

この、、風!!!!!!」


巨大スイセ

「ンフッ!!潤う水!!!保湿!!

そしてあたしは人魚!!

後ろは風!!そう追い風!!

それは正にあたしの風!!!」


マリガルド

「チゲェよ!!この風は、、」



クーワ

「クフフッ」



風が舞う。

辺り一面に風が巻き起こり

周囲を切り刻む。


アナスタシア

「クーワ、、

相当戦ったようね、、その血が

凄まじさを物語ってるわ。」


ダンデライ

「やはり!!アナスタシア隊長!!」


アナスタシア

「ダンデライ、、終わりの始まりリリィヴァイアよ。

どうやら あなた達 まんまとサヤ

騙されてしまったのね。

神器を揃えてはいけないの。

揃えさせないと。」


ダンデライ

「すみません、、私が集めるようにと、、」


アナスタシア

「まぁいいわ。

終わった事は仕方ないこと。

私も間に合わなかった。

今出来ることは向こうで闘ってるレンゲイが

トギリを倒して捕獲すること

そして、終わりの始まりリリィヴァイア

倒すことよ。」



ダンデライ

「この龍を、、倒す。

貴様!!マリガルド!!」



ダンデライはグッと身構えた。


マリガルド

「おーおー探す手間がはぶけたぜ

クーワ殺したらテメェも殺すからな。」


巨大スイセ

「あんらぁ???

ダンデライちゃん!!!

会いに来てくれるなんて

優しいのね!!んーーーバッ❤︎」


ダンデライ

「スイセ!!デカイ、、、

それに私は 別に会いに来てなどいない、、」


アナスタシア

「放っておきなさい。

今はいいわ。」



ダンデライ

「どういうことですか?」


アナスタシア

「共闘中よ。一時休戦。

ダンジョン攻略した後

コイツが深海をウロついてごらんなさい。

どのみちラミオラスかナーベルクを襲ってくるわ。

だからついでに倒すのよ。」


終わりの始まりリリィヴァイア

「好き勝手に言ってくれる!!

襲うのではない!!滅ぼすのだ!!!」


巨大スイセ

「滅ぼすですって?ブフッ

あんたはあたしの 財布とバックになるのに

どうー滅ぼすのよーん!!?

ちょっとマリ坊!!あんまり焼かないでよね!!

せっかく一儲け出来そうなんだから!」


マリガルド

「知るかよ。」



そして風が更に強くなると

クーワは歌う様に口上コウジョウを唱えた。



クーワ

『『天輪•残響ザンキョウ千手センジュの瞳

血飛沫チシブク咽喉イントウ 壊れた人形

ツンザけ遥かに高らかに

賭けるものなど何も無い

ウタえ 祈りを •ウタえ!! その死を!!

『『蒼天叫刃ソウテンキョウジン青藍人魚セイランニンギョ』』



アナスタシア

「グッ、、解放するだけで凄まじい力、、」


巨大スイセ

「、、死神クーワの解放

青藍人魚セイランニンギョの風って

相変わらずイタ気持ちぃわぁーん!!」


マリガルド

「デタラメな力だぜ!!

解放しただけで攻撃されてるみてぇだ。」



そしてクーワは青々しい刀身を空高く天に向けた。


クーワ

薫風奏者マエストロ



風がクーワを包み空へ駆け出すと

まっすぐ終わりの始まりリリィヴァイアへと

向かっていった。


アナスタシア

「私たちに見向きもしないなんて

あなたらしいわね。クーワ。

ダンデライ!!あなたは隊士達と下がってなさい。」


ダンデライ

「ハッ!!」


マリガルド

「この蛇が片付いたらぶっ殺すからな!!!」


巨大スイセ

「え?ちょっ!!もういく感じ!?

え?何!?行くの!?行くの!?」


クーワ

死ノ青藍鎌斬ブルベットテレサイス


アナスタシア

黒雛刀クロビナート!!』


マリガルド

千手•鐵化燐センジュ•テッカリン!』


巨大スイセ

『SUISE Wダブル 粘着的眼光ストーキングアイ!!』



千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

海底都市 ポセドニア

Part Ⅸ  海底神話 受け継がれる意思と少女の独白モノローグ(完)






おまけ






リリィヴァイアナレーション


月の綺麗な静かな夜、私は恋をした。

たまたま夜の海辺を散歩していたら

たまたま停泊した船に乗っていた髪の長い男に。



髪の長い男

「やぁ。こんな夜にどうしましたか?」


リリィヴァイア

「その、、月が綺麗だったのでお散歩を」


髪の長い男

「私もご一緒しても良いですか?」


リリィヴァイア

「あ、、はい、、」


リリィヴァイアナレーション

私は恋をした。

その優しくて深い声に


髪の長い男

「月明かりに照らされた海は

とても綺麗ですね。

それに風も心地良い。」


リリィヴァイア

「はい。私も好きで良く散歩してます。」


髪の長い男

「私もです。

月を見るのはとても落ち着きます。」


リリィヴァイアナレーション

それから彼に会いたくて

毎晩、毎晩、夜の海へ散歩に出かけた。


髪の長い男

「やぁ。また会いましたね。」


リリィヴァイア

「はい、、、」


髪の長い男

「貴女に会いたくて

つい、散歩に出掛けてしまいます。

それに、停泊日を少し伸ばしてしまいました。

これでしばらくは会えそうですね。

これはその記念に、、」


リリィヴァイア

「え、、首飾り、、

いいんですか?高そうですが、、

あっ。でも、、父から散歩に行くなと

言われてしまいまして。」



髪の長い男

「受け取って下さい。

貴女に付けられた首飾りも喜びます。

会えないのは、、残念ですが

私は貴女をここで毎晩待ってます。

そうしたらいつかは会えるでしょう?」


リリィヴァイアナレーション

その言葉が嬉しかった。

毎日、もらった首飾りをつけた。

そして、しばらくすると

父が体調を崩して倒れてしまった。


リリィヴァイア

「父が、、体調を崩してしまいました。

もう、、会えないかもしれません。。」


髪の長い男

「そうですか。。

父君が心配ですね。

良かったらこれを飲ませてあげて下さい。」


リリィヴァイアナレーション

そういうと小さな小瓶を私にくれた。

私はすぐに父に飲ませた。


リリィヴァイア

「ありがとうございます!!

少し元気になったみたいです!!」


髪の長い男

「そうですか。

それは嬉しいお話しですね。」


リリィヴァイアナレーション

だが、父は死んでしまった。

私が飲ませた薬が原因だと噂が流れ

城中の家臣カシン達、そして妹からも

孤立してしまった。


髪の長い男

「私の、、せいです。

貴女は悪くありません。」


リリィヴァイア

「あなたのせいではないわ、、、

たしかに元気になっていたもの。

でも、、私、、こんな風に思われたまま

海王ポセイドンを受け継ぐ事は出来ない、、

あっ、、私、、、その、、」


髪の長い男

「知ってましたよ。

貴女が第一王女だとね。

でも知ったのはつい最近です。

貴女が王女でも町娘でも私にとって

貴女は貴女です。」


リリィヴァイアナレーション

私は恋をした。

気品溢れる紳士な彼に


リリィヴァイア

「国民と、妹が、、反乱をするというのは

本当、、ですか?」


髪の長い男

「はい。確かな情報です。

今の貴女には女王ポセイドンとしての

信頼が国民と家臣カシン達には

ないみたいですね。」


リリィヴァイア

「私、、どうしたら、、」


髪の長い男

「妹を、追放し国民達の税を上げるのです。」


リリィヴァイア

「でも、、そんなことしたら、、」


髪の長い男

「初めだけです。女王ポセイドンとして

威厳を感じさせるのは力を見せることです。

そしてその苦しみが限界に達した時

一気に税を下げて感謝させるのです。

ツライ決断かも知れませんが

私は貴女のおそばにいますよ。

悲しい顔をしないで下さい。ほら。」


リリィヴァイア

「これは、、手鏡ですか?」


髪の長い男

「はい。笑って下さい。

その手鏡に向かって笑って下さい。

その笑顔を見て私を思い出してください。」


リリィヴァイアナレーション

それから私は暴君を演じた。

上げた税を溜め込みながら

散財してる様に見せた。

国民を苦しめている事に

胸が張り裂けそうだった。

でも、手鏡を見ると二人の夜を思い出せて

自然と笑う事が出来た。


髪の長い男

「お久しぶりです。」


リリィヴァイア

「私、、もう、、耐えられない、、

もう、、苦しむ民を見てられない、、」


髪の長い男

「よく頑張りましたね。

もう、その苦しみから解放させてあげましょう。」


リリィヴァイア

「はい、、、」


髪の長い男

「妹君と各国の王や英雄を招待して

生誕祭を開きましょう。」


リリィヴァイア

「生誕祭、、ですか?」


髪の長い男

「はい。

今までの苦しみを払い

新たなポセドニアの誕生を祝いましょう」



リリィヴァイアナレーション

私は安心した。

もう我慢しなくて済むと。

これでポセドニアがより栄えると。


リリィヴァイア

「それと、、

あなたにお伝えしたい事が、、」


髪の長い男

「はい。なんでしょうか。」


リリィヴァイア

「私、、の、、中に、、あなたの、、」



髪の長い男

「そうですか。それはとても嬉しいです。

私達なら幸せになれると思います。

結婚しましょう。その生誕祭で

私達のことを話しましょう。」


リリィヴァイア

「え、、いいんですか!?」


髪の長い男

「もちろんですよ。リリィ。

この短剣を持ってて下さい。

まだしばらくは航海するので

少し会えないですが

この短剣が貴女を守ってくれます。」


リリィヴァイア

「ありがとう、、ございます!!」


髪の長い男

「私の国では結婚する夜に

舞を踊る風習があります。

是非、貴女にも私の故郷の舞を踊ってほしいです。」


リリィヴァイア

「わ、私、、踊りなんて、、」


髪の長い男

「簡単ですよ。

夫から貰った物を身につけ

こう踊るのです。」


リリィヴァイアナレーション

彼は優雅に踊って見せた。

その舞はとても美しく

神秘的で月明かりに照らされたその姿は

まさに神のようだった。





髪の長い男

「さぁ、踊りましょう。」





リリィヴァイアナレーション

生誕祭当日

私は国民達と近隣の王や英雄を集めた。

彼から貰った首飾りをつけ

手鏡を持ち短剣を腰に差し

女王ポセイドンとして

彼から教わった舞を祭壇で踊って見せた。


リリィヴァイア

「何、、何よこれ!!!!!」



リリィヴァイアナレーション

身体がみるみると燃えるように熱くなり

喉が渇き腹が飢えた。

私が愛した国民達は逃げ惑い

悲痛な叫びをあげながら倒れていった。

すると妹のリリィソフィアが父の剣で

切りかかってきた。


痛い



痛い



痛い



どうしてか分からなかった。


妹の隣には私を見て

不敵にワラう 彼がいた。



全ては仕組まれていた事に

私はようやく気付いた。




ーーそして現在ーー


終わりの始まりリリィヴァイア

「ロォォオジァァァア!!!!!!」


(完)

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