第二章【仲間】
第5話【スヴォルト】
スヴォルドーー別名、旅人の街。ギルドや武器屋、養殖の魔物を使用した闘技場などがあり、金を稼ぐにはもってこいである。そう、少年の荷物にほぼ全財産入ってた事を思い出したんで、稼ぐしかないんですね。エネミーは宿でお留守番中である。
「上級火龍とー、上級魔物三体討伐。後は二十二時からの闘技場の予約したいんですが」
「名前は?」
「シザリス・リッパー」
「はい。承りました」
無機質なやり取りをした後、予定表とやらを受け取る。火龍討伐まで後10分か……何してよう。
「あの、」
休憩所とやらで女の子でも引っ掛けようかなーと思いつき、休憩所へ赴こうとした足は、俺に話しかけられたであろう言葉でピタッと停止した。女の子の可愛い声なら即座に振り向いたが、野郎の声だ。一気に気分が萎える。
「なんだ?」
「いえ、ね。ペアになった……との事でしたので、挨拶しようかなと思いまして」
あれペア制だったか……? と訝しみつつ、話しかけてきた男の格好の異様さに気付いた。顔はいかにも優しい好青年です! という笑顔を張り付けたような嘘っぽい笑顔。左目の下には涙マークのペイントがあり、眼鏡を着用。目は血の様に赤く、後ろで結んでいる髪は漆黒。肌は真っ白だ。首には黒い首輪。服装は真っ白で上下繋がっている。腹には赤と白色のベルトの様な拘束具がバツ字に巻かれており、腕にも同じ拘束具が巻かれており、拘束具から伸びている白い袖で腕はかくされている。心臓辺りには十字架のマークがある……完全に変態の装いである。俺も女装しているが、ここまで酷くない筈だ……多分、異種族。人間ではないだろう。
「この闘技場、ペア制でしたっけ〜? 律儀なんですね」
とりあえずにこやかに答えておく。こういう男が話しかけてくる時って割と面倒になりがち。
「ふふ、ふふふふ……そうですね、僕は結構律儀なのかもしれない。また、後程」
面白そうに唇をニィ、と歪ませた変態はそのまま煙のように消えてしまった。なんだったんだアイツ……多分ああいう奴は避けても関わって来やがるが、俺からは関わらないようにしようと深く心に誓う。
「さっき振りですねぇ、勇者様とご一緒出来るなんて光栄ですぅ」
にこにことわざとらしく嗤ってくる目の前の変態男が憎らしい。
「ソウデスネー」
コイツの全て見透かして来そうな感じのある赤い瞳が苦手だ。とりあえず、ササッとコイツらを片付けて、次の依頼まで大体二時間程空きがあるからエネミーにお菓子でも差し入れてやろ。
ーー依頼終了後。
「もう本当にブラッドは最高だな! 」
「シザリスこそお強いですね」
すっかり俺と変態は意気投合していた。ブラッド・ブラッグという名前で、エネミーの血を求めているらしい。なんか意外と話し易いし戦ってて相性も良いし、ここは
「なあ、仲間にならないか?」
「いいですよー」
勧誘するしかねえ!
▼ブラッド が 仲間 に なった!
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