第94話 2月

年末年始はハワイに滞在し、年越しはビーチで花火を見て過ごした。

観光するというよりも、ホテルやビーチでゆったりしていうことが多かった。


1月になると冬休みが終わり、授業が再開する。

前世では1年の時から単位を落としまくっていたが、今世では美咲達のお陰で前期は全て取得できている。


一緒に課題や勉強をする時間をとっているからな、朝寝坊をして授業に遅れるという事もない。

彼女達にダメなところは見せられないし、今月末の期末も頑張らないと。



「うぅー、聖奈疲れたー!休憩しようよー!浩介、ゲームしよー?」


「もうすぐ期末なんだから〜、ちゃんと勉強しないと〜!」


「そうだよ!あと1時間くらいしたらご褒美にお菓子作ってあげるから!」


期末試験まであと1週間ほどの休日、みんなで勉強会を開いている。

いつものごとく、聖奈はすぐに勉強に飽きたようだ。


「飲み物をどうぞ!」


「あ、楓先輩ありがとうございます」


今飲み物を持ってきたのは投資研究会の楓先輩で、6人目のメイドになった。

サークルに入るとき一番最初に声をかけてくれて、女子会の時に酔って告白のようなものをしてきた先輩だ。

冬休みが終わってすぐの頃から働いてくれている。


「ここではウチが雇われてる側なんだから、敬語も先輩呼びも無しって言っとるやろー?」


「あ、そうだった、ありがとう」


「じゃあ、今日はこれであがりますね!」


思っていたよりも順調に人が増えてくれて助かる。

楓先輩には大学を卒業したら会社の方の事務をやってもらおうと思っている。


人が増えて、給与計算とか面倒だしな。

もう1人くらい経済学部の人を雇えたらいいんだけど。





2月


期末試験を無事クリアし、春休みがやってきた。

いつになっても勉強というのは好きになれない。

美咲達がいるからなんとか頑張ることができる、本当に感謝だな。


とりあえず、この春休みをどう過ごすかが目下最大の問題だ。

3月に旅行に行くのは決まっているが、それ以外は何も決めていない。


あまり予定を詰めすぎても疲れるし。

それにしても予定立てなさすぎだけど、なんでだっけ?まあいいか。


「ということで、春休み何しようか?」


「何が”ということで”なのか分からないけど、普通に家でまったりとかじゃダメなの〜?」


「それでもいいんだけど、それだけじゃね。2月まるまる予定決めてないし」


「聖奈は家でゲームとかアニメ見たりとかできたら満足かなー!」


「聖奈ってアウトドア派なのかインドア派なのか分かんないよね」


「私もそれいつも思ってるわ〜」


「どっちも好きだよー?ダンス踊るのも好きだしねー!」


「まあそれはともかく、聖奈はそれでもいいかもしれないけど、他のみんなはやりたいことないの?」


「んー、私は浩介と2人きりでデートしたいな!テスト勉強でずっとデートできてなかったし!」

デートか、忙しかったもんな。


「あ、いいね〜!私、美咲ともデートした〜い!」


「私も先輩とデートしたいな!朝から夜まで!なかなか夜2人だけで寝るって出来ないから!」


あ〜、確かに夜に2人っていうのは少ないかもしれない。

いつもどうしても複数人になることが多い。


「あ、それいいかも。私もそれがいいな」


「じゃ〜、それぞれ1泊2日で浩介を独占するってどう〜?」


どう?じゃないが。

俺まだ何も言ってないぞ、別にいいけどな。楽しそうだし。


「さんせー!」


「浩介はそれでもいい?」


「いいよ、明後日から順番にね。やりたい事考えておいて?なかったらデートプラン考えるから」


なかった時のために、明日のうちにプラン考えないと。

最悪5回分考えないといけないから大変だ。


「「「「「「はーい!」」」」」」


「ちょっとー!なんでアリサまで返事してるのー?」


「え〜だって楽しそうだし〜!私もデートしたいな〜!だめ〜?」


「んー、1泊2日じゃなくて1日だったらいいかなー?浩介がいいっていうなら許してあげるー!」


「ん、俺はまあいいけど」

もちろん大歓迎だ。


「やった〜!」


「じゃあ、じゃんけんして決めよっか〜!」


じゃんけんの結果、聖奈、渚、杏奈、愛美、アリサちゃん、美咲の順番でデートをすることになった。


「やったー!一番だー!何しよっかなー?」


「なんでもいいよ?明日1日あるし、考えておいてね」


「はーい!」


もうすぐ確定申告の時期だし、それもやらないとだな。

大体は税理士の人に頼んではいるけど、今年は今まで以上に納めないといけない税金の種類が多い。


家を建てたから固定資産税もかかるし、会社を作ったからそっちもやらないといけない。

あれ?結構忙しい?そういえば、これの為に2月に予定立てなかったんだった。

まあ、なんとかなるよな?



「それで、今日何するか決めた?」


色々と作業をしていたらすぐに2日経ち、今日は聖奈とデートをする日だ。

したい事決めたかな?決めてたらいいな。


「うん、決めたよー!まずはアニメショップに行ってお買い物して、あとは家でゲームしたり漫画読んだり、アニメ見たりするのー!」


うん、なんか予想通りだ。

いつもとあんまり変わらない気もするけど、いいのかな?


「分かった、じゃあ行こっか」


車で繁華街まで移動する。

中心地にあるアニメショップや同人誌ショップなど3店舗を廻り、大量に購入していく。


聖奈はお店の奥にある暖簾のかかった場所にも気にせず入り、物色していた。

周りのお客さんも少し気まずそうにしていたな・・・。


「ふんふんふ〜ん♪」

聖奈はご機嫌だな。帰りの車では、鼻歌を歌っている。


「楽しそうだね?」


「欲しかったの全部買えたんだよー!いつもは入りにくいところも行けたし!」


「ああいうところは俺がいる時だけね?一応だけど」


「うん!」


家に到着するとそのまま聖奈の部屋に入り、戦利品の整理をする。

聖奈は袋を破ってゴミをそのまま床に捨てている。

部屋自体は結構綺麗にしてるみたいだけど。


「いつもちゃんと掃除してる?」


「えへへ、前はちゃんと自分でしてたんだけどー、最近は由依と希がやってくれるのー!」

希ちゃんは12月に入ったバイトの子だ。


「あんまりメイドさんに頼っちゃダメだよ?自分でやれることはしなきゃね」


「分かってるんだよー?でも自分で掃除する前にみんながやっちゃうんだー!でもちゃんと今みたいに捨てたのは自分ですぐ片付けてるからー!」


「そっか、ならいいけどね」


俺が気になった本を読んでいると、整理が終わった聖奈が横にくっついて来て一緒に見始めた。


「これ絵が可愛いよねー!表紙見て一目惚れしちゃった!」


「聖奈センスいいね、これは俺も好き」


「でしょー?浩介こっちも好きそう!」


1時間ほど2人で一緒に漫画を読んだりしたあと、ゲーム部屋に移動して遊んだ。

晩御飯は2人で宅配ピザを食べ、夜は聖奈の部屋で一緒に寝た。



「楽しかったねー!またこれやろうねー!」


「よかったね〜!じゃ〜、今日は私の番だね〜!」

渚は聖奈の頭を撫でながら俺の方を見てきた。


「何するか決めてる?」


「もちろんだよ〜!私の部屋に来て〜!」

なんか・・・渚の目がいつも以上にギラギラしている気がする。


「それで、何するの?」


「えへへ、24時間ベッドの上から出ないチャレンジしようと思って〜!」


「え?」


「だからトイレとシャワー以外1日中ベッドから出ないの〜!ご飯とかは美咲に持って来てくれるように頼んだからね〜!」


「おおぅ、分かった。頑張るよ」


「それでこそ浩介だよ〜!」



「浩介大丈夫!?げっそりしてるけど・・・」

次の日、渚の部屋から出ると美咲に心配された。


「うん、大丈夫・・・今日は休むから、杏奈は明日になるかな・・・」


「おはよ〜!」

ツヤツヤしている渚も部屋から出てきた。


「もうー、渚やりすぎだよ!」


「えへへ、ちょっとやりすぎちゃった〜!」


ベッドから出ないだけでなんでこんなに疲れたのかは全く分からないが、とても疲れた。

渚の体力が意外とすごいということだけは分かったな。

あとで杏奈に謝っておこう。

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