第93話 年末
12月29日
冬休みに入り、昨日の夜から東京に来ている。
今度の旅行の行き先はハワイ。
東京で2日過ごした後、年越しはワイキキビーチで過ごすことにした。
ハワイは俺たちは中3の修学旅行以来だな、愛美達は去年行ったばかりだ。
もちろん修学旅行とは違って、飛行機の席も良いし、ホテルもワイキキビーチに面した良いホテルの良い部屋を予約してある。
今回から予約とかの面倒な仕事は由依ちゃん達に任せた。
逐一確認はしていたけど、次からはそれもしなくて済むかもしれない。
由依ちゃんはずっと一緒に旅行しているから好みとかもわかってくれているしな。
「楽しみだなー!聖奈初めてだよー!早く入りたいなー!」
みんなの中で聖奈が一番ウキウキしていた。
旅行の準備中や飛行機の中では、高校生組よりもうるさかったくらいだ。
今日から東京では同人誌の即売会が開かれる。
それの初日に聖奈と2人で参加することになった。
聖奈は大学受験の時から行きたがっていたし、夏は忙しかったからようやく約束を守れる。
他の子達はあまり興味はないようで、その間は東京観光をするらしい。
正直この人混みの中、長い時間待つのはキツい。
「聖奈、体力温存しておかないと後で大変だよ?」
「えー!でも楽しみなんだもーん!落ち着かないよー!」
「おいで、手繋いでおこう、中で迷子にならないようにね」
「わかったー!まだかなー?まだかなー?」
こりゃ大変だ。
絶対に目を離さないようにしないと。
「重いでしょ?俺が持つよ」
昼過ぎ、戦利品を大量に手に入れて、一息着いたところだ。
「えへへ、いっぱい買っちゃったねー!ありがとー!」
「あっちでコスプレやってるらしいよ」
「あ、みたいみたい!」
両手に袋を持っているので手を繋ぐ代わりに、聖奈に腕を組んでもらいながら、コスプレ会場まで移動する。
「可愛いー!写真撮ってきていいー?」
「はいはい、一緒に行くよ。撮る時以外は手を離さないでね」
コスプレ会場を巡りながら、聖奈は写真をとっていく。
「ねー、来年は聖奈もコスプレしたいなー!ダメー?」
「え、それはちょっと、どうだろう・・・」
めちゃくちゃ人気になりそうだけど、ちょっとリスクがでかい気がする。
スタジオで自分たちで撮るならいいけど、外で不特定多数に撮られるのはな。
ネット上に写真が出回るともう消せないし、変なところを撮られたりするかもしれないし。
「聖奈は声優になりたいんだよね?その時に影響出ちゃうかもよ?」
「そっかー、そうかもー!」
「家でコスプレするのはどう?写真撮ってあげるよ?」
「ほんと!?じゃあお家でするねー!みんなにもコスプレしてもらおー!」
それいいな。
色々と盛り上がりそうだ。
「そろそろ帰る?もっと見たい?結構いい時間だけど」
みんなに誕生日プレゼントでもらった時計を確認する。
この時計、少し下世話だがあとで値段を確認したら、400万くらいするみたいだ。
大学生組の彼女4人が受け取っている給料が月70万円程度なので、貰い始めて3ヶ月の手取りの半分近くを費やしてくれたようだ。
自分たちのために使って欲しかったんだけどな、めちゃくちゃ嬉しかったけど。
「んー、ちょっと疲れちゃったし帰ろっかー!」
全然疲れているようには見えないけど・・・。
体力無尽蔵だなこの子。
俺はもう歩き疲れたし、荷物を持っている手が痛い、ヘトヘトだ。
今日の夜には飛行機に乗らないといけないし、少しシャワーを浴びたいな。
少しハードスケジュールすぎたかな?
12月30日朝
ハワイ、オワフ島に到着した。
懐かしいな、ここに来るのは3年ぶりだ。
ホテルに向かいチェックインを済ませ、部屋に入った。
部屋からは、ワイキキビーチとダイヤモンドヘッドの両方が見える部屋で、ワイキキでも一番の眺めだろう。
「懐かしいね!」
「ダイヤモンドヘッド登るの大変だったよね」
「杏奈はすっごい苦労してたもんね〜!」
「浩介に荷物持ってもらったり、すごく助けてもらったんだよね」
「そんなこともあったね」
「また登りたいなー!」
「えー・・・」
「いや、今回は登らないけどね」
「そうなのー?」
「え、うん」
逆になんで登ると思ったんだろう?一度登れば十分だ。
「お買い物行きたいな〜!」
「あ、行きたーい!」
ちょっと休憩したいな・・・。
昨日の即売会の疲れがかなりきている。
「浩介疲れてる〜?やめとこっか〜!」
「みんなは行っておいでよ、俺は休んどくから」
「じゃあ、私も待ってるからみんなは行っておいでよ!せっかくだし!」
「そう〜?じゃあちょっとだけ、歩いて行けるところだけにしよっか〜!」
「治安はいいけど、一応表の通りだけにしときなね、そこならまず大丈夫だから。迷子にならないようにね?」
「わかった〜!」
渚たちは部屋を出て行って、美咲と俺だけが残された。
彼女達だけで外出させるのは少し不安だけど、まあ大丈夫か。
美咲はやっぱり優しいな、こうやって気を遣ってくれるのがすごく嬉しい。
渚達も気を遣ってくれたけど、せっかくだし楽しんできて欲しい。
「2人きりだね!ちょっとお昼寝するー?」
「そこまでではないから、外のソファーでゆっくりしようよ」
「いいね!日本と違ってあったかくて気持ちいいもんね!」
「美咲って将来やりたいことある?」
「急だね?んー、何が浩介のために一番かなって悩んでるかな!」
嬉しいこと言ってくれるな〜。
最近少し考え事をしているところをよく見る気がする。
「嬉しいね、たとえばなんかある?」
「料理は好きだし、掃除とか家事とかも好きだけど、やっぱり金銭面で頼りっぱなしってのもな〜って。英語得意だし、それを生かした仕事をしようかなって思ってる」
「正直、家のことをやってくれるのが一番助かるけどね、やりたいなら良いけど」
「でも最近働いてくれる人も増えたし、家事は必要ないんじゃないかなって」
「いや、いくら人が増えても指示してくれる人がいないことにはどうしようもないから。美咲が家のことを取りまとめてくれるのはすごく助かってるよ」
「そうかな?」
「うん、そうだよ!でも、やりたい事があったらやってもいいからね!お金はもう孫の代どころか10代先まで安泰なくらいは稼いでるから気にしないで?多分2年か3年後にはプライベートジェットで旅行できるよ」
今でも買おうと思えば多分買えるけどな。
「そうなの!?昔聞いた時は冗談だと思ってた!ほんとに買えるくらい稼いでたんだね!」
「来年あたりに東京にももっとおっきな家建てようと思ってるくらいだしね〜」
「卒業したら東京に住む?」
「そうしたいなって思ってるけど、いいかな?みんなもそのほうがやりたい事やれるかなって」
「いいと思う!おっきな家ならメイドさんもっと増やさないとだね!」
「うん、そのつもりだよ、今でも結構大変でしょ?」
「そうだねー、その流れで彼女ももっと増やすのー?」
「あ、いや、あはは」
「もう、いいけどねー!浩介は甲斐性あるんだもん!好きにしていいよ!」
「え、いいの?」
「やっぱり増やしたいんだ〜?最近もモテるもんね!アリサちゃんとか!それだけいい人と付き合っちゃったんだもん、しょうがないかなーって思ってる!」
「そっか、ごめんね」
「謝らなくていいよ?彼女が増えても大事にされてるってわかったしね!」
「ただいま〜!ケーキ買ってきたけど食べる〜?」
本当に良い子と出会えて、最初に美咲と付き合えてよかった。
渚とか聖奈とか、愛美も杏奈もいい子ばっかりだけどな。
申し訳ない気持ちもあるけど、欲には忠実に、やりたいことをやる。
転生してすぐにそう決めた。
もっともっと彼女は増やすつもりだ。
欲しいものは全部手に入れる!
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