第7話
あれから半年がたち、ふたりの思いが通じ合ってからというもの、謙介は美結を抱くと朝までコースがほとんどなので、金曜と土曜の夜だけということになった。
謙介「美結、体調が悪いなら、病院に連れていくが大丈夫か。」
美結「うん、午前中に、佳代さんが来てくれるって言ってたから、その時に行ってくる。」
謙介「夕飯は何か買ってくるから、用意しなくていいよ。」
美結「ごめんね。大丈夫だから、気を付けて行って。」
謙介「何かあればすぐ電話して。」
美結「大丈夫だから。」
謙介「わかった。行ってくる。」
それからすぐ、眠りに就いた美結。インターホンが鳴った音で目が覚め、モニターを見ると、佳代さんだった。
佳代「具合はどう。何か食べれる?」
美結「ご飯の匂いが無理。」
佳代「…」
美結「すっぱいものが食べたい。」
佳代「ねぇ、あなた、妊娠したんじゃない。」
美結「そういわれてみれば、ここ2ヵ月来てなかったかも。」
佳代「産婦人科連れて行こうか。」
美結「妊娠検査薬があるの。前に調べたときは出なかったから。」
佳代「どこにある?」
美結「すみません。トイレの上の棚なんですけど。」
佳代「戸張、美結ちゃんをトイレまで連れて行ってあげて。」
戸張「かしこまりました。」
美結「すみません。」
戸張「いえ、遠慮なさらず。」
佳代「早く。」
美結「ここで大丈夫です。」
それからしばらくして、トイレから出てきた美結は、涙を流していた。
佳代「どうした。出来ていたかい?」
美結「…はい。出来ていました。」
佳代「とりあえず、産婦人科に行こう。戸張、車を出して。」
戸張「はい。」
佳代「美結ちゃん、なぜ泣いているの。」
美結「妊娠してるってわかって、嬉しかったの。」
佳代「まあ、嬉しかったのね、よかった。」
美結「着替えてきます。」
佳代「大事なものはバックにあるのよね。」
美結「はい。」
着替えてから、佳代着きその元、産婦人科に来た。
待合室は結構混んでいて、小さい子供を連れた女性や、大きいお腹を抱えた妊婦さん、旦那さんらしき人、混んでいたため、美結と佳代のみ中で待つことにした。
時間がたったころ、香坂さんと呼ばれ、佳代さんに付き添ってもらいながら、診察室に入り見てもらった。
三好先生「おめでとうございます。12週ってところですね。」
美結「そうですか。」
佳代「よかったね。」
三好「定期的に、病院に来てください。」
と言われ、その日は家に帰った。
美結「佳代さん、戸張さん、ありがとうございます。」
佳代「謙介と、この先をしっかり話し合ってね。」
美結「はい。今日はもう少し寝てます。」
佳代「私は帰るから、何かあれば、戸張を使って。うちのものに迎えに来させるから。」
戸張「何なりとお申し付けください。」
美結「ありがとうございます。出来たら、あの子たちを、リビングに連れてきてください。」
戸張「承知しました。」
美結「ご飯は。謙介さんがあげてくれたので、大丈夫です。」
それから、美結が目を覚ましたら、謙介さんが帰宅して、顔をのぞかせていた時だった。
謙介「大丈夫か。」
美結「大丈夫、おかえりなさい。」
謙介「ただいま。」
美結「かえって来て早々ごめん、今日、佳代さんたちに病院に連れて行ってもらいました。」
謙介「どこか悪かったのか。」
美結「いいえ、妊娠してました。12週だそうです。」
謙介「そうか、そうだったか。」といい、背を向けた。
美結「謙介さん?」
勢いよく振り向き、抱きしめられた。
謙介「ありがとう…。」
美結「こちらこそありがとう。」
しばらくして
謙介「子供が生まれる前に籍を入れないか。」
美結「私もそれを考えてた。」
謙介「美結、あっちょっと待ってて」
美結「うん」
一度寝室を出て、どこかに行ってしまった。
それからすぐに戻ってきて
謙介「美結さん、俺と結婚してください。」
パかッと開けて、指輪が見えた。
美結「はい、もちろん。」
謙介「よかった、一応準備はしてたんだ、子供ができてもできてなくても。」
美結「まさか、婚姻届けまで準備してたりとかしないよね。」
謙介「そりゃするでしょ。」
美結「そうよね。私の実家にはまだ報告してないの。」
謙介「一応、君の両親に、先週あってきたんだ。」
美結「えっいつに間に」
謙介「その時に、婚姻届の保証人欄にお義父さんに署名してもらったんだ。」
美結「すごいわ。」
謙介「ご飯は無理なんだよね。」
美結「戸張さんが果物買ってきてくださって、それを食べるわ。」
謙介「つわり結構ひどいんだろう。もしあれなら、だれか手伝ってもらおうか。」
美結「つわりが収まるまででいいから、お願いしたい。」
謙介「じゃあ、頼んでおくよ。」
美結「ありがとう。そういえば戸張さんはいつ帰ったの。」
謙介「俺が帰ってきたときに、帰したよ。」
美結「そう、ならよかった。体調良くなったら、お礼しないと」
謙介は自分で買ってきた総菜を温めなおして、テーブルに並べていた。
謙介「頂きます。」
美結は謙介が食べ終わるのを待ち、入籍の日をできるだけ早くしようと、二人で両親たちに報告をした。
それからほどなくして入籍し、挙式は、美結が出産して落ち着いたら挙げようということになった。
謙介が手配してくれたお手伝いさんは、ペットシッターの資格も持っている方で、佐々木さんという女性だ。歳は45歳で旦那さんと子供が三人いるが、一番下でも高校三年生の女の子だ。佐々木さんに似てきれいな子だった。佐々木さんは週5日の朝8時から午後5時までの契約で来てもらった。佐々木さんはもともと家事代行でパートをしていたそうだが、諸事情により、稼がなくてはいかなくなったらしく、直接雇ってもらったほうがいいらしく、そうしてと謙介に頼んだ。
実際一緒に過ごす時間が長いのは美結なので、謙介も了承。美結がつわりが終わっても来てもらうことにした。
それから2か月弱たったころ、ようやくつわりが収まり、食欲も少しずつ出てきた。
それから五か月検診があったときなんと二卵性の双子だということが分かった。
謙介も喜んでくれていて、家を建て直したいことを伝えてきた。
美結は承諾し、謙介が引っ越してきたときに購入していた、
隣と後ろはまさかのマンションが隣に立ち、
小さなオフィスまでもが出来上がっていた。
美結は一応は貯金はあるけれど、大丈夫なのか聞いたら、
もう人も住み始めているらしく、一階から4階までは5部屋、
5階は3部屋とあって、一階の二部屋だけしか空いていないそうで、
駐車場もあるし、駅まで徒歩10分程度、住宅街なのもあり、
すぐに借り手が見つかるとのこと。
それはまあいいとして、なぜ家の後ろに職場があるのか聞いたら、
美結が心配で仕方ない、何かあったら、すぐに駆け付けられると言っていた。
美結は、この家を建て替えることを両親に伝えたら、もうすでに知っていて、謙介がもう言っていた。美結のものだから、美結から承諾受ければ、好きにしていいと、言ってくれていたらしい。
なんか囲われてる気もしなくはないが、そこは深く考えずに行こうと決めた。
ちなみに、この家のリフォームは、謙介さんのおじいさんが亡くなったときの遺産で謙介宛てに土地があり、そこにマンションを建てて、それを売ったお金だそうだ。
美結は考えるのを放棄し、謙介に任せた。
それから美結は無事に男の子と女の子の二人を出産し、子育てに奮闘するのであった。
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