第108話 アリサ
「疲れた〜!」
アリサちゃんはそう言って俺のベッドに飛び込んでいった。
2人で女子会から抜け出して俺の部屋で休憩することなった。
「ほら、ちゃんとしないとドレスがシワになっちゃうよ?」
「ドレス可愛いけど結構疲れるね〜?自分で起きれな〜い!センパイ起こして〜!」
ベットで仰向けになって手を上に伸ばしている。
「はいはい、しょうがないなあ・・・っと」
手を掴んで起こそうと思ったら、逆に引っ張られてアリサちゃんの上に倒れてしまった。
「もー、あぶないでしょ?」
「えへへ、センパイも一緒に休憩しよ〜?」
「まあいいけど」
アリサちゃんを起こすのを諦めて隣に寝っ転がる。
腕を広げて寝ると、その上に頭を乗せてくっついてきた。
絡めてきた足は裾が乱れて太ももの辺りまで見えている。
「センパイ、好き」
いつものアリサちゃんらしくない、か細い声が聞こえた。
顔を見ると、いつもの余裕のある表情ではなく少し赤くなっている。
「ありがとう、俺もアリサちゃんのことは好きだよ」
「ほんと!?」
「もちろん、初め会った時から一目惚れしたし、知っていくうちにどんどん好きになったよ」
「そっか〜、よかった〜!私もう17歳なのに全然告白とかしてくれる素振り見せてくれないから私に興味ないのかと思ってた〜。今の言葉にいい返事がなかったらもう諦めようと思ってたんだ〜」
そっか、そうだよな。
17歳とか恋愛とかいっぱいしたい年頃だしな。
逆によくこの歳まで彼氏作らなかったよな。
俺もタイミングはずっと伺っていたけど、聖奈の妹ということもあってどうしても二の足を踏んでいた。
最悪2人とも失ったら元も子もないからなあ。
諦める前に挑戦してくれて助かった。
「気持ちを伝えてくれてありがとう」
「えへへ、でもそっか〜!一目惚れだったんだ〜!告白してくれたらよかったのに〜!」
アリサちゃんは安心したのか、もういつもの調子に戻っている。
「そうだよ、ずっと可愛いなあって思ってたけど我慢してた」
「そっか〜!ねえ、センパイからちゃんと告白してよ〜」
それもそうだな。
アリサちゃんに言わせちゃったし。
ここはちゃんとしないといけないよな。
ベッドから起き上がって、アリサちゃんも起こして向き合う。
「アリサちゃん、好きだよ。俺と付き合って欲しい」
「うん!よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくね」
そう言ってアリサちゃんにキスをした。
「あ、でもこれからはみんなと同じようにアリサって呼んでね〜?」
「りょうかい」
そういうとアリサは俺をベッドに押し倒すように抱きついてきた。
これでアリサは美咲、渚、聖奈、愛美、杏奈についで6人目の彼女になった。
愛美と同じく3歳下、高校2年生の彼女だ。
しかも金髪碧眼、日本人の血は入っていない聖奈の義妹。
あ、聖奈になんて言おう・・・。
美咲や渚は大丈夫として、他にも愛美、杏奈がなんていうかな・・・。
卑怯なようだけど、アリサから来てくれたら聖奈達にもなんとか言い訳も出来るかな?
まあ、説得を頑張るしかないか。
「そろそろリビングに戻る?」
「もう少しこのままがいいな〜!」
「そうだね」
もう少し経ってから2人で手を繋いで女子会の方に戻った。
そっちはもうお開きの時間で、みんなはもう帰るところだった。
「お邪魔しましたー!浩介君また年明けね!」
「先輩私たちもその時にまた来ますね!」
バイトの事を話した子達とも約束をしてお別れした。
「それで、2人はどうなったの?」
ん・・・?
美咲がこっちを見て質問してきた。
「えへへ、付き合うことになったよ〜!」
いきなりカミングアウトするのか?
「そっか!おめでとう!」
って、みんな知ってるのか。
・・・よく考えたらそれもそうだよな。
普通に考えて普段のアリサのスキンシップも皆んなが見ている中でしていたわけだし。
アリサの気持ちも彼女達は知っていたということだ。
彼女達の中で話し合いをしていたのかも知れない。
知らなかったのは俺だけということかな?
「おめでとう〜!」
「アリサおめでとう!」
渚も愛美も素直にお祝いしてくれている。
「もー、増えることは覚悟してたけど、思ったより早かったなー。アリサちゃんはおめでとう」
杏奈はちょっと怒ってる・・・のか?
アリサちゃん”は”って・・・後でどうにかご機嫌を取っておこう。
「むむー、分かってたけどやっぱりなんか複雑!でもおめでとー!」
そりゃあ聖奈は複雑だよな・・・。
「アリサおめでとう!お兄ちゃんどこまで増やすつもりなのー?」
どこまでだろうなあ、もっと増えるんじゃないかな?
というか、皆んなアリサの事は祝福しているけど、俺に対しては祝ってないな。
どちらかというと文句を言いたそうな反応だな?
まあ気持ちはわかるけど。
「先輩も2人もありがと〜!これからよろしくね〜!」
「皆んなごめんね、ありがとう。皆んなのこともちゃんと大事にするし、絶対後悔させないから、だからこれからもよろしくね」
「そう言われちゃったらもう何も言えないじゃん、でも付き合ったことは後悔はしてないから。ちゃんと最後まで責任とってね」
よかった、杏奈の機嫌も少しよくなった。
後悔してないってほんとかな?
本当だったら嬉しいな、もちろん最後まで手放すつもりもないし。
「じゃあ、この後はアリサちゃんの時間だね!」
今日は高校生組も家に泊まって行くことになっている。
パーティーが終わったのももう終電がない時間だったしな。
「あ、そっか・・・」
アリサは何を思ったのか顔を赤くしている。
普段からスキンシップ多いくせに意外と耐性ないな?
「じゃ、おやすみ〜!」
「アリサちゃん楽しんでね!」
「うん・・・」
「聖奈も手伝ってあげよっかー?」
「も〜姉ちゃんはあっち行ってて!」
「じゃあ、行こっか」
手を取って寝室に向かう。
聖奈のおかげでアリサは少し緊張がほぐれたかな?
初めてだし優しくしてあげないと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます