秋の運動会
あれから、2ヶ月が経ち、桜ちゃんち一家は無事引っ越しを終え、桜ちゃんと朱那は同じ幼稚園の同じ組になった。桃組に入り、家も近所のため、しょっちゅう遊ぶ中になり、桜ちゃんは朱那の親友となったのだ。
その後、紗江さんの第二子が発覚、つわりが重いらしく、今度幼稚園の運動会は見に行けるのかわからないみたいだ。でも、お弁当は美結が担当して、拓也さんと謙介がカメラ係をすることになり、ほかのママ友さんたちも、みんなで協力してくれることになった。その中の一人、真奈ちゃんママは、紗江さんと小学校の同級生だったらしく、すぐに仲良くなった。
真奈ちゃんは少しぽっちゃりした子だけど、すごく優しくてとてもいい子だ。朱那とももともと仲良しだったため、桜ちゃんもすぐ仲良くなれた。
今では、近藤家によく遊びに来るようになり、洸は逆に友達の家に遊びに行くことが増えた。洸の友達は大地君と大和君の二人が特に仲がいいらしく、しょっちゅう、大和君の家に遊びに行ってる。あとで、お礼の電話をかけると、気にしなくていいのよ、と大和君ママは言っていたけど、もの壊したりだとか、喧嘩になったりしないか不安だが、大和君ママと話をたまにするけど、向こうが、よそのうちだからって、手は上げないけど、怒ることもあるみたい。まあ、ちゃんと連絡をくれるから、状況が分からないわけじゃないし、もちろん、大和君や大地君が来ても、同じように接してほしいとのことだった。ただし、美結はあまり怒らないので、怒ったときは、子供はギャン泣き、大和くんママも大地君ママも、そこはわかってくれるみたいなので、一安心。
大地君ママは、物事をはっきり言うタイプみたいだが、悪い人ではないので、そこも大丈夫。
今度、ママ友同士で、お茶をしようということになっている。
ちなみに年少さんの朱那、桜ちゃん、真奈ちゃんはたんぽぽ組。
洸と大地君と大和君はすみれ組だ。
運動会当日、天気は晴れ、お弁当もよし、紗江さんもつわりが収まったみたいで、何とか行けそうだと言っていた。子供たちは園バスで迎えが来るので、謙介に場所取りをお願いして、早めに行ってもらった。ちなみに、場所取りはくじ引きであらかじめ決めており、年長さん、年中さんと協定を組むのが決まりらしい。かろうじて、うちは前をとれたけど、真奈ちゃんママと紗江さんは二列目になってしまったらしく、子供たちの写っているシーンをダビングするということになった。
それから、すみれ組が青。たんぽぽ組は黄色、チューリップ組は赤、スズラン組が白となっている。
園児たちが入場し朱那と洸を見つけ、声をかける。
美結「朱那ー、洸ー頑張れー!」
と声をかけると、朱那は恥ずかしそうにしながら、手を振り返してくれた。洸は、大地君と大和君と話していたのか気づかず、まあ仕方ないかとあきらめた。
その後、準備体操をして、一度席に着く、ちなみに園児と交流は年少さんはできるが、ピンチの時だけ。お昼休憩の時は交流できるが、それ以外は基本ダメとなっている。
これから、朱那達が出る徒競走が始まろうとしていた。
朱那も洸も一位でゴールし、桜ちゃんは途中でこけてしまったのか、泣いていたが、先に終わっていた朱那が駆け寄り、一緒にゴールした。
真奈ちゃんも1位だったようだ。
美結「桜ちゃん大丈夫かな。」
紗江「大丈夫。」
朱那が救護席に桜ちゃんを連れて行ってるのが見え、少し安心した。
美結「あとで褒めなきゃ。」
紗江「いや、あの子は本当にいい友達に出会えたんじゃないかな。」
美結「こちらだって、桜ちゃんお行儀がいいし、かわいいし、朱那みたいに暴れないもの、とってもいい子だわ。」
紗江「あら、あの子だって、変わらないわよ。将来が楽しみ。旦那なんて、嫁に行くとか考えたら、号泣してたわ。」
美結「謙介さんも、朱那達が生まれたとき、そんなこと言ってたかも。」
と笑っていると、旦那たちが、なんか言ったかというので、なんでもと返しておいた。
それから年中さんや年長さんが借り物競争や、綱引きをやって、年少さんは玉転がしをやった。三人一組でやるみたいで、朱那、桜ちゃん、真奈ちゃんで組めたみたいで、一生懸命やり遂げた。洸は大和君と大地君と組み、一位をもぎ取ってきた。
午後になり、美結が朝早く作った重箱二つ分を途中で取りに謙介が言ってくれたので、お昼に間に合い、それからみんなでお弁当を食べた。
前に、大地君ママと大和君ママと三人で話をしたときに、大地君は桜ちゃん、大和君は朱那が好きなんだという話を聞いて、洸は真奈ちゃんが好きだし、上手くいけばいいなと思うが、実は、朱那も大和君が好きなのことは、三人のママたちの間の秘密。初恋実るといいなと思いながら、子供たちを見ていると、洸は真奈ちゃんと楽しく話しているし、桜ちゃんは大地君に必死に話しかけられていて、朱那も大和君と何やら話しているし、ほっといてもそのうちうまくいくんじゃないかと思う、美結であった。
食事が終わり、大人の男性陣は午後の親子リレーに備えて、ストレッチをし始めていた。
美結も洸と一緒に走る約束をしているので、軽くストレッチをし、もともと、陸上部だったのでと言っても私は短距離より長距離のほうが得意だったが…。
最近は走っていないし、大丈夫か少し心配だが、やると言ってしまったので、一生懸命頑張ろうと思う。確か謙介さんも元陸上部の長距離だと言ってたので、まあ朱那は問題ないだろう。
午後の競技の時間になり、年長さんたちがダンスを踊ったあと、年少さんの親子リレーだ。先に美結と洸が走ることになっている。
年長さんのダンスが終わり、出番が来た。紗江さんと真奈ちゃんママに留守をお願いし、洸に話した。
美結「洸、頑張ろうね。」
洸「うん。」
美結「あっちで待ってるからね。」
洸「わかった。」
こうして半周を園児1人で走り、親と合流し、抱っこするなり、おんぶするなりして、リレーが行われた。
大地君親子が一番目、二番目は颯太君とその親御さん、三番目に洸と美結、アンカーは大和君親子になっている。
先生の位置についてよーいドンで一斉に園児が走り出した。
青組を先頭に紅組、黄色組、白組と続いた。大地君の父親は結構早く、ぐいぐいとほかのチームを引き離す、二人目の園児にバトンが渡り、走り出した。少し走るとするッと転んでしまい、後ろにいた赤組に抜かれた。大丈夫かとみていたら、泣かないで、立ち上がり、また走り出した。そのあと颯太君パパが颯太君を担いで走り出した。もうすぐ抜けるというところで、洸にバトンが渡る。
洸も一生懸命走り、美結のもとに走ってきた、美結は洸を脇に抱え一目散に走る。
、大和君にバトンを渡したときには、紅組と同じぐらいで、大和君が抜いた。
そのあと、大和君パパに担がれて、一位でゴール。
一時はどうなることかと思ったが、何とか一位をとれてよかったと、洸に抱き着く。そのあと、大和君と大地君に洸が抱き着いて、喜びあっていた。
園児は自分の席に、親は応援席に戻り、ほかの競技をすべて終えて、みんなで帰路に着いた。帰ってくる途中で、ケーキを事前に頼んでいたのでそれを取りに行き、
美結たちの家でお祝いをしたのだった。
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