四十一日目 勉強会

「今首すごい音したけど」

「最近肩こるんよ、なんかさ」

 テストの勉強会でもしようと集まって一時間。早くも首が凝って、首を回すなりばきばきと音がする。それに、友人は若干心配そうな顔をこちらに向けた。

「勉強してるからかなー。ちゃんと寝てるんよこれでも」

「深夜に連絡しても既読もつかんしな」

「そりゃ寝てるからな」

 肩ばっきばきなの困っちゃうよねえ、と肩をほぐす。近くにあるチョコレートを一粒口に放り込んで、シャーペンを手に取った。

 互いに勉強をしているのは違う科目だ。苦手科目が真反対、得意科目も真反対。むしろ教えやすいのでは? と勉強会をすることにしたのだ。もちろん、半分くらいが雑談で埋まっているのだけれど。

「え〜〜……これわからん……」

「ん、どれ? あ〜〜これめんどいやつだ。これはこっち見るとわかりやすいかも」

「……? あ!」

 あまり手が汚れなさそうで、手軽に食べられるものを持ち寄って、机に勉強道具を広げて。テストまではあと一週間。少しだけ余裕はあるけれど、今回は互いに点数を競い合うことにしている。それに加えてクラスの順位も競おうと決めているから、いつもより勉強に気合いが入ってもいる。

「勝ったほうがあそこのカフェの季節の新作おごりね」

「わかった。負けないかんね」

「言い出しっぺが負けるのすごいやだな。私こそ譲らないからね」

 あっちの公式がどうだ、この数列がどうだ、これを覚えただの覚えていないだの。半分話しに来たんだか勉強をしにきたんだか、だんだんわからなくなってくる。入れた暖かい飲み物もいつの間にか冷めていて、次に飲むまで気づかなかった。

「暗記系覚えられる気がしない……」

「わかる……いやでも、まだ一週間あるからなんとかなる」

「私無理かもしれない」

「じゃあ問題出し合おう」

「いいね」

 問題を出し合ったり教えあったり、そうこうしていると帰る時間も迫ってくる。母に言われて、ようやく気づいた。

「それじゃ、また明日!」

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