第28話妄想の奥は見えません!

「ハロルドと言ったか、君とラケルの婚約中に浮気したと言ったが、証拠はあるのか?」


「フン、ラケルと買い物をしたり二人で会っていたではないか?忘れたのか?」


「貴様が見たのは、婚約破棄後だろ!」




クロード様…それは突っ込みですか?


クロード様は、ハロルド様のことをとうとう君から貴様呼ばわりになった。




「ハハハッ!婚約破棄後に堂々と会い出したのだろう!」




ハロルド様は自分の思い込みに間違いはないと言うように、クロード様に言った。


しかも、何故そこで笑う?




しかし、おかしいでしょ!?


少なくとも、ハーヴィ伯爵がアーヴィン様と領地に行かれて毎日のようにハロルド様はメイベルに会いに来ていたのに。


会いに来ては、フフンと二人で勝ち誇ったように私を見ていたではないですか?


しかも、来てはランチにアフタヌーンティーに夕食まで食べて帰ったのに。


その頃は一応まだ婚約者ですから、一緒に食べましたよね?




「ハロルド様、婚約中はよくうちの邸に来てましたよね?」


「それがどうした?父上が領地に行ったことを幸いとし、クロードに迫ったのだろう!」




私からクロード様に迫ったことになっていた…。


ハロルド様の妄想は深かった。


私には妄想の奥が見えません!




しかも、クロード様を呼び捨てにするなんて…。




「ハロルド様、私はその間邸に居ましたよね。毎日メイベルに会いに来ていたではないですか。一緒に私を含め食事をしてましたよね?」


「それがどうした!?」


「いや、ですから、私が婚約中にクロード様にお会いしてないのわかるじゃないですか?」




私には身代わりとなる影はいませんからね。


代役を立てるのは、普通に考えて無理です!




「…えっ?」




今後はハロルド様が固まってしまった。




メイベルはまだ、可愛くない…と言われたことにショックを受けている。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る