第8話 謙介side

        

あれから三年の月日がたちました。

美結「謙介、朱那と洸を頼むね。」

謙介「気を付けて行ってらっしゃい。」

美結「行ってきます。」

今日は美結の中学の同級生たちと、同窓会があるらしく、今日は俺が洸たちと初めてお留守番だ。

美結は今日をすごく楽しみにしていたみたいで、と言っても、仲の良かった女の子たちだけで集まるらしく、それならいいかと思い送り出した、変な男がついたらやだからな。

子供たちは、リクとリオと仲良くお昼寝中だし、俺は、アルバムを見ながら、美結と出会った時の事を思い出していた。実は病院じゃないんだよな、美結と初めて会ったのは…。それより半年前だったかな。たぶん美結は出版社と打ち合わせに来ていた帰りだと思うんだけど、カフェによってコーヒーを頼み通りが見通せる、窓側の席が空いていて、そこに座って休憩していたら、盲目のおばあさんが、人とぶつかって、持っていた荷物をひっくり返してしまって、おばあさんも倒れそうになったんだよ。

その時、そのおばあさんを手伝っていたのが美結だった。おばあさんは何度も頭を下げていたけど、交差点を渡るまで、傍で待ってあげてたんだ。

世の中あんな子もいるんだと思いながら、その時はあまり考えてなかった、でも病院で再会したとき、結構美人で、うちのおばあちゃん強引なところも多いのに、いやな顔せず、一生懸命話してるのを見て、一瞬で恋に落ちた。

美結の赤ちゃんができたってときは別れを切り出されるかと思って、内心焦ってたし。結婚も嫌だと言われたらどうしようかなぐらい結構焦った。

美結は料理はうまいし、家事万能、リクとリオを見てればわかるっていうか、あの子たちは、子供がまだお腹にいる頃、美結のつわりがひどかったときは、美結の近くで、心配そうにのぞき込んだりしていたし、美結がいなくったらと思うと俺ももっと頑張らなきゃと心に決めたのであった。夕方三時過ぎ、

美結「ただいま。」

洸「ママ、おかえり」

朱那「ママおかえりなさい。」

謙介「美結おかえり、楽しめた?」

美結「うん。謙介ありがとう。」

朱那・洸「私たちもお留守番できたよ。」

美結「朱那、洸、お留守番ありがとう。お土産買てきたから、夕ご飯食べたら、あげるわね。」

謙介「ほら、ママの邪魔しちゃだめだぞ。」

朱那・洸「はーい。」

美結「謙介も同窓会ってしてる?」

謙介「仲良かった奴は、みんな結婚してるが、ここ数年は会ってないかな。」

(そういえば、みんなどうしてるかな)

美結「もしみんなが都合よければ、ここに来てもらってもいいのよ。あまり大人数だと、大変だけど、子供と奥さんも人が良ければ、いいと思う。」

謙介「聞いてみるよ。」

美結「この間は、亜美たち呼ばせてもらったし。」

謙介「誠司君と思ったより話が盛り上がって楽しかった。」

美結「気を使わせてごめんね。」

謙介「俺なりに、楽しませてもらったからいいんだよ。」

美結「ありがとう。」

洸「ママ、抱っこ」

美結「はいはい、おいで」

朱那「私も抱っこして」

謙介「パパじゃダメか?」

朱那「仕方ないな、少しだけよ。」

美結「何が少しだけなの。」

と笑い声が部屋に響いた。

謙介「朱那、おいで」

朱那が俺に抱っこされて、嬉しそうに笑っているのを見て、親父たちもこうだったのかと、よく実感することができ、両親に感謝を改めて伝えたいと思う。

美結「なんかいいことあった?」

謙介「いや、なんでもない、今度の休み、みんなでお出かけしようか。」

美結「リクとリオは連れていける?」

謙介「どこに行くはまだ決めてないから、要相談で」

美結「やったね。二人とも歩けるようになったから、二人じゃないと、連れて歩くの本当大変になった。」

謙介「ちょこちょこ目が離せなくなってきたよな。」

美結「まだ小さいからね。」

謙介「GPS持たせておこうか。キーホルダーになってるのとかも売ってたと思う。」

美結「そういうのもあるんだ。この子たちが、何かあったら嫌だから、賛成。」

謙介「じゃあ、今度買っとくよ。」

それから、子供たちを俺がお風呂に入れてる間に、美結がご飯を作っておいて、交代で入った後に、ご飯を食べる。

子供が生まれたのを機に、ベットから布団に変わった。

家を建て替えた際、8SLDKに変えて、一階はリビングダイニング、

水回り8畳の和室、4畳半のウォークインクローゼット。二階は8畳の部屋を2つ、6畳の部屋を3つと、三階は12畳の納戸と屋上がある。

縦にも横にも広くなり、お手伝いさんが佐々木さんともう一人、南雲さんという方が来てくれている。

ふたりとも子供たちはなついているし、可愛がってくれるので、美結が安心しているのも一つだが、頼んでよかったと思う。

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