第107話 クリスマスパーティー
12月9日
『今、ネット上の謎の通貨に注目が集まっています。ピットコインと呼ばれる仮想通貨で・・・』
「あ、これ浩介が持ってるやつだよね〜?」
「そうそう、昔はマイニングもやってたよ」
テレビでピットコインが取り上げられている。
ようやくここまで来たか、という感じだ。
数日前に1ピットコインが12万7000円を超え、史上最高値を更新した。
更新した後すぐに値下がりしてはいるけど。
今日までに保有しているピットコインは14万5000ピットコイン。
5月に彼女達に資産の説明をした時からも購入を続けていて、5000ピットコイン増えている。
「へ〜?難しいことはよく分からないけど、昔からやってるならかなり利益出てるんじゃないの〜?」
「投資利回りはかなりいいけど、まだまだかな?130億ちょっとしか利益出てないし」
今は最高値からだいぶ値下がりして9万4000円程度だが、約136億円の価値になる。
投資金額がかなり少ないから収益としてはいいけど、この程度じゃ額としてはまだまだだな。
「130・・・私からしたらすごいけど、確かに浩介からみたら大したことないかもね〜」
「でしょ?まあ、今後はもっと上がると思うけどね」
「そうなの?でもこれかなり不安定じゃない?もうかなり値下がりしてるみたいだし〜」
渚はスマホで検索してチャートを眺めている。
「不安定なのはそうだね、円みたいな現実の通貨とか株式とかと違って価値の裏付けがないし。法整備もまだ整ってないし、国もどう対応するかわからないからね。でも金融危機とかが起きた時には実体経済からの影響が少ないピットコインが大きく伸びると思うよ」
「そっか〜、今注目されてるし値上がりしてるだろうから、下がったら私も買ってみようかな?」
「いいんじゃないかな、買う時は言ってね、色々注意しなきゃいけないこともあるし」
「りょ〜かい!ありがと〜!」
この後一時期低迷するからその時に買ってもらおう、7〜8年後にはとんでもない額になるし
楽しみだなあ。
12月24日 クリスマスイブ
「えー、浩介は今日の夜のは参加しないのー?」
「いや、流石にね?」
「前も参加したんだしいいんじゃない〜?」
「いやでもさ、邪魔じゃないかな?」
「大丈夫だよ!みんな気にしないよ!」
「いやそこは俺が気にするというか・・・」
「みんな揃ってた方が楽しいでしょ?」
「こういうのは女の子だけで・・・ね?」
「先輩もいて欲しいなー!」
「んん〜・・・」
「せんぱ〜い!みんな言ってるよ〜?諦めよっか〜!」
「あ、誘っておいてあれだけど、本当に嫌だったら断っていいからね?」
さすが、美咲は優しい。
「じゃあ、ちょっとだけね?多分途中で抜けるけど」
別に絶対参加したくないというわけでは無いし、少し気が重いだけだ。
クリスマスイブの今日はウチでクリスマスパーティーという名の女子会が開かれる。
去年の夏に家でやってた女子会にも参加はしてたし・・・なんとかなるだろう。
参加者は投資研究会とダンスサークル、料理サークルの暇な女の子達15人に彼女達やメイドを含めた14人、それに俺の計30人。
女子29人に対して男は俺1人だ。
半分は身内としてもちょっとなあ。
女子が集団になると怖いんだよなあ。
「よかった!この家を使うのに私たちだけ楽しむのも申し訳なくて、ごめんね!」
「いやいや、勧めたのは俺だからね。というかこの家は美咲達の家でもあるんだから遠慮しなくてもいいのに」
美咲達は最初は女子会に参加するのを断っていたけど、それを聞いた俺が勧めた。
彼女達の交友関係も大事にしてあげたいし。
新しい出会いがあれば嬉しい・・・という下心も少しだけある。
美咲達や渚はそれぞれのサークルで誘われたらしいが、折角なので一緒にウチでやることになった。
しかし今日女子会に参加するってことは多分彼氏が居ない子達なんだろうけど、よく美咲達を誘ったなあ。
家を見てみたかったとかかな?
「お邪魔しまーす!」
夕方になると続々と参加者が集まってきた。
今日はドレスコードがあり、みんなお洒落をしてきている。
美咲達も人が来る直前に華やかなパーティードレスに着替えていて新鮮な感じだ。
中でも似合っているのは杏奈とかアリサちゃんだな。
もちろんみんな可愛いんだけど。
渚に関しては似合ってないわけではないけど、どちらかというと和服の方が似合うんだよなあ。
今日は人数も多いし立食式のパーティーで、テーブルには事前にシェフを自宅に呼んで作ってもらった豪華な料理が並んでいる。
そこに参加者の女の子達が持ってきたお酒が並ぶ。
「かんぱーい!」
みんな揃ったという事で、ひとまず乾杯をして女子会が始まった。
もちろん俺や高校生組はソフトドリンクでアルコールは入れていない。
「浩介君はお酒飲まないのー?一緒に飲もうよー!」
「まだ未成年なんで・・・」
今日初めて会った1つ上の先輩に話しかけられた。
髪を茶髪に染めていてよくいる大学生って感じの女の子だ。
ちょっとチャラい感じかな?
誕生日明日だし別に飲んでもいいとは思うんだけど・・・。
さっきからやけに色んな人に酒を勧められるし、なんとなくやめておく。
「そっか〜、浩介君って結構真面目なんだね!」
「あれ、知らなかったんですか?根っからの真面目人間なんですよ〜」
「あはは、そんな人が彼女を沢山作ったりしないと思うけどねー?」
「隠して二股とかしてる訳じゃないんで、誠実な人間ですよ」
「確かにそう・・・なのかも?じゃあ、今度遊びに行かない?」
急に話が変わったな?何が”じゃあ”なのか分からない。
普通に可愛いっちゃ可愛いけど・・・ん〜、別に彼女にしたい程ではないなあ。
「美咲とかと一緒ならいいですよ〜」
「それも楽しそうだけど、2人だけっていうのはダメ?」
「ん〜、そういうのはちょっと」
「そっか〜残念!そういえば、バイト探してるんだよね?私こう見えて料理とか得意だよ!どう?」
「それは大歓迎です、年明けにでも家に来てもらえますか?」
話の流れ的にちょっと心配ではあるけど、話た感じ悪い人でも無さそうだ。
「りょうかい!じゃ、また今度ね!」
勢いがすごいな、判断が早いというかなんというか。
「浩介先輩ですよね?いつも美咲先輩とか聖奈先輩から話聞いてます!」
この子達はダンスサークルの1年生かな?3人組が話しかけてきた。
「そうなんだ?なんて言われてるんだろ、ちょっと怖いな〜」
「大丈夫ですよ!いっつもカッコイイとか、すごいとか、優しいとか、浩介先輩のいいところしか聞いてないんで!」
それは普通に嬉しいな、裏で悪口とか言われてたらどうしようかと思った。
そういう事を言う子達でないのはわかっているけど。
「へ〜、それは嬉しいね」
「それで私たち、浩介先輩がどう言う人かずっと気になってたんです!」
「実物見てどうだった?」
「すごい優しそうだしカッコよかった!」
「ね!先輩達が羨ましいな〜!」
「私もこういう彼氏欲しい!」
なんか今日は凄くモテるなあ、モテ期来たか?
「あはは、ありがとう。この家で働くバイトなら今募集中だから皆んな誘っておいでよ」
「バイトか〜、そっちじゃないっちゃけどな〜?」
残念だが今日はそっちは募集していない。
「由依先輩から時給聞いたけど凄いよね!それも興味あるかも!」
結構いい反応だな、この分なら結構集まるかも?
「あ、そろそろみたい!みんなでダンスするから見てて下さいね!」
ダンス部の人達かな?美咲達もリビングの隅に集まっている。
「バイトのこと考えておきますね〜!」
そういうのも用意してたのか、聞いてなかったな。
少しした後、事前に用意していたのか音楽がなり始めて、7人がダンスを披露してくれた。
ドレスの裾がひらひらと揺れて綺麗だったなあ。
それにこういうことも出来るくらいにリビングが広くてよかった。
「せんぱ〜い!まだ感想聞いてないよ〜?このドレスどう?可愛いでしょ〜?」
余興が終わるとアリサちゃんが俺のところに来て、その場でくるりと一回転して見せてくれた。
他の女の子もこっちを見ていて、何人かがこっちに来るそぶりを見せていたが、アリサちゃんが来た事でタイミングを逃したようだ。
「めっちゃ可愛い、お姫様みたいだね」
薄いピンク色のオフショルのカクテルドレスで、腰のところに大きなリボンがついている。
「ほんと〜?ありがと〜!お姉ちゃんに買ってもらったんだ〜!」
アリサちゃんは嬉しそうに笑顔を見せた。
「そうなんだ、よかったね!ご飯はちゃんと食べれた?」
聖奈もお姉ちゃんらしいことしてるんだなあ。
「うん!食べ過ぎちゃった、ちょっと休憩したいかも〜!ね、ね、ここ出て別の部屋行こ〜よ〜!」
「いいよ、行こっか」
そろそろこの場を抜けてもいいかな?
アリサちゃんが誘ってくれて助かった。
2人で手を繋いでリビングを出た。
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