第三章 海底都市ポセドニア
7話 月夜に浮かびし涙の花
作者名 REN’sJackson
海底都市 ポセドニア
Part I 月夜に浮かびし
マーベラスの件から約1ヶ月
涼しげな風が
雲ひとつない星空の下
合同演習場にて
先の戦いで亡くなった
壇上の段幕には普段、
左胸につけている
そして一通りの
最後に
レンゲイ
「
入隊し間もなくして武功を瞬く間に上げていった。
誰にも飾ることなく優しく接し
時には他人を思い涙を流した。
戦う姿は勇ましく
誰もが美しいとさえ思える戦場の女神でもあった。
帝国 女性騎士 最高
この
我々帝国民はそんな貴重な人材を失った。
私が憧れた唯一の人だった。
キスツス隊長は
ラミオラス帝国の刺客でもあった部下に
騙され命を落とした。
彼女の魂はきっと無念で溢れているに違いない。
その無念、我等、
必ずや晴らすだろう。」
「キスツス隊長、君の笑顔がまた見たいよ。」
男は敬礼すると大きな声で叫んだ。
レンゲイ
「君が好きだと言ってくれたあの景色を
今夜、再び贈ろう!」
『
月明かりと
美しく、ただ美しく夜空へと消えていった。
ーー1時間後ーー
男は
隊士達は皆、悲しみに
レンゲイ
「すみません。すぐに
男がそういうと
皆、首を横に振った。
レンゲイ
「彼女は本当に苦労して隊長までのしあがった。
家族を戦争で引き離され
父君を頼りにこの国に来た。
そんな父君から僕が
知っての通り継承を行うと
結晶化して死んでしまう。
継承を受けた僕を恨んでもおかしくなかった。
だが、彼女は僕に対して今まで通り接してくれた。
今まで通り僕を愛してくれた。」
すると隣で聞いていた
口を開いた。
ガーベラ
「先輩。もう時間っす。見てくだせぇ」
副隊長が指を指す方向には
壁にもたれかかる
アナスタシア
「、、レンゲイ」
『
レンゲイ
「うわぁっ!!え?え?
「仕方ないっす。任務っすからねぇー
アナスタシア ネェさん!!
自分が隊長ひっぱるっす!」
レンゲイ
「ちょっ、ちょっと!!ガーベラ君!!」
男は宙に浮いて
身動きが取れなくなっていた。
アナスタシア
「
このまま目的地まで水平移動する。」
ガーベラ
「はいっす!ネェさん!」
女はそう言うと
浮いた男を引っ張って
残された
空中に浮いて引っ張られる男の背中を見送った。
アナスタシア
「レンゲイ、、さっきも話したけど
今回はダンジョンを攻略する。
故にこの任務は失敗は許されない。
理解してるわね?」
ガーベラ
「そうすねぇ。
どう考えても次の
アチシっすからね!!」
レンゲイ
「なんでそうなるんですか!?」
アナスタシア
「副隊長を選ぶときは自身の
後継者を選ぶのが基本
ガーベラが適任だと判断したのは
レンゲイ自身でしょうに。」
レンゲイ
「そうですが、、
あくまでも本当に譲るかどうかは
まだ見極めている途中ですよ。」
ガーベラ
「先輩、、そう言うところありますよねー」
レンゲイ
「ガーベラ君。ちょっといいですか?」
ガーベラ
「無重力状態のままでいいなら
どうぞ!」
レンゲイ
「そうですか。言うようになりましたね、、、
新たな副隊長に
チョウラン副隊長代理を推そうと思ってまして。」
アナスタシア
「いい人材ね。」
ガーベラ
「い、いや待ってくだせぇ!!
ア、アナスタシアネェさん
うちの隊長を拘束して何を考えてるんすか!」
レンゲイ
「今更なにを、、」
アナスタシア
「面白いこと言うのね。
それを引いてるのはあなたよ?」
ガーベラ
「ハッ!!
隊長!!ネェさんの
さっきからアチシ操られてるんすよ!」
アナスタシア
「操られる。
操られると言う意味を
教えてあげましょうか?
その小さな身体が潰れてもいいならね。」
ガーベラ
「ヒヒィ!!
アチシはずっと自分の意思で
引いていると言うことを
忘れてやした!!
サーセン!隊長!!」
レンゲイ
「ったく。アナスタシアさん
もう自分で歩けますから。」
アナスタシア
「そうね。」
女はそう言うと
レンゲイ
「よっと。
ガーベラ君??」
ガーベラ
「助けてくだせぇ!ネェさん!!」
アナスタシア
「面白い子ね」
そういって女の後ろに隠れると
目の前の扉が開いた。
すると背丈の高い男が出てきた。
ダンデライ
「隊長がお待ちです。」
ここは
各部隊の専用機が待機している。
ガーベラ
「相変わらず、デカイっすねー
ダンデライ副隊長
人を見下ろす癖は治ったすか?」
ダンデライ
「ガーベラさん
逆に見上げる癖は治りましたか?」
ガーベラ
「フフフフ、、
アチシが小さいと申すのか!!」
レンゲイ
「はぁ。ガーベラ君
君は
"最小の女"でしょう?」
ガーベラ
「グヌヌッこのリーゼント男が!」
アナスタシア
「あなた達なにしてるの?
行くわよ。」
そう言うと女は
一番手前の通路を曲がった。
レンゲイ
「あれ?そっちですか?」
ダンデライ
「はい。今回の任務は
海底ですので。」
レンゲイ
「海底!?
まさか、そこにダンジョンが?」
ダンデライ
「大昔に海底に沈んだ
海底都市 ポセドニア です。」
レンゲイ
「海底都市 ポセドニア ??」
アナスタシア
「ガーベラ
あなた隊長に何も伝えてないの?」
ガーベラ
「伝えたっすよ!!
帰ってきて早々に
報告しに行ったんすけど
移動要塞マーベラスの件で
慌ただしくて伝えようとおもったんすけど
あっ、、、伝えてないっす!」
アナスタシア
「レンゲイ、、あなたも大変ね。
ポセドニア について少し話すわ。
神々の争いによって沈められたと言われる都市よ。
その都市の文献は非常に少ないけど
怒りによって沈められしポセドニア
そして、その海底都市全体が
ダンジョン化したらしいの。
ダンジョン化したということは
ただ、それがどんな
もしかしたら
それ以外の未確認の
一つ言えることはこの戦争に
勝つためには何としても我が帝国に
持ち帰らなければならないという事。 」
レンゲイ
「そうですね。。」
ガーベラ
「あのぉ!!資料はデスクの上に
置いときましたよ!!」
レンゲイ
「はぁ。もういいですよ・・」
ダンデライ
「では、詳しい話しは船内で。」
しばらく歩くと
青と白でカラーリングされた
ダンデライ
「では中へ」
中に入ると
イスの背もたれをギコギコ鳴らして
飴を舐めている男がいた。
ダンデライ
「クーワ隊長!!大変ながらくお待たせしました。」
そう言うと男は
床に叩きつけた。
ガーベラ
「勢いがスゲェすな」
アナスタシア
「レンゲイが寄り道しててね。」
レンゲイ
「してません。」
クーワ
「別にいいですぅ。
2時間寝てましたから」
レンゲイ
「、、2時間、、ですか?」
「はぁい2時間ですぅ
まだ眠いんですけどぉ」
アナスタシア
「、、レンゲイ」
レンゲイ
「キスツス隊長の
どうでしたか?」
クーワ
「眠たかったので
ココで寝てましたぁーー」
レンゲイ
「寝ていたのですか。
全隊任務以外の者は
そう言われていたはずです。
立派な命令 違反です」
クーワ
「命令違反ですかぁ?
では罰してくださーい。」
レンゲイ
「なん、、だと?
キスツス隊長に対して
なんとも思いませんか?」
クーワ
「何をですかぁー」
レンゲイ
「キスツス隊長 他、隊士たちは
クーワ
「
僕の隊では日常茶飯事ですぅ
キスツスって人だけを
僕が気にするんですかぁー
だって、弱いから死んだんでしょ?」
レンゲイ
「何だと!!!」
ガーベラ
「先輩、、この人、、」
ダンデライ
「お許しください
レンゲイ隊長!!
我々、
ダンジョン発見し、三時間前まで
海底都市について様々な文献を調査していたのです!!
故に、一睡も、しておりません!」
アナスタシア
「やめなさい。レンゲイ。
元々クーワはこういう人間なのを
知っているでしょ?悪気はないわ。」
男の手は震えていた。
レンゲイ
「眠れていないのは
クーワさんだけじゃありません。」
アナスタシア
「分かっている。
だから自身の胸から
手を離しなさいと言ってるの。」
ガーベラ
「先輩!!」
クーワ
「ぁあれ?
僕と遊んでくれるのぉ?
ラッキーだなぁ
隊長さんと
思ってたんだぁあ」
ダンデライ
「ココはお二人とも
おやめください。」
クーワ
「何?ダンデライが遊んでくれるのぉ?」
ガーベラ
「先輩!!」
ダンデライ
「ココはどうか!!」
アナスタシア
「いい加減にしなさい。
遊びじゃないのよ。
ダンデライ副隊長 作戦を」
レンゲイはクーワを睨みつけたまま
ゆっくり胸から手を下ろした。
ダンデライ
「はい。
今回メインとして動くのは
我々
戦闘慣れしている我々を軸に
海底での戦闘サポート
ダンジョン内での未知の負傷に関しては
ガーベラ
「戦闘慣れした我々?出たっすね。先輩
アチシらも戦える所も見せてやりましょう。」
レンゲイ
「そんな下らないプライドは
捨てるように言いましたよね?ガーベラ君
それに戦争において
僕の隊士たちは治療しないという
権利、蘇生しないという選択権利もあります。
僕らに感謝してこそ軽んじられることなど
流石にしないですよね?クーワ隊長」
クーワ
「僕の隊は戦闘が好きな部隊ですぅ
怪我したら戦えないじゃないですかー
治してもらわないと遊べないですぅー」
ガーベラ
「ダンデライ副隊長?」
ダンデライ
「その通りです。
もちろん
合同部隊に加わって貰いますから
前戦に立ってもらいます。」
レンゲイ
「分かりました。
では、私も隊を率いて前戦に立ちます。」
ダンデライ
「いつもなら
待機してもらいますが今回は
初めから前戦に立ってもらいます。」
ガーベラ
「珍しいっすね。」
ダンデライ
「今回は未知のダンジョンですので
それぞれの隊から25名ずつ
5人を残し二分隊に分けます。
クーワ隊長率いる一分隊
レンゲイ隊長率いる二分隊です。」
レンゲイ
「ん?待ってください
アナスタシアさんは?」
アナスタシア
「申し訳ないのだが
今回、私はいけない。
この後、ジニアとラナンキュラスと
アキレイとキキョウに呼び出されていてな。
マーベラスの出来事も踏まえ
今後の事を話し合う。
すまないが私の隊は抜きで頼む」
ガーベラ
「報告書には書いてありましたが、、」
レンゲイ
「見ていませんからね。私。」
ガーベラ
「アチシ反省します。もう帰ります。」
レンゲイ
「帰らないでください。」
アナスタシア
「続けろ」
ダンデライ
「ハッ!
ダンジョン自体が
詳細は不明です。そもそもみたところ
海底都市ポセドニア にダンジョンはありますが
空気があるかさえも分かりません。
なので、
途中から分離して海底都市ポセドニア に入ります。」
「フワァ、眠いですぅ」
ダンデライ
「もう少しお待ちを。
報告によると今はまだ他国の船は
発見していません。
もしくは既に内部にいるのかもしれません。
ですので海底都市に入る前に
戦闘になるか入った後に戦闘になるか
もしくは戦闘にはならずに
ダンジョン攻略するだけになるかは不明です。
ダンジョン攻略次第、速やかに帰還します。」
レンゲイ
「分かりました。
ガーベラ君。
隊士たちの準備は整っていますか?」
ガーベラ
「おっけーっす!
鶴の一声で乗り込めるっす!」
クーワ
「
大丈夫でーす。早く行きましょーよー」
レンゲイ
「分かりました。
アナスタシアさん
ポセドニア までは
どれくらいですか?」
アナスタシア
「ざっと5時間だ。」
レンゲイ
「5時間あれば
両隊共に休めますね。」
アナスタシア
「そうしろ。
何があるか分からないからな。」
レンゲイ
「そうします。」
ダンデライ
「では。隊士の皆さんを」
レンゲイとガーベラとアナスタシアは
いったん外へと出た。
レンゲイ
「
只今より、海底都市ポセドニア へ
ダンジョン攻略任務へと向かう!!
この精鋭25人 選ばれた事を 誇りに思え!!
この中に新たな
受け取るものがいる事を願う!!!!
男がそういうと隊士全員が
最後の言葉を一斉に復唱した。
ガーベラ
「さーみんな乗り込むっす!!
海底王にアチシなる!!!」
女はそういうとスキップしながら
船へと乗り込んだ。
レンゲイ
「では、アナスタシアさん私も。」
アナスタシア
「待ちなさい。」
レンゲイ
「どうしました?」
アナスタシア
「クーワが選ばれたのには
理由がある。」
レンゲイ
「はい。」
アナスタシア
「
ダンジョンから
それも1人で攻略したと聞いている。」
レンゲイ
「1人で??それは知りませんでした。」
アナスタシア
「そして、奴には人として
欠落しているものがある」
レンゲイ
「そうですね。。
入院された時に私が
アナスタシア
「そうだ。奴には
感情がない。空っぽなのだ。
そして痛覚もない。心も身体も
痛みを感じない。
ただ、そんな男を
神は選び
そして奴の
非常に強力で危険なチカラ
いいかレンゲイ。
奴には気をつけろ。目を離すな。」
レンゲイ
「分かってます。
彼には足りないところが多すぎる。」
アナスタシア
「もしもの事があったら、、レンゲイ」
レンゲイ
「はい。分かってます。」
アナスタシア
「武運を」
レンゲイ
「武運を。では。」
アナスタシア
「待て。レンゲイ」
レンゲイ
「どうしました?」
アナスタシア
「素晴らしい
レンゲイ
「はい。ありがとうございます。」
海底都市 ポセドニア
Part I 月夜に浮かびし
おまけ
レンゲイ
「お、お待たせしましたぁーー」
N
男は両手に酒を持って
月明かりの綺麗な丘に登った。
レンゲイ
「すみません、、
手入れで遅れました、、」
「遅い、、」
レンゲイ
「すみません、、キスツスさん」
キスツス
「レン、、いい加減 二人の時ぐらい
敬語は辞めようよ」
レンゲイ
「いやぁーまだ慣れなくて、、」
キスツス
「フフッまぁ良いけど。ほら 座って。」
レンゲイ
「はい。」
キスツス
「レン、、
この月を見る度に思い出すんだぁ。
父さんがお酒を飲む姿をね。」
レンゲイ
「そうですね。
よく笑う人でした。」
キスツス
「うん。素敵な人だったなぁ。
私たち二人をよく可愛がってくれたよね。」
レンゲイ
「そうですね。」
キスツス
「ねぇ、覚えてる?」
レンゲイ
「何をですか?」
キスツス
「私が
授与されたあの日の夜
父さんがここに来て祝ってくれた。」
レンゲイ
「ハハッ あの日も
たいそう、酔っ払ってましたね。」
キスツス
「そうだね。
その時、父さんが言ったんだ。
お前が娘で私は幸せだ。てね。」
レンゲイ
「...言ってましたね。」
キスツス
「そして、沢山の
夜の空に浮かべてくれた。
私..あの景色が美しくて大好きだった。」
レンゲイ
「知ってます。
キスツス
「フフッ気付いてたんだね。全く...君って人は。
でもね、レン。所詮は幻だよ。
儚い...幻。」
レンゲイ
「幻なんかじゃないですよ。」
『
「......ハァァ 」
「また、来年も一緒に来よう。キスツス」
N
月明かりと涙に照らされて
美しく、ただ美しく
夜空へと消えていった。
完
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