第113話 3月

2014年3月中旬


「ほら、入って入って」


「お邪魔します!」


「ふ〜、人が多かったね〜!」


「でも桜綺麗だったね!」


家の目の前にある大きな池、元はお城の大きな堀だったんだけど、そのお城の桜祭りの帰りだ。

彼女達と今大注目のアイドル高橋香菜ちゃんと一緒に見てきて、一緒に家に帰ってきた。


香菜ちゃんは今月末には地元のプロ野球の試合で始球式もするらしいしCM等にも出るらしい。

忙しそうだな、注目されてからのスピード感がすごい。


まあ、そんな子と一緒に遊んできたわけだけど。

杏奈のおかげだな。


「やっぱりお花見しながら飲むお酒は美味かったね」

ほろ酔いで気持ちが良い。


「ね!おつまみも美味しかったし!」


美咲も聖奈も杏奈も意外とお酒に強い。

土地柄か血筋か3人ともお酒が好きだし、いくら飲んでもケロッとしている。


「美味しかった〜!ね〜浩介〜、もっとのも〜?」

渚は飲んだら可愛くなる。


頬を赤くしながら俺にくっついていて、アリサや愛美も微笑ましく眺めている。

渚は最近人前ではあまりイチャイチャしないけど、スキンシップを取るのが好きだ。


2人の時はくっついてくることが多いし。

彼女達の中でも一番寂しがり屋かもしれない。


リビングに入ると、美咲達がお酒を持ってきて二次会が始まる。

メイドさん達もおつまみを用意してくれた。


「センパイ達はいいな〜、私も飲んでみた〜い!」


「アリサ達は大人になってからね?」


「ずる〜い!」

アリサは少し不服そうな顔をしている。


こればっかりは俺にはどうしようもないからなあ。

アリサも愛美も飲んだらどうなるんだろう?楽しみだな。


「私も早く飲めるようになりたいな!」

香菜ちゃんも少し羨ましそうにこっちを見ている。


この子は将来酒飲みになるはず。

その時までに関係が進んでるといいんだけどな。





3月後半


時が来た。


男の三大道楽といえば飲む、打つ、買うの三つ。


飲む方は最近20歳になってようやく合法的に酒を飲めるようになった。

買うはやっていないが、彼女が複数人いて男の中では十分以上に楽しんでいる方だろう。


そしてこの中で打つだけはまだやっていない。


ということでやってきたのは、


「わーい!モナコだー!」

そうモナコだ。


「はーい聖奈は手繋いどこうね〜!」

渚は、はしゃいでいる聖奈がどこにも行かないように手を繋ぐ。


どうせなら堅苦しい所ではなく、ラスベガスでパーっと遊びたかったんだけど、あそこは21歳以上じゃないと出来ないんだよなあ〜。

でもここなら18歳から遊ぶことができる。


ひとまずホテルで時間を潰して、夕方にカジノへ向かう事にする。


「飛行機快適だったね〜!」

渚もそこそこ浮かれているように見える。


「修学旅行の時とか長時間乗るのはキツかったからね」


今回、初めて飛行機をチャーターした。

往復で1億円弱かかったけど、メイドさん達と通訳や案内をしてくれる旅行会社の人を含めて20人弱はいるし、意外とコスパは良い。

それに東京まで行かなくても直行便を出してくれるし、かなりの時間短縮になる。


どうせなら香菜ちゃんも一緒に来てくれたら良かったんだけどなあ。

まあ忙しいし、親御さんとも会ったことは無いし流石に無理だった。


ホテルはモナコの中心部にあるパリの名前を冠した高級ホテルで、今から向かうカジノはその隣にある。


カジノの入場料とVIPルームの料金を支払い、1000万円分の現金をチップと交換する。

ひとまずこれだけあればそこそこ遊べるだろう。


前世でも大学時代に一度だけ東南アジアにあるカジノで遊んだことがあるが、流石に雰囲気が違う。


パリのオペラ座と同じガルニエが設計した絢爛豪華な宮殿のような建物。

自分たちも含めてVIPルームにいる人々は皆んな正装している。

高揚している気持ちを落ち着かせるために、ひとまずお酒を注文してくつろぐことにした。


ちなみにアリサや愛美などの高校生組はホテルでお留守番をしている。

お留守番と言ってもスパでくつろいでもらっているから暇はしていないはずだ。


美咲達4人にもチップを配って、俺は残りを使って遊ぶ。

まずは手軽なルーレットにしよう。


美咲達にもやり方を説明しつつ、自分も1000ユーロ(約14万円)を赤に掛けてみる。

ディーラーが転がした玉がコロコロと転がり、赤い数字に入った。


「お、幸先がいい」

1000ユーロが倍の2000ユーロに増えた。


「ハズれた〜!」


「やったー!凄い!聖奈当たったよー!才能あるかもー!」


聖奈は数字の1点掛けに的中していた。

掛けた100ユーロが36倍の3600ユーロに増えた。


「聖奈すごいね!私は外れちゃった!」


2回目の勝負、俺を含めて皆んな外した中、聖奈だけは的中させていた。

ホントにすごいな。

聖奈には意外とギャンブルの才能があるのかもしれない。


俺は10回ほどルーレットで遊んで、3000ユーロほど負けたところで次のゲームに移ることにした。

まあルーレットは運だしな、こういう日もあるさ。


その後テーブルゲームでは勝ったり負けたりを繰り返し、この日は結局500万円ほどの負けで帰ることになった。

おかしい、最初の方は勝っていたのに・・・。


まあ楽しかったし最後の方はカジノの雰囲気にも慣れてきた。

今日やったテーブルゲームはブラックジャックで、これまた運の要素が強い。

明日の夜はポーカーにも挑戦したい、もう少しうまくいくかもしれないし。


彼女達はというと、美咲はトントン、渚は手持ちを倍にしていて、杏奈は少しプラス、聖奈は最初に渡した全額を失っていた。


「なんでよー!最初は勝ってたのにー!」


「だって聖奈、調子乗って一点掛けの一発勝負みたいなのばっかりやってたからね〜」


「それはそうなるよね」

俺は途中で聖奈とは離れていたが、聖奈はずっとルーレットで遊んでいたらしい。


「最初はそれでうまくいったんだもん!」


ホテルに戻り、高校生組と合流する。


「せんぱ〜い!どうだった〜?いっぱい稼いできた〜?」


「いやーなかなか難しかったよ。というかいつも綺麗だけど、アリサも愛美もいつも以上に綺麗だね。びっくりした」

いっぱい負けてきたよ、とは言わない。

ここは話を逸らしておく。


「えへへ〜、ホント〜?やっぱりエステって凄いんだね〜!」


「すっごいリラックスできたよ!先輩のおかげだね!ありがとう!」


「彼女が綺麗になって得するのは俺だからね。こちらこそありがとう」


「先輩優しいね!」


「私には何も言わないのー?というか勝ってたらお兄ちゃんに色々買ってもらおうと思ってたのになー」


「いや、彩華にいってもな・・・別に勝たなくても欲しいものがあれば買ってあげるよ」


「やった!」

現金なやつだな。

そもそも普段から色々買ってあげてるし、確かに意外と遠慮することも多いけど。


この日はホテルのレストランでディナーを食べ、彼女達とイチャイチャしながら寝ることにした。

さすが、最高級ホテル。

レストランの食事も一流、部屋の内装も素晴らしい。


モナコでの滞在は、1週間程度で、昼間はクルージングや観光にショッピング、夜はカジノでの勝負をして過ごした。


クルージングには巨大なクルーザーを1週間レンタルして、9000万円ちょっと。

豪華な設備で船員以外の目を気にせず過ごせるし、かなり快適だった。

いつか自分の船も欲しい。


結局カジノの収支はトントンといったところだった。

2日目で初日の負けをある程度のところまでは回収出来たんだけど、そのあとは買ったり負けたりを繰り返した。


さすがというべきか渚だけはプラスで聖奈は渡した額全部を擦っていた。

まあ、渚は普段から投資の世界で勝負をしているわけだし、当然の結果とも思える。


俺は・・・なんだろうな?

勝負というよりもカンニングだから仕方ないか。


それはそうと、銀行口座の開設もしておいた。

今度来た時にはコンドミニアムを買いたい。


そういえば、もうすぐモナコで世界最高額の部屋が売り出されるんだよな、確か400億円くらいするはず。

さすがに今は厳しいか、東京の家にもそれくらい掛けているし。


現状ではそこそこレベルで我慢するしかないな。

欲しいものが多くて大変だ、もっと稼がないと。


でもやっぱり地中海性気候は過ごしやすい。

日本のジメジメとした夏とは大違いだった。


「また来たいね!」


「そうだね」

次はプライベートジェットにクルーザー、コンドミニアムつきで。

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