第86話 カリフォルニア

「杏奈かっこよかったよねー!」


「ありがとう、みんなに見られるのはちょっと恥ずかしかったけどね」


「カメラ向けられたらすぐ表情変わってたもんね〜!」


「ね!プロみたいだったー!」


「いや、杏奈はプロのモデルさんなんだけどね」


「あ、そっかー!いつもと違ってなんか新鮮だったねー!」


「ね!かっこよかったね!」


「ほら聖奈、ちゃんと前見て歩かないと危ないよ。もう少しで乗れそうだね」


今はカリフォルニアにあるネズミーランドでアトラクションに並んでいる。

ここは世界で一番最初に出来たネズミーランドで、前世からずっと来たいと思っていた。


今度の旅行は、杏奈の撮影の都合で東京に5日ほど滞在した後、アメリカに来ている。

杏奈以外のみんなと東京観光をしながら過ごしていたが、一度だけ杏奈に誘われて撮影について行った。


俺でも知っている女性向けファッション雑誌の撮影だったが、杏奈のおかげで少しだけ見学させて貰うことが出来た。


やっぱり杏奈は東京にいた方が仕事やりやすいだろうな。

聖奈も声優やるんだったら東京にいた方がいいだろうし、大学卒業したら引っ越しかな?

となると、今年か来年あたりまでに東京に土地の確保をしておきたい。


確かオリンピックの開催が決まったのが2013年の夏だったはずだし、土地代とか建築費を考えるとそれまでには決めたいな。

来年には今保有しているユーロのポジションも決済するし、多分なんとかなるだろう。


「やっぱりネズミー楽しいね!」


「ね、次はフロリダの方も行ってみたいね」


「浩介はラスベガスとかも行きたいんじゃない〜?」


「めっちゃ行きたい、でもあそこは21歳になってからだね」


「へー!聖奈も遊んでみたいなー!」


「聖奈はギャンブルやらない方がいいと思うよ〜?」


「なんでよー!」


「すぐ顔に出るし、ポーカーとかはやらない方がいいだろうね」


「確かにお姉ちゃん弱そう〜!」


「アリサに言われたくないよー!」


「私はお姉ちゃんと違ってポーカーフェイスできるも〜ん!」


アリサちゃんはポーカーフェイスというかなんと言うか・・・対男特攻持ってそうだ。

まあ演技力ありそうだし、渚も同じく強そうだけど。

逆に美咲なんかは素直だから勝てないんだろうな〜。


「ここのホテルもすごいね〜!」


「9人全員で一つの部屋に泊まれるってすごいよね!」


「日本にもこういう部屋あればいいのにー」


今宿泊している部屋は最大12人まで泊まれるスイートで、リビングと3つのベッドルームがある。

寝るのは別の部屋としても、妹達がいるところでイチャイチャするのはなかなかハードルが高い・・・気がしたけどもう今更かな?


「明日はもっと楽しみだねー!」


「日本にはないアトラクションいっぱいあるからね」


アメリカ旅行の内3日間はここで遊んだ。

アナハイムにあるネズミーリゾートには2つのテーマパークがあって、ここでしか乗れないアトラクションが沢山あり、かなり楽しむことができた。


その後はロサンゼルスやハリウッド、サンフランシスコの観光をして10日間のアメリカ旅行から帰国する。


「また来たいね!」


「また来年また来ようよ〜!」


「そうだね、再来年は愛美達が受験だから厳しいかも知れないし、来年のうちに色々しないとね」


「受験やだなー、早く大学生なりたい!」


「愛美なら大丈夫だよ、今の調子で頑張れば余裕だからね」


「せんぱ〜い、私も大学生なったら一緒に住みたいな〜!」


「えー、アリサは一人暮らししたらいいじゃん!」


「お姉ちゃんと一緒に住みたいもん!」


「まあ、それは考えておくよ」


「浩介に迷惑かけちゃダメだからねー?」


部屋は余っているし、一緒に住むのは大歓迎だけどな。

彼女達の手前、すぐオッケーするわけにもいかないけど。





8月末


帰国して数日、以前から準備していた会社の登記が完了し、資産管理会社が設立された。

これで俺も会社の社長になったわけだ。

これといって何か業務があるわけではないけど。


設立までは1ヶ月ちょっとかかっていて、任せられる所はプロに任せてはいたが、なかなかに時間がかかった。

資本金の大半は、保有している挙母自動車株を現物出資していて、配当から人件費などを支払えるようにしておいた。


これで由依ちゃんを雇うことができる。個人で雇うと面倒だからな。

家事使用人って労働法適用外だし、雇われる側からしたら法人の方が安心だろう。


「私たちも社員になるの?」


「うん、そうしてもいい?お小遣いとか渡しておきたいから。家事とかしてもらってたしね」


美咲、渚、聖奈、杏奈の4人も社員として給料を支払う予定だ。

この半年、料理や掃除、洗濯などの家事を任せっきりだったからな。


「え、でも生活費とか出してもらってるから、それくらいは当たり前でしょ?」


「そうだよ〜、家賃も払ってないしね〜」


「まあ、会社の事務とかちょっと手伝って欲しいってのもあるかな、だからもし良かったらだけど会社に入って欲しい」

今のところは特にやる事はないけど。


「そういう事なら全然手伝うよ!」


「聖奈全然分かんないけど大丈夫ー?」


「うん、大丈夫だよ」


「そっかー!ならいいよー!」


「モデルのお給料もあるし聞いておきたいんだけど、そのお小遣いってどのくらいになるの?」


「とりあえず100万くらいで考えてるよ」


「わ、そんなにー?いいのー?」


「すごいね!その分のお仕事できるかな?」


「とりあえずだから、また後々変わるかもって考えておいてね。杏奈はそれで大丈夫?」


「うん、大丈夫。ありがとう」


「わかった〜!」


「100万円って月いくらだろー?お洋服いっぱい買えるねー!」


「ね!なんか悪い気もするけど」


「多分浩介からしたら、私たちの100円と同じくらいの価値なんだろうけどね〜」


それなら多分10円くらいじゃないかな?資産1000億あるし。

あと、年じゃなくて月なんだけどな・・・まあ今はいいか。

せっかく納得してもらえたし、なし崩し的に何とかなるだろう。

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