第56話 22時間の攻防(了)

「ぐっ…」

俺は足元に崩れ込んだ。


「ふふ…中々やりましたね。悪魔の中でも魔王様に近い実力を持つ私、アドラメレルを20時間以上も拘束するとは。」

口調は落ち着いているが、頭骨の下は笑ってるな。なんとなく分かる。


〜『金』の手錠〜

こいつはワンランク上の『黒』とついた道具でしか破壊出来ない頑丈な代物だ。


だがあいつは、虹色に輝く杖を使って、何度も、何度も手錠を破壊した。

『虹色』の道具なんて見た事がない。これが、悪魔と人間の差ってやつ、か。


そして今、体力の限界が来てしまった。


腕時計は23:30分を指している。

後30分は、ちょっと厳しいな。


カチ…カチ…カツン


いや待てよ。チャンスはあるな!


「アドラメレル!この時計が見えるか?」

俺は腕を掲げ腕時計を見せた。


「ふふ…そのくらい、んん…やっと見えました。」


少し時間がかかったが、見えたようだ。


「この時計は、今見せた通り23時30分を指している。後30分も耐えられそうに無いから敗北を認める事にするぜ。」


俺はこうべを垂れた。


「ふふふ…そうですか。では、私の好きなようにして良いのですね?」


「何をする気だ?」


「あなたを悪魔にし、ケニーと戦わせるのです。同士討ちさせた方が、闇を深められますからね。」


「…好きにしろ。」


「好きにしますとも。それではこの祭壇の魔力を取って…」


アドラメレルは杖を使って祭壇の魔力を吸い始めた。


「準備できました。さあ、こうべを上げなさい」


アドラメレルは杖をこちらに近づけた。


(頼む!間に合ってくれ!)


ドーン!


「な、何事?」

大きな音とともには落ちてきた。


「待たせたね!俺を騙したこと、ここで償ってもらおうか!」


500文字の男ーケニー・ハントマン

彼にバトンは繋がれた。

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