第104話 進路

9月


高校生組がオープンキャンパスに行きたいということで東京に来ている。

すでに東京にある有名な大学はいくつか見てきた、実際に目指すというよりは観光に近い感じだな。

ちなみに杏奈は東京には一緒に来ているが、仕事に行っていてここにはいない。


「みんなはどんな大学に行きたいかとか、何か勉強したいこととかってあるの?」


「私はまだあんまり決まってないんだけど、子供とか好きだしそういう関係かなー?」


「じゃあ、愛美は教育学部とかがいいかもね」

教育学部なら新しく家の近くの女子大にもあるし丁度いい。


「教育なら聖奈と杏奈と一緒だねー!それなら色々教えれるかもー!」


「聖奈先輩ありがとう!」


「私はセンパイみたいにお金とか稼げるようになりたいし経営学部とかがいいな〜!将来センパイのお手伝いとかできるかもだし〜!」


「おー、ありがとう!将来が楽しみだね」


会計とかやってくれる人がいるとすごく助かる。

あれ面倒だからな、将来はアリサちゃんにも任せよう。


ただ経営学部となると、近くの女子大には学部がないんだよなあ。

青山通りにある共学の大学にならあるんだけど・・・共学かあ・・・アリサちゃんモテそうだなあ。


「えへへ、でしょ〜?私センパイの役に立ちたいんだ〜!」


「アリサやっぱり浩介のこと狙ってるでしょー!聖奈のだからとっちゃだめだよー?」


「え〜?だってお姉ちゃんだけのじゃないでしょ〜?」

アリサちゃん隠さなくなってきたな・・・いや割と最初から隠してもないか・・・。


「そうだけどー・・・むむむ」


この2人、姉妹のことになると少し狭量になるというか遠慮がなくなる。

それだけ仲がいいということなんだろうけど。


「まあまあ、それで彩華はなんかある?」

そこまで興味はないけど一応妹にも聞いておく。


「んー、愛美達と一緒の大学がいいなー!」


「興味ある学部とかは?」


「んん〜」


「将来やりたいことはないの?」


「んん〜、せっかくずっとピアノとか習ってるし音楽大学とかは面白そうかなってちょっとだけ思ってるかな?」


俺は小学生の時にさっさとやめたけど、彩華はまだやってたのか。

多分大学はそれぞれ離れ離れになっちゃう気がするけど・・・。


「普通の勉強したくないだけじゃなくて?」


「そ、それもあるけど!でも音楽が好きなのはほんとだよ?」


「試験方式とかどうなんだろ?実技あるんなら結構厳しいんじゃない?まあ本当にやりたいことなら反対はしないけどね、将来の生活の心配もしなくていいし」


「ほんと!?さすがお兄ちゃん!頼りになるな〜!」


調子のいいやつだなあ。

彩華のピアノのレベルがどれくらいか分からないけど音大に受かるレベルなのかな?

コンクールとかに出たって話も聞いたことないけど、まあいいか。


「でもこうしてみると私たち結構バラバラになりそうだねー・・・」


「大丈夫だよ〜!みんな浩介の家に住めばいいんだから〜!」


「それもそっか!渚先輩の言う通りだね!」


愛美の親御さんも少なくともオープンキャンパスに来ることは許してくれたみたいだし、東京に来るのも説得を続ければ多分大丈夫だろう・・・だと思いたい。


「明日は新しいお家の近くの大学に行くんだよね?」


「そうだね、その辺の大学目指すのが楽なんじゃないかな」


「楽しみだね〜!」


「私たちは自然に浩介と一緒に行くのが目標であんまり大学探さなかったけど、こうやって色々見ていくのも楽しいね!」


「そうだったね〜、でも結構いい大学でよかったよね〜」


「そうだね、明日も早いしそろそろ寝よっか?」


「はーい!」



次の日は本命の新しい家のすぐ近くにある大学のオープンキャンパスに行くことになっている。

まずは一番近い女子大に向かう。


女子大の敷地に入るのは初めてだ。

もちろんオープンキャンパスに来ているのは女の子しかいない、もちろん保護者はチラホラと見えるけどほとんどが女の子。

少し居た堪れない感じもある・・・とは言っても普段から女の子に囲まれてはいるけど。


「先輩!私ここに行きたいかも!」


「ここなら教育学部もあるし、愛美にもあってるかもね」


愛美も気に入ったのか、楽しそうに色々な場所に目を向けている。

正直3人ともここに行ってくれると色々と安心なんだけどな〜。



次は青山の方に向かう。

家から一番近くて、アリサちゃん希望の経営学部のある大学だ。

ここは場所柄もあり、大学のイメージ通りオシャレな学生が多い。


妹はいいとしても、アリサちゃんを共学の大学に入れるのは少し心配だ。

俺のことを手伝いたいという気持ちは嬉しいし助かるけどな。


「センパイここどう思う〜?」


「いいんじゃないかな?アリサちゃんの学力なら多分普通に受かるでしょ」


「そうじゃなくて〜、私がここに来て他の男に取られないか心配じゃないの〜?」


「アリサちゃんの人を見る目は信用してるからね。悪い人に騙されないかだけが心配かな〜」

俺みたいなね。


「私見る目はあるからね〜!でも私はそう言うことを聞きたいんじゃないんだけどな〜?」


ほんとかな〜?

でも聖奈なら話を逸らした事スルーしてたな、妹の方はなかなか手強い。


「もういいでしょー?聖奈他の大学もみたいなー!」


「聖奈が受けるわけじゃないんだけどね・・・」



この後彩華の希望の音大の見学に行って大学巡りは終了した。

音大はやっぱり難しいような気もするけど、滑り止めで他も受ければ問題ないか。

まだ高2だし受験までは1年以上あるしゆっくり考えてもらえば良い。


他に東京では不動産屋でいくつかの契約を済ませた。

早速何件か土地を売る意思を見せてくれた人がいるようだ。

それに近所のマンションの部屋も何部屋か手に入れることができた。


今の所は順調かな?

できれば土地の確保は来年の夏までに終わらせたいなあ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る