第10話 5月31日(月)part3
今更感のある自己紹介が終わり、稲葉さんが話し始めた。
「それでだ、それでは何故日曜日だけポケットに何かを入れるのかという疑問に置き換わっただけだ。陽子の疑問を言い換えただけだろう。」
「まあ、その可能性は否定できないが、平日はポケットに何かを入れるチャンスが無いんじゃないかと思ったんだよ。ナツオの部屋、妹と一緒だから。」
神代君の言葉に、稲葉さんが驚き、安藤君を問い詰めた。
「安藤、妹と同じ部屋なのか? シスコンなのか? 妹はいくつだ?」
「同じ部屋だ。シスコンではない。小二だ。」
安藤君は律義にすべての問いに答えた。
「えっ!」
そして、安藤君の答えに私が反応してしまった。
4人が私を見る。
「私の妹も小二なの。家が近いし、何年か前に小学校が統合されたから多分同じ小学校だと思う。〇〇小学校。」
前に安藤君、神代君、陽子、私の4人で帰ったときに安藤君の家が意外と近いことは知っていたのだ。小学校の名前に安藤君も頷いていた。
「まじで?」
神代君が驚きの声を上げる。
「よし、二人を友達にするんだ!」
稲葉さんが訳の分からないことを言う。
「安藤君の妹さんを知っているか聞いてみるけど、友達になることを強要するのは・・・」
「いや、勧めるだけでいいのだ。仲良くなるに違いない。」
「なんでだよ?」
神代君が突っ込んだ。
「根拠はない!」
自信満々の稲葉さん。
「もう、友達かも。」
「「「「えっ!」」」」
安藤君の発言に、4人の驚きの声。
「妹が『うさみん』の話をする。」
「確かに妹のあだ名は『うさみん』だけど。」
「妹のあだ名は? 宇佐美さんのあだ名も『うさみん』じゃん。」
神代君は案外鋭い。聞き流してほしかった。失言だ。
陽子がニヤリと笑う。
「ミカの中学の時のあだ名は・・・」
慌てて陽子の口を手でふさいだ。
「秘密。ヒミツです!」
「詮索はダメだ。2人とも考えるの禁止!」
稲葉さんが男子2人を止めてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます