第4話【オサラバ!】

「…………」

「シザリスくん?! シザリス君だよね!! 私のこと、覚えてる? アリスよ、アリス・スイミーよ!」

 目の前には俺に対して意味深に頭を下げている少年、横は開かない他人の家のドアと嫌がらせの如くくっ付いて来やがったエネミー、そして背後から抱きしめてきた謎の片耳エルフーーうーん状況が悪化してきている。というかアリックスと『あっちの世界』旅した後たまたま会ってどっかの村に……というかここか。送り届けたエルフちゃん! そう、確かにアリス・スイミーって名前だった! 覚えてるよ俺! 覚えてた俺を褒めてーー!! と。現実逃避はここまで!

「アリスさん、久しぶりだね……って、女装してるとはいえ、俺だって男だぜ? 容易に抱きつくなんて危ないかもよ」

「あら、私……シザリス君だからやったのよ? ねえ……」

「……あれ、この声……アリス?! どうして此処に?!」

 積極的に身体を寄せて誘惑してくるアリスさんをサラリとかわしつつ、流れるようにエネミーをお姫様抱っこをして顔馴染みらしいアリスと少年をマッチングさせる感じにする。これでいつでも俺とエネミーは逃げれるってこと。賢いからね、俺は。

 色々と言い争い(というか少年がアリスさんに突っかかってる)をし始めた二人から少しずつ距離を取っていき、バレないようにそのまま離脱。元々少年に持たせていた荷物には重要なものなんて何一つ入っていないので、尊い犠牲と思って貰えば……。

 無事に撒いたので変装をした上で必要最低限のモノだけ購入し、そのまま逃げるようにライアヴィスの村とおさらばした。



ー一方その頃ー


「そういえば、勇者どこ行った?!」

「アル君ったら本当におバカ〜!! あの人、すぐ逃げるんだから追いかけなくちゃ! いくわよ」

「えっあっああああああああああ?!?!!!」

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