第81話 (2012年5月16日)ゴールデンウィーク

ゴールデンウィーク


「アリサちゃんちょっとかわいそうだったね〜」


「しょうがない、初めて会ったのが一昨日だし」


「聖奈がお土産いっぱい買って帰るから大丈夫だよー!」


今は大阪にあるテーマパークに来ている。

いくらお金をかけて優先券を買っても、多少の待ち時間ができる。

待つの苦手なんだよな〜。


「そういえば聖奈、養成所はどう?」


「すっごく楽しいよー!」


聖奈は声優の養成所にも通っている。

すぐに感情とか表に出る子だけど、演技とかできるんだろうか?渚の方が得意そうだ。

まあ、声優に成れなくても問題はないし、最悪お金でなんとかできるかもしれないけど。


「どんなことするの〜?」


「なんかー、発声練習とかだけだと思ったら、結構体動かしたりして、いい運動になるかもー!」


「最近の声優ってアイドルみたいだもんね、ダンスとかもやったりするし」


「そうなのー!でも養成所の先輩とかは、殺陣の練習で膝が傷だらけになったって言ってたー」


「え、そんなことするんだ、痛そう」


「でしょー?びっくりー!杏奈は演技の勉強とかはしないのー?」


「私に演技は難しいかな、写真撮られるのが精一杯かも」


「美咲は料理教室とか行ってみたくないのー?」


「私はお母さんにずっと教えてもらってたからね!小学校の頃から習ってるからいいかなって!」


「美咲先輩の料理美味しいもんね!お菓子作り教えて欲しいなー!」


「ありがとう!じゃあ今度ね!」


「渚はー?なんか習いたいことってないのー?」


「私?私はずっと先生に投資を習ってるからね〜!ね?」

渚はこっちにウィンクを飛ばしてくる。可愛い。


「あ、確かにー!いいなー!」


「聖奈も投資してみる?」


「んー、分かんない!難しそー!」

だよな〜、知ってた。


「由依ちゃんはやりたいこととかあるの?」


「バイトとかしてみようかなとは思ってるけど、まだ決めてないな〜」


「ウチでバイトする?バイト代他よりもいっぱい出せるよ」


「え、ほんと?何するの?」


「んー、家事とかかな?掃除とか洗濯とか」


「へー!やってみよっかなー?考えておくね」


「由依はまだ家に来てないもんね!今度遊びにおいでよ!」


「うん、ありがとう!」


由依ちゃんが働いてくれると助かるんだよな。

業者にも頼むけど、あんまり知らない人を家に入れるのもな。

友達の家で働くのが嫌じゃなければいいんだけど。


楽しい時間はすぐに過ぎるもので、5日ほどの大阪旅行もすぐに終わる。

テーマパークの他には道頓堀や通天閣など定番の場所にも行った。

今度アリサちゃんが家にきたらお土産あげないとな。





5月15日


「前言ってた株がそろそろ買い時かも」


「ほんと〜?どこの会社〜?」


「カンホーっていう、ゲーム作ってる会社だよ。この前新しいゲーム出したんだけど、結構良さそうなんだよね」


もうそろそろ底値かなと思う。これ以上は多分待てない。

もうすでにあのパズルゲームもリリースされていて、結果待ちの状態だ。

売上やダウンロード数などが表に出る前に買っておかないといけないからな。


「へ〜!ここは初めてみた〜!ここいいの〜?」


「最近はもうスマホも普及してるし、スマホゲームを出す会社は将来性があると思うよ」


「確かに友達もみんなスマホだもんね〜!」


「まあ、あんまり大きな会社って訳でもないから、俺はあんまり買えないんだけどね」


「あ〜、確かにそうだね〜。浩介って買う量の上限決めてるんでしょ〜?」


「そうそう、買う時にはその会社の全株式の2%を超えないようにしてる。株価への影響が大きすぎるからね」


あんまり株価が動くと、前世の知識が使えなくなる。

一生持っていても良いと思える会社だったら気にしなくても良いんだけどな。


「よし、決済できた〜!買い注文出すね〜!確か5%以上買うと面倒なんだっけ?」


「よく勉強してるね、5%以上保有しちゃうと、大量保有報告書ってのを提出しなきゃいけないんだよ」


「ま〜、それはまだ私には関係ないけどね〜!あ、買えたよ〜!」


「何株くらい買えた?」


「えっとね〜、210株買えたよ〜!少し余ったから、また今度何かご馳走するね〜!」


「お、ありがとう!楽しみにしてるよ」


渚の取引が終わったし、俺も注文出すか。

今のカンホー株は1株あたり大体15万5000円くらいで推移している。


残っている資産は、FXの口座から移しておいた9億円がある。

為替は順調に円高に進んでいるため、口座に余剰資金を残しておく必要が減った。


現状の株価で計算すると、発行株数の4.9%を購入するのに7億円ちょっとあれば足りる。

俺が買うことで値があがることを考慮しても9億あれば足りるかな?

まあ足りなくても買えるだけ買う。

出来高(取引数量)が少ないから、時間がかかりそうだ。


「そういえば、次の旅行にはアリサちゃんも連れてくの〜?」


「ん〜、聖奈の親次第だけど、別に連れてっても良いんじゃないかな?」

できれば一緒に旅行に行きたい。


「アリサちゃん可愛いもんね〜?天使みたいに可愛いもんね〜?」

渚はニヤニヤしながらこっちをみてきた。


「あ、いや・・・」

狙ってるのバレたか?


「あれ〜?違うの〜?」


「愛美と彩華の友達だし、聖奈も行くから1人だけお留守番は可哀想だからね?」


「ふ〜ん?」


「え、まあ、うん」

なんか、色々考えがバレてそうな気がする・・・渚は察しがいいからな。


「ま、いーけどね〜!」

寛容でもあるみたいだけど。


「あ、そうそう夏の予定もそろそろ立てないとね、予約とか早めにしておかないと」


「話題逸らしたね〜。ん〜、私アメリカ行ってみたいな〜!」


「いいね本場のネズミーにも行ってみたいね」


「行きた〜い!みんなの意見も聞いてみよっか〜」



トレーディングルームからリビングに移動する。

聖奈は養成所に行っているが、美咲と杏奈はいるはずだ。


「夏に行きたいところ?」


「そうそう、どこかある?海外で」


「ん〜行きたいところかー、浩介はどこ行きたいの?浩介の行きたいところに行きたいな!」


「さっき、渚と2人でアメリカとかいいかなって話にはなったけど」


「あ、それいいね!私カリフォルニアのネズミー行きたい!」


「杏奈はどう?」


「私もそれでいいよ。でもこの前、夏休みの最初の週は撮影のお仕事に誘われて、東京なんだけど行ってもいいかな?」


「もちろん!じゃあ、ついでに俺たちも1週間くらい東京で遊ぶ?」


「それ楽しそう!」


「さんせ〜!」


「ありがとう、マネージャーさんに返事しておくね」


「後で聖奈たちにも聞かないとね!」


「そうだね〜!楽しみ〜!」


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カンホー→ガン○ー

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