グァバジュース

 キャンプファイヤーは超絶楽しいので、もう人類は事ある毎にやっちゃう。


「お゛お゛お゛お゛お゛お゛……」

「お゛お゛お゛お゛……」


 もう事ある毎に、変な声出しちゃう。


「お出でませお出でませ河神様お出でませお出でませ河神様お出でませお出でませ河神様」


 神様担当の人も神様呼んじゃう。


「……クヮパァ」


 で、神様も来ちゃうよね。


「かっ河ァ! 河神様ァ!」

「河神様がいらっしたァ!」


 もう人類も大盛り上がりよ。そりゃね。

 神様担当の人は大昔からの毎度の通り、お供え物をするわけよ。


「どうぞ河神様、お納めください」


 ただまあ、いつもと違うとこもあるよね。人類が不変なわけないし。


「クヮパ」


 でも不偏にして普遍に不変な神様は、うむ、て感じで頷いて、ノータイムでお供え物をポリポリやる。


「コッ、クヮッ……クヮパァッ!?」


 で、むせちゃう。

 今回ね、お供え物がピクルスだったんだわ。


 人類は産業革命とかで水を汚すし、水を汚したら生食できる新鮮なお供え物なんて採れないじゃん。

 人類的には納得。神様的には知らんけど。

 そも、汚れた河で普通に暮らしてる神様は、生のお供え物でも普通に食べたと思うけどね。

 人類にはちょっと無理だったから、神様も無理かなって思ったんだろね。全然無理じゃないんだけど。


「クヮ……グヮ……」

「神様?」

「グヮバ!!」


 酸っぱいの苦手な神様はマジギレ。


「お゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


 大氾濫でその辺の人類とかほぼほぼ滅亡だわ。


「グァバ……!」


 三日三晩の洪水の後、人類んちの跡地に一本の果樹が生えてた。

 それを見つけた人類の生き残りが、その実を食べてやべーうめーってなったんだけど、それがあれよ、神様の怒りの声から名前を取って、今は「グァバ」って呼ばれてんの。

 ほら、あのジュースとかにするやつね。


 そんだけ。


 おしまい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る