第92話 19歳

12月中旬


先週バイトの説明に誘っていた美咲の友達が家に来た。

来たのは希ちゃんと名前を聞いていなかった2人、それとインカレサークルで誘ってきたという別大学の女の子1人の全部で4人。


「まず名前聞いてもいい?この前聞いた希ちゃん以外」


「茜です!よろしく!」

茜(あかね)ちゃんはショートヘアーで、活発そうな子だ。


「雫です!」

雫(しずく)ちゃんは髪をプラチナブロンドに染めていて、綺麗な髪をしている。


「初めまして〜、舞っていいます!」

舞(まい)ちゃんは家の近くにある女子大に通っているらしい。

身長が小さくて、黒髪の清楚そうな子だ。


「仕事内容は、基本的にはこの家の掃除とか料理とか、家事全般をしてもらうことになるんだけど大丈夫?」


「大体のことは美咲に聞いてるよ!ね!」


「そうだね!」

面接にはもちろん美咲も参加していて、由依ちゃんもいる。


「じゃあ、詳しい条件とかはこの紙に書いてあるから、質問とかあったら聞くよ」


「え、時給3000円ももらえるの!?」


「え、やばっ!何かヤバいことでもするの!?」


「いや、そこにいる由依ちゃんも働いてもらってるけど、普通の仕事だよ」


「うん、説明された通りの仕事だよ!」


「それに、旅行についてくる必要がある時とかはその時間分計算に入るし、海外で通訳が出来るんならその分も加算するから」


「そうなんだ!もう私すぐにでも働きたいんだけど!」

茜ちゃんはかなり乗り気な感じだ。


「じゃあ、契約書読んでハンコ押してね」


「他の3人はどう?」


「私も働く!」

「ウチも!」

「私も〜!」


よっしゃ、4人ともゲット!

これで人手不足ともおさらばだ。


美咲達の負担も、由依ちゃんの負担も減るだろう。

それにメイド服を着た女の子がたくさん家で働いてるってのも良いものだよな。


「由依ちゃんがリーダーになるから、指示に従ってね。シフトの相談とかも頼むね」


「うん、わかった!」


由依ちゃんが所謂メイド長ってやつになるのかな?

人数が増えると役割もちゃんと決めないとな。





12月25日


「「「「「「「「メリークリスマース!誕生日おめでとー!」」」」」」」」


今日で19歳になった。

まだまだ歳を取るのが嬉しい年齢だな〜。

この日が来るのが結構待ち遠しかった、多分あと6年くらいすると段々嫌になってくるんだよな。


リビングにはいつものメンバーがいる。

キッチンには雇い始めたばかりのメイドさんが4人いて、料理の準備をしている。


嬉しいことに・・・4人からすれば残念ながら、全員予定がなかったらしい。

クリスマスにバイトをして過ごすというのもかわいそうなので、準備が終わり次第こっちに参加する。


「はいこれプレゼント!みんなからだからね!」

美咲が少し小さめの箱を渡してきた。


「ありがとう!開けていい?」


「うん!」

丁寧に包み紙を開けていく。


「みんなでお金出し合って、選んだんだ〜!」


「そうなんだ!嬉しいよ」


中には時計の5大ブランドの一つ、超有名ブランドの腕時計が入っていた。

文字盤のところが透けていて、中の機械部分が見えるタイプだ。

これはカッコいい!


「すごい!ありがとう!これ高かったんじゃない?」


「渚が多めに出してくれたんだよー!」


「ちょっとだけだよ〜?浩介が好きそうなのがやつにしたくてね〜!」


「ほんと嬉しいよ!ちょっと待ってねみんなにもプレゼントがあるから」


「やったー!ありがとう!」

急いで自分の部屋に戻り、12個の箱を持って来る。


「いつもありがとう、これは5人にね。こっちは3人に」


彼女達にはちょっとお高めのネックレスを、アリサちゃんや由依ちゃんや妹には彼女達よりも少し安めのブレスレットをプレゼントした。


「わー!可愛い!ありがとう!」


「ありがと〜!」


「みんなの分それぞれ違うの選んだんだ?大変だったでしょ?」


「いや、色々見れて楽しかったよ」


美咲や渚、杏奈には大人っぽいものを聖奈や愛美には可愛い系のものを選んだ。

もちろん差がつかないように同じような価格帯にした。


「そっちの箱はなに〜?」


「ん、こっちはバイトの子達にもね、頑張ってくれてるし」


彼女達には遠く及ばず、アリサちゃん達よりもずっと安物だけど、一応用意してある。

せっかくのクリスマスだしな。


「優しいね〜!きっと喜んでくれるよ〜!」


「だといいね」


プレゼント交換はひとまず終わり、料理が運ばれてきた。

今日だけはバイトのみんなもメイド服ではなく、サンタのコスプレをしている。


12人も女の子が揃うとかなり賑やかになるな〜。

見た目も華やかになった、バイトの子達の髪色も明るいし。


「帰りたくないなー」

私服に着替えた愛美が悲しそうな顔をして言ってきた。


「しょうがないよ、俺も寂しいけど、もうすぐまた旅行にも行けるしね」


「うん、浩介先輩の誕生日だし、笑顔じゃないとだよね!また明日も来るね!」


「今日はありがとう!また明日ね」


しばらく遊んだ後、高校生組は帰っていった。

愛美はもっと一緒に居たそうにしていたが、流石に平日に泊まりはダメだったみたいだ。


こればっかりは、あと2年我慢するしかないな〜。

年末年始にはまた旅行にも行くし、そこで我慢してもらおう。


その後は彼女達と一緒に空が明るくなるまで遊んだ。

今日泊まっている由依ちゃん達にまで騒がしい声が聞こえたかもしれないな。

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