第106話 ハロウィン

10月


「ねーえー、寂しいー!」


「最近それぞれ忙しいもんね〜」


「学祭まではね、聖奈達も今は一番忙しい時でしょ?」

最近聖奈とは中々予定が合わなくて夕飯を一緒に食べれていない。


「私たちはそうだねー、学祭のステージで踊るのが目的みたいな感じだから!あ、でも聖奈は養成所もあるから一番忙しいかもね!」


「私も夏休み終わってお仕事減らしてもらってるからね」


「ずーるーいー!」


「はいはい、今度予定合わせてご飯行こうね」


「いいのー!?やったー!」


大学の学園祭の準備が進んでいる。

今年も去年と同じく投資研究会では出店を出して、美咲達はステージでダンスを踊る。

美咲も聖奈も杏奈も遅くまでダンスの練習をしている。


俺と渚もサークルの集まりが多くて中々彼女達と一緒にご飯を食べる機会も少ない。

サークルメンバーとたこパしたりするのも楽しいけどな。

可愛い後輩もいるし。


FXのリアルトレードをやっているメンバーで利益を出し始めている人もちらほらと出てきて、勉強会をした甲斐もあったなという感じだ。

一番筋がいいのはもちろん渚だけどな、年季が違う。


男はいらないけど女の子は卒業したら雇うか。

そろそろメイドだけじゃなくて会社の業務を専業でやってくれる人も欲しいし。


後輩に何人か可愛い子いるしなあ、彼女にするほどではないけどただ手放すのは惜しい。

東京に引っ越したら仕事用のオフィスも借りよう。

今の所やることはそんなにないけど。


東京といえば、先月にオリンピックの開催が決定した。


・・・してしまった、かな?


9月に決定した後しばらくはテレビがオリンピック一色だった。


これから施設の建設なんかで建設資材や人件費が高騰し始める。

家の建設は大丈夫かな?


最低限の土地の確保ができたら建て始めるか。

契約している建築事務所に設計を急いでもらおう。


それはそれとして、オリンピック・・・開催できるのかなあ。

2021年の4月から転生してきた俺は実際に開催できるのかを知らないし。


前々から考えてはいるけど事前に出来る対策って何があるんだろうか?


そもそも感染症の発生を抑えるのは不可能だ。

だとすると次善の策は日本国内に入ってこないようにすることだけど・・・。


これも不可能、一般人の俺にできることはない。

政治家になる予定もないしな。


ただ感染症が日本に入ってきた後、拡散を防ぐ手伝いは出来るかもしれない。


例えば初期のマスクや医療品の不足を補う為に事前に備蓄しておくか、工場と機械と原材料を用意しておくとか。

工場なんかは時期が来たらどこかの企業に売ってしまえばいいし。


それから、今のうちから製薬会社の株も買っておこうかな?

流行し始めたらすぐにワクチン開発のための寄付をするとして、少しは回収できるかもしれないし。


後思いつくのはメディアを使った世論対策とかだけど・・・。

株主になったところで操作できるとは思えない。


下手にテレビ局に手を出すのは怖いし。

直近で買収しようとした人達は失敗しているからな。


色々と理由はあるんだろうけど。

実際のところよく分からないからなあ。


まあ一応少しずつテレビ局とあと広告代理店の株も買い進めてみよう、多少持っておいて損はないかもしれない。


感染が長続きすると困るんだよな。

折角お金を稼いでも旅行にも行けないし、遊びにも行けない。


もし彼女達が罹ったりしたら困るし。

思いつく限り対策を打っておかないと。





10月31日


「かんぱーい!」


今月中旬に学祭も無事終わり、いつも通りの日常が戻ってきた頃。

ハロウィンの今日は聖奈の発案でコスプレパーティーをすることになった。

聖奈は前からコスプレやりたがっていたが、文化祭の愛美達をみて再燃したらしい。


参加者は彼女と高校生組、あとは由依ちゃんにメイドさん達も含めて14人の大所帯だ。

みんな思い思いにコスプレをしていて、雰囲気だけでも楽しい。


「聖奈とアリサちゃん可愛いー!」


「すごい気合入ってるね〜!」


聖奈とアリサちゃんだけはアニメやゲームのガチのコスプレをしている。

2人ともウィッグやカラコンを付けずにそのままでクオリティが高いのがすごい。


「でしょー!このキャラお気に入りなんだー!」


「私もみんなみたいに普通のやつが良かったな〜」


アリサちゃんは聖奈に無理やりさせられたみたいだな。

めちゃくちゃ可愛いんだけどな。


「でもアリサちゃんすっごい似合ってるし可愛いよ?」


「ほんと〜!?じゃあ良かった〜!」


「もー、浩介に褒められたらすぐ機嫌直すじゃん!聖奈が着させた時は嫌がってたくせにー」


「えへへ、そうだっけ〜?覚えてな〜い!」


「今度私もコスプレしてみよっかな?」

お、いいな。美咲も興味を示したようだ。


「それ楽しみだね、美咲のも楽しみ」


「あ、美咲がやるなら手伝うよー!絶対可愛いもん!イベントとか参加したら人気になるよ!」


「イベントとかは恥ずかしいから出ないけどねー、でも楽しそう!」


「美咲がやるなら私もやる〜!」


「いいねいいねー!また今度パーティーしよー?」


「そうだね、そうしようか」


「やったー!」


メイドさんが用意してくれたご馳走を食べ、みんなで写真をとったり、暗くなるまでパーティーゲームをしてお開きとなった。

高校生組が大学生になったらこの後も一緒にいられるんだけど、もう少しの我慢だ。


この後、夜は大学生の彼女達とのお楽しみの時間。

一度やってみたかったんだよな〜、コスプレで遊ぶの。


付き合い始めて長くて8年経つが、未だにマンネリのようなものはない・・・と俺は思っている。

彼女たちが心の内でどう思っているかは分からないけど。

ただマンネリというのはいつも同じ相手に同じ事をしているからなるんだ。


俺たちの場合は一対一はたまに、普段は複数人でいつも違う組み合わせだからな。

でもたまにはこういう刺激があるのもいいだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る