第57話 22時間の攻防(結)

「待たせたね!俺を騙したこと、ここで償ってもらおうか!」


その男の視線は真っ直ぐ、悪魔アドラメレルを捉えていた。


「ケニー!どうしてここに!まさか『冒険の書』の呪いを解いたのですか?」


現れないはずのケニーの出現に、驚愕きょうがくの色を隠せないアドラメレル。完全に隠すことは不可能なのに両手で顔をおおい隠していた。


「アドラメレル。この時計を見てみな。」

俺は腕時計を掲げた。


「23:30のままですと!何故?時計は動いていましたよね?」


「確かに動いているぜ。秒針だけだけどな!」

そう。アドラメレルが手錠を破壊する時に放出した魔力によって腕時計が故障し、こんな状態になったのだ。それをうまく利用したって訳。


「よくも騙したな!」

ついに取り繕っていた皮が剥がれ、本性が剥き出しになった。


「あなたはここで殺します。果てのない無間地獄むげんじごくに落として差し上げましょう!」

その怒りから、杖に魔力が集まり始める。


「『金』の手錠!」

ガチャン!

体力的にもこれが最後。何とか、相手の腕を掴む事ができた。


「ふふ…無駄です……よ?」

俺は力を振り絞って手錠の鎖を手繰り寄せ、アドラメレルの真正面に立った。その距離0m。驚くのも無理ないな。


「な、なにを?」


「それじゃあ、俺と一緒に行くか。お前も俺と同じように人を騙しただろ?」


「ケニー!マキナを!」


「…分かった。召喚!機神マキナ!」


「了」


「おのれぇ!」

カァァ!


悪魔の杖が虹色の光を放つ。


シュウウウ…

ドサッ…


「ふう…危ないところだったぜ」


そこに倒れていたのは悪魔アドラメレル。

ただ1人だけだったり



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