第109話 20歳

12月25日 クリスマス


女子会から一夜明け、今日は20歳の誕生日。


ようやくこの日が来た!


今日からは堂々と酒も飲めるし何より株式の信用取引が出来る!


まあ、直近で信用取引をしないといけないようなイベントは無かったはずだけど。

なんか無かったっけなあ?


まあ特に空売りなんかは、世間の反感を買いやすいし今更やらなくても元手があるから十分以上に稼げるんだけど。


「おはよう!それと誕生日おめでとう!やっと浩介も20歳になったね!」


まだ寝ているアリサちゃんを起こさないようにそっと部屋を出て、リビングに行くと美咲が朝食の準備をしていた。


昨日の今日でメイドさん達はまだ来ていないみたいだ。

メイドさん達の管理は全部美咲と由依ちゃんに任せていて、シフトとか知らないんだよな。


「ありがとう、やっとみんなに追いついたよ。今日から堂々とお酒も飲めるしすごく待ち遠しかったんだよね」

杏奈以外はとっくに誕生日を迎えていて20歳になっている。


「アリサちゃんはまだ寝てる?」


「うん、まだ寝てるよ」


昨日はアリサちゃんと2人で一緒に寝た。

恥ずかしがっているところが可愛かったなあ。


声が漏れないように口元を押さえていたのも可愛かった。

何度も「お姉ちゃんに聞こえちゃう」って心配していた。


安心していい、壁は分厚いからどこにも聞こえてないはずだ。

アリサちゃんには言わなかったけど。


今度聖奈と一緒にするのもいいな?

姉妹丼・・・なんとも響きが良い。


流石に嫌がるかな?

聖奈だったらそこまで気にしなさそうだけど、アリサちゃんの昨日の様子を見るとなあ。

いやー楽しみだなあ。


そういえば最初はドレスも着替えずにしてしまったから汚れてしまったかも知れない。

今度新しい物を買ってあげよう。


「おはよー!あ、浩介早いねー!誕生日おめでとー!」

聖奈も起きてきて、ハグとキスをしてきた。


「ありがとう、聖奈も今日は早いね?どうしたの?」


「心配で目が覚めちゃった!浩介は慣れてるから大丈夫なのは知ってるけどー、アリサはー?」


「まだ寝てるよ、優しくしたから大丈夫だと思う」


「そっかー!後でからかってあげよーっと」


「それはやめてあげてね?」


「もー冗談だよー!聖奈はそんなことしないよー!」

聖奈だったらやりかねない。


「聖奈だったらやりそうだけどね〜!あ、おはよ〜!」


渚もリビングに入ってくると同時にツッコミを入れていた。

俺と同じことを思ったみたいだ。


「えー?聖奈優しいのにー!」


優しいのはそうなんだけどな。

聖奈は少し抜けているところがあるからな。


「そうだよ、いくら聖奈でもそんなことしないよね!」


いくら聖奈でもって。

美咲・・・それ擁護しているようであんまり擁護になっていないぞ?


「ほらー美咲はちゃんと分かってくれてるもーん!」


聖奈は気が付いていないみたいだ。

ほんと幸せな性格してるよな〜。


「あ、そうだ!今日の夜の誕生日パーティーはご飯と一緒にお酒も用意してあるから楽しみにしててね!」


「聖奈も作るの手伝うんだー!」


「そうなんだ!ありがとう」


「準備があるから浩介はお昼はお出かけしててね〜!」


「りょうかい」


皆んながこうやってご飯を作ってくれるの嬉しいなあ。

それにようやく、ようやくだ。

ビールも日本酒が好きだし、甘いカクテルとかも好きだ。


お酒集めないとなあ。

ちょうどいいし昼間に買いに行こうかな?

1人で行くのも寂しいなあ、誰か付き合ってくれないかな?


「おはよ」

杏奈もリビングに入って来た。

後ろには愛美と彩華も後ろからついて来ている。


「3人ともおはよ。杏奈は明日東京行くんだよね?」


「うん、ちょっとおっきい雑誌の撮影でね。朝出て夜には帰ってくるから」


「なかなかハードスケジュールだね〜?」


「気をつけてね」


「うん、ありがとう。今日は浩介はどうするの?」


「お酒とか色々買いに行きたいんだけど、皆んなで準備するんだよね?」


「1人は寂しい?でも今日は私たちでご飯作るからなー、アリサちゃんとデートしてきても良いよ!」


「昨日の今日であんまり歩かせるのも大変じゃないかな〜、それにお酒買いたいんだよね〜?」


「流石に高校生連れて酒買いに行くのもね」


「じゃあメイドさんの誰か連れて行く?」


「そうしようかな?」


「後で由依が来たら聞いてみるね!」


「ありがとう」


「そろそろご飯できるからアリサちゃんも起こして来てー」


「おっけー、起こしてくる」


寝室に戻るとアリサはまだ寝ていた。

ほんとに綺麗だなあ。


こうやって寝ているところを見るのは初めてだ。

今まで旅行とか家に泊ることはあっても寝るのは別の部屋だったからな。


「アリサ、朝だよ起きて」

少し布団を捲ると汚れひとつない綺麗な肌が見える。


「ん〜、もうちょっと〜」


「起きないと悪戯するよ?」


「んん〜」


なかなか起きないな。

まあ昨日寝たのは遅かったしなあ、しかも初めてだったし疲れたかもな。


でも一度口にした言葉を引っ込めるのは男じゃないしな、しょうがない。

悪戯しよう。


「えい、ほら起きないともっとくすぐるよ?」


「あはは、ストップストップ!も〜!悪戯ってそっち〜?」

アリサは脇をくすぐられるのが弱いみたいだ。


「なに期待してたの?言ってみて?」


「なんでもない!」


何期待してたんだろうな?

俺には全然分からないなあ。


てかしっかり聞いてるし、最初に起こした時から普通に起きてたな?


「朝ごはんの時間だから起きて?」


「は〜い!」


アリサは起き上がったところで自分が何も身に付けていない事に気が付いて、急いで布団で隠している。

今更だと思うんだけどなあ、昨日隅から隅まで見たし。


「ねえ、先に行ってて良いよ〜?」

恥ずかしがってるの可愛いなあ。


「シャワー浴びるでしょ?一緒に浴びようか?ほら行こ?」


「ん〜、あ、ちょっと〜」

布団から出るのを躊躇っていたので、お姫様抱っこでお風呂まで連れて行く事にした。


「綺麗だよ」


「えへへ、重くない?」

照れながらも嫌がらずに大人しく首に手を回してきた。


「軽すぎて心配になるくらい」

ずっと持ってるのはきついけど、少しの間なら余裕だな。


お風呂場でおろして、2人で一緒にシャワーを浴びた。

さっきはやらなかった悪戯をしているとちょっと時間がかかってしまった。


急いで体を拭いて、リビングに戻ってご飯を食べた。

美咲達も察していたようで、起こしてくるのに時間がかかった事には何も言われなかった。

アリサは痛みはないが少し違和感があるようで、今日は家でゆっくりしてるみたいだ。



「じゃあ買い物行ってくるね」


「はーい!夕方になる前くらいには帰ってきてね!」


「センパイ行ってらっしゃ〜い!」


車に乗って繁華街の方に向かう。

今日は由依ちゃんが買い物に付き合ってくれる事になった。


「誕生日おめでとう!私たち2人で出かけるのって初めてだよね?」


「確かにそうだよね、長い付き合いなのに」


由依ちゃんともかなり長い付き合いなんだよなあ。

中1の時からみんなで一緒に遊んでいるし。

大学生になってからはメイドとして家で働いてくれてもいる。


もしも前世で仲が良かったら確実に告白していただろう、というくらいには可愛いんだけど正直彼女達が可愛すぎてなあ。

でも完全に手放すには惜しいし、いつか手を出せれば出したい・・・機会があるかな?


「ずっとみんなで一緒だったもんねー」


「どっか行きたいところとか、欲しいものとかある?付き合ってもらってるし何かあれば言ってよ」


「んー、でも今日はお仕事の時間だから!私の事は気にしなくて良いよー」

こう聞くとレンタルなんとかみたいだな?


「まあ、それもそっか。じゃあ今度友達として遊びに行こうね」


「うん!」


デパートの駐車場に車を停めて店内に入る。

このデパートはこの町の中でも老舗で、地下に酒屋さんが入っている。

ここは結構ワインの品揃えがいいんだ、九州の地酒とかも結構あるし。


「すみませ〜ん、この棚とそっちの棚と、後向こうのショーケースに入っているお酒全種類1本ずつ下さい」


「・・・はい?」


店員さんには困惑されたが無事に購入することが出来た。

このデパートでもよく行くお店ではもう顔を覚えられていて、困惑されることも少なくなったんだけど・・・酒屋に来るのは初めてだからなあ。


合計で100本近くの買い物になったが、もちろん今持ち帰るのは無理なので送ってもらう事になった。

お店が開けそうだな、日本酒、焼酎、ワイン、ブランデー、ウイスキーにリキュールなどなど大体のものは揃っている。


あれ?思ったより早く目的の買い物が終わってしまったな。


「こんなに沢山飲めるの?」


由依ちゃんは驚いたような呆れたような顔をしていた。

全部飲み切れるかどうかは分からないけど、一気に飲むわけでもないし。

お酒って収集したくなるんだよなあ、前世でも色々な種類のものを集めていた。


「まあ、少しずつ飲むからね。お昼だけど、お腹空いてる?」


「んー、まだかな〜?もうちょっと経ったら空くかも」


「じゃ、ラウンジでちょっと時間潰そっか」


このデパートのお得意様になっていると使えるラウンジがある。

買い物に疲れた時に休憩できるから便利なんだよな。


今日はまだ全く疲れてないけど。

ここで1時間ほど時間を潰して、寿司屋でランチを食べ、夕方まで買い物をして帰宅した。


時計やら服やら、久しぶりに豪遊を楽しむことが出来た。

豪遊といってもたったの数千万程度だけど。



「お誕生日おめでとう!」

リビングに入ると、十数個分のクラッカーの音が聞こえて、皆んなからのお祝いの言葉が聞こえた。


彼女達から誕生日プレゼントとして新しい財布をもらい、彼女達が作ってくれたご飯を食べた。

かなり凝った料理を作ってくれていてとても美味しかった。


用意しているといっていたお酒は俺の生まれ年のワインで、久しぶりのアルコールに浮かれて少し飲みすぎてしまった。

転生してから今までずっと我慢してたからしょうがない。


今日は程よく酔って気持ちよく眠りにつくことが出来た。

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