第27話ふざけないでもらおう!

「私なら、ハロルド様と婚約破棄してかまいませんよ。それに名案があります」




メイベルはいつもの笑顔で話し出した。


しかも、名案があると言い出した。


聞きたくない。


メイベルの名案なんか、絶対に名案じゃない。




「お姉様と婚約者を交換すれば解決します。ハロルド様はお姉様にお譲りしますぅ」




何を言っているのか…。


ハーヴィ伯爵もアーヴィン様も固まってしまった。


あの両親はメイベルを見ている。


役に立たないからほっとくしかない。




隣のクロード様からは怒りのオーラが出ていて怖い。




メイベルの発言に一人元気なのはハロルド様だ。




「そうだ!メイベル!名案だ!さすがだ!後は慰謝料のことを決めれば!」


「ハロルド、何を馬鹿な」




ハロルド様がメイベルに賛同して、ハーヴィ伯爵が馬鹿な、と言ったところでクロード様は我慢の限界だった。


しかもハロルド様、慰謝料って何の話ですか?


まさか私に意味不明な慰謝料を要求する気ですか!?




「ふざけないでもらおう!」




クロード様は、メイベルとハロルド様を睨み怒りを露にした。




「えっ…でも私の方がお姉様より可愛いから、クロード様もその方がいいですよね?」


「君のどこが可愛い。俺にはラケルだけだ」


「何だと!せっかく丸く納めようとしているのに、慰謝料を払いたくないから時間稼ぎでもする気か!?」




ハロルド様は思い込みが事実だと疑ってないのか、クロード様に上から目線だった。


そしてやはり私に慰謝料を要求する気だった。


メイベルは可愛くないと言われ、ショックを受けている。




「慰謝料だと?慰謝料を払うのは君だ!ラケルの婚約者は俺なのだ!誰にも渡すつもりはない!ましてや交換なんてあり得ん!」


「言いがかりをつけて、慰謝料を逃れる気か!?俺と婚約中に浮気してたんだろう。婚約破棄後にすぐに会うなんておかしいからな!」




ハロルド様は負けずに言い返した。


今引けばいいのに。


今更引いても遅いが。




「ハーヴィ伯爵、これは見過ごせません!」




ずっと眉間にシワの寄っているクロード様はそう言った。








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