第8話白い痕 澤谷と紫陽花(※軽い性描写と自傷表現あり)

「はぁ……っ」

 ベッドサイドに置かれた間接照明だけが灯る部屋で、甘い吐息が漏れた。

 その吐息の持ち主は、その白い肢体を軽く震わせると、夢心地でベッドへと倒れ込んだ。


 とあるマンションの一室。キッチンの換気扇の下で、紫陽花は煙草に火を点けた。

 ふぅ……っと吐き出すと、煙草の煙は彼の濡れ髪に触れながら、機械的な音のする箱に吸い込まれていく。

 つい先程まで身体を重ねていた恋人は、現在シャワーを浴びている。先にシャワーを浴びた紫陽花は、一人の時間を楽しんでいた。

 身体を重ねた後の火照りを冷ますように、熱でイカれた頭を覚ますように。彼はゆっくりと煙草を吸い、先程までの出来事を過去へと葬る。

 ほとんど乾かしていない髪の毛から、水滴が滴り落ちる。彼の肩ほどまであるその黒髪は、衣服をまとっていない彼の白い身体に、水の痕を残していく。しかしそれが、今の紫陽花には気持ちが良かった。紫陽花は煙草の匂いと、換気扇の音。そして遠くから聞こえるシャワーの音に、自身を預けた。


「紫陽花、こんな所にいたの」

 紫陽花が煙草を一本吸い終わった頃、恋人である澤谷が、キッチンに現れた。

「全然拭けてないね。服を着ないなら、ちゃんと身体を拭いてほしいな」

「着てるだろ、下は」

「うーん……、まあそれだけでも有り難いと思うか」

 紫陽花は、服というものが好きではなかった。皮膚に纏わり付くそれらは、紫陽花の信条である「自由」を奪うものだ。もちろん、だからといって、外でも裸で居させろなんて言わない。自由とは対価を支払って手に入れるものだ。なので紫陽花は、外ではきちんと、当たり障りのない、黒で統一された服を着て過ごしていた。

 だからこそ、その対価をいただきたい。つまりは、部屋の中でくらいは「自由」にさせろ、ということだ。

 ただ、多くの人が、室内ですら、衣服を纏わない事に抵抗がある。恋人である澤谷も、親友である嶋倉も、紫陽花が室内で裸で居ることに、良い顔はしない。風邪を引くだとか、見ているこっちが恥ずかしいだとか、必ず一言二言注文が入る。

 紫陽花は初めこそ聞き入れなかったものの、関係が深まり、離れがたい相手になってしまったと認識してからは、少しづつ譲歩をし始めた。

 面倒くさい。ウザったらしい。押し付けんな。

 紫陽花は、罵詈雑言を並べつつも、相手に染まりゆく自分に、多少の嫌悪感と、多少の安心感を感じていた。こそばゆい、他人との関係。

 そんなわけで、今も紫陽花は、澤谷によって髪を拭かれている。丁寧に、優しく拭かれるのは、紫陽花にとっても気持ちの良いことで、これが澤谷なりの譲歩をしたお礼なのだということを、紫陽花は気がついている。


「よし、終わり」

 最後にドライヤーをかけて、紫陽花の髪の毛はサラリと乾ききった。

「綺麗だね」

 澤谷は紫陽花の髪の毛に指を通す。真っ直ぐで柔らかく、しっかりとした髪質は、紫陽花そのものを表しているようだった。

「そりゃあ、新宿の髪の毛オタクのカリスマ美容師様に可愛がられているもの。これで枝毛でもあってみろ。俺は軟禁されて、飯代わりにトリートメントを食わされるぞ」

 くくくっと喉の奥で笑いながら、紫陽花は愉快ように語る。髪の毛オタクのカリスマ美容師こと嶋倉蓮は、紫陽花が唯一髪を切る事を許した親友だ。

 澤谷は「それは大変だ」と笑いながら、つい今しがた発見した枝毛を見ないことにした。乾かす事もドライヤーも嫌いな紫陽花に、枝毛は付き物なことくらい、嶋倉は承知しているだろう。

 澤谷はなおも髪の毛に指を通す。するり、するりと、何度も。

「……したりない?」

 紫陽花はあくびをこらえながら、背後に居る澤谷に問いかける。

「……眠いでしょ?」

「多少は」

「じゃあ、いいよ」

 ということは、まだまだしたいんだな、と紫陽花は察した。確かに今日は二週間ぶりの逢瀬。気持ちは分からないでもないが、それ以上に紫陽花は、澤谷から嫉妬の気配を感じていた。

(嶋倉の話題は地雷だったか)

 そう思うものの、溢れた言葉は元には戻らない。澤谷はまだ、紫陽花の髪を触っている。


 澤谷大輝は、嫉妬深い男だ。しかし本人は、全く自覚がない。それどころか今でさえも、嫉妬をしているという認識はないのであろう。

 ただ、それも仕方がない事なのかな、と紫陽花は考えていた。彼の嫉妬深さは生来のものではなく、後天的な、つまりは「紫陽花」に対してのみ、発揮されるものだった。

 しかしそれは、紫陽花が類稀なる美貌の持ち主で、そのうえ性にもオープンで、澤谷が思う以上にずっと、数々の人間と関係を持っていたことだけに起因するものではない。

 彼は数年前、死の淵を彷徨っていた。

 澤谷大輝はバイセクシュアルである。しかしその事を認識したのは、大学進学により上京をした時。つまり東京へ来てから、男と付き合い始めたのだ。

 初めの内は良好だった。もちろん、周囲には隠してのお付き合いだったが、人当たりもよく、コミュニケーション能力も人並みにはあり、そして体格にも恵まれていた澤谷は、男性との交際においても、睦まじく穏やかな関係を築いていた。

 しかし、その関係も、そして澤谷自身の人生も、呆気なく崩れ去った。

 澤谷が就職難を乗り越え、なんとか滑り込んだ会社は、いわゆるブラック企業で、先ず澤谷は、人間としての暮らしを奪われた。

 人が良くて断れない性格の澤谷は格好の餌食で、次から次へと仕事がデスクに積まれていった。その中であっても、少しの遅れもミスも許されず、澤谷は文字通りに目を回しながら、なんとかその日その日を生きていた。

 そんな生活にも慣れた頃、追い打ちをかけるような写真を、上司から見せられた。

 澤谷と、当時付き合っていた彼氏との、ツーショット写真。

 それは一ヶ月に数日しかない貴重な休みに、久しぶりにしたデートの写真で、ただの友人とは言い逃れできない程に、二人は肩を寄せ合い、見つめ合っていた。

 その日から澤谷は、地獄に堕ちた。

 上司は、品行方正で知的で、愛し合っている恋人の居るような人間が大嫌いだった。殺さないと気が済まないくらいに、憎んでいた。つまり、澤谷のような人間を、である。

 まず、休みが一切貰えなくなった。そして、親や社内の人間へのアウティングの脅迫。さらに自慰行為の強要、恋人との絶縁など、正しく地獄に住まう罪人のごとく、次々と澤谷を痛めつけ、追い込み、虫ケラのように殺そうとした。

 澤谷は、生きた心地がしなかった。夜も眠れなくなり、食べては吐き、それでも操られているかのように、会社にだけは通った。

 そうして、身体と心が分離され、何も感じなくなった。

 毎日が空虚で灰色で、記憶の残らない日々が続いた。

 そしてある時、ひらめいた。死のう。

 それからは少しだけ、日々に色が増えていった。なにせこの地獄の終わりを見つけたのだ。

 澤谷は、死ぬ準備を始めた。部屋を整理して、両親が引き払う時に困らないよう、家電などを捨てた。死後の引き継ぎに支障が出ないよう、寝る間も惜しんで、自分の抱える案件をまとめた。

 そうして、死ぬ日は誕生日と決めた。特にその日を待っていたわけではなく、準備をし終わるのが、ちょうどその日だったのだ。

 だが、澤谷はその前日に、紫陽花と出会った。

 そして彼は救われた。否、失敗しただけだ。極限にまで磨り減っていた澤谷の身体は、首を括るためのロープさえも上手く結ぶことが出来ずに、吊った途端に解けてしまった。たったそれだけの事で、澤谷の命はこの世に留まった。

 澤谷はその後、入院をした。茫然自失な日々ではあったが、眠り、食べ、歩けるようにまで回復すると、前日に出会った青年に会いたくなった。名前は確か、紫陽花。


 澤谷は退院すると、朧気な記憶を頼りに紫陽花のいる店を探した。何日かかけてようやく辿り着いた先で、紫陽花は大きな瞳をにやりと細めて、一言「おかえり」と言った。

 この時、澤谷の紫陽花に対する愛情は、これまでの恋人たちとは異質で歪な形を成したのだ。


 

 

 紫陽花は、リビングのソファの上で、澤谷の荒い息を首筋に感じていた。

 澤谷は、上を脱いで、紫陽花と肌を重ねている。すでに三回も終わらせた後でのさらなる行為は、流石に紫陽花の身体には負担が強く、とりあえず身体を貸すだけの形にとどめた。

(これで、自分の性欲の強さにも自覚がないんだもんなぁ)

 紫陽花はぼうっと、天井を見ている。あともう一本、煙草を吸っておけば良かった、と後悔していた。

 ふと、紫陽花は澤谷の肩に目をやる。そこには、細かな白い筋が、赤くなった肌に浮かび上がっていた。

 紫陽花はそっと、指を這わせ、爪を立てる。そう、ちょうど爪で引っ掻いたような痕だった。

「……?なに?」

 息を切らせながら、澤谷は問いかける。紫陽花は、なんでもない、とそのまま腕を肩に回した。

 澤谷の息が詰まり、吐き出される。

「……きもちよかった?」

「うん……」

 澤谷は身体を起こすと、汚れたティッシュをゴミ箱へと放った。ティッシュは綺麗に放物線を描き、ゴミ箱に吸い込まれていった。

「ナイスシュート」

「ふふ」

 澤谷は嬉しそうに、汗を拭くためにタオルを引き寄せる。その胸に、肩と同じ、それよりも大きな筋が何本か引かれているのが、紫陽花の目に飛び込んできた。

「これ……」

「え?あっ……」

 あまり見ないで、と澤谷はさっと手で隠し、紫陽花から視線を逸した。

「隠すほどのものでもないだろ」

「俺が……嫌なの」

 珍しく真剣な表情で、澤谷はタオルで身体を拭くと、手早くスウェットを着た。

「自分でやったの?」

「……うん、多分」

 知らないうちに出来てたから、分からないけど。

 澤谷は小声でそう付け足すと、困り顔で紫陽花の顔をちらりと見た。

「やる時に電気を点けないのは、ソレのせい?」

「まぁ、恥ずかしいのもあるけど……」

「恥ずかしいって……。今日だけで三回もしておいて……」

「そ、それは……!」

 反射的に真っ赤になる澤谷に、紫陽花は笑みを向ける。

「いいじゃん。もっと見せて」

「何言ってるの……」

「澤谷」

 紫陽花は、とびきりの優しい声色で、澤谷に囁く。澤谷はビクリ、と一度震えたが、そろそろとスウェットを捲くりあげた。

「爪で引っ掻いた?浅いな。これじゃ普段は見えないや」

「……もう、いい?」

「駄目」

 紫陽花は意地悪く嘲笑うと、ついっと胸を撫でた。澤谷が身を引くと、紫陽花の指も付いてくる。

「紫陽花、もしかして、こういうの見慣れてる?」

 堂々と、そして楽しそうに自身の傷跡をなぞっている恋人に、澤谷は湧き上がった疑問を投げかける。

「まぁね。色んなやつと関わってきたから」

 恋人は事もなさげに答えると、手を下ろした。

「そっか、じゃあこれくらい……なんてこともないね」

 澤谷はスウェットを下ろすと、自嘲気味に笑った。何故だろう、心が一気に苦しくなった。傷ついた、のだろうか。

「俺はね。お前は違うだろうけど」

 紫陽花はそういうと、今度は澤谷の頬に指を這わす。そして手で顔を包み込むと、軽く微笑んで

「生きてる」

 と呟いた。

「……まぁ、失敗したしね」

「そんな言い方すんなよ。……俺を慣らした奴らは、皆死んだ。見せびらかしたり、舐めさせたり、隠したりしながら、皆死んだ」

 澤谷は言葉が出なかった。紫陽花の記憶の中に留まっている彼らが、少し羨ましくなった。

「俺はそいつらの事を、愛していたわけじゃない。その場しのぎの、一晩だけの、都合の良い相手でしかなかった。終われば一服して、それで忘れ去れるような、そんな奴らだったのに。死なれたら、それも難しい」

「うん……」

「皆、俺を冥土のご褒美にした。俺を抱けて幸せだった。最期に抱けて良かった。そう言って、死んだ。ホテルの帰り道で、ホテルの浴室で、俺の寝ている横で」

 紫陽花は、澤谷の頬から手を離した。そして、その時のことを思い出すかのように、目を閉じた。

 澤谷は、紫陽花の瞳が再び開くまで、黙って待った。

「そんな事をしたら許さない」

 紫陽花は目を閉じたまま、小さな唇を動かした。

「……肝に銘じておくよ」

「分かったと言え」

「分かった」

「よし」

 そう言うと、紫陽花はその大きな目を開いた。そこにはどんな感情があって、何を思ってこの話をしたのか、澤谷には読み取れなかった。

「……ごめんね、そんな話をさせて」

「したのは俺だ」

「そうだけど……」

 そうではあるが、澤谷の心は複雑なままでいた。紫陽花は、澤谷に死ぬな、と言ったのだ。本来ならば、自分の愛している男性が、自分の死を望んでいないという事は、喜ぶべき事柄だ。しかし澤谷は、やはり昔の男達のことが気になってしまう。この白くて薄い胸板の奥に、見えない傷を遺した、男達の事が。そして自分も、負けないくらいの傷を、紫陽花に遺したくなってしまう。

「……お前、そろそろ自覚したほうが良い。その嫉妬は異常だよ」

 頭の中を見透かしたような紫陽花の台詞に、澤谷の心臓は飛び上がった。

「あ、いや、えっと……」

「まぁ良いけど。でもつけるなら、見えるようにつけてよ。見せびらかすから」

「そんな事しないよ…!」

「冗談だよ」

 くくくっと、紫陽花は喉の奥で笑う。相手をからかう時にする紫陽花の癖だ。

「なぁ、付き合えよ」

 そう言って紫陽花は、澤谷の腕を取って起き上がる。そしてキッチンへ行くと、換気扇を点けて、置いてあった煙草に手を伸ばした。

 紫陽花は澤谷に差し出すと、自分も一本抜き取って、火を点けた。澤谷にも点ける。澤谷は煙に目を細めながら、軽く吸い込んだ。

「……紫陽花」

「ん?」

「俺は、今はもう、死ぬつもりはないよ」

「うん」

「でも……今でもまだ、死にたくなる時はある。漠然とだったり、衝動的だったり。薬を飲んでも、音楽を聴いても、君が横にいても……どうしようもない時が、あるんだ」

「うん」

「でも、君をご褒美にはしないよ。死なない約束は出来ないけど、それだけは約束する。だから、もし、俺が死んでも……」

 君をご褒美にはしなかったと、信じて欲しい。

 澤谷はそう言うと、再び煙草の煙を吸い込んだ。今度は深く。零れそうな涙を、留めるかのように。

「うん。信じる」

 紫陽花は簡潔に答えた。それからは無言で、二人は煙草を吸った。二人分の煙が、混じり合い、吸い込まれていく。

「さて、寝るか」

 紫陽花は煙草を揉み消すと、軽く伸びをした。澤谷も、同じように揉み消す。

「ねぇ、もう一回いい?」

「……はぁ?」

 澤谷のお願いに、流石の紫陽花も面を喰らってしまった。呆れ顔の紫陽花を見て、澤谷は慌てて訂正する。

「あ、いや、抱きしめても良いかって事。流石にもうしないよ」

 寝る前に、もう一回って意味で……。

 必死に弁解する澤谷に、紫陽花は溜息を吐きながら、両手を広げた。澤谷は、「待て」の命令を解かれた犬のように、紫陽花の腕の中に潜り込んだ。

「薬飲んだ?」

「まだ。飲んでから行くよ」

「ん」

 ぎゅっと抱きしめると、澤谷は腕を離した。しかし、その腕からはたっぷりと名残惜しさが滲み出ており、紫陽花は仕方なく、キスのおまけもプレゼントした。

「先行ってる」

「うん」


 紫陽花は寝室に向かいながら、甘いな、と自分に囁いた。

 あんな奴、放っておけばいいのに。人畜無害で軽やかなフリをして、中身は嫉妬深くて狂暴、重く纏わり付いてくる、「自由」とは程遠い、そんな恋人。

 しかし、今更投げ捨てることも、出来なくなっていた。どんな死に方をするか、分かったものではない。何で俺は、ここまで構ってしまったんだろう。

 ──生きて会いに来てくれたのが、嬉しかったから。

 そんな自分の声に、紫陽花は舌打ちをした。あぁ甘い。甘っちょろい。吐き気がする。

 紫陽花はベッドに潜り込んだ。先程まで熱く激しい空気で満ちていた部屋は、今やすっかり深夜の冷たい空気に支配されていた。

 紫陽花は、先程の声を振り切るように、目を閉じた。疲れ切っていた身体は早速、眠りへと紫陽花を導く。

 そうだ、もう寝てしまおう。あいつのせいで散々な夜だ。

 紫陽花は大きく息を吐きだすと、眠りに落ちていった。夢すら見たくない。その望み通りの、深い眠りへと。


 少し遅れて、澤谷が入ってくる。すでにぐっすりと眠っている紫陽花の頬を撫でながら、その横へと滑り込む。

 澤谷は、薬の効果がなければ、眠りにつくことが出来ない。効果が出るまでの間、じっと紫陽花の顔を眺める。長い睫毛、スッと筋の通った鼻、薄く色づいた、小さな唇。

 その顔が、笑ったり、怒ったり、色に染まっていく様を、順々に思い出す。そして澤谷は、紫陽花のこの瞳が歪み、涙を流す顔の記憶がない所まで、辿り着く。

(君を、この身体を、ご褒美になんてしない。でも、もし俺が死んだら、この瞳を歪めて泣いて欲しい)

 澤谷はふっと笑みをこぼした。出来れば、紫陽花の泣き顔は、この目で拝みたい。きっととてつもなく綺麗だろうと思うから。

 けれど、どうしても見られないというのであれば、その時俺は、死んでもいいかもしれない。

 これも異常な嫉妬なのだろうか。そう澤谷は考えたが、その思考も段々と、ぼやけてくる。薬が効いてきたのだ。

 澤谷は眠りに落ちる最後の瞬間まで、紫陽花の顔を眺め続けた。最期の時もこうであって欲しいと、願いながら。


 二人の寝息と、遠くから響く換気扇の音だけが、闇の中で響いていた。



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