第55話 22時間の攻防(開)


「よくも!私の邪魔をしてくれましたね!」


アドラメレルは怒り狂った。禍々まがまがしい形の杖を構え、今にも仕掛けてくる勢いだ。


「悪いけど、俺も怒ってるんのよ。あんたがやったのは拉致監禁らちかんきん。さらに魔術による洗脳。自分のやった事分かってるのか?」


「分かっていますとも!私は魔王軍の戦力増強の為、悪魔にしようとしていたのです。彼は『書の一族』ですから。」


「全く分かってないようだな。」


「なんですと!」


「あいつには帰る場所がある。待ってる人が沢山いるんだよ!あんたがやろうとしてることは、多くの人を悲しませる最低最悪の行為だ!」


「そんな民草たみくさが悲しむことで何か変わりますかね?たかが、それだけでしょう!」


ガチャン!

「手、手錠?」


俺は『金』の手錠を取り出し、悪魔を拘束した。


「一つ言っていいか?お前、どうしようもないクズだな。」


「私がクズですと!」

アドラメレルは尾羽を大きく開け、威嚇した。


「だって、自分の幸せのために、人の幸せを奪ってもいいと思ってるんだろ?」

「ならここで死ね!」

俺は中指を突き立てた。


「ふふ…馬鹿なことを!死ねと言われて死ぬ悪魔がどこにいますか?」


「落ち着け、死なずに済む方法はある。22時間以内に俺を倒せばいい。」


「ふふふ…保安官なのに甘いですね!あなたなど余裕で倒せますよ!」


「俺は頑丈だぜ。舐めない方がいいぜ!」


22時間…これくらいあれば日付は変わる。

これは『賭け』だ。

お前なら必ず来ると信じてるぜ!

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