第5話
車でドライブに行く際は、謙介さんのセダンでもよかったのだが、リクとリオが万が一粗相をしてしまったら嫌なので、私のワゴン車にしてもらった。
海まではここから1時間半ほど、混んでいたらもう少しかかるかもしれないが、よく佳代さんに連れて行ってもらったらしく、私よりだいぶ詳しかった。
海が見えてきて、サーファーがたくさんいたり、刊行している人がたくさんいたが、お気に入りの所に行き、リクとリオにリードをつけて浜辺を散歩することになった。
謙介「少しは気晴らしになったかな」
美結「ありがとう。もう大丈夫、気分が落ちたときとか、原稿がうまくいかないときによく来るの。」
謙介「そうだな、いいところだね。」
美結「うん。」
それからしばらく、二人と二匹で、夕日が沈むのを見ていた。
謙介「寒くなってきたな、早く帰ろう。」
美結「うん。帰りは私が運転してもいい。」
謙介「構わないよ。逆にありがとう。夕飯は出前でも頼もうか。お寿司とか」
美結「いいね。」
謙介「お店には今度食べ行こうな。」
美結「ありがとう。」
謙介「好きなネタは何?」
美結「しめ鯖とサーモン」
謙介「わかった。あとはおまかせにしちゃうね。」
美結「お願いします。」
それから、道が混むことを予想して、裏道で帰ってきた。少し道は混んでいたが、
思っていたよりも、早く帰ることができた。
謙介「運転お疲れ様。お風呂ためておくから、たまったら、先に入りな。」
美結「ありがとう」
謙介「出前が来るまで時間があるから、ゆっくり入って。」
美結「あの子たち楽しかったのか、疲れて寝てる。」
謙介「ほんとだ。可愛い。」
スマホを取り出し、リクとリオの写真を撮り始めていた。
それからほどなくして、お風呂が沸いたみたいなので先に入らせてもらい、
謙介さんが上がってくる前に、出前が届き、夕食の支度をして置き、お茶を入れるために、お湯も沸かした。
謙介「思ったより早く来たんだね。」
美結「でもよかった。結構お腹すいてたから。髪乾かしてきなよ。」
謙介「わかった。」
それから、謙介が髪を乾かしに行き、戻ってきてから、二人でお寿司を堪能した。
ちなみに、リクとリオは、車に乗る前にご飯を食べさせていたので問題ない。
それから、これからのことをたくさん話しながら、眠りに就いたのだった。
それからさらに一か月たったころ、謙介は仕事へ、美結は小説の締め切りが終わり、家を掃除していた時に、宅配便が届き、取れた野菜が届いた。
実家に野菜が届いたお礼の電話をし、それから、痛むのが早いものから、どう食べるか考えながら、佳代さんたちを招けばいいかと考えて、謙介さんに帰ってきたら相談しようと、手作りドレッシングなど、出来るものを作っておいた。
謙介さんが18時過ぎに帰ってきた。
謙介「ただいま帰りました。」
美結「おかえりなさい。早かったですね。」
謙介「うん、出先から、直帰したから。」
美結「お疲れ様でした。今日は、実家から届いた野菜を使って、まだ5月なのに暑いから、冷製パスタにしてみたんだけどどうかな。」
謙介「うまそうだ。とりあえず手を洗ってくる。」
美結「はい。準備しますね。」
謙介「ありがとう。」
直ぐに謙介も来て、ご飯を食べ始めた。
美結「明日か、明後日に佳代さんたち呼んで、パーティーじゃないけど、両親からたくさん野菜が来たから、みんなで食べたいんだけど、どうかな。」
謙介「明日は仕事も休みだし、向こうが大丈夫ならいいと思うけど。」
美結「ありがとう。ご飯食べたら聞いてみるね。」
謙介「どれぐらいあるの。」
美結「3箱も届いたの。二人じゃ食べきれないから、最初は持っていこうかと思ったんだけど、ここでみんなを招くのもいいなって思ったから。」
謙介「3箱、すごい量だね。」
美結「夏はもっと来ると思うよ。」
謙介「夏野菜がいっぱいか。」
美結「そう、毎年たくさん送ってくるから、処理に困っちゃうから、ご近所さんにあげたりして、特にお向かいの野中さんとかその隣の水越さんとか、喜んでもらってくれるから、加工したりもをしてるんだけど。」
謙介「確かに食べきれそうにないもんな。」
美結「楽しみにしてね。」
謙介「わかった。」
ふたりとも食べ終わり、美結は佳代さんに、謙介は美結の両親に、連絡し始めた。
それから、美結は佳代さんからOKをもらい、美希さんたちも来てくれることになった。謙介さんは、美結の両親に捕まり、いろいろ聞かされていることに、気が付かない美結であった。
次の日、今日は朝は二人でリクとリオを散歩に連れていき、それから、足りないものを買い出しに出かけた。
お昼はキムタクチャーハンを作り、そのあと夕食に向けて調理を開始。
一品目、ロールキャベツ
二品目、トマトとアボカドのサラダ
三品目、ポテトサラダ
四品目、ジャーマンポテト
五品目、ミートドリア
ほかにもたくさん作った。
お酒もたくさんそろえてあり、ワイン、ビール、日本酒、焼酎、韓国の焼酎などいろいろある。
午後3時になると、佳代さんたちが来た。
佳代「こんにちは、美結ちゃん上がるわね。」
美結「どうぞ、今手が離せないので勝手に上がってください。」
佳代「お邪魔します。」
美希・謙治「お邪魔します。」
戸張「ご無沙汰です。お邪魔します。」
美結「どうぞ、狭いですが。」
謙治「謙介はどこだ。」
美結「たぶんリクとリオと一緒じゃないかな。」
美希「すごいわ、とてもおいしそう。」
佳代「あのマドレーヌ大好評だったわよ。ありがとう。」
美結「いえ、こちらこそありがとうございます。ちなみに今日は、プチケーキを作りましたので、お土産にもっていってください。」
佳代「そうなの、楽しみだわ。」
美希「美結ちゃんはなんでもできるのね。うらやましいわ。」
佳代「美希ちゃん、あなたは裁縫とか編み物が得意でしょ。」
美希「お義母さんはお歌と踊りが得意じゃないですか。」
美結「じゃあぜひ、その時は呼んでください。」
美希「手が空いたら、聞きたいことがあるんだけど、少し二人になれないかしら」
と美結に耳打ちしてきた。
美結「これが終われば、一度休憩に入ります。」
美希「わかったわ。」
それからしばらくして、
美結「美希さんなんでしょうか。よろしければ、少し庭に行きましょう。」
美希「いいわ。」
ふたりで庭に出て、庭に置いてある椅子に腰を掛けた。
美希「謙介とはうまくいってる?」
美結「それなりですかね」
美希「美結ちゃんも少なからずも謙介のこと好きよね。」
美結「ええ、最近ですがやっと自覚しました。」
美希「それなら先に進んでもいいと思うけど。」
美結「そうなんですけど、一度タイミング逃すと言いにくくなってしまって。」
美希「まあわからなくもないけど、謙介が少し可哀そうよ。」
美結「近いうちにちゃんと伝えたいと思います。」
美希「応援するわ。美結ちゃんなら、大歓迎よ。」
美結「ありがとうございます。」
美希「肌寒いから、中に戻りましょう。」
美結「はい。」
美結は戻って、料理の仕上げに入った。
謙介がリビングに来て、謙治さんと話をしていたようだ。
佳代「今日の子のソースは何?」
美結「明日葉のディップソースです。生野菜でもいい、サラダにかけてもいいと思います。」
佳代「それは美味しそうね。」
美結「少し苦みがありますが、これだと謙介さんも食べられるんですよ。」
佳代「それはびっくりね。」
美結「ご飯は筍の炊き込みご飯にしました。少し味は薄めにしてますが、出しがきいていると思います。」
佳代「もう終わったかしら。」
美結「はい、これで完成です。」
佳代「勝手にグラス出したわよ。」
美結「ありがとうございます。」
佳代「それじゃあ、皆で乾杯しよう。」
美希「そうね。美結ちゃん美味しいご馳走ありがとう。」
美結「いえ、たくさん食べてください。」
美希「もちろん、来た時からずっといい匂いしてるもの、お腹すいたわ。いただきます。」
美結「召し上がれ。」
ほかの人も美結にいただきますして、食べ始めた。
お酒を嗜みながら、花を咲かせ、にぎやかな食事会になった。
お土産もしっかり、戸張さんに持たせ、見送り、謙介と二人で、後片付けをし、二人が床に就いたのは、夜中の0時を回っていたのだった。
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