第115話(2014年4月10日)大学3年
4月10日
春休みが終わり大学3年に進級した。
毎年恒例のサークルのチラシ配りに今年も渚と参加し、可愛い子を勧誘していく。
3年生にもなると新入生が初々しくて自分が歳をとった様に感じるなあ。
・・・そもそも中身はもっと歳取ってるか。
このサークルは経済学部の中でも特に投資や経済に明るい人が集まる。
将来の人材確保の為にも繋がるし、出来るだけ可愛い子を捕まえないと。
授業も終わり、運転手の運転で家に帰ると、東京の建設会社から4月中に家の着工が出来るという連絡が来た。
不動産会社によるとすでに8割ほどの土地の買収が完了し、建設部分は最優先で確保したらしい。
来年の4月頃には完成予定とのことだ。
「予定では夏頃に完成予定だったよね?凄いね!」
想定よりも大分早くなった。
「ほんと助かるよ、数ヶ月で2度も引っ越しするのは大変だからね」
かなりやり手みたいだな、いい会社に頼めた。
まあその分少し割高になったようだけど。
「でも家の近くのマンションも結構買ってるんでしょー?どうするのー?」
「まあ、それは社員寮にでもするよ。もともとそのつもりだったし」
「そっかー!じゃあ良かったー!どんなお家になるか楽しみだねー!」
「今の家とは比べものにならないくらい大きいし、期待してていいよ」
確保予定の敷地面積は5000坪強、土地代だけで350億円程度掛かる。
坪単価で700万円ほど、相場の1.5倍の値段だ。
本当はもっと広い土地が欲しかったんだけどな、道路や公共施設があるおかげでこの場所ではどれだけ頑張ってもこれが限度らしい。
建物の建築費の見積もりは100億円程度で、全部合わせて450億円程度になる。
600億円用意したのに意外と安いな?
「浩介、設計士さんと熱心にメールのやり取りしてたもんね〜!」
「ほとんどその設計士さんにお任せしたけどね」
それでも彼女達の要望も聞きながら、欲しいものを手当たり次第盛り込んでもらった。
完成が楽しみだなあ。
しかし450億円で済むなら、周囲のマンションにも50億円程度使うとして、後の100億はどうしようかな。
・・・投資に使うか、別荘でも買うか。
ん〜、とりあえず投資にしよう。
別荘は来年以降、東京に移住した後でもいいだろう。
それよりも大事なことがある。
今年の初めには投資したい企業が無いとか思っていたけど、アトビの存在を完全に存在を忘れていた。
アトビはアメリカのテック系企業で、ソフトウェアの開発を行なっている。
今のうちに投資しておけば、2021年には投資額の10倍くらいは増えるはず。
IT企業はアマソンとか、テスリとか、目立つ存在にばかり目が行っていた。
10倍に増えるのならかなり良い投資先になる。
そうと決まれば時は金なりだ。
「ちょっと思いついたから仕事してくるね、すぐ戻ってくる」
トレーディングルームに移動して、早速買い注文を出すことにした。
一株当たり65ドルで450万株、合計300億円。
コロフラ株を売ってそのまま残しておいた200億円も使った。
これが完了すれば、アトビが発行している株式の1%弱を購入することになる。
ふぅ、久しぶりに仕事が出来た。
1月以来株価とか為替レートのチェックはしていたけど、投資はしていなかったからな。
「浩介、急に仕事ってどうしたの〜?」
「あぁ、家が思ったより安かったからその分を投資しようと思って」
パソコンの操作が終わったと同時に渚もトレーディングルームに入ってきた。
「そうなんだ〜!どこに投資したの〜?」
渚は自然に俺の膝の上に座る。
「アトビ。やっぱりアメリカのIT系は強いからね」
「あ〜ね!ま〜それは置いといて〜・・・」
クルリと体の向きを変えて、俺の方を向いて抱きついてきた。
「ね〜・・・しよ?最近ここでしてなかったでしょ〜?」
それが目的で追いかけてきたのか・・・。
「いいけど、皆んなにはすぐ戻るって言っちゃったよ?」
「大丈夫だよ〜!投資先に悩んでたって言えばバレないよ〜!」
バレそうな気もするけど・・・いいか。
1時間ほどで手早く済ませてリビングに戻った。
まあ、案の定聖奈とアリサにはバレて文句を言われた。
2人は俺がソファーに座るとすぐにくっついてきて、膝枕を要求してきた。
その時に匂いで気がつかれた。
犬の様に嗅覚が鋭い子達だ。
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アトビ→アド○
アマソン→アマゾ○
テスリ→テス○
コロフラ→コロプ○
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