第90話 温泉旅行

11月末


3連休初日の今日、みんなで温泉旅行に向かっている。

彼女5人と妹、アリサ、由依ちゃんと自分含めて9人のいつものメンツだ。


緑色の観光列車に乗り、大分県の由布院温泉に向かっている。

9人なので、ボックスシートを3つに別れて乗車している。


車で向かってもよかったのだが、1台は彼女の誰かが運転しないといけなくなる。

免許を取って1年も経ってない今はやめておいた方が良いだろうと判断した。


「緑が綺麗だね!」


「視線が高いから見やすいよね」


「そうだね〜!あっちの3人は景色どころじゃないみたいだけどね〜」


俺は美咲と渚の3人で座っていて、隣のボックスには聖奈と杏奈、由依ちゃんが座っている。

聖奈達の前のボックスには高校生組が座っていて、トランプで遊んでいて少しうるさい。


「ちょっと注意してくるね!」


美咲が高校生組に注意しに行く。

女子高生3人集まれば騒がしくなるよな、それも旅行中なら特に。


「やっぱ高校生は若いね〜!」


「渚たちは高校生の時からしっかりしてたけどね、大人っぽいというか」


「そうかな〜?まあ、そうかもね〜!」


「聖奈は年相応だった、というか今でも子供っぽいけどね」


「確かに!そこが可愛いんだけどね!」


「もー、普通に聞こえてるからねー!」


「あはは、ごめんごめん」


そりゃ通路挟んで隣だし聞こえるよな。

半分聞こえるように言ってるんだけど。


ゆふいんの名前を冠した特急は、時間通り由布院駅に到着した。

駅から宿まではタクシーで移動する。


「駅の周りも観光したいね!」


「観光は明日だね、帰りの電車は夕方だから時間はたっぷりあるよ」


「温泉楽しみ〜!」


古民家を移築・改装した離れのみの宿は雰囲気も良く、由布院でもトップクラスの旅館だ。


「じゃあ、由依ちゃんと彩華とアリサちゃんはそっちの部屋ね」


「はーい!お風呂入ったあとでそっちに行くね?」


部屋は俺と彼女5人の部屋と、残り3人で別れる。

俺たちの部屋は築200年の建物で、5部屋もあり内風呂と露天風呂もついている。

6人で1泊50万ちょっとのお部屋だ。


「わー!雰囲気いいね!すごいよ!」


「どこで寝よっか〜?ベッドルームもあるけど、みんなで和室で寝る〜?」


「それもいいね」


「早くお風呂入ろうよー!」


「あ、聖奈先輩走っちゃだめだよー!」


「じゃあ、みんな行こっか」


「も〜、美咲隠さなくていいのに〜!みんなも〜!」


「だって恥ずかしいもん!」


「でも浩介だよー?」


「そうそう、もう隅から隅まで見られてるのに〜!」


「それでもなの!」


みんなで一緒に温泉に入る。

普段から全員で入ることは少ないが、一緒に入ることは多い。


美咲や杏奈や愛美は今でも恥ずかしいようで、顔を赤くしながら体を隠そうとするのが可愛い。

しかし、渚や聖奈は慣れたようで堂々としている。


羞恥心がなくなって堂々とされるより、恥ずかしがってくれたほうが色々な意味で嬉しいんだよな〜。


「はぁ〜〜、気持ちいいね〜〜」

「癒される〜〜」

「落ち着くね〜」


「毎日でも入りたいねー!」


「温泉来たかったんだよね〜、先輩ありがとー!」


「うん、来てよかったね」


体を洗うときに渚がひと暴れしていたが、お湯に浸かると大人しくなった。

何とは言わないが大きいものが好きらしい、やっぱり人は自分にないものを求めるのだろう。



「もーお兄ちゃん遅いよー!どれだけ待ったと思ってるのー!」


一通り楽しんだあと、由依ちゃん達を部屋に呼んだ。

ちょっと盛り上がって待たせてしまったようだ。


「ごめんごめん、気持ちよくてついね」


「こっちの部屋はすごいね!」


「せんぱ〜い!私もこっちの部屋で寝ちゃだめ?」


「ダメに決まってるでしょー!」


「えー、お姉ちゃんずる〜い!」


みんな浴衣姿が似合っていて可愛い。

髪が濡れているのもなかなか乙なものだ。


彼女達は、お風呂上がりで火照っているのか顔も少し赤いのも良い。

今部屋にきた3人は温泉から上がって時間が経っているからか、そんなことはないが。


ご飯の時間までは、リビングでトランプをして遊んだ。

どうせならお部屋食がよかったのだが、残念ながらこの部屋ではやっていなかった。


「お腹いっぱい!食べすぎちゃった!太っちゃうかも!」


「どうせその栄養は全部ありがたい場所に行くんだから良いでしょ〜?」


「ありがたい場所って・・・」


レストランの個室で豊後牛などの大分の美味しいものを食べた。

お酒が飲みたくなるな〜、良さげなバーもあるようだったし、20歳超えたらまた来よう。


「もう一回温泉入りたいね〜!」


「もうちょっとゆっくりしたいな、流石に今入るのはキツイかも」


「良いな〜!こっちのお風呂も入りたいな〜!」


「俺後で入るから先に入ってもいいよ」


「センパイも一緒に入ろ〜?」

アリサちゃんがニヤニヤしながら顔を覗き込んできた。


「それはダメ」

めちゃくちゃそそられる提案だけど。


「え〜、じゃあ愛美一緒に入ろ〜?」


「わかったー!」


アリサちゃん、由依ちゃん、妹と愛美が先にお風呂に向かった。

障子を開けたらリビングから見えるんだけどな〜、気になる・・・。


「浩介一緒に入りたかったんじゃない〜?えらいね〜」


「いや流石にね」


「そういえば今度仲良い友達と、料理サークル作りたいなって話をしてるんだけど、家使っても良いかな?」


「うん、大丈夫だよ」


「ありがとう!」


「私食べる係やりたいな〜!」


「良いよ!その分たくさん作れるし!」


「みんな気にせずに友達とか自由に連れてきて良いからね」


「わかったー!」


この後アリサちゃん達が出てきて、俺たちも2度目の温泉を楽しんだ。

まだ話したがっていたが明日も早いし、3人は渋々自分たちの部屋に帰した。

俺たちはみんなで布団で寝ることになった。



次の日


「おはよ!」


「おはよ、美咲早いね」


「いつもの習慣だからねー!旅行だと朝ごはん作れないの変な感じ!」


目を覚ますと、美咲以外はまだ寝ていた。

浴衣で寝ると、寝ている間に着崩れて大変素晴らしい景色を見ることができる。

家でも浴衣を着てもらおうかな?


「2人で朝風呂入ろっか」


「良いよー!」


「お部屋に温泉があると気軽に入れて良いよね」


お風呂でイチャイチャした後、みんなも起きてきて朝ごはんを食べた。

今日はチェックアウトをした後、有名な湖や、街中の観光をして帰る。



「帰りたくないなー!」


「家にも温泉欲しいね〜!」


「流石にウチのあたりでは出ないからな〜」


「また来ようね!」


しかしアリサちゃんとも付き合いたいけど・・・どうにもキッカケがないな〜。

アリサちゃんが家に来たり、遊びに行く時は大抵聖奈とか誰かがいる。


仲良くはなってるんだけどな、何かないかな〜。

ゆっくり中を深めていくしかないかな・・・?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る