第105話 対抗馬?
「先輩こっちこっち!」
「そんなに引っ張らなくても、ちゃんとついていくから」
「じゃじゃーん、ここが私たちのクラスのコスプレ喫茶だよー!」
9月末、愛美達の文化祭に遊びに来た。
愛美は俺と美咲の手を引っ張って自分たちのクラスまで案内してくれた。
後ろから渚、聖奈、杏奈それに由依ちゃんもついてくる。
「あ!センパ〜イ!やっときた〜!」
「お兄ちゃん!先輩!良い時間に来たね!ちょうど今行列無くなったんだー!」
高校生組の3人のクラスはコスプレ喫茶をしていて、ちょうどお昼時の今は人が少ないみたいだ。
喫茶とは言うものの教室では簡単な物しか出せないからな、みんなご飯を食べに行っているのだろう。
愛美はチャイナ服、アリサちゃんはメイド服、彩華は巫女服を着ている。
というかアリサちゃんの着ているメイド服は家のメイドさんに着せているやつじゃないか?
どこで手に入れたんだ・・・。
「メニューをどうぞ〜!センパイ何がいい〜?このカップケーキどう?私も手伝ったんだ〜!」
アリサちゃんがメニューを持ってきて一緒に座って話しかけてくる。
「ありがと、じゃあカップケーキと紅茶をもらおうかな。というかここに座っててもいいの?」
「うん!今暇だから〜!昨日もだけどさっきまで大変だったんだよ〜?」
もう一つのテーブルには愛美も座って杏奈達と話している。
「そっか、頑張ったんだね、偉い。ところでそのメイド服はどうしたの?」
「あ!気づいた〜?これね〜センパイに内緒で由依センパイに貸してもらったんだ〜!」
犯人は由依ちゃんだったか。
さすがと言うべきか、色白で金髪碧眼のアリサちゃんにはとても似合っている。
「可愛いね似合ってるよ。卒業したら大学行かずにウチで働く?」
卒業まで待てない、いますぐ家にきて欲しいくらいだ。
「え、いいの!?う〜ん、でも私はメイドとして働くより大学行った方がセンパイの役に立つと思うんだよね〜!」
「それもそうだね、アリサちゃん優しいね」
「でしょ〜?見直した〜?」
アリサちゃんが俺の腕に抱きついてきた。
良い匂いがするな〜、それにどことは言わないが成長してきている。
教室にいる男子生徒から睨まれているような気もするが気のせいだろう。
「あの〜、すみませんそろそろ・・・行列の方が・・・」
後少しで1時間も経つかと言うところで他の生徒に注意された。
さすがに長居しすぎたな、お昼ご飯から戻ってきたであろう人たちが行列を作っていた。
「センパイもう行っちゃうのか〜、もっと話したかったな〜」
「また文化祭終わった後でね、この後も頑張ってね」
ここで3人とはお別れで、この後もずっと出ずっぱりのようだ。
謝罪の気持ちも込めて、多めに支払いをしたら会計係の子が喜んでいた。
教室を出た後、彼女達と離れてトイレに行く。
紅茶を飲みすぎたかな?
「あの、浩介先輩ですよね?」
「そうだけど、どうしたの?」
スッキリしていると男子生徒が話しかけてきた。
知らない子だけど・・・なんで名前知ってるんだろう?
「あの、アリサちゃんとはどういう関係なんですか?」
「ん?彼女の妹で後輩だけどなんで?と言うかなんで俺の名前知ってるの?」
「そうですか・・・彼女ではないんですね?なら良いです。先輩有名人ですけど知らないんですか?」
「いや知らないけど」
アリサちゃん狙ってるのか、無謀だなあ・・・って油断するのも良くないよな。
あれだけ可愛ければ狙うやつはいるよなあ、アリサちゃんから学校の話はよく聞くけど、男の話を聞いたことはないな。
「僕が中1の頃、先輩は高1でしたけど、その時から有名でしたよ?いつも女の子に囲まれててハーレム作ってるって、愛美ちゃんも人気だったのに先輩といつも一緒にいたから未だに誰も声を掛けれてないんですよね。愛美ちゃんとは付き合ってるんですよね?」
おっと、高校生の時は付き合ってるって周りに言ってなかったんだけどな。
普通にバレていたみたいだ、高校の時の友達からは何も言われなかったけどな?
でもやっぱり愛美も人気だよな、可愛いもんな。
アリサちゃんの場合は高校からの入学で一緒にいる所を見られていないんだよな。
「それ君に答えないといけない理由ある?要件はすんだ?もう行っても良いかな?」
ちょっとキツく言いすぎたかな?
愛美と付き合っていることを明言してしまうのは少しリスクがあるし、詮索されないように早く話を切り上げたかった。
愛美の親はまだ付き合っていることを知らないし、そもそも18歳未満だからな。
噂になって学校や愛美の親にまで伝わったら面倒なことになる。
「あ、すみません。あ、あの、アリサちゃんに告白しても問題ないですよね?」
「ないよ、じゃあね」
負ける気しないし。
アリサちゃんからこの子のことを聞いたこともないし認識してるかどうかも怪しい。
けど油断して取られるのも面白くないし、放課後はできるだけ家に呼ぶようにしよう。
休日もみんなで遊びにでも行こうかな?
また2人だけのデートに誘ってもいいし。
「「「ただいまー!」」」
その日の夕方、文化祭が終わって高校生組の3人が家に来た。
愛美と彩華の2人はまだ分かるけど、アリサちゃんもここを自分の家だと思っているようだ。
それで良いんだけどな。
昼間の話もあるしもっと馴染んで貰わないと。
「センパ〜イ!疲れた〜!」
ソファに座っている俺の膝に頭を乗せてきた。
可愛いなあ。
綺麗な金髪を撫でてあげる。
「そういえばアリサちゃんって学校に好きな人とかいたりする?」
ちょっとリスクあるかもしれないけど聞いてみる。
「いないけど〜、なんで〜?」
「いや、今日トイレで知らない子に文句言われてね、アリサちゃんとどう言う関係なんですか?って」
「え、なにそれ?私はセンパイ一筋だよ〜?」
アリサちゃんはちょっと怒っているような顔にも見える。
伝え方が悪かったかな?
文句と言うほどの文句ではなかったけど、いや〜あの子には悪いことしたかな?
でもよかった、これで同級生のこと意識し始めたらどうしようかと思った。
「アリサ普段あんまり学校で男の子と話さないしねー」
「そうなの?」
ちょっと驚いた、家ではいつもこんな感じなのに。
「だって同級生の男子に興味ないも〜ん、センパイは私が皆んなにこんな事してると思ってたの〜?ひど〜い!」
アリサちゃんは泣き真似をし始めた。
「いやいや、そんなこと思うわけないでしょ?でもアリサちゃん人懐っこいし可愛いからみんなと話してるのかなって思ってた」
「えへへ、そうかな〜?」
今泣き真似を始めたばかりなのにもうニヤニヤしている。
「あ!アリサ!そこ聖奈の場所だよー!」
聖奈がリビングに入ってきた途端こっちに走ってきた。
「ちょっとくらい良いでしょ〜?お姉ちゃんいつもされてるじゃん!」
「ほら喧嘩しない、仲良くね」
聖奈も対抗して膝枕をされにきたので、左右で仲良く使ってもらうことにした。
下を見ると金髪と茶髪の2つの頭が華やかだ。
「この姉妹はいつも仲良いね〜」
「渚も膝枕してほしい?」
「ううん、大丈夫だよ〜!夜は私が浩介にしてあげるからね〜」
この2人と一緒にいると渚がすごい大人に見えるな・・・色々な意味で。
しかしお昼のあの男は当て馬にすらならなかったな。
まだまだ対策はしておくけど。
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