三十四日目 まだら模様の

 まだら模様が好きだった。

 気づけばそういうものを買っていた。別に誰かに共感などを求めていたわけではなかったから、特になにを思うでもなかった。

 けれど、ある日のことだ。その子を見たときに、迷うことなく家に迎えたいと思った。

 その子は、体は白っぽいのに、しっぽだけがまだらな模様になっている猫だった。野良のようで首輪もなにもなかったけれど、なんとなく、捨てられたのかなと思った。

 猫なんて飼ったことはなかった。けれど、猛烈に家に連れて帰ろうと思ったのだ。

 生き物を飼った経験はほとんどない。だから、猫を飼うなんて自分にできるのだろうか。ずっと一人暮らしの自分に。不安で、ネットを検索して猫を飼っている知り合いに電話をして、さんざん調べ回った。

 どたばたして落ち着いたのは、いつだっただろうか、だいぶ経ったころだったと思う。慣れないことしかなくて苦労したけれど、試行錯誤の末にどうにか落ち着くことができた。猫のほうも、慣れてくれたようでうれしかった。

 特にうれしかったのは、自分に擦り寄ってくれなかったのに、ある日するりとしっぽを腕に巻き付けて、膝に乗ってきてくれたこと。距離を詰められなかったそれまでからぐっと仲良くなったようで、とても嬉しかった。

 今はもう猫じゃらしやら他のおもちゃやらで遊んで、こちらが遊び疲れることもあるくらいには仲良くなった。あの日拾って本当によかった。

 今日はあの子と会って二年目の日だから、なにかプレゼントをしよう。そうして選んだのは、しっぽにそっくりな柄の首輪と、それに似た柄のブレスレット。

 嫌がったりしたら、と一瞬よぎったけれど、そんなこともなかったようだった。ひとつにゃあ、と鳴いて、首輪についた鈴をちりちり揺らして登ってくる。

 顔をのぞいてくるのに笑って、見てみてとブレスレットを見せた。ほら、君の首輪としっぽとそっくりでしょ。それを見ても不思議そうな顔をしていたけれど。

「おそろいじゃん」

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