第88話 (2012年9月28日)2学期

9月中旬


夏休みが終わり、授業が始まった。

夏休み最後の2週間は買い物をしたり、ご飯を食べに行く以外はずっと自宅で過ごした。

家では彼女達とプールで遊んだり、バーベキューをしたり、映画を見たりと、ダラダラとしていた。


最後の週には、ほぼ毎日と言っていいほどプールに入っていた。

そろそろ寒くなってきたし、プールを使えるのはまた一年後になる。

使える期間が限られるプールはかなり贅沢な設備だな。


買い物の中で一番大きかったのは車だ。

由依ちゃんがメイドとして働き始めたし、買い出しなど家で働く人が使える車があったほうが便利だろうからな。


安めのを1台購入した、と言っても挙母自動車の一番いいブランドの中でだけど。

これで車は全部で7台になった。



「今日はサークルがあるから、晩御飯はそれぞれで大丈夫?」


「うん!じゃあ、私たちもサークルのみんなとご飯食べにいくね!」


「気をつけてね、終わったら連絡して」


「はーい!」

「またね!」

「浩介達も気をつけてね」


授業が終わり、美咲達3人はダンスサークルに向かい、俺と渚は投資研究会に向かう。

サークルの人達と会ったのは女子会が最後だ。

色々と話が広まってそうだ、どうせいつかはバレる事だけどな。


「「お疲れ様です」」


「お疲れ〜」

渚と2人で部屋に入ると、先輩達から挨拶が返ってきた。


「お、浩介色々聞いたよ、家すごいんだって?」


「投資で儲けたっちゃろ?今度サークルの時間で授業してみんか?」


想定よりも悪くない反応だな?金貸してくれとか言うような人はいなかった。

もちろん、信用したから家に招待したんだけどな。

サークル外の人は分からないが。


「俺、株メインですけどそれでいいなら大丈夫ですよ」


「へー!株かあ、FXよりそれの方が授業に役立ちそうやな」


「それで頼むわ〜、でもこんな有望な後輩が入ってたとは思わんかったな〜」


「あ、浩介君ごめんね、いつの間にか誰か喋ったみたいで、色々広まっちゃった」


「大丈夫ですよ、問題はないんで」


「それで、今度の女子会でも使わせてもらってもいい?この前来れなかった子が行ってみたいって」


「良いですよ」

女の子が家に来るのは大歓迎だ。


「え、いいな。俺らも見てみたいんやけど」


「んー、それはちょっと。家に女の子いるんで」


「あ〜、それはそうか、残念。てかハーレム作っとるらしいな?羨ましいぞ」


「半分以上女の子のサークルに入ってるのに、先輩女っ気なさそうですもんねー」


「う、うるせえよ!か、彼女くらいいたことあるけん!」


「え〜、そうなの〜?ウチ聞いたことないんだけど〜?」


「あ、みんな揃ったな、時間やし始めようや」


「わ〜、先輩逃げた〜!」


渚にまで言われている。

ほんと揶揄い甲斐のある先輩だ。

先輩でも弄ったりできるような雰囲気のサークルでよかった。



「「ただいまー」」

ご飯を食べて家に帰ると、リビングで美咲達が踊っていた。


「あ、おかえり!」


「おかえりー!みてみてー!これ学園祭で踊るんだー!」


「みんなカッコいいね!本番楽しみだね」


「わ〜!美咲かっこいい〜!聖奈と杏奈も〜!」


「えへへ、ありがとう!」


「これ結構キツくて、ちゃんと踊れてるか心配だけどね」


「杏奈もスタイルいいからすごく様になってるよ!」


「本番は、野外ステージでやるから見にきてねー!」


「うん、絶対みるよ!」


学園祭は10月にある。

俺たちのサークルもそろそろ準備を始めるはずだ。

高校の時よりも自由度が上がるし結構楽しみにしている。





9月28日


ネットフレックス株がいい感じに安くなっていたので、残しておいた資金の一部を使って購入した。

この企業は動画配信サービスを行っている会社で、今後かなり伸びていく業界だ。


確か今後、何度か値下がりはするが、全体的には上がり調子のはず。

少なくとも転生前の2021年まで保有しておきたい企業の一つでもある。


一株あたり55.5ドルで100万株、合計43億5000万円で購入した。


これで証券口座に残っている資産は171.5億円になった。

まだまだ購入したい企業は沢山あるが、少し資産が心許なくなってしまったな。


「なんか数十億単位で買うのが普通になってきたね〜?」


「そうだね、それだけ稼げてるからね」


「すごいな〜!私もFXの取引ちょこちょこしてるけど、これ難しいね〜」


「どうしても機関投資家の方が取引量もスピードも情報量も多いからね。中々勝てないと思うよ」


「それで浩介はなんで勝てるの〜?」


「俺も資金には余裕があるからね、短期で見る必要もないし、FXにしては長期で見てるから。運要素が少ないからかな」


「あ〜、確かに運に頼りがちになっちゃうね〜、でも1週間とかでも持つの怖いしな〜」


「どうしても短期的にマイナスになったりするからね。余剰資金入れてないと、長期で保有するのは難しいよね」


「難しいね〜。ところでさ、ちょっと良さそうな会社見つけたんだけど、ここどう思う〜?」


「あ、タイフクかー、いいとこに目をつけたね」


「知ってるの〜?私たちって結構オンラインで買い物したりするでしょ〜?これからそういう人もっと増えるだろうと思ってね〜」


このタイフクという会社は物流システム、自動倉庫などの開発製造を行っていて、2020年以降特に株価が値上がりする。

感染症でオンラインショッピングも伸びるからな。


「うんうん、かなり増えるだろうね。でもアマソンとかじゃなくて、そっちに目をつけたのはどうして?」


「アマソンはもうみんな知ってるし、まだあんまり知られてないような所の方が儲かると思ってね〜!」

事実、今買えばアマソンよりも値上がり幅は良かったはずだ。


「さすがだね。みんなBtoC企業は知ってるけどBtoB、法人に対して商売をしている企業はどうしてもマイナーになるからね」


「だよね〜!今持ってるカンホー株っていつ決済する〜?」


「んー、来年の春あたりには値上がりするんじゃないかって予想してるけど。今必要だったらお金貸すよ?」


カンホーは来年5月あたりに最高値になるはずだ。

タイフクも確実に利益は出るし、貸しても問題はない。


「ううん、これは自分の力でやらないと意味ないからね〜!忘れたの〜?浩介に頼らないために投資してるんだから〜!」


「そっか、そうだね。渚はいい子だねー、渚と付き合えて幸せだよ」


「えへへ、ありがと〜!私も幸せだよ〜!でも、なんかまた彼女が増えそうなのが欠点だけどね〜?」


「うっ・・・いや俺からは何もしてないよ?」


最近はそんなに表に出して無いつもりだったけど・・・バレてたか。

結構アリサちゃんにも先輩にもそっけない感じ出してたはずなんだけどな〜、多分。


「まあ、ここまで来ると女の子から寄ってくるよね〜、もう半分くらい諦めてるけど〜」


「俺のこと嫌いになる?」


「ずるい言い方するね〜、嫌いになんかなれないの分かってるでしょ〜?何年一緒にいると思ってるの〜?」


「あはは、そうだね」


「もし付き合う気があるんなら、他のみんなの説得頑張ってね〜」


渚はいいのかな?

杏奈に告白する前は、これ以上増やさないで欲しいって言ってたはずだけど。


「自分から増やす気はないから安心していいよ」


今は、ね。

先のことはわからないけど。

少なくとも今、自分から何かするつもりはほとんどない。


「ほんとかな〜?浩介のことは信頼してるけど、ここが信頼できないからな〜」

俺の体の一部を指差してきた。


「そんなことないよ、信じて?」

渚を抱きしめて頭を撫でてあげた。


「も〜、ほんとずるいな〜!・・・でも今は騙されてあげる〜」


ちょろいな?

まあ、渚も俺が誤魔化している事は分かってるみたいだけど。

彼女がどれだけ増えても大事にするから安心して欲しいな。



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挙母自動車→トヨ○自動車

ネットフレックス→ネットフリック○

タイフク→ダイフ○

アマソン→アマゾ○

カンホー→ガンホ○

BtoC→Business to Customerの略:消費者をターゲットにすること

BtoB→Business to Businessの略:法人をターゲットにすること

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