第85話 部室

久しぶりに1人で朝を迎えた。

朝ごはんどうしようかな・・・キッチンに何かあるかな?


料理は美咲に習ってはいるが、1人だと作る気にもなれないな。

キッチンを適当に漁って適当に済ませるか。


みんなは今日の夕方には帰ってくる予定だ。

それまではサークルの部室にでも行って暇を潰すか、誰かいるかな?



部室には鍵がかかっていなかった。

女の子の声もするし、先輩か誰かいるのかな?


「お疲れ様です」


「あ、おはよ〜。部室くるなんて珍しいね、渚ちゃんは?」

先輩が2人テレビゲームで遊んでいた。


「渚は今実家に帰ってるんです、暇なんで来てみました。昨日は飲み会でもしてたんですか?」


部室の奥を見てみると、先輩達が4人床で寝ていた。

テーブルには酒瓶やつまみが残っている、少し酒臭い。


「みたいだね〜、ウチらはさっき来たんだけど、ゲームとかも付けっぱなしだったし」


「一緒にやる?ウチらこの後買い物に行くから、それまでの間だけど」


暇だしやるか〜。

先輩達や同期は、いつも部室で遊んでいるらしい。


今まで俺たちは、サークルが終わった後はいつもすぐに家に帰っていた。

早く美咲達に会いたいからなんだけど、付き合いの悪い後輩だと思われているだろうな〜。


「どこ行くんですか?」


「夜に女子会するから買い出しにね〜、渚ちゃんも誘ったんだけど断られちゃった」


「あ〜ね、明日から旅行ですからね、また今度誘ってあげてください」


渚は今日も誘われてたのか、確か渚も1回だけ参加してたっけ?

男の俺は誘われないが、たまにサークルの女子だけで集まって、女子会をしているらしい。


男は男で、たまに部室で朝まで飲み会をしているみたいだが。

今も奥ですやすや眠っているのもそれだろう。


「今度また誘うよ〜!それにしても旅行いいな!アメリカ行くんでしょ?」


「そうです、一度行ってみたかったんですよね〜」


「優しい親でいいなぁ。私の親なんか旅行行きたいなら自分で出せ!って言うよ?」


「あ〜、俺も自分で出してますよ?」


「え?そうなの?バイトとかしてたっけ?」


「そこはあれですよ、投資で」


「そんな稼いでたんだ!?初めて聞いたよ!?」

投資していることは言ったけど、稼いでる額は言ってないからな。


「まあ、あんまり自分から言うことでもないですしね〜」


「確かにね。今度サークルの時にやり方教えてよ!」


「俺感覚派なんで、テクニカル分析とかはあんまり教えられないんですよ」

感覚派というか、前世知識なんだけど。


「そうなんだ〜?それで稼げるんだね〜」


「それカッコいいね!私も今度、感覚派とか言って見ようかな!」


「いや、アンタがそれ言ってもかっこ良くないでしょ、せめて浩介君みたいに旅費くらい稼がないとね」

稼いでるのは旅費どころじゃない。


「えー、まあ確かにねー」


「旅行から帰ってきたら、女子会ついでに家に遊びに行こっかな〜?渚ちゃんと浩介君一緒に住んでるんだよね?」


「そうですね、みんなに聞いてみますね」

女の子だけなら大歓迎だ、男は入れるつもりないけど。


「みんな?シェアハウスなんだ!?てっきり2人で同棲してるのかと思ってた!」


シェアハウスではないし同棲してるんだけどな。

まあ、説明めんどくさいし、来ればわかるだろう。


「まあ、多分大丈夫なので、今度住所教えますね」


「りょうかーい!」


「おつかれ〜、遅れてごめんね!寝坊した!」


「あ、やっときた!遅い!」

「じゃ、買い物行くから、浩介君また今度ね!」


「はい、お疲れ様です」


人を待ってたのか。随分と寝坊したな?

2時間くらいゲームして遊んでたんだけど。


今後はもう少し部室にも来てみるか。

テレビゲームだけじゃなくて、麻雀やボードゲームもあるみたいだし、楽しそうだ。

美咲達ももっと他のサークルの人と遊びたいかもしれないし。


この後どうしようかな、あとこの部屋にいるのは酒飲んで寝ている男だけだからな〜。

・・・どっかでお昼食べて帰るか。





「ただいま!」

「ただいま〜!浩介いる〜?」

「ただいまー!」


夕方、美咲、渚、聖奈の3人が揃って帰ってきた。

結局この時間まで配信を見たり、小説を見て時間を潰していた。

杏奈だけは俺たちの実家とは離れているから3人とは一緒ではない、もうすぐ帰ってくるはずだけど。


「おかえり、久しぶりの家はどうだった?」


「楽しかったよ!でも浩介がいないのは寂しかった!」


「俺もみんながいなくて寂しかったよ」

美咲は嬉しいこと言ってくれるな〜。


「私は家に帰っても、親は夜にしか帰ってこないしね〜。いつも通り美咲と一緒にいたよ〜」


「渚の両親は忙しいからしょうがないね、寂しくなかった?」


「え〜?寂しかったって言って欲しいの〜?」


「まあ、寂しくなかったんならよかったけど」


「あはは、浩介がいなくて寂しかったよ〜!」

渚はニヤニヤしながら抱きついてきた。


「あ、ずるいー!聖奈も寂しかったー!」

聖奈はこう言う時に対抗してくるのが可愛い。


「お腹空いてる?ご飯作ってくるね!」


「今日は私も手伝うね〜!」


「ありがとう」


「なんかこっちの家の方が落ち着くねー!」


「ただいま、ごめんね遅くなって」


杏奈も帰ってきた。

やっぱりみんなといると落ち着く。


明日からの旅行が楽しみだ。

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